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「打放しコンクリートと共に」 その9

こんにちはpikayoshi72です。

今回は建築保全‘85.1、2月号めんてなんす巷論「打放しコンクリートの若返り工事」の「3.改修工法の選定」および「4.改修工事の概要」についてご紹介します。
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3.改修工法の選定
 各種の改修工法が比較検討された結果、次の理由で当社の「打放しコンクリート若返り吉田工法」{ニチエー吉田(株)}が採用された。
① 打放しコンクリート外壁面の劣化及び中性化抑止を第一に、原設計のデザインを損なわないこと。これは周辺建物との調和、原設計を尊重する必要があった。
② 2年ほど前にも、隣接建物を「吉田工法」で改修しており、何等の問題も生じていない実績が評価された。
③ 本建物の改修範囲が予算の関係で半棟分であり、残りの半棟を将来改修する際、色調が最大問題となるが、その意味でも最適工法とされたこと。
④ 25年以上の実績があり、特に、電電公社(現在のNTT)関係建物に多く採用されて信用度が高く、かつ直営システムの責任施工で、経済性でも有利と判断された。

4.改修工事の概要
(1)表面清掃・・・・・①洗浄ブラシを併用して「ケミカルエースR」〔ニチエー吉田(株)製〕による化学洗浄工法で、赤錆その他著しい汚染部分を除去する。②圧力200kg/cm2のジェット水洗により、全面清掃する。③塗材はカワスキ等で除去後、ラッカーシンナーで除去する。
(2)コンクリート強化処理・・・・・NY-606コンクリート強化剤を、刷毛を用いて打放しコンクリート表面に含浸塗布する。
(3)浮き・剥離箇所の補修・・・・・既存補修モルタル部分を斫り除去し、NY-調合樹脂プライマーを塗布後、斫りの大小、深浅に合わせてNY-調合樹脂モルタルの付け送りを2~3回施す。
(4)ひび割れ補修・・・・・電動カッターでVカット後、シリコンシーラントのコーキングを施し、NY-調合樹脂モルタル押えとする。
(5)露出鉄筋の処理・・・・・ワイヤーブラシで錆を除去後、防錆エポキシ樹脂を塗布し、NY-調合樹脂モルタルによる被り補修を行う。
(6)レンガタイル欠損部の補修・・・・・剥離落下したタイルをNY-調合樹脂モルタルで造成着色して、健全レンガタイルと同一仕上げとする。目地補修は、目時空隙部に同樹脂モルタルを充填する。
(7)全面の色合せ及びタイル面の色修整・・・・・打放しコンクリート表面、レンガタイル目地の全面にわたり若返り色合せした後、上述の造成タイル、退色したレンガタイル及び駄目部を調合着色して、色揃えする。
(8)打放しコンクリート面の板目・木目造成・・・・・打放しコンクリート面の板割付け、墨出しを行った後、板目・木目の造成をする。
(9)打放しコンクリート面の防水処理・・・・・最終仕上げとして、打放しコンクリート表面に防水固定処理剤NY-7090を全面に塗布して、工事は完了する。

今回はここまでです。少々ボリュームのあるものになりましたが、おつき合い頂きありがとうございました。
 次回は、「建築保全」1985年1、2月号めんてなんす巷論、「打放しコンクリートの若返り工事」の
「5.施工上の留意点」「6.改修工事後の経過」および「-あとがき-」をご紹介します。

この年に電電公社から日本電信電話株式会社(NTT)(4月1日)、専売公社から日本たばこ産業(JT)(4月1日)民営化が本格的にスタートした年でした。勿論、携帯電話などは夢の時代でしたね!

それでは次回をお楽しみに!
by pikayoshi72 | 2008-03-10 07:27 | ブログ


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