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「打放しコンクリートと共に」 その(81)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術2001年7月号特集:打放しコンクリートの美観向上と保護、「打放しコンクリートの美観向上最新技術」を2回に分けご紹介します。
本日はその前編「1.はじめに」から「3.新築時における施工技術」までをご紹介します。
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1.はじめに
 厳しい経済状態が続く昨今、公共建築物、テナントビル、マンションや住宅などの管理者・所有者に隔てなく求められるものは、コストを抑えた高品質の建築とローコストの維持管理である。
 1960年代に始まる鉄筋コンクリートの建築ラッシュと並行して、スクラップアンドビルドを繰り返したバブル期を経て、打放しコンクリートにおいても健全な維持管理を支える保護材の必要性が認識され、近年においては高レベルの仕上げ技術と長耐久性付与が両輪となっている。そのニーズに応える最新の新・旧打放しコンクリートの美観向上、維持保全と長耐久性技術をその施工事例とともに紹介する。

2.表層面の汚染付着防止技術
 コンクリートの打設は、下層階から上層階へと打ち継いでいくために、上層階を打設する際のセメントノロ・錆汁等が流下し、下層階に付着することが多く、時間の経過とともに表層面に浸透し、除去が困難になる。こうした汚染物の付着は、痕跡を残し建物の美観にも大きな影響を与える。
 これを防ぐための手段として、これまでは型枠脱型後に表面をビニールシート等で覆い上層階を打設する方法で進められてきた。この様な養生は、汚れの付着防止が不完全であるばかりか、養生シート内部に湿気が停滞し、通気性を遮断するためコンクリートの乾燥固化が阻害され、表面を斑にすることがある。
 此等の問題点を改善すべく打放しコンクリートの表面養生・保護対策として変性エチレン系樹脂を主成分とする汚染付着防止剤(ガードシーラー)の塗布があげられる。本汚染付着防止材は、セメントノロ・錆汁等の付着防止に特に効果があるとともにコンクリート内部からの通気性を遮断することなくコンクリートの乾燥養生にも全く影響を与えない。
 また、塗布するにあたり、特別難しい作業ではないことから作業性、安全性、及びコスト面からも大きな効果が期待できるものである。
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3.新築時における施工技術
 冒頭でも触れたとおり、近年においては打放しコンクリート建築の長期にわたる良好な維持管理を目的に高品質な仕上げ材を施し、耐久性・耐候性を持たせることが当然のことと認識されてきた。
 その一方で、ジャンカ、コールドジョイント等に代表される不具合箇所の処理については、最も技術を要する反面、予算的な処置が乏しく十分な対応がなされない。
 一時的避難手法として、多くの場合不具合箇所にモルタルを埋め戻し、修整に技術的な要素を省き、安易なカラー塗装で補修跡と生地肌まで隠蔽するケースが多い。少なくとも打放しコンクリートは、表層面を活かしたカラークリアとすべきで、意匠的観点からもカラー塗装は避けるべきである。コンクリートが持つ肌合いを活かす意匠仕上げが、打放しコンクリートの存在感を高める本来の姿である。
 その技術の一部を図1「新築時における施工技術のフローチャート」に示す。
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 次回は同じく月刊建築仕上技術2001年7月号特集:打放しコンクリートの美観向上と保護、「打放しコンクリートの美観向上最新技術」の後編「4.改修時における施工技術」、「5.まとめ」を紹介します。

 さてこの年の重大ニュースは、2月9日、米ハワイ沖で、愛媛県宇和島水産高の実習生らが乗った実習船えひめ丸が、急浮上してきた米海軍の原子力潜水艦と衝突して沈没し、9人が行方不明になった原潜事故が発生。船体は10月に引き揚げられ、8人の遺体が収容されました。森首相は、事故当日第一報を受けた後もゴルフを続けたことを批判されてました。何ともはや、一国の主が情けないことですね!

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
by pikayoshi72 | 2009-07-27 07:18 | ブログ


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