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「打放しコンクリートと共に」 その(105)

こんにちはpikayoshi72です。

 先回お約束したとおり今回は、大作、(株)セメント新聞社発行のコンクリートテクノ 臨時増刊号美しいコンクリート2006年9月 に投稿しました「4−②建築物としてコンクリートを創る技術」を6回に分けご紹介します。
 本日は第1回目「1.はじめに」から「2.1打放しコンクリート技術」までをご紹介します。

1. はじめに
 打放しコンクリートは、内外の著名な建築家により歴史的な建造物に多く採用されてきた。その背景はコンクリートが持つ素材としての重厚感と簡素な造形美が卓越していることである。
 こうした素朴な仕上げにもかかわらず打放しコンクリート建築の施工においては、やり直しのきかない一発勝負のため、建設にあたり万全の施工管理と細心の注意を払っても、不具合の発生は避けられないことが多い。とりわけ表層面における不具合の発生は、打放しコンクリートの生命である表層面の意匠性を損ない、しかもそれらに起因した汚れの発生と耐久性の低下は美観の喪失と資産価値を損なうことになる。このような観点から打放しコンクリート表層面は、意匠性や耐久性のかかわるきわめて重要な部位である。現状では不具合に対応した補修、経年劣化に適応した再生技術など、いくつかの手法で行われているが、不具合が発生した後にその部分のみの補修を行う程度のもので、後日補修箇所の変質や不具合の発生は避けられず躯体コンクリートと一体化した技術が求められている。
 このようなことを背景に、脱型直後の表層面に生じた不具合と劣化外力を直接受け、劣化進行の起点となる打放しコンクリート表層面について、不具合と経年劣化後の損傷状況を実態調査によって明らかにし、それぞれに適合した補修・再生技術に供する材料を開発し、次いでそれにもとづく補修・再生の技術・工法を開発した。それらの結果を踏まえて意匠性、耐久性の観点からの補修・再生工法のシステムを立案し、さらに打放しコンクリート建物のライフサイクルに対応させた表層面仕上げシステムを構築し実用化した。
 この一連の流れを図−1に示す。
「打放しコンクリートと共に」 その(105)_e0030813_9255293.jpg

2. 打放しコンクリート技術の実態
2.1打放しコンクリート技術
 打放しコンクリートは、その素地のもつ視覚的重厚感に加え、造形美を表現し得る魅力的な素材である。型枠の隅々までコンクリートを充填できるだけでなく、使用する型枠表面の素地は、デザインされた造形の質感を高め、素材表面を仕上げていくことによって多彩な影響を建築空間に与えている。
 打放しコンクリートの表層面は、型枠から転写された自然回帰を促す意匠性によって、他の建築物と比較して大きな違いがある。すなわち、躯体を確保しつつ表層面の意匠性を付与し一体化する。表層面は仕上げ面でもあるため、施工にあたり特別な仕様が不可欠である。その一例を図−2に示す。
「打放しコンクリートと共に」 その(105)_e0030813_92652.jpg

 すなわち、打放しコンクリートの適用箇所が決定した後、実際にコンクリートを打設するまでに、コンクリートの仕上がり素地を設定した目標の色調・テクスチャーで仕上げるための型枠施工計画及びコンクリートの調合計画・打設設計など詳細な検討が必要である。
 こうしたことから密実で耐久性のある表層面をつくるには、水セメント比と単位水量を小さくし、適切な養生を施すことが肝要である。一般に打放しコンクリートに供する材料に関しては、粒形、粒度分布のよい骨材の使用とコンクリートの単位水量をできるだけ小さく設定し、調合比率は、水セメント比55%以下、スランプ18cm(流動化コンクリートでは21cm以下)が目安とされている。
 また、打放しコンクリートの打上がりの素地の色調は視覚的効果が高く、コンクリートの7割を占める骨材のうち色調に影響を与えるものは細骨材であるといわれている。あらかじめ目標とする色調の具現化に供する試験体を作り、色調を把握することが大事である。コンクリート打設は色調統一の観点から単一の生コン工場による供給とし、コールドジョイントなどを発生させないように短時間で、部位ごとに中断することなく型枠の隅々まで密実に締め固めたうえで十分な湿潤養生が必要である。打設にあたって設計者、施工者、作業者が一体となって、コンクリートの運搬、打込み、締固めなどの手順を周知徹底することに、打放しコンクリートの成否がかかっているといえる。
 一方、コンクリートの表層面は内部に比べて、施工段階での水分の蒸発や沈降、分離、振動による締固め等の影響のほか、容積に対する表層面積の比率が大きいために養生と環境の影響を大きく受けるとされている。
 その研究結果の例を図−3〜6に示す。
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 次回は、コンクリートテクノ 臨時増刊号 美しいコンクリート2006年9月号「4−②建築物としてコンクリートを創る技術」の内、「2.2打放しコンクリートの実状」から「2.3まとめ」までをお送りします。
お楽しみに!

 さて、この年のニュース、7月20日、昭和天皇が1988年、A級戦犯の靖国神社への合祀に不快感を示し、「だから私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」と語っていた事を書き記した、元宮内庁長のメモがあることが発覚しこれを日本経済新聞が報道しました。

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
by pikayoshi72 | 2010-01-11 09:30 | ブログ


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