こんにちはpikayoshi72です。
今回は、コンクリートテクノ 臨時増刊号 美しいコンクリート2006年9月号「4-②建築物としてコンクリートを創る技術」の第2回、「2.2打放しコンクリートの実状」から「2.3まとめ」までをご紹介します。 2.2打放しコンクリート建築の実状 周到な準備と施工管理の下に打設されたコンクリートであっても、多くの場合、脱型後に生じる不具合は避けられず、それらは表層面を形成する型枠の意匠性および健全性を阻害し、さらにその基点となる表層面からは酸素、炭素ガス、水分、塩分、酸などの浸入・浸透のほか、凍結融解、風雨等の外力による劣化作用は避けられない。このような自然環境からの劣化作用によって、表層面は粗面化し、塵埃や微生物の付着、雨水の浸透によるエフロレッセンスの析出、鉄筋の錆化膨張による表層剥離やひび割れなどにより打放しコンクリート表層面は美観と耐久性が失われる。 このようなことを背景に、打放しコンクリート建築の脱型直後に見られる不具合と経年劣化によって生じる不具合について実態を調査した。施工段階における不具合については、施工欠陥を対象とし、経年劣化における不具合はひび割れ、エフロレッセンス、汚れ等を対象として目視による実態調査を行った。 (1)脱型直後の不具合 観察者3人の目視によって脱型直後の打放しコンクリート表層面の不具合の発生概況を調査した。対象とした30棟75壁面の調査結果から不具合を図-7のように大別し、その発生率を求めた結果を表-1に示す。 なお、こうした不具合の実状を写真に収め、現象別に整理した結果を表-2に示す。 以上の調査から、各種の不具合が抽出された。気泡、型枠継ぎ目まわりの色むら、砂すじ(砂じま)、ひび割れ、錆汁の発生率も高い。なかでもジャンカやコールドジョイントの発生箇所は美観の低下を招き、劣化損傷の起因ともなる。 不具合A~Iのいずれもが、意匠性を阻害することはもとより、劣化損傷の糸口となる。また、いずれの不具合も、著しく表層面の欠陥を呈し、健全な表層面との整合性を失わせている。とりわけ違和感を与えるような補修は、打放しコンクリートの意匠性を低下させることにつながっている。 (2)経年劣化による不具合 表層面の劣化損傷の一指標または劣化の誘発要因のもととして、ひび割れ、塵埃や微生物による汚れ、エフロレッセンス、剥離・剥落の4項目について調査した。 1)ひび割れ 260棟の外壁に発生したひび割れを、ひび割れ幅0.05mmから2.0mmまでのものを方位別に調査した。その結果を図-8および図-9に示す。 これによりひび割れの大きさは0.6mm以下がほとんどであったが、そのほか美観上・耐久性の点で問題となるものがいくつか認められた。また日射を強く受けている西・南壁面のひび割れ幅が大きい。 2)塵埃や微生物による汚れ F市のA臨海地、B市街地、C田園地の3地区を選定し、汚れについて調査した。この場合、汚れの評点を、①ほとんど汚れは見られない、②少し汚れが見られる、③汚れている、④非常に汚れている、の目視判定により実施した。 調査結果を図-10に示す。また典型的な汚れを写真-1~3に示す。 260棟の調査結果より、北側の壁面は他の3面にくらべ汚れの付着が著しいことがわかる。色調は黒もしくは黒緑で、高湿環境下のためカビ・藻類による汚れの付着と考えられる。いずれもコンクリート表層面の密実性に関係している。 脆弱な表層面に浸透した雨水が、日射に乏しく水分の蒸発が緩慢な高湿環境下において生成されたことをうかがわせる。このような汚れについてのメカニズムはすでに仕入、地濃らにより図-11のように明らかにされている。 3)エフロレッセンス 打放しコンクリート表層面に発生したエフロレッセンスについて、発生箇所を部分別に調査した。 その結果を表-3および写真-4~6に示す。 エフロレッセンスの発生箇所は、ひび割れや脆弱部に浸透した雨水に誘発されたものが多く、発生箇所によって汚れの度合いが異なっている。雨水の繰り返しによってエフロレッセンスの汚染物が累積し、汚れが一段と進展していく。特に、エフロレッセンスの発生箇所は鉄筋の腐食、ひび割れ、表層剥離、脆弱な表層面などと密接にかかわっているため損傷劣化の発生原因となる。 4)剥離・剥落 典型的な剥離、剥落の実態を写真-7に示す。その多くは鉄筋のかぶり(厚さ)不足に起因したものである。 2.3まとめ 打放しコンクリート建築現場において周到な準備と施工管理の下でも、脱型後の不具合、とりわけ気泡、型枠継ぎ目まわりの色むら、ひび割れ、錆汁の発生が多く、また経年劣化による表層面の不具合として、汚れ、エフロレッセンス、鉄筋のかぶり(厚さ)不足によるひび割れ、剥離・剥落の実態が抽出された。 これらの不具合から、打放しコンクリート表層面の美観と健全性を長期にわたり維持・保全(補修・再生)するためには、適切な表層面の仕上げが不可欠である。 次回は、コンクリートテクノ 臨時増刊号 美しいコンクリート2006年9月号「4-②建築物としてコンクリートを創る技術」の第3回、「3.1基本構想」から「3.2補修材料の開発、2」強度等の性状」までをお送りします。 さて、この年のニュース、1月1日、市町村合併が盛んに行われ134市町村が合併し、新たに32市10町1村が誕生。市町村数は2052となりました。 それでは次回をお楽しみに! 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
by pikayoshi72
| 2010-01-18 07:21
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