「打放しコンクリートと共に」 その44

今回は「建築保全」1991年7月号、special edition / 外装の補修・改修例「補修・改修の計画から保全まで」2回に分け紹介します。本日は前編「1.建物経緯」をご紹介します。
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1.建物経緯
 静岡県庁東館は昭和45年5月完成、中部建築賞を受賞した著名な建築物である。(株)日建設計による打放しコンクリート高層建築の地下1階、地上18階で徳川家康の築城になる駿府公園に位置し、静岡県政のシンボル的存在として親しまれてきた。しかし築後19年を経過、打放しコンクリート外壁は汚染し経年劣化による表層塗膜の剥離・ひび割れや露出鉄筋に伴う被りコンクリートの剥落等、構造体への影響が懸念される事態となったため改修を実施したものである。なお打放しコンクリート以外の外装工事については割愛した。
1)建物概要
構造:鉄筋コンクリート造地下1階地上18階建外壁・柱型打放しコンクリート
面積:12、100㎡、高さ:64.55m、建築面積:3、684.4㎡、述べ面積:27、277.33㎡
2)劣化調査
 各種劣化症状および現象を調査した。調査結果は次の通りである。
調査日:昭和63年8月26日~30日
a)ひび割れ
 各面各階の梁中央部軸方向に対して垂直なひび割れが不規則に存在し、最上階の建物間に設けられている幕板部分、パラペット壁面に斜めのひび割れを確認した(写真1)。
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 また、1階パラペットで確認したひび割れは貫通ひび割れで、漏水痕跡を示すエフロレッセンスが確認された。
b)露出鉄筋
 梁側面の露出鉄筋は水平直線状で、幕板部分で確認した露出鉄筋は錆汁が流出表層を汚染していた。
c)コールドジョイント
 梁を斜めに走るコールドジョイントは、コンクリート層間の肌別れを識別する色違いがあり、発生位置は梁側面に多く確認された。
d)モルタル補修跡
 サッシ下腰壁コーナー部の欠け割れ箇所にモルタル補修部を確認したが、最近応急処置として補修されたものであり、性能低下は認められないが意匠性を阻害している。妻壁の幕板部分の補修材は浮いており、表層面には網目状のひび割れが確認された。
e)木コン跡
 木コン跡の充填モルタルの多くは乾燥収縮による間隙が生じ一部は脱落していた。(写真2)。
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f)コンクリート表面劣化
 高層部と塗膜の劣化した部位に表面はセメントの溶出による砂アバタ状を呈していた。(写真3)。
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g)中性化深さ測定
あらかじめ各面の測定箇所をマーキングし,躯体コンクリートを深さ40mmまではつり,清掃後フェノールフタレインアルコール溶液(1%濃度)を噴霧し表面から着色境界線までの深さをスケールで測定し中性化深さとした。
建物経過年数と中性化深さの関係を以下の式により検討した。
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(JASS 5)
X = 中性化深さ (cm), t = 期間 (年),w = 水:セメント比 (%)
ただし,水:セメント比は w 0.6とする。
この建物の平均中性化深さは以下のとおりである。 (水:セメント比は0.6とする)
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この式から算出した値と比較して,建物の中性化深さは各面において下廻っていた。
h)躯体コンクリートの圧縮強度
非破壊試験器シュミットハンマーN型を用いてあらかじめ測定箇所を設定し測定した(表1,写真4)
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i)鉄筋コンクリートのかぶり厚さの測定
非破壊鉄筋検査機PQ-120型を使用して,鉄筋コンクリートのかぶり厚さの測定をした。測定方法は次のとおりである(写真5)。
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パコメーターの読取値により,かぶり厚さの近似値推定曲線図を用いコンクリートのかぶり厚さを推定する。
ただし,この方法は鉄筋の直径が未知の場合だけ適用する。
〔例1〕測定したかぶりの読取値6cmを示したと仮定する。
鉄筋の直径が8mmと34mmとの中間にあるとの仮定に基づき,曲線は公称値から+1.0cm
-1.48cmの偏差を与えられる。この値はかぶり厚さの許容偏差と考え,よってかぶり厚さは
+1.0-1.45cmに等しい(図1)
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j)付着力試験
既存外壁の防水トップコートはアクリルクリアである。部位による劣化のバラツキが著しく全面高圧洗浄後
強力剥離剤による剥離テストをしたが,期待した効果が得られなかったため下記の方法による表面処理を実施した。
〈付着力試験方法〉
建物に採用する打放しコンクリート若返りシステム(吉田工法)の付着力試験を以下の要領で実施した。付着力試験箇所を設定し3種類の表面処理を施し建研式引張試験アタッチメント40×40をエポキシ系接着剤を用い固定した。接着剤固化確認後,アタッチメント4辺をコンクリートカッターで切断,建研式引張試験器により行った。(図2,写真6)。
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〈付着力試験結果(表2)〉
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西面において,付着力数値が100kgf/16cm2以下の部位(*)について調査したところ,アタッチメントと母体との接着不良によるものと確認されたため,改めて各部位につき3箇所の追加試験を実施した。
その結果を表3に示す。
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〈追加試験結果〉
試験体を2週間放置養生後に1回目の引張試験を実施した。平均値は8.65kgf/cm2であった同試験体の一部アタッチメントの接着不良による剥離が生じたため,再試験を2週間後に実施した。
試験の平均値は,9.8kgf/cm2で約13%強度増加がみられた。
これは1回目の試験が2週で2回目は4週近くという養生期間が材質の性能向上に影響したものと推定された。
なお,若返りシステムにおいては材令2週では付着強さ5.0kgf/ cm2(標準状態)の値と設定しており,今回の試験結果は良好であったと判定した。

3)劣化原因の推定
個々の劣化症状の発生原因を推定し以下に記す。
a)ひび割れ
梁中央部軸方向に発生したひび割れは,両側に位置した柱により拘束されコンクリートの乾燥収縮および乾湿・温令による伸縮作用にによって発生したと推定される。また,表層面に確認した網目状のひび割れは,コンクリートの乾燥収縮または長時間のコンクリート練り混ぜ等に起因したものと推定される。(写真2)
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b)露出鉄筋
露出鉄筋はコンクリートかぶり厚さの不足とそのほかひび割れ・豆板・コールドジョイント等の補修モルタルの劣化損傷に起因して雨水や炭酸ガスとそのほか酸性物質の浸透で鉄筋が錆化膨張しかぶりコンクリートを押し出し剥落させたものと推定される。(写真7)
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c)コールドジョイント
上層コンクリートと下層コンクリート間において肌別れを生じている。これは下層コンクリートが凝結硬化をし始めた時に上層コンクリートを打設したため生じたものと推定される。
d)モルタル補修跡
サッシ下端に確認したモルタル補修跡は,最近補修されたものと思われ,補修材の劣化は目視する限り良好と思われるが,妻壁幕板部分の補修材の接着力は低下し,表層部に確認した網目状ひび割れは,モルタルの乾燥収縮により発生したものと推定される。
e)木コン跡
木コンモルタルの欠落は充填されたモルタルの収縮に起因して雨水等が浸透し,内在するセパレータが腐食膨張し,モルタルを押し出し脱落させたものと推定される。(写真2)
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f)コンクリート表面劣化
表層塗膜の性能喪失と,コンクリート表面の肌割れ症状は,経年劣化と乾湿・温令変化による脆弱化・繰り返し雨水による表面のセメント溶出によるものと推定される。(写真3)
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g)劣化損傷(表4参照)
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長文におつき合い頂きありがとうございました。

 さて次回は「建築保全」1991年7月号、special edition / 外装の補修・改修例「補修・改修の計画から保全まで」の後編「2.改修工法の選定」をご紹介します。

 さて、この年1991年の重大な出来事として(国内編)3月19日、JR東日本と京成電鉄が成田空港への乗り入れを開始しました。JR東日本は特急「成田エクスプレス」を新設し新宿・横浜から東京を経由して成田空港との間を結びました。そして6月20日には 東北・上越新幹線の両線が上野・東京間を開業し、東京乗り入れを果たしました。

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2008-11-10 07:28 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その43

こんにちはpikayoshi72です。

今回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」を4回に分け、ご紹介します。
本日はその最終回、打放しコンクリート若返りシステムの工程の内、「7)打放しコンクリート表面の若返り色合わせ・型枠模様の造成」から「9)おわりに」、までをご紹介します。

7)打放しコンクリート表面の若返り色合わせ・型枠模様の造成
 耐候性に優れた数種の顔料・調合材によって、打放し全面の色合わせと型枠模様の復元を特殊刷毛によって施工する。コンクリート打放し仕上げの表面には、型枠からの転写された木目模様・型枠の目違いなどが存在するため、再生するうえでもこれらをリアルに表現することがポイントである。本システムにおいては、施工物件ごとに建物のコンクリートの色に合わせた伸長型セメント系エラスティックフィラーを調合後全面に塗布し、専用に開発された造成道具を用いてコンクリートの素肌を再現し、そこに耐候性に優れた無機質系顔料によって木目模様の造成を行う。この伸長型セメント系エラスティックフィラーは下地のコンクリートに発生したひび割れに追従し、また炭酸ガス・塩分を遮断する機能性下地材である(写真2.24〜2.25)。
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8)若返りコンクリートの超耐候性アクリルシリコン樹脂系仕上げ
 前記工程を施したコンクリート表面に、超耐候性アクリルシリコン樹脂系トップコートを全面に塗布する。これにより若返り諸工程の保護、表面の汚染防止、防水性能の向上と超耐候性能が付与される(写真2.26)。
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9)おわりに
 打放し仕上げは素材の質感を活かすところにその意匠性の特徴がある。型枠模様の素朴な味わいは、ややもすると華麗できらびやかな仕上げに傾きつつある世情に対し、無言の美しさをかもし出し、心に落ち着きを与え、都市空間に潤いをもたらす比類ない仕上げである。
 このような打放しコンクリートも、年月を重ねることにより老いてその姿が変貌する。次世代への文化遺産として刻み込まれた歴史の一コマを、本再生技術で再び甦らせることにより打放し仕上げを残すことができると信じている。
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 次回は「建築保全」1991年7月号、special edition / 外装の補修・改修例「補修・改修の計画から保全まで」をご紹介します。

 さて、この年の重大な出来事として海外では8月19日、ソ連保守派のヤナーエフ副大統領を中心とする非常事態国家委員会がクーデターを起こし全権を掌握し、ゴルバチョフ大統領の身柄を拘束。22日、ロシア共和国のエリツィン大統領が市民と共に抵抗してクーデターを制圧しゴルバチョフ大統領は復権したが24日、ゴルバチョフ大統領が共産党書記長職を解任すると共に党中央委員会の解散を勧告。これによってロシア革命以来の共産党支配に終止符が打たれ、12月21日ソ連に代わる共同体創設を協議するソ連11共和国の首脳会議が開かれ、11共和国を創設メンバーとする独立国家共同体の設立とロシアなど4共和国による核兵器などの統一管理などで合意。名実共にソ連は正式に消滅しゴルバチョフ大統領の退陣も決まった。

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2008-11-03 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その42

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」を4回に分け、ご紹介します。
本日はその第3回、打放しコンクリート若返りシステムの工程、4)エラスティックフィラーモルタルによるひび割れ部充填補修から6)木コン穴の補修までをご紹介します。

4)エラスティックフィラーモルタルによるひび割れ部充填補修
 躯体コンクリートに発生したひび割れ補修方法として、ひび割れの発生原因が鉄筋の腐食によらない場合、従来からエポキシ樹脂の注入工法が効果的といわれているが、ひび割れは常に振動・荷重の増加、温度・湿度の変化等によりコンクリートの伸縮挙動が繰り返されているため、注入した近傍に新たなバイパスクラックが発生する。このようなひび割れに対しては普通モルタルの10倍以上の引張変形性能をもつエラスティックモルタルを使用することにより、ひび割れの再発防止と防水性を付与することができる(写真2.21)。
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 施工はひび割れ箇所をUカットし、深部をウレタンコーキング、次にエラスティックフィラーを塗布し、エラスティックモルタルで仕上面まで充填形成する(図2.19)。
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5)調合樹脂モルタルの修整
 欠損部の補修は、そのつど躯体に合わせた調合樹脂モルタルによる修整とする。調合樹脂モルタルは、接着力・色調・強度・耐候性が高く、また打放しコンクリートの表面の色合いを的確に再現できる優れた調合モルタルである。なお表面修整モルタルと躯体の一体化は打放しコンクリートの不可欠条件で、高度技術を要する。
 露出鉄筋まわりのコンクリートをはつり取った部分への埋め戻し(パッチング)は、防錆処理のうえ調合樹脂モルタルを用いて強固に一体化させる。この際かぶり厚を確保するため、鉄筋を内側へ押し込むなどの処置が必要である(写真2.22)。
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6)木コン穴の補修
 木コンは新築時にセメントモルタルによる埋め込みが施されている。経年劣化とモルタルの収縮により、木コンは離脱、あるいは浮いていることが多い。これらの木コン穴の残滓を取り除き、新たに底部にシーリングを充填し、接着性・無収縮性・耐水性の優れた調合樹脂モルタルの埋め込みを行う(写真2.23)。
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次回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」の最終回、7)打放しコンクリート表面の若返り色合わせ・型枠模様の造成から9)おわりにをご紹介します。

さて、この年の重大な出来事として4大証券が巨額の損失補填、6月20日野村証券の大口顧客への損失補填と暴力関係者との取引きが発覚し4大証券会社も同様に補填していたことが発覚。そして7月22日、野村証券の会長と副会長の辞任が発表され、29日大手証券4社は損失補填の相手先リストを公表、228法人と3個人で総額は1283億円となりました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-10-27 07:47 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その41

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」を4回に分け、ご紹介します。
 本日はその第2回、打放しコンクリート若返りシステムの工程、1)表面清掃・脆弱層の除去から3)露出鉄筋箇所のはつり・防錆処理までをご紹介します。

1)表面清掃・脆弱層の除去
 コンクリート表面に付着した汚染物や苔などを高圧洗浄(200kgf/㎠)により除去する。鉄筋の錆汁は化学洗浄剤による併用洗浄とする。(写真2.16)
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2)コンクリート強化剤の含浸
 コンクリート乾燥養生後、無機質浸透強化剤を刷毛またはローラーにて400g/㎡を2回に分けて含浸塗布する。風化したコンクリート表層部分を緻密化し、また耐酸性を向上させることにより中性化の進行を防止する。(写真2.17、図2.18)
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3)露出鉄筋箇所のはつり・防錆処理
 鉄筋の腐食が原因となって生じたかぶりコンクリートの剥離・浮き箇所のはつり取り。錆化腐食部分を中心にして腐食鉄筋の裏側に達するよう健全部まで丹念にはつり取る。そしてグラインダー・ワイヤブラシなどを用いて腐食した鉄筋を十分ケレンし防錆剤を塗布する(写真2.18~2.20)
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 次回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」の3回目、4)エラスティックフィラーモルタルによるひび割れ部充填補修から6)木コン穴の補修までをご紹介します。

 さて、この年の重大な出来事として5月23日、活発な火山活動が続く長崎県の雲仙・普賢岳火口に溶岩ドームが出現し、26日には溶岩が斜面を流れる火砕流が頻発、民家に大接近しました。6月3日、東側斜面で大規模な火砕流が発生。警察官や消防団員、取材中の報道関係者が巻き込まれ、死者34名、行方不明者4名、負傷者15名を出す大惨事になってしまいました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-10-20 07:31 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その40

こんにちはpikayoshi72です。

今回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」を4回に分け、ご紹介します。本日はその第1回、「まえがき」をご紹介します。
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まえがき
 一般に鉄筋コンクリート構造物(以下RC構造物と記す)の耐用年数は、60年から65年といわれているが、RC構造物の早期劣化が社会的な問題となっている。
これらの問題となっているRC構造物の劣化現象として、特に内在する鉄筋の腐食と、コンクリートのひび割れが代表的なものである。コンクリート中の鉄筋が腐食することにより、その膨張圧でかぶりコンクリートが押し出され剥落するなど、場合によっては人災につながる危険性がある。また、コンクリートの乾燥収縮などにひび割れが発生すると、水分・炭酸ガスなどの劣化因子のコンクリートへの侵入を容易にし、構造物の劣化の進行を加速させることになる。打放しコンクリートの代表的な劣化症状を写真2.5〜2.16に示す。
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 このような現象は、主として次のような要因によるものとされている。
① コンクリートのかぶり厚不足
② コンクリート中に含まれる塩分
③ 空気中の炭酸ガスや酸性雨のコンクリートへの浸透繰り返し
④ 生コンの調合条件と施工技術
⑤ アルカリ骨材反応
以上のような要因によって、RC構造物の本来あるべき耐久力が著しく低下する。特に打放し仕上げの場合、表層の防水性能低下と平行して躯体そのものが仕上げであるため、タイル・仕上塗材などを施したRC構造物に比べ劣化の進行速度は著しく、このようなことから躯体コンクリートに生じた前記の劣化現象は表層の意匠性を損ない、耐久性の低下を招くことになる。以下に紹介する打放しコンクリート若返りシステムは、以上のような劣化損傷したコンクリート打放し仕上げを再び躯体より強化することにより、建物に耐久性を付与し、失われた意匠性の回復を図る再生技術である。工程の概要を図2.17に示す。
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 次回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」の2回目打放しコンクリート若返りシステムの工程、1)表面清掃・脆弱層の除去から、
3)露出鉄筋箇所のはつり・防錆処理までをご紹介します。

 さて、この年の重大な出来事として5月14日滋賀県信楽町の信楽高原鉄道の紫香楽宮跡駅付近で、信楽高原鉄道列車とJR臨時快速列車が正面衝突し、死者42名、負傷者478名を出す大惨事が発生しました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-10-13 10:07 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その39

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の最終回「5.改修工法の決定」、「6.施工」そして「あとがき」 をご紹介します。

5.改修工法の決定
  施工物件の実地調査および当該物件の詳細調査結果に基づき関係者と打ち合わせた結果、文化的遺産としての外観保存とし、次のような仕様が決定された。
1)打放しコンクリート面
劣化損傷箇所および躯体強化を基本に、仕上げは既存打放しコンクリート型枠を再生すること。
2)タイル面
既存タイル健全部はそのまま残し、浮き・ひび割れは温令乾湿ムーブメントに対応可能なDD-エラスティック工法による補修とし、タイルの欠落箇所はポリマーモルタルによる成形着色・高耐久性仕上げとする。
3)吹付け面
既存ぜい弱塗膜の除去・ひび割れ補修後、OP仕上げとする。
4)その他
スチールサッシの腐食破損は、庇が大きく張り出し雨水が接することがほとんどなく、劣化した塗膜をけれん除去のうえ再塗装する。

6.施 工
1)打放しコンクリート
a)素地調整
①コンクリートの表面を約200kg/cm2の高圧水で洗浄し、汚れ・ほこりなどを完全に除去する。
②空洞のある場合は、とれやすい砂利は叩き落とす。
③表面に付着した鉄筋の錆およびシミは、ケミカルエースR(当社製)を用いて洗浄する。
④高圧水洗ができない場合、ペーパー・ワイヤブラシ・高速サンダーなどを用いることとする。
b)NY-606表面強化処理剤の塗布
 はけ・ローラーを用いて、400g/㎡のNY-606を含浸塗布する。
c)欠損部の処理
 各種劣化症状に対する補修方法を以下に述べる。
①露出鉄筋部
・鉄筋の腐食している部分の周囲を深さ方向に入念にはつり取る。この際はつり取る深さは、鉄筋をけれん・防錆処理した後にハンマで叩き込めるような程度とする(写真5)。
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・はつり取りが終了した後ワイヤブラシ・電動けれん機を使用し、錆を完全に除去する。
・けれんが終了した鉄筋にはNY-特殊防錆材を塗布する。
・はつりの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。このときコンクリートの表面(仕上面)から1~2mm程度下げて仕上げる。
・最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上面)に合わせて平滑に仕上げる(写真6)。
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②ひび割れ部(図2参照)
・ひび割れ部に沿って電動カッターを用いて幅12mm程度深さ15mm程度にU字形の溝を設ける。
・Uカット溝部に付着しているはつり片・粉塵をはけなどで除去する。
・清掃した部分に対してウレタンプライマーを均一に塗布する。
・プライマー塗布後、ウレタンコーキングを行う。充填はUカット溝底部から3mm程度とし、充填後はヘラで十分押さえ下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。
・次に、NY-エラスティックフィラーを塗り残しがないように均一に塗布する。
・NY-エラスティックモルタルを充填する。(0.2mm以下のひび割れはNY-エラスティックモルタルによる木ベラでの塗り込みとする)。
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③既存補修モルタル部(図3参照)
・浮いている部分のモルタルは完全に撤去する。また豆板を補修したモルタルは完全に取り除き、豆板などぜい弱部分は今後の劣化の進行に対して弱点となると考えられることから、このような部分は丹念にはつり取る。
・はつり取った下地部分は、はけ・ブラシなどで汚れ・ほこりなどを除去して清掃する。
・NY-7000プライマーを、下地部分に塗り残しのないよう塗布する。
・はつりの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。このときコンクリートの表面(仕上げ面)から1~2mm程度下げて仕上げる。
・最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上げ面)に合わせて平滑に仕上げる。
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④修整用NY-調合樹脂モルタルのこて塗り(表4参照)
 欠損部を処理した箇所は周囲との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルを薄くこて塗りし、水引き具合を見定めて毛足の長いはけで表面をはけ引きする。また、5mm以上のピンホールも同様に処理する。
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⑤素地全面色合わせ
・打放しコンクリート表面は部位により色違いがあるためNY-調合樹脂色合わせ(NY-7000)
〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕をはけにて塗布する。
・下地コンクリートに起因するひび割れに追従するNY-調合樹脂色合わせ(NY-8000)〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕をローラーにて塗布する。
⑥型枠模様造成
 専門職人により特殊灰汁〔カラーコート:浸透剤:添加剤〕による板目・木目を各種のはけを使用し造成する。
⑦表面防水固定処理(NY-9090トップコート)
 各工程に要する樹脂材料・特殊添加剤を含む修整材料の性能発揮と劣化防止のために、高耐候性と浸水抵抗の高い緻密な皮膜を形成する表面防水固定処理剤を塗布する。(全面に対して2回塗布)。
2)外壁タイル面(図4参照)
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 a)素地調整
  表面に付着した汚れやエフロレッセンスなどを、ケミカルエースR(当社製)にて化学洗浄またはワイヤブラシがけにより除去し、高圧水洗浄と併用した。
 b)下地の処理Ⅰ
  タイルおよび目地の乾燥確認および目地の剥離部分を含むぜい弱箇所をけれんはつり除去した。
 c)下地の処理Ⅱ
  NY-調合樹脂モルタルによる欠損箇所の補修成形
 d)タイルの色合わせ
  NY-カラーコートによる色合わせ(ローラーまたははけ)
 e)目地部NY-エラスティックプライマー
  特殊ローラーによるNY-エラスティックプライマーのコーティング処理を行った。
 f)目地部NY-エラスティックフィラーコーティング
  特殊ローラーによるNY-エラスティックフィラーによる目地部への防水コーティングを行った。
 g)タイルおよび目地表面防水固定処理
 NY-9090表面防水固定処理材を塗布した(ローラーまたははけ)〔250g/㎡〕
3)吹付け面
 高圧洗浄後、DD-エラスティック工法によるひび割れへの注入工事を施し、OP仕上げとした。
4)その他サッシまわり
 下地処理後(錆・劣化塗膜除去清掃、2種けれん)、錆止め塗料下塗りのうえOP2回塗りとした。

あとがき
 改修工事期間が夏季休暇を利用したため、キャンパス周辺に及ぼす弊害は少なく、安全管理面においても円滑に運んだ。
 ややもすると、合理性・機能性や経済性に埋没されてしまいそうな社会風潮のなかで、歴史と伝統を持ったキャンパスの保存再生というリニューアルをいかに行うべきか判断に苦しむところである。
 創学の精神をよみがえらせ過ぎし青春の記憶を呼び戻す心のふる里に、再び活力の手を加え新世代へ伝えることは誠に意義深いものといえよう。

長い文章におつき合い頂きありがとうございました。

 次回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」をご紹介します。

 さて、この年1989年最後の重大ニュース、 リクルート事件 リクルート社の江副浩正会長らが、関連企業の「リクルートコスモス」の未公開株を、政治家や官僚、財界有力者に譲渡した。収賄側では藤波孝生元官房長官、池田克也代議士、加藤孝元労働事務次官、高石邦男元文部事務次官らが起訴されました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-10-06 07:28 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その38

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の第2回、「3.調査報告」、「4.原因の推定」 をご紹介します。

3.調査報告
1)打放しコンクリート
 ①ひび割れ
  パラペット・各段ベランダ鼻先および梁形にひび割れが認められ、また各段ベランダ上裏にもひび割れが認められる。これらひび割れの発生は、北面に比べて南面に多かった。
  また、ベランダ上裏のひび割れからは、白色状の流下物(エフロレッセンス)も認められた。
 ②露出鉄筋
  パラペットおよび各段ベランダ鼻先部に露出鉄筋が多く認められた。また、ベランダ上裏部分にコンクリートかぶり厚の少ないスラブ筋の露出が認められ、当該箇所にはエフロレッセンスも同時に認められた。
  そのほか、雨水の当たりにくいベランダ奥の柱形や梁形には、ほとんど露出鉄筋は認められなかった。
 ③コールドジョイント
  パラペットおよび各段ベランダ鼻先にコールドジョイント(新築時のコンクリート打継ぎ)が認められた。当該部分はある程度の肌別れを生じており、ひび割れと同様に内部への雨水の浸透があり漏水していた。
 ④モルタル補修跡
  各階ベランダ鼻先部分に、新築時の欠損部へのモルタル補修跡が認められた。補修跡は変色し、一部浮きや亀裂が生じていた。
 ⑤木屑
  上裏の一部に木屑が露出していた。
 ⑥補修モルタル欠損部
  ベランダ鼻先の一部に、わずかに補修モルタル欠損箇所が認められた。
 ⑦ジャンカ
  ベランダ見付けの一部に新築時のジャンカ(豆板)跡が認められるが、その数はわずかであった。
 ⑧木コン跡
  新築時の木コン穴の未処理および木コン埋め込みモルタルの欠落により、内部のセパレータが発錆している箇所が認められた。
 ⑨その他
  全面的に汚れの付着が著しく、特に北面にはコケなどの付着も認められ美観を損ねいていた(写真1,2)。
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2)外壁タイル(れんがタイルおよび磁器タイル)
 ①汚れ
  れんがタイルは施工箇所かが1階の腰壁であったため、雨水などの飛散によりかなりの汚損状況であった。また、磁器タイル表層面の汚れは軽度であった。
 ②ひび割れ
  いずれのタイルについても、目地・ひび割れからのエフロレッセンス流下を確認した
  (写真-3)。
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 ③浮き
  妻壁である磁器タイル部分を打診調査したところ、15%程度の浮きを確認した。
 ④その他欠損箇所
  れんがタイル部の随所で欠損部を確認した。

3)腰壁リシン吹付け部
 ①汚れ
  教室の外部腰壁がリシン吹き付け仕上げであるが、経年劣化による変化汚損と人為的な汚れなどを確認した。
 ②ひびわれ
  腰壁の中央部付近にひび割れを確認した。
 ③浮き
  腰壁面を打診したところ、随所で浮きを確認した。
 ④その他欠損箇所
  各面に数カ所程度の欠損を確認した。

4.原因の推定
1)打放しコンクリート
 ①ひび割れ
  パラペット・各階ベランダ鼻先・梁形およびベランダ上裏のひび割れは、そのほとんどが長手方向に対して垂直に発生している。これらのひび割れが南面に多く発生していることから、原因は温度変化による伸縮挙動によるもので、コンクリートの乾燥収縮や荷重による曲げモーメントにも起因していると考えられる。
  これらのひび割れは、その部分からの雨水の浸入により内部鉄筋を腐食させ、その膨張圧によりひび割れ幅をますます大きくさせる。
  また、ベランダ上裏のひび割れからエフロレッセンスの流下が認められることから、ベランダの防水性能の低下が考えられる。
 ②露出鉄筋
露出鉄筋の発生箇所は、パラペットやベランダ鼻先など雨水にさらされる部位にまで集中している。コンクリートのかぶり厚不足またはひび割れからの雨水の浸入により鉄筋が腐食し、錆の膨張圧によってコンクリートの剥落が生じたものと推定される(写真4)。
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 ③コールドジョイント
  新築時のコールドジョイント(打継ぎ)補修モルタルが劣化し、変色やひび割れ・浮きなどが生じている。
 ④モルタル補修跡
  新築時の豆板などのモルタル補修跡であり、その表層面にはひび割れが発生していることから、経年劣化により接着力が低下しているものと考えられる。
 ⑤木屑
  コンクリート打設前に桟木などの切り屑が型枠のなかへ落下したもので、その上からコンクリートを打設したため、型枠脱型後表面に露出したものであると考えられる。
 ⑥補修モルタル欠損箇所
  新築時の補修用モルタルが、経年劣化により剥落したものである。
 ⑦ジャンカ
  新築時のジャンカ跡は躯体内部の空隙であり、雨水や炭酸ガスなどの侵入を招き、躯体劣化の進行を加速させる。
 ⑧木コン跡
  内部セパレータの腐食膨張によりコンクリートの剥落を引き起こす危険性もあり、そのほか木コン跡についても再点検の必要があると思われる。
 ⑨調査結果の集計は表1のとおりである。
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2)外壁タイル(れんがタイルおよび磁器タイル)
 ①汚れ
  1階のれんがタイルの表面は汚損は、汚泥状の雨水飛散に伴って当箇所のれんがが汚れたものと推定される。また、磁器タイル面にはその表層面が鏡面に近い仕上りとなっており、汚れが付着しにくいため軽度の汚損であったと推定される。
 ②ひび割れ
  目地に確認したひび割れは、セメントの乾燥収縮によってひび割れが発生しエフロレッセンスの流下になったと推定される。
 ③浮き
  タイルを接着させるために使用したモルタルの乾燥収縮、および目地などのひびわれ部より、雨水などが浸透することによって浮いたものと推定される。
 ④その他欠損箇所
  外部からの人為的衝撃が加わって発生したものと推定される。
 ⑤調査結果の集計は表2のとおりである。
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3)腰壁リシン吹付け部
 ①汚れ
  リシン仕上げの表層面が汚れの付着しやすい面を形成しているために汚れたものと推定される。変色については,当材料がセメント系のリシンであるために経年劣化に伴って変色したものと推定される。また人為的なよごれについては、黒板消しの粉チョークなどの汚れである。
 ②ひび割れ
  腰壁面に塗工されているモルタルの乾燥収縮によりひび割れが発生したものと推定される。
 ③浮き
  ひびわれ部とその周辺に浮きを確認したが、当箇所から雨水などが浸透し浮きを生じたものと推定される。
 ④その他欠損箇所
  人為的な衝撃により出来たものと推定される。
 ⑤調査結果の集計表は表3のとおりである。
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 さて次回は「建築技術」1989年11月号、、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の最終回、「5.改修工法の決定」、「6.施工」そして「あとがき」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大トップニュース、一連の幼女誘拐殺人で宮崎勤を逮捕 !宮崎努は前年8月から行方不明だった入間市の幼稚園児宅に人骨等のはいった箱を置き、新聞社宛に女性名で犯行声明を送りつけた。89年8月10日、宮崎努を強制わいせつ罪容疑で逮捕。翌11日に野本綾子ちゃん殺しを自供。10月19日、東京地検は宮崎の自供で埼玉県の事件を含む4件の連続幼女殺害事件に終止符(死刑判決)を打った。何とも残虐極まりない事件でした。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-09-29 07:27 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その37

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の第1回、「まえがき」「1.改修計画の提案」および「2.調査」 をご紹介します。
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まえがき
 新しい建物が次々と誕生している一方で、既存の古い建物の外装は劣化・汚染が進み建物の価値を低下させている。一般に、鉄筋コンクリート構造物の耐用年数は60年から65年といわれているが、近年RC構造物の予想をはるかにこえた早期劣化が社会問題となっている。
 成蹊高等学校ホームルーム棟は、武蔵野の緑深いケヤキの大木に覆われた豊かな自然環境のなかにある。当ホームルーム棟は打放しコンクリートの柱・梁からなり、外壁はタイル張り仕上げで構成された静かなたたずまいである。築後27年経過した外装は劣化損傷と汚染が顕在化し、安全性と維持保全の点から早急に修繕を必要とする状況であった。

1.改修計画の提案 ― 文化的遺産の保存再生 ―
 歴史と青春の思い出を刻み込んだキャンパスは、心のふる里として多くの卒業生の記憶にとどめられている。このことから、改修に際しあくまでこのキャンパスのたたずまいを損なうことがない保存的改修を骨子とし、文化的遺産としての保存再生が可能な工法を提案した。改修のフローチャートを図-1に示す。
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外壁の主要部位を占める打放しコンクリートおよび外壁タイルについて、工法の特殊性から再生後の意匠性の回復と耐久性を確認するため、日本原子力研究所・東海研究所施設の施工物件の実地調査を行った。
なお当施工物件は、6年前より毎年棟別に当該工法による施工したものである。

2.調査
 打放しコンクリートおよび外壁面を目指し打音調査を行い、劣化損傷箇所を図面上に記し種別ごとに集計した。その他漏水原因などを確認し、おのおの写真撮影をした。
1)外観の目視
 打放しコンクリートは、各面外壁各部位において各種の劣化症状が顕在化していた。経年劣化の要因は内外力の作用や施工上の不具合などで、これらが種々複雑にからみ合って劣化が生じている。汚れ・鉄筋露出・ひび割れに起因したエフロレッセンスの流出はタイルを汚損し、そこより侵入した水分は、浮きや剥離を誘発して外壁タイルを損ない、美観を著しく損ねていた。
2)調査項目
 a)打放しコンクリート
  ①ひび割れ ②露出鉄筋 ③コールドジョイント ④モルタル補修跡 ⑤木屑 ⑥補修モルタル欠損部⑦ジャンカ ⑧木コン跡 ⑨その他
 b)外壁タイルおよびリシン吹付け部
  ①汚れ ②ひび割れ ③浮き ④その他欠損箇所
3)調査方法
①目視 ②打診法

 さて次回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の第2回、「3.調査報告」、「4.原因の推定」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大ニュース、4月1日から税率3%の消費税がスタートし、家計は徐々に圧迫されていきました。。

それでは次回をお楽しみに!
 
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# by pikayoshi72 | 2008-09-22 07:28 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その36

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊「リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法(パネル改装,タイル改装,外壁洗浄)のうち、タイル外壁改修工事事例「外壁タイル若返りシステム」の最終回、「補修工事の実際」をご紹介します。

補修工事の実際
全面を高圧洗浄後,錆汁などにより汚染した部分にケミカルエースRによる化学洗浄とした。
乾燥後,浮きの注入をした。同材料は特殊セメント系材料と合成高分子エマルジョンから構成され,それらを施工時に混練して使用した。混練後の粘度はBL型(粘度計)で2,000cpsで,固化後の引張強さは20kgf/cm2,付着強さは8.5kgf/cm2である。
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メジのひび割れやタイルとの剥離か所と欠損か所は,ウレタン樹脂コーキングを充填し,メジ全体をNY-エラスティックフィラーを防水塗工した。
タイル欠損部のうちタイルの破損が激しく再貼付けが不可能なものは,NY-調合樹脂モルタルにて成形し,乾燥固化後NY-カラーコートにより着色,既存レンガタイルに合わせた。
レンガタイルメジ全面をNY-エラステックフィラーを特殊刷毛にてローラー塗工した。
全面にトップコートNY-8090(超耐候性フッ素樹脂)をコーティングした。
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 さて次回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大ニュース、1月15日から病院、税関等を除く国の行政機関が、毎月第2、第4土曜日を休日とする土曜閉庁がスタートしました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-09-15 09:37 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その35

こんにちはpikayoshi72です。

今回は月刊「リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法(パネル改装,タイル改装,外壁洗浄),タイル外壁改修工事事例「外壁タイル若返りシステム」を前編、後編の2回に分け紹介します。今回は前編、「まえがき」から「補修工法の条件」までをご紹介します。
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まえがき
本工事は,海岸より約2km北に位置する築後20年余を経過した某研究所の建物で,外壁はレンガタイルと打放しコンクリートからなり,既存の外壁の劣化損傷箇所の補修と意匠性の回復を目的に改修したものである。
なお,本稿は打放しコンクリートを除く外壁レンガタイルについて紹介する。
〔建物の概要〕
■ 構造規模 9,800㎡
■ 外壁タイル面積 1,800㎡
■ 竣工   昭和43年
■ 既存外壁 東・西・妻面,南・北面モルタル下地2丁掛け,レンガタイル張り,
柱・梁打放しコンクリート仕上げ
調 査
工事に先立ち,当研究所より外壁修繕に関し建物の調査依頼があり,外壁全面の状況について目視および中性化調査を行った。外壁レンガタイル面は全体的に汚染し,各所にひび割れ・浮きが生じ,メジからエフロレッセンスが流下し長期にわたる繰り返しで結晶化している。
ひび割れの一部は躯体コンクリートに達し,同ひび割れと同じ部位の内部に漏水の痕跡があり塗装がはがれ貫通ひび割れを示している。

補修計画
目視およびハンマー打音法による調査結果を図面上に明記し調査報告書を作成した。なお外壁レンガタイルの補修・改修は,過去5年前より同研究所において数棟実施しており,関係者のご理解が既に得られているためスムーズに運んだ。しかし,劣化損傷の程度は建物毎異なるため現状の的確な把握が重要である。本工事においても施工実績にあたって,施工計画書を作成細部の作業内容を明記し,工事に疎漏のないようにした。

補修工法の条件
通常,補修用に注入使用されているエポキシ樹脂やポリマーセメント系は,外壁タイルに加わる御礼乾湿によるムーブメントによる追従性にとぼしく,特に東面,あるいは東面に近似した壁面では,冷え切った壁面が日射により急激な熱膨張を起こし,躯体と下地モルタル間に起こるムーブメントが激しく,それに起因したひび割れの再発が未解決とされている。これを解決した工法が,DD-エラスティックシステムで,本工事の補修はすべてこのシステムを採用した。

工事内容は,既存レンガタイルの健全部をそのまま残し,浮き・ひび割れなどは次の方法による補強補修とした。
3-1.浮き
高い変形能を有したグランドリフォーム・DD-エラスティックシステムによるスラリーの注入。

3-2.ピンニング
タイル下地のモルタルが浮いている箇所はピンニング工法とし,レンガタイルが剥落しないよう躯体(コンクリート)に点接着をし注入圧で剥離しない様にする。固定ピンはNY-エラスティックピンとし,長さ50~60mm全ネジ切のものとする。

3-3.タイル成形
欠損したレンガタイルは,既存のものに合わせて樹脂モルタルにて成形・着色する。
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3-4.NY-8090フッ素樹脂塗布
汚損防止・フリーメンテナンス化を目指した,超耐候性フッ素樹脂を塗布する。
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 次回は「月刊リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法の「タイル外壁改修工事事例」の後編「補修工事の実際」をご紹介します。
 さて、この年1989年海外の重大ニュースとして,アメリカ合衆国では第41代大統領にブッシュ氏が就任,ビルマが国名を「ミャンマー」に変更されたりした年でもありました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-09-08 07:25 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その34

今回は(株)建築知識の月刊「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の最終回、打放しのメンテナンスをどう考えるか をご紹介します。

打放しのメンテナンスをどう考えるか

■メンテナンスはいつからするか
 どのような防水剤であっても経年劣化により性能低下していくことは避けることはできない。打放し仕上げで防水剤の性能低下にはまず汚れが表層に付着することから始まる。通常2~3年経過した頃よりそろそろ建物の最上階から下部に向けて付着し始める。日当たりの良い南面は比較的汚れは少ないが、北面等湿潤状態の長い面では汚れの他に苔やかびが発生している。(写真6.7)
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このような汚れの付着は、防水性能の低下をはっきり示すサインであり、同時にコンクリート内部へ水分が浸透を始めていると考えてよい。計画のたたき台として汚れの付着と損傷の有無が判断基準とされるが、少なくとも通常5~6年ごとに表層の洗浄と防水剤の塗布を勧めたい。
 現在行われているメンテナンスは、汚れの除去等初期のものは少なく、築後10~20年経過したものが多い。そのほとんどが防水性能の低下はおろか鉄筋の錆化膨張によるかぶりコンクリートの剥落が生じ危険な状態にいたって計画実施されている(写真8)。この意味では修繕工事である。
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 最近の打放し仕上げは外壁のコンクリートのかぶり厚が多く取られるようになって、一昔のような鉄筋の錆化膨張による剥落事故は少なくなったが、コンクリート表層についての劣化対策は十分とはいえず、防水性能いかんによるといえる状況にある。少ないケースではあるが、かぶりコンクリートの少ない箇所の鉄筋の錆化膨張による表層の剥離が部位によりみられることがあり、この場合はメンテナンスに修理も加えて考えなければならない。中には7~8年で修理を要するものもあるので、メンテナンスを兼ねて躯体の調査も併せて行うことが望ましい。以上のことから少なくともメンテナンスは汚れが付着し始めた時点から考えておく必要があろう。

■メンテナンスにおける洗浄
 打放し仕上げに付着した汚れは、空気中の炭酸ガスが溶け出した酸性雨、さらに塵埃、錆汁、エフロレッセンス等多種多様なものからなり、洗いを行うに先だって、まずこの汚れの実態を把握することである。油分を含んだ汚れは、油分を分解する洗剤が必要となろうし、錆汁には錆を溶解する性質をもった洗剤を使用すべきである。エフロレッセンスは一種の結晶体なので、簡単に取り除くことはできない。また除去した跡にエフロレッセンスの跡がそのまま残り見苦しいものである。
打放し仕上げの汚れを取るために強力な洗浄圧をかけたり、薬品を使用したりすることは表層面をかえって痛め、劣化を早めてしまうことすらあるので注意しなければならない。

■メンテナンスの手法
 劣化損傷した打放しコンクリートのメンテナンス手法として「打放しコンクリート若返りシステム」がある。新築時より20~30年経過し、表層の汚損に止まらず、鉄筋の利出やコンクリートの剥落に対し補修・補強する工法である。
汚れの除去はもちろんのことであるが、躯体コンクリートの強化付与をベースとした強化再生工法であり、打放し新築時の意匠性を復元させる工法としても知られている。
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補修修正方法は、基本的に躯体と意匠性にポイントがおかれ、露出鉄筋の保護強化も行われる。外部に接した部位の打放し表面の型枠模様は、汚れと劣化によりほとんど消失されており、雨水に当たらない部位のみ模様の痕跡を止めている状況である。
躯体の健全化と意匠性の再現により打放し仕上げの保全維持に十分応えることができる唯一の工法として高い評価を受けている。以下は「打放しコンクリート若返りシステム」の施工手順である。
①表面清掃・脆弱層の除去
表面をジェット洗浄または#60~100のペーパーもしくはワイヤーブラシがけで清掃(写真10)
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鉄筋の赤錆は化学洗浄剤(ケミカルエース-R)にて洗浄。

②コンクリート強化剤の含浸
コンクリートの脆弱層の補強と毛細管空隙充填による表面強度を保つため、NY-606強化剤を全面含浸塗布。
③露出鉄筋箇所の斫り・防錆処理
鉄筋腐食が原因で生じるかぶりコンクリートの剥離・浮き箇所を斫り、
鉄筋も健全な部分まで斫り取り防錆処理を行う。(写真11)
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④調合樹脂モルタルによるUカット・斫り箇所の補修
 ひび割れは、Uカット後雨水、空気流通遮断のためコーキングし(写真12)、
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NY-調合樹脂モルタルで押さえる。毛細ひび割れは、NY-調合樹脂パテで木ベラによる補修(写真13)。
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表面の仕上がりは修整用NY-調合樹脂モルタル(合成樹脂+特殊セメント+特殊硅砂+添加剤)によって表面に合わせた修整を行う。
⑤木コンの補修
 木コン穴の残滓を取り除き、NY-調合樹脂モルタルを埋め込む。
⑥打放しコンクリート表面の若返り色合わせ・型枠模様の造成
 耐候性に優れた数種の顔料・調合剤によって打放し全面の色合わせ。特殊刷毛による型枠模様の復元(写真14)。
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⑦若返りコンクリートの防水処理
 養生と表面の耐候性を保つため高性能防水剤NY-7090を全面に塗布。

さて次回は「月刊リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法の「タイル外壁改修工事事例」をご紹介します。

さて、この年1989年の重大トップニュース、国内政治に目を移すと7月23日第15回参議院議員選挙において自民党は大敗北を喫し過半数割れに追い込まれ、 社会党が大躍進しました。これはリクルート事件、消費税導入、宇野首相のスキャンダルが自民党を大敗させた三大要因だったようです。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-09-01 07:23 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その33

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は(株)建築知識の月刊「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の4回目、補修のテクニック をご紹介します。

補修のテクニック
■表層乾燥
 脱型後2週間(夏期)以上の乾燥養生が必要である。少なくとも表層面の乾燥は補修材の色調の基本となるので注意し、含水率8%程度としたい。
■地肌の確保
 表層の乾燥養生後、打放しコンクリート全面を洗浄する。錆汁、セメントノロ、エフロレッセンス、塵埃を除去し、コンクリート地肌を出す。
その後、表層の強化、毛細管を塞ぎ、緻密な表層と耐酸性の向上を図ることにより耐久性能を付与するためコンクリート強化剤(NY-506ケミカルライズ処理)を塗布する。
■取組み姿勢
 欠損部の種別として豆板、コールドジョイント、型枠の段違い、目地の歪み、ピンホール、型枠の色ムラ等があるが、これらは打放し全域に分布発生していることが多い。設計者や現場監督者は、最初の大きな欠損部に目を奪われ、小さな箇所の補修をなおざりにし、修整が進むに従い次々と目についたものを追加補修をさせることが多い。全体を把握しないままの施工は結果的に失敗することになる。ピンホールの例でいえば、具体的に大きさ何mm以下は残し、それ以上のものは全て充填するなど全体を頭に入れて補修着手前に範囲・グレード・色調を明確にしておくことである。
■工程タイミング
 補修には躯体に合わせた調合技術と施工手順が大切である。(図-2)
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 十分な知識と経験をもち、それぞれの施工手順に従いタイミングよく施工する。(写真-2)
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 例えば、調合モルタル修整後、養生期間を長くおいたため、強度が出過ぎて研磨修正が困難となり、斫り取って再度補修するということがある。
 補修では、補修材の調合テクニックと、施工環境に影響を受けない補習後の保護養生と、次の工程に取りかかるタイミングが仕上がりの出来不出来に関係してくるので経験を要するところである。
■型枠模様
 補修のメインは何といっても型枠模様を始めとして樹脂、ベニヤ、鋼板と多様化しているが、表層に表れる型枠模様も千差万別であり、色調も複雑きわまりない。欠損部はこの表層模様が失われているため補修モルタル充填成型後の重要な仕上げとして高度の技術が集中される。
型枠模様再現の色調には、耐候性んp高い数種のカラーコートに合成樹脂を添加し、しかも周辺部の型枠模様に連続したものに表現しなければならない。要は再生造成された模様が一体化されればよいということに尽きる。
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■防水剤
 補修された打放し仕上げの表層に防水剤を塗布するが、経年後の防水性能の低下は躯体コンクリートと補修箇所の吸水性の差異から歴然と目立ってくる。防止方法の一つとして躯体と補修箇所とは別々に考え、それぞれの塗布量、塗布回数等を考慮しなければならない。また竣工引き渡し後、防水剤を塗布してあるから大丈夫と安心しているわけにはいかない。2年ほど経過して追跡調査をしてみると、乾燥収縮に起因したと思われる毛細ひび割れが発生していることがあり、一部にひび割れからの水分浸透によるエフロレッセンスの流出がみられる。
 防水剤の耐久性は各社それぞれ5~10年あるとされているが、、表層が健全な状態を前提としている。しかしコンクリートの乾燥収縮によるひび割れがあり(写真4)、その対応についての技術的な説明は少なく、カタログ資料を鵜のみに出来ない。
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理想としては、乾燥収縮が終息した時期にメンテナンスを兼ねて再度防水剤を塗布することがよい。
■表情を変えない
 打放し仕上げは地肌をいかに生かすかに尽きるが、有機溶剤型の塗布防水は打放しの表情を変え、濡れ色にし、しかも補修箇所を歴然とさせてしまう。このため、含浸性の無色透明の撥水剤が採用されることが多いが、撥水剤は耐久性に乏しく、風雨に対処し得ないことがある。強靱な透明塗膜で地肌の変化のない防水塗膜材が打放しには必要不可欠である。
打放しに採用される型枠は本実、樹脂、ベニヤ、鋼板など様々であるが、本実型枠とベニヤ型枠は、仕上げに艶は禁物である。一方樹脂、鋼板は艶が特徴となっている。しかし、この艶も型枠脱型後数回の降雨に接するだけで半減し、同一建物の外部と内部が異なった打放し仕上げとなりがちである。これは艶が消失しないうちに防水保護することである。
とはいっても養生等の対応ができかねることもあって、ほとんど外部にいたっては艶はなくなっている。艶の消失と防水性能の低下とあまり関係ない。なお、艶の再生は表面固定処理トップコートを塗布することで可能である。
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 さて次回は「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の最終回「打放しのメンテナンスをどう考えるか」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大トップニュース、海外編で「ベルリンの壁崩壊」です。 11月9日、東ドイツ政府は市民の国外旅行、移住規制簡略化と称して西ドイツとの壁を実質的に撤去しました。これにより東西対立の象徴的存在だった壁は28年ぶりに崩壊しました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-08-25 07:35 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その32

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は(株)建築知識の月刊「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の3回目、補修のやり直しはきかない をご紹介します。
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補修のやり直しはきかない
打放しコンクリートの補修は脱型してみなければ、その必要性の有無は分からないが、仮に欠損部が皆無としても次のことは存在する。

①脱型後の表面の汚れ
②型枠の目違い
③型枠・塗装カスの残留
④流出した鉄筋の錆汁
⑤セメントノロの付着

 外部では降雨によるコンクリート内部への水分の浸透によるエフロレッセンスの滲み出しがある。木コンの穴埋めも錆汁と漏水を防ぐ上で重要である。打放しは脱型するごとに養生し保護することがきれいな打放しを作る上で大切なことであるが、実際にはこうした保護養生は十分とはいえないのが現状である。
 一方、脱型後の欠損部の対応処置はどうであろうか。施主への配慮から脱型後の乾燥養生も十分とらないまま取りあえず巣穴等目立つものを主として補修されることが多く、こうした目先の補修で糊塗した打放しは、コンクリートの表層乾燥に伴って地肌の色合いが変化し、補修材と際だった色違いを生じさせることになる。色違いの補修モルタルは意匠性の上からも無視するわけにはいかず、再度補修することになる。
 再補修はその上にとはいかないため、止むを得ず補修箇所を斫り取ることになり、元の欠損部をより拡大してしまうことになる。また職人の心情としても手直しの仕事という意味合いから意欲に欠け、精神的ギャップもあって好ましくない。結局補修のやり直しはより悪い結果となるケースがほとんどである。

 さて次回は「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の4回目「補修のテクニック」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大トップニュース(3)は、先回、先々回と著名な方々の訃報を掲載しましたが今回もこんな方がお亡くなりになっていました。松下電器の創業者である松下幸之助氏が94才で逝去されました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-08-18 07:21 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その31

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は(株)建築知識の月刊「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の2回目補修に先立ちをご紹介します。
サブタイトル:うまく打てたと思っても
いやに目につくのがコンクリート面の欠損部
メンテナンスも合わせてそのテクニックを取上げる

補修に先立ち
 打放し仕上げは、素材のもつ重厚な雰囲気と化粧のない剥き出しの荒々しさにその魅力があり、しかも仕上げ材として改まった認識ではなく自然環境との調和に驚くほどの資質をもっている。
  煎じ詰めれば自然回帰の潜在的情緒を満たす素材ともいえる。このような素材であるが故に補修についても限りなく自然さが要求される根拠である。したがって、違和感がある補修は絶対避けるべきである。
  打放し仕上げ補修に対して素材の重要性の認識と心構えを携わる者全員が共通のものとしてもち、十分な理解の上に立って取りかかることが望ましい。

■補修で避けなければならないこと
 現場サイドでは欠損部だけ拾って、その箇所のみ補修しようという考え方が主流である。心情として理解できるが、打放しの表面は多種多様な色調と模様に型どられており、その一部に欠損箇所があるわけで、その箇所を躯体と一体化した補修修正をするには取合い周辺との整合上、簡単にできそうで難しいものである。
  短絡的な発想で着手すると消去すべき欠損部がかえって歴然としてしまい、繰り返し手間をかけた割には満足すべき補修にならないのが実態であり、むしろ結果的に失敗することが多い。

■打放し補修の基本
  打放し補修は施工内容からして清掃、塗装、左官、防水など専門職種に分割された作業であるが、それぞれ関連し整理統合した手順でまとめられたものである。しかし、一般的には左官による欠損部の補修と理解されているため、モルタル補修が先行されがちである。打放し以外の外壁は吹付け塗装等を除き、洗い工事を最後に行うことにより仕上げとなる。
 打放しもそのような発想で作業が進められているが、異なることは脱型後の表層面はコンクリート打設時の型枠からノロの流出や鉄筋の錆汁の付着等があり、またその他サッシュの取り付けや内外装等の諸作業に伴って発生する各種の傷み、汚れが仕上げ直前までついてまわることである。したがって打放し補修は、仕上げ工事として位置付けた上で各諸方の工事完了後に施工するのが望ましいが、現実には並行して行われることが多い。結果的に洗浄作業が最後となり、洗浄薬品による表層面の変色と補修材の変質を招き補修箇所を歴然とさせることになる。
 打放し仕上げは、補修着手前に躯体の汚れを除去した表層面にしておくことが肝要である。しかし、現場では脱型した打放し仕上げの表面は、汚れが付着していないと思いがちで、まずこのことがつまずきの第一歩である。

■補修の目標
  打放し仕上げの補修目標は欠損部の補修跡が残らないこと、即ち人為的なものを感じさせない仕上げである。また、経年変化による補修跡の無惨な状況を解決しなければならない。こうしたことが実証されて初めて補修が認知された技術となるのではなかろうか。

■打放しの養生
  打放し補修はコンクリート打設が全部完了し、しかも型枠ばらし後、夏期で2週間程度乾燥養生して、少なくとも表層面の乾燥が確認されるまでは手をつけるべきではない。
 脱型後のコンクリートは多量の水分を含んでいるため表層は黒色に近い色をしている。水分も気温、湿度、通風などの自然条件にによって乾燥度合いが変わるが一般的に含水率8%以下になってから補修に入るのが通常である。乾燥するに従いコンクリートは黒色より灰色やときに白色に近いものとなる。十分な乾燥を待たず補修するのは、湿潤状態の色調に合わせた補修材を調合するため、コンクリートの乾燥に従い色違いが目立ってくる。急ぐあまり湿潤の状態で補修したものはまず失敗するとみてよい。

■補修モルタルとは
  よく知られていることであるが、コンクリートとモルタルとは根本的に異質のもので、親戚ではあるがまったく違った性質をもったものであることを理解しておくことである。
  最近、打放し用の補修モルタルとして各種市販されているが、打放し表層面の色調や型枠模様等の整合性などはこうした材料でクリアーすることはまず不可能である。十分に品質管理された生コンによる打放しであっても色調に限っていえることは、セメントや骨材の産出地域により千差万別でである。これは打放しそのものが異なったものであることを意味している。その上各種多様な添加物や打放し時の施工方法と環境条件においても著しい違いがある。
  このような背景を十分把握しないまま、また確立された手法によらない補修のため期待はずれとなる。設計者の多くは打放しコンクリートは補修できないものとあきらめ、どのような補修をしても合わないし、何年か後には補修モルタルが変質して跡がはっきり出てしまう。また色合わせは地肌を隠蔽してしまうのでやめた方がよいといわれている。一般的に行われている色合わせはセメントノロを刷毛引きして地肌を同一セメント色にしてしまうことである。打放しは地肌そのものが仕上げであり、表層に人為的な補修、隠蔽しないことが必要条件である以上、そのような考え方があることは当然である。これは、20〜30年前の補修結果がそのようになっていることに原因がある。しかし、現在の技術は過去の失敗を教訓として改良を加え改善されてきていることに注目されたい。
  さて、コンクリートとモルタルはまったく異質なものであることから、コンクリートの中性化に伴う表層の劣化や汚れの付着等も異なってくる。例えばコンクリート躯体表面の緻密さ等の違いによる水分の浸透、汚れの付着等は雨天の日に観察するだけで理解できるところである。特記すべきことは、通常使用されているモルタルや補修用モルタル等は水分に接することにより化学変化を呼び起こし変色することである。モルタルの変質を防止するには躯体コンクリートと同様な強度、緻密性など近い性能を付与した補修モルタルを使用する。
  補修用モルタルとして実用化されているものとしては特殊アクリル樹脂系のポリマーディスパージョンを調合した調合樹脂モルタル(NY−調合樹脂モルタル20%)がある。この補修用モルタルは川砂を使用したプレーンモルタルに比して圧縮強度、曲げ強度が大きく、中性化速度、付着強度においても優れており、吸水率も小さい。
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  以上のことから打放し仕上げには次のような性能が求められる。
①補修モルタルは可能な限り、打放しコンクリートの表面の強度、緻密性に近い性能を保持した材料であること。
②コンクリートの表層地肌に相似した調合色が出せる補修材であること。
  しかし、打放しコンクリートは物件毎に型枠やコンクリートの調合も異なっているため、打設されたコンクリート表層地肌がすべて異なっている。そこで補修モルタルは物件ごとにコンクリートの色調に合わせ、その都度色違いが生じないモルタル調合をすることが大切である。まず補修箇所周辺の色調に合わせるため、白色セメントをベースにポルトランドセメント、硅砂、膨張性添加物にカラーコートを少しずつ加えながら躯体との色合わせを行う。色調のベースが定まったところで、合成樹脂エマルションを添加混練する。注意しなければならないことは、調合モルタルはあくまで補修箇所周辺の打放しの表層に合わせる必要があり、別の箇所にはその都度面倒でも再調合する心遣いが大切である。
  打放しコンクリートの補修は、結果的にはベースとなる補修モルタルが前述の性能を具備しているか否かで決まるといえる。過去の補修後追跡調査の結果、付着性、強度、緻密性の低い調合モルタルによる補修は吸水率が高く、早いものでは補修後1週間程度で毛細ひび割れが生じ変色し、エフロレッセンスの流出を招いている。

 今回は長い文章におつき合い頂き、ありがとうございました。区切りよく終わらせるため長くなってしまいました。

 さて次回は「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の3回目「補修のやり直しはきかない」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大トップニュース(2)は、何と言ってもこれでしょう!日本歌謡界の女王「美空ひばり」が6月24日、間質性肺炎による呼吸不全のため死去しました。日本人の心を歌い続け戦後歌謡界を常にリードし、女王と呼ばれるにふさわしい存在でした。享年52歳でした。故美空ひばりの代表作は「悲しき口笛」(1949年)、「リンゴ追分」(1952年)、「柔」(1964年)、「悲しい酒」(1966年)等があります。
ところで八代亜紀が歌っている曲「舟唄」ご存じですか?作詞者である今は亡き阿久悠さん、本当は美空ひばりさんに歌ってほしかった曲だったとか!なるほどうなずけますね!


それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-08-11 06:52 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その30

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は(株)建築知識の月刊「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」をご紹介します。
(株)建築知知識は現在(株)エクスナレッジに社名を変更していますが、月刊「建築知識」の歴史は古く創刊は1959年4月です。我が社の設立は1959年10月ですから、我が社から見ればお兄さんみたいな存在ですか!
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サブタイトル:うまく打てたと思っても
いやに目につくのがコンクリート面の欠損部
メンテナンスも合わせてそのテクニックを取上げる
打放しの現場では
 打放しコンクリートの施工は何回経験しても難しい。十分な準備と注意を払ったが皮肉にも躯体の最重要部分に欠損が出てしまったり、コンクリート打設に先立って慎重に施工計画を練り、いたれりつくせりの段取りをしたが失敗したという無念の嘆息を現場責任者からよく耳にする。
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 過去30年、打放しコンクリート補修・修整に携わって感じることは完全無欠な打放しは稀で、打放しコンクリートには欠損部がつきものといっても過言ではない。しかし、関係者のほとんどがそうしたことは考慮に入れず、しかも欠損部が生じたときには、どのように補修・修正をするのかという事前の配慮に乏しいことである。
 現場サイドでは失敗を前提にコンクリート打設するわけではないから、そのようなことは計画外であり、予算まで考えていることはない。万一欠損部が生じたときには急遽身近な左官に依頼し、補修すればよいとしている。経験豊かな左官だから上手に直すだろうと期待し、補修させたところが失敗、やり直さざるを得ないといった按配である。しかし、何とかしなければと、あてもないまま焦りに似た対策がなされていることが多い。

 次回は「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の「補修に先立ち」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大トップニュースは、何と言ってもこれでしょう、昭和天皇ご逝去!!! 1月7日午前6時33分、昭和天皇が十二指腸癌でご逝去されました。享年87歳。 皇太子が新天皇に即位し、 午後の閣議で元号を「平成」と決定し、午後2時36分に発表されました。テレビは天皇の記録映像を繰り返し流し、コマーシャルも消え、レンタル・ビデオ店が繁盛したとか。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-08-04 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その29

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「施工」1988年12月号総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」を4回に分けご紹介します。今回は最終回「5施工工程」後編および「あとがき」をご紹介します。

5施工工程

(3)既存補修モルタル部
①浮いている部分のモルタルは完全に除去する。また、豆板を補修したモルタルは完全に取り除き、豆板など脆弱部分は今後の劣化の進行に対して弱点となると考えられることから、このような部分は丹念に斫り取る。
②斫り取った下地部分は、刷毛、ブラシなどで汚れ・ほこりを除去して清掃する。
③NY-7000プライマーを下地部分に塗り残しのないよう塗布する。
④斫りの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。この際、コンクリート表面(仕上げ面)から1~2mm程度下げて仕上げる。
⑤最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上げ面)に合わせて平滑に仕上げる。

(4)修整用NY-調合樹脂モルタルの鏝塗り
 欠損部を処理した箇所は周囲との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルを薄く鏝塗りし、水引き具合を見定めて毛足の長い刷毛で表面を刷毛引きする。また、5mm以上のピンホールも同様に処理する。
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5)素地全面色合わせ
①打放しコンクリート表面は部位により色違いがあるため、NY-調合樹脂色合わせ(NY-7000)〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕をローラーで塗布する。
②下地のコンクリートに起因するひびわれに追従するNY-調合樹脂色合わせ(NY-8000)〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕をローラーで塗布する。
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6)型枠模様造成
① 特殊灰汁〔カラーコート:浸透剤:添加剤〕による板目・木目を専門職人により各種の刷毛を使用し造成する。

7)表面防水固定処理(NY-7090トップコート)
①各工程に要する樹脂材料・特殊添加剤を含む修整材料の性能発揮と劣化防止のために、耐久性と浸水抵抗の高い緻密な皮膜を形成する表面防水固定処理剤を塗布する。(全面に対して2回塗布)
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あとがき
 外部に接する部位の打放しコンクリートは自然環境の影響を直接受け、表層に劣化症状を表す。このため、当社では施工後2~3年経過した物件を選んで追跡調査することとし、過去10年実施してきた。
 追跡調査の結果確認された劣化症状の原因追及を徹底し、再び繰り返すことのないようフィードバックして施工材料・施工方法の改善を図り若返り技術に向上を資している。
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 今回はこれで終了、次回は「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」をご紹介します。

 さて、この年1988年最後のニュース、東京で中学生が、両親と祖母を金属バットと包丁で惨殺した事件がありました。惨い事件ですが、この手の事件、現在に至っては毎日のようにテレビで放映されています。世の中の歯車がどこかで狂っている感じがします!

 それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-07-28 07:30 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その28

こんにちはpikayoshi72です。
今回は「施工」1988年12月号総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」を4回に分けご紹介します。今回は「5施工工程」の前編をご紹介します。

5施工工程
1)材料の確認
 搬入材料の数量および品質を確認し、不適当なものがあった場合は、その材料の使用は中止する。
2)素地調整
①コンクリートの表面を約200kg/cm2の高圧水で洗浄し、汚れ、ほこりなどを完全に除去する。
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②空洞のある場合は、とれやすい砂利などは叩き落とす。
③表面に付着した鉄筋のさびおよびしみは、ケミカルエースR(当社製)を用いて洗浄する。
④高圧水洗ができない場合は、ペーパー、ワイヤブラシ、高速サンダーなどを用いる。
3)NY-606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、400g/㎡のNY-606を含浸塗布する。
 NY-606は各種特殊添加剤を加えた珪フッ化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性のフッ化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。不溶性のフッ化カルシウムが固着され、花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性・耐酸性が向上する。
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4)欠損部の処理
 各種劣化症状に対する補修方法を以下に示す。
(1)露出鉄筋部
①鉄筋の腐食している部分の周囲を深さ方向に斫り取る。斫り取る深さは、鉄筋をケレン・防錆処理した後にハンマーなどで叩き込める程度とする。
②ワイヤブラシ・電動ケレン機を使用し、さびを完全に除去する。
③NY-特殊防錆材を塗布する。
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④斫りの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。この際、コンクリートの表面(仕上げ面)から1~2mm下げて仕上げる。
⑤表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上げ面)に合わせて平滑に仕上げる。
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(2)ひびわれ部(DD-エラスティックシステム)
①ひびわれに沿って電動カッターを用いて幅12mm程度、深さ15mm程度にU字型の溝を設ける。
②Uカット溝部に付着している斫り片、粉塵を刷毛などで除去。
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③清掃した部分にウレタンプライマーを均一に塗布。
④プライマー塗布後、ウレタンコーキングを行う。充填はUカット溝底部から3mm程度とし、充填後はヘラで十分押え、下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。
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⑤次にエラスティックフィラーを均一に塗布。
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⑥NY-エラスティックモルタルを充填する。
注)0.2mm以下のひびわれは、NY-エラスティックモルタルによる木ベラでの塗込みとする。
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 今回はここまで、次回は「5施工工程」後編、「あとがきを」ご紹介します。

 さて、この年1988年、第24回オリンピックがソウル(韓国)で開催されました。 日本選手のメダル獲得は金が4、銀が3、銅が7で 鈴木大地選手が100m背泳で金メダル。他、柔道の斉藤仁、レスリングの小林孝至、佐藤満も金メダル、シンクロでは初のメダルをとりました。

 それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-07-21 10:19 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その27

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「施工」1988年12月号総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」を4回に分けご紹介します。今回は「4打放しコンクリート若返りシステム」をご紹介します。

4打放しコンクリート若返りシステム
 打放しコンクリート仕上げの表面は、型枠より転写された板目・木目模様が意匠性を支える大きな要素である。打放しコンクリート若返りシステム(吉田工法)は、コンクリートの汚染・欠損・剥落箇所を部分的に補修するだけでなく、劣化した躯体コンクリートの表層を強化し、失われた打放しコンクリートのイメージを再現し、しかも耐久性を付与することにある。一方、ひびわれ補修方法として一般的にエポキシ樹脂の注入を行ったり、ひびわれ部分をUカットし、シーリング材を充填し、樹脂モルタルを塗り込むなどの工法がとられていることが多い。
 ひびわれは躯体コンクリートの乾湿温令ムーブメントにより、周期的に動きが生じている。この動きに追従し、柔軟に吸収発散する性能が要求される補修技術が必要不可欠である。若返りシステムの特徴はこのようなひびわれムーブメントに対応したDD-エラスティックシステムが組み込まれていることである。また、躯体コンクリートの表層を化学処理することにより無機質な多孔質のコンクリートの毛細管空隙を塞ぎ、しかも耐酸性を向上させ、欠損部に対しては耐候性の良いNY-調合樹脂モルタルで補修補強し、コンクリートの肌色に合わせた伸長型セメント系材料を全面に塗布し、専用に開発された道具を駆使してコンクリートの素肌を再現、そこに耐候性に優れた無機質材料によって型枠模様をリアルに再現する。最終工程では皮膜造成型のトップコートを全面塗布することにより諸工程に施された材料性能の耐久性と美観保持を長期にわたり付与し、大気汚染や劣化防止に効果を発揮する。
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1)システムの特徴
打放しコンクリート若返りシステム(吉田工法)は次の要求される条件に適合するものである。
①打放しコンクリートに付着した各種の汚損物質を、表面を害することなく洗浄または除去可能。
②修整用モルタルは耐久修復の安定性がある。(工事中および完了後も膨張や収縮などの有害な変形がない)
③修整用モルタルは躯体の耐久性低下を防止できる。(空隙へ充填された材料と既存のコンクリートが一体化して、中性化の進行を防止できる)
④修整用モルタルは耐候性にすぐれている。(既存コンクリートと修整材料とが一体化して劣化因子に影響されないで、一定期間初期の性能を保持することができる)

2)主な使用材料
 ・特殊セメント-白(収縮低減型) ・特殊セメント-黒(収縮低減型) ・NY-調合樹脂モルタルパウダー(中塗り用) ・NY-調合樹脂モルタルパウダー(上塗り用) ・NY-7000特殊アクリル系樹脂(モルタル混和および色合わせ用) ・NY-8000特殊アクリル系樹脂(弾性皮膜用) ・各種添加剤 ・特殊無機系顔料表-1に・NY-7000(モルタル混和および色合わせ用)、表-2に・NY-8000(弾性皮膜用)、それぞれの合成樹脂エマルジョンの性状と試験結果を示す。
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 次回は、引き続き「施工」1988年12月号 総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」、「5施工工程」を2回に分けご紹介します。

 さて、この年1988年、日本で初めて屋根付きの球場「東京ドーム」が完成しました。完成によって雨天で野球が中止になることなく観戦できるようになったわけです。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-07-14 07:32 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その26

 今回は「施工」1988年12月号総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」を4回に分けご紹介します。まずはじめに今回は「まえがき」、「1.現況調査」、「2.調査方法」および「3.調査結果に基づく劣化症状」をご紹介します。
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まえがき
 1965(昭和40)年前後から、外壁仕上げ材として採用されてきた打放しコンクリート仕上げが、ここ10年ほど建物によって、劣化が顕著となりはじめ修繕を要することが多くなった。打放しコンクリートの劣化に関しての修繕技術が確立されていなかったために、その劣化症状に対し部分的・臨床的補修のとどまり施工されてきた。こうした背景を経て、打放しコンクリートを単に欠損部の補修にとどまらずシステマティックにとらえ、表面に生じた劣化症状を含め、躯体コンクリートに至る現況調査を行い、原因の推定と施工が行われるようになった。

1 現況調査
調査は、一般的には目視調査によることが多い。調査目的は、あくまで打放しコンクリートの耐久性を確保するためにどのような対策を立てるべきかが重要であり、表層に生じた劣化の種類・程度を的確に把握し、修繕方法の検討資料となりうるものでなければならない。できうれば将来の劣化傾向を予測し、当面の修繕にとどまらず予防保全対策を検討する資料にまでもっていくことが望ましい。
 調査は打放しコンクリート表層面に発生した劣化症状を図面上にその状況を明らかに表示するとともに、劣化症状だけでは判断しえないコンクリートの圧縮強度などの物性、鉄筋の腐食、コンクリート含有塩分量や中性化の進行状況などが必要となる。

2 調査方法
(1)ひびわれ ひびわれ幅の測定・発生位置・長さ・形状(たとえば鉄筋に沿ったものか、細目状か)を目視観察し、合わせて写真に記録する。
(2)浮き 表面の浮きの発生箇所およびその面積を測定する。また、手の届く範囲でテストハンマーによる打診を行う。
(3)剥落状況 コンクリートなどの表層面に確認したコンクリートの剥落状況・形状・寸法・面積などを測定する。
(4)表面脆弱化状況 さび・汚れ・エフロレッセンス・ポップアウトなどの代表的な状況の形状・寸法・面積などを調査・記録し、合わせて写真撮影を行う。
(5)漏水痕跡 具体的には雨漏り。下屋部分なぢからだけの雨漏りではなく、壁面にしみ出たものなども含め目視検査する。
(6)コンクリート塩分含有量 コンクリート中塩分含有量測定は、躯体から採取したコアを試料
とする。
  絶乾状態にした試料を微粉砕し、硝酸によって全溶解した後、濾過し、濾液について電位差滴定法・吸光高度法などで塩素イオン量を定量分析する。

3 調査結果に基づく劣化症状
 共通した打放しコンクリートの劣化症状の代表的なものに、表層の汚れをはじめとしてひびわれ・剥落・鉄筋露出や中性化などがある。
 汚れは日照の少ない面しかも上層階に集中して認められ、とくに打放しコンクリート表面に雨水が流下するような構造の建物は顕著である。
 汚れのいちじるしい周辺にあるひびわれからは、雨水の浸透が繰り返しあることから、内部の鉄筋の腐食を促進させ、並行して中性化の進行が早い。
 一方、外壁からの雨漏りがある。コンクリート躯体の打継ぎ部分やじゃんか・コールドジョイントなど施工上の欠陥箇所に起因したものや、貫通したコンクリートの乾燥収縮ひびわれからも浸水する。
 その他、木根穴の充填モルタルが欠落してセパレーターを経由して、内部に漏れている例もある。
 一般的に築後15~20年経ることによる表層の汚れと、同時に鉄筋露出や剥落などが随所に表れ、それとともに打放しコンクリートの型枠模様もなくなり、意匠性の喪失とともに周辺環境との調和まで損なうことになりがちである。
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次回は、引き続き「施工」1988年12月号 総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」、「4打放しコンクリート若返りシステム」をご紹介します。
 さて、この年1988年、通信関連では東京の市外局番03地域で市内局番が4桁になり、東京、名古屋、大阪間でISDNサービスを開始。総合サービスデジタル網(ISDN)の「INSネット64」という商用サービスを、NTTが開始しました。後にIT革命の嵐が来るわけですね!

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-07-07 07:26 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その25

こんにちはpikayoshi72です。

今回は「施工」1988年9月号特集・仕上材としての打放しコンクリート「打放し仕上げの問題点と補修、修整」を4回に分けご紹介します。今回は最終で「4.打放し仕上げに対する一つの提案」(3)不具合の修整、(4)型枠模様の造成・防水、最後に「まとめ」 をご紹介します。

4.打放し仕上げに対する一つの提案
(3)不具合の修整
 じゃんか(巣穴)、欠け、ピンホールなどの不具合を発生している部位のコンクリートの色に合わせたNY-調合樹脂モルタルで、充填修整する。この材料は、前述した補修材料としての性能(付着性、強度、不変色など)を有するものである。

(4)型枠模様の造成
 不具合を修整した部分には、型枠模様がなく、躯体のコンクリートと相似した修整であっても自然の風情は得られない。そこで、健全部分の表面に見られる型枠模様を再現することが必要となる。各種顔料を調合したNY-カラーコートを型枠模様造成用材料として使用する。最近の打放し仕上げは、樹脂塗装合板型枠が主に使用されているが、本実型枠も少数ではあるが、使用されることもあり、それぞれに応じた模様の造成をする。

・防水
 打放しコンクリートに使用される防水剤は、遮水性能と耐候性にすぐれ、紫外線や外的要因による変色などがないものでなければならない。
 浸透型塗膜には、材料によってはコンクリートの表面の色調を変えてしまうなど、打放し仕上げが異質なものとなることもある。小社では、塗膜型防水剤の改良、開発を進め、打放しコンクリートの表面をそのままに生かすことのできるNY-7090表面防水固定処理剤を使用している。耐久性については、すでに多くの実績とともに経年による防水性能の低下は撥水材に比べ少なく、また、紫外線による黄変もしないなど効果を上げている。
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まとめ
 東京オリンピック時代中心に建てられた打放しコンクリート仕上げの建造物の多くは、予想を上回る早さで劣化が進行し、コンクリートの神話を打ち砕くまでになっている。過去このような事実を目の前にして、これからの打放しコンクリートの仕上げは、意匠性と同じレベルで耐久力を含めて考えるべきではないだろうか。
 筆者は、打放しコンクリートに魅力を感じるものの1人として、当初からの美しさを長く保つための一つの方法を提案させていただきたい。単にじゃんかの補修にとどまらず、建物全体の意匠性と耐久性を付与する打放しコンクリートのための一つの仕上げを考えたい。諸氏のお叱りをお願いするところである。

 次回は、引き続き「施工」1988年12月号 総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」をご紹介します。

 さて、この年1988年12月10日、1968年12月10日に発生した三億円強奪事件の民事時効が成立してしまいました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-06-30 07:19 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その24

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「施工」1988年9月号特集・仕上材としての打放しコンクリート「打放し仕上げの問題点と補修、修整」を4回に分けご紹介します。今回は3回目「4.打放し仕上げに対する一つの提案」(1)素地の調整(2)コンクリート表面の化学的強化処理 をご紹介します。

4.打放し仕上げに対する一つの提案
 打放しコンクリートは、本来コンクリートの素材を生かすために切り、手をつけないという考え方が基本であると思われるが、やむを得ず生じた不具合や近年のコンクリートの早期劣化問題の定義に対し、適切な方法により美装性と耐久性を付与する必要があると考えられる。通常、不具合の発生は全体に見られることはあり得ないため、健全な部分に合わせながら処理していくことが肝要である。
 打放しコンクリート表面仕上げシステムは、過去29年におよぶフィールド(現場)における打放しコンクリートの修整実績と、打放しコンクリートを長期的にその美しさを確保するためにはどうすべきかを、継続的に考え開発されたものである。
 本システムは、素地の調整から最終工程の防水剤の塗布まで一貫して行うもので、素地調整(洗浄)は洗い専門職へ、不具合の処理は左官工へ、防水剤の塗布は塗装工へと分業化された、一般の現状の施工方法とは異なる。以下に、工程の順序に従って紹介させていただく。(図-1)
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(1)素地の調整(付着物の除去)
 汚れの原因を究明したうえで、それに適した除去方法を検討し、場合によっては除去剤(ケミカルエースR)
を使用する。この際、特に注意しなければならないことは、全体のバランスを考えることである。表面の付着した汚れ部分のみに目を奪われて、集中的にその部分を洗浄する場合があるが、洗浄部分と他の部分とは明らかに差がつくことがある。

(2)コンクリート表面の化学的強化処理
 表面の素地調整後、コンクリートの保護および耐久性の向上を図るために、珪フッ化物を主成分とするNY-506反応型無機質系浸透強化剤を含浸塗布する。本薬剤は、セメントの水和生成物である水酸化カルシウムと下式のように反応し、毛細管の空隙を充填することによって、表面硬度および耐酸性を向上させるとともに、中性化の進行を抑制するものである。
2Ca(OH)2+MgSiF6 → 2CaF2+MgF2+SiO2+2H2O

 次回は、引き続き「施工」1988年9月号 打放し仕上げの問題点と補修修整「4.打放し仕上げに対する一つの提案」(3)不具合の修整、最後に「まとめ」をご紹介します。

 さて、この年1988年9月、昭和天皇の病状が悪化し黄疸症状を示して吐血、容態が悪化した。すべての国事行為が皇太子(現在の天皇)に委任され、全国で見舞いの記帳が開始された他、お祭りが中止、縮小されるなど異常なまでの自粛ムードが続きました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-06-23 07:25 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その23

こんにちはpikayoshi72です。

今回は「施工」1988年9月号特集・仕上材としての打放しコンクリート「打放し仕上げの問題点と補修、修整」を4回に分けご紹介します。今回は2回目「2.打放し仕上げの問題点」B.美観について及び「3.表面の保護および不具合の補修」をご紹介します。

2.打放し仕上げの問題点
 B.美観について
 美観にかかわる問題点を整理したものを、表-1および写真1~5に示す。
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 これらは、いずれも所要の品質が確保された材料の使用、適切な調合設計、入念な施工によって避けることが可能であるかと思われるが、施工箇所によっては、困難を極めることも否定できない。表―1に示した欠陥が発生した場合、これをそのまま放置することは美観を損なうばかりでなく、建物のイメージ、設計意図を著しく損なうことにもなり、耐久性に係わる問題も合わせて、現実的で信頼性のある適切な処理が求められる。

3.表面の保護および不具合の補修
A.表面の保護(耐久性向上のための処理)
 コンクリート躯体を前述した劣化的要因から保護することは、建物の耐久性の観点から重要である。コンクリート打放し仕上げでは、素材そのものを表現するため、型枠を撤去した状態、すなわち、コンクリートの素材の外観を変えることなく表面を保護する方法が要求される。
 そのため、保護材料として使用される材料は、当然限定されることになる。打放し仕上げの表面を保護するには、劣化因子である水、二酸化炭素、酸素などのコンクリート内部への侵入を遮断もしくは抑制する保護層をコンクリートの表層部に設けることが考えられる。一般的に打放しコンクリートの表層部分に浸透させ、劣化因子の侵入を防ぐといわれている保護材料としての、無色透明の浸透性吸水防止剤(撥水剤)がある。しかし、この材料は、過酷な自然環境下において、初期の性能を長期的に確保するには、十分満足できるものではない。

B.欠損部の補修、修整
 とくに打放し仕上げの表面に発生した不具合に対し、表-2に示す補修方法が基本となる。その際、注意しなければならないことは、補修した箇所と周囲との整合性を図るようにするとともに、補修した痕跡を残すことのないよう適切に行うことである。
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 たとえば、コンクリート表面に生じた豆板(じゃんか)は、単にポリマーセメントモルタルで充填補修すればという安易な考えでは、補修後の状態を見知したとき、初めて異質な仕上げに困惑することにもなりかねない。また、豆板、コールドジョイントなどは、美観上の問題にとどまらず建物の耐久性の弱点となる。これは、密実である部分と比較した場合、雨水の浸入、二酸化炭素の拡散を容易にするためで、このような不具合の発生が認められた場合、耐久性に対する十分な配慮も必要となる。一方、使用する補修材料に要求される性能も重要となることはいうまでもない。下地コンクリートの付着性、材料自身の強度、耐久性などがあげられる。いずれにしても、不具合箇所の状態をよく把握したうえで、適切な補修方法を検討しなければならない。その際重要となるのは、熟練した技能と調合材料の性能に精通した者の管理下で施工することである。

 次回は、同じく「施工」1988年9月号 打放し仕上げの問題点と補修、修整「4.打放し仕上げに対する一つの提案」をご紹介します。

 さて、この年1988年4月10日、本州と四国を結ぶ瀬戸大橋が開通しました。瀬戸内海上の五つの島を跨ぎ、上が道路、下が鉄道の併用橋で、この類の橋では世界最長です。先回紹介しました、青函トンネルといい交通網の発達で日本がどんどん小さくなっていく感じがします。
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それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-06-16 07:36 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その22

今回は「施工」1988年9月号特集・仕上材としての打放しコンクリート「打放し仕上げの問題点と補修、修整」を4回に分けご紹介します。今回は「1.コンクリート打放し仕上げ」及び「2.打放し仕上げの問題点」A.耐久性低下の諸因をご紹介します。
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1.コンクリート打放し仕上げ
 A.コンクリート素材
 打放しコンクリートの表情は、一見荒々しく、しかも重量感にあふれ、四季・天候に応じて、人々の感性に直接訴えるかの様相がある。しかも、シンプルな原点を思わせる打放しコンクリートは、デザインとして80年余りの歴史をもつといわれている。
 その歴史の流れの中にあって、打放しコンクリートは、素材のもつ神秘的ともいえる幽玄な美しのために、多くの建築家の心を引きつけ、夢をたくしてとどまるところがない。
 その素材のもつ深さを引き出し、しかも長期にわたり、その姿を変えることなく歴史を刻み込むができる強靱さが、打放し仕上げには要求されている。

2.打放し仕上げの問題点
A.耐久性低下の諸因
 近年、コンクリート建造物の早期劣化が社会的に問題視されており、その主な原因は、コンクリートの中性化と内在鉄筋の腐食である。
 外的劣化要因の中でも劣化の基点と中性化は、コンクリートの構成材料の一つであるセメントの水和反応によって生じた水酸化カルシウム Ca(OH)2 が、大気中の二酸化炭素の作用を受け、炭酸カルシウムに変化する化学現象である。
Ca(OH)2+CO2 → CaCO3+H20
 コンクリート中に内在する鉄筋は、元来、水酸化カルシウムが示す強アルカリ性(pH12-5-13)によって防錆環境が確保されているが、中性化が鉄筋表面まで進行すると、防錆環境が消失するため発錆の危険が生じる。
 鉄筋の腐食反応が進行するには、水と酸素の存在が必要であることは知られている。このことは、筆者らが過去400件余りの打放しコンクリート建造物の修繕工事に先だって躯体の劣化調査において、室内側の中性化深さは雨水の当たる外部のそれに比べ大きいにもかかわらず、鉄筋の腐食が原因となったひびわれや、かぶりコンクリートの剥離剥落などは、ほとんど見られなかったことからも明らかである。
 さて、この中性化の進行を促進させる要因として、コンクリートの品質を上げることができる。とくに打放し仕上げの場合、巣穴や、その他欠損箇所を生じさせないために、施工性のよい流動性の高い生コンクリートが使用される傾向にあり、必然的に単位水量の多いコンクリートが打設される。
 このため、硬化後の内部には、多数の毛細管が形成され、結果的に大気中の炭酸ガスや雨水の浸入拡散を容易にする。その他、海砂・山砂などの低品質の骨材によるひびわれ、アルカリ骨材反応に起因したコンクリートの劣化は、よく知られているところである。

 次回は、同じく「施工」1988年9月号 打放し仕上げの問題点と補修、修整「2.打放し仕上げの問題点」B.美観について をご紹介します。

 さて、この年1988年(昭和63年)3月、青函トンネル使用が開始されました。 本州と北海道を結ぶ名実共に世界最長のトンネル使用が開始されたわけですが、開通に伴い青函連絡船は廃止されました。北海道へ渡る所要時間は3時間半ほどでしたが、あっという間に北海道へ行けるようになったわけです。今年で青函トンネル開業20周年を迎えます。月日のたつのは早いですね!

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-06-09 07:26 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その21

こんにちはpikayoshi72です。

今回は月刊リフォーム1988年8月号 特集・学校施設のリフォーム、学校施設における改修工事例「打放しコンクリート若返りシステムによるS女学院外壁改修工事」後編をご紹介します。

計画から完成まで
 当S女学院(神奈川県鎌倉市)は、閑静な住宅地を抜けた小高い山の上に建ち、彼方には相模湾を望む大変風光明媚な地に位置する。校舎はRC4階建、外部庇・梁・柱が打放しコンクリート、壁面・腰壁がタイル貼りの清楚かつ力強さも感じられる建築物である。
 しかしながら築後20余年を経過し、外壁は黒く汚れ、所々にひび割れの発生や鉄筋の露出が認められた。このため4年程前から外壁改修工事および屋上防水工事が計画されていた。
 外壁打放しコンクリート面には、打放しコンクリートのイメージを損なわない仕上げができ、下地(躯体補修)から仕上げまでを完全責任施工で行う当社の打放しコンクリート若返りシステム(吉田工法)が採用され、毎年数棟ずつの改修工事を行ってきた。
 完成した建築物はまるで新築当時そのままの輝きを取り戻し、当S女学院の若々しい雰囲気と相俟って、学校全体のイメージにより一層すばらしいものに引き立てる事ができたと確信している。
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 次回は、「施工」1988年9月号 特集・仕上材としての打放しコンクリート「打放し仕上げの問題点と補修。修整」を4回に分け、ご紹介します。

 さて、この年の7月23日、東京湾の浦賀水道で釣り船「第一富士丸」と浮上航行中の自衛隊の潜水艦「なだしお」とが衝突しました。「第一富士丸」は沈没し、釣り客と乗員48人のうち18人は救出されましたが、死者30人の大惨事となってしまいました。救助された人たちからは「潜水艦は救助にほとんど手を出さなかった」との批判が続出、防衛次官もこれを受け「救難活動が不十分だった」と、認めました。ひどい話ですね!

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-06-02 15:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その20

こんにちはpikayoshi72です。
 今回は月刊リフォーム1988年8月号 特集・学校施設のリフォーム、学校施設における改修工事例「打放しコンクリート若返りシステムによるS女学院外壁改修工事」前編をご紹介します。「月刊リフォーム」は(株)テツアドー出版発行、創刊は1984年(昭和59年)です。
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概 要
 打放しコンクリート建築物は、周辺環境との調和、自然への回帰に引き寄せる魅力を備えている。しかしながら築後10数年を経過すると、空気中の炭酸ガスや水分などの劣化因子による構造物の劣化が進行し、美観を損なうばかりでなく、安全性や躯体保護の面でも対策が必要となる。
 打放しコンクリート若返りシステム(吉田工法)は、劣化・損傷したコンクリート打放し仕上げの構造物を、再び躯体から強化する事により、建物に耐久性を付与し、失われた意匠性の回復を図る再生技術である。

工法の特徴
1)打放しコンクリート若返りシステムは、鉄筋の防錆・破損部分の修整はもとより、NY-606コンクリート強化剤を含浸塗布する事により風化したコンクリートの表層部分を緻密化し、同時に耐酸性を向上させる事により中性化の進行を防止する。
2)NY-調合樹脂モルタル、NY-7090防水固定処理剤などの各種材料の抜群の接着性と強度・防水性で、RC構造物を内面から改修する。
3)各々の建物のコンクリートの色に合わせた伸長型セメント系材料により、専用に開発された道具を駆使してコンクリートの素肌を再現。そこに耐候性に優れた無機質系材料によって、打放しコンクリートならではの型枠模様も忠実に再現。新築当時のイメージをそのままに、打放しコンクリートを美しく蘇らせる。この伸長型セメント系材料は、下地のコンクリートに起因したひび割れに追従し、また炭酸ガス・塩分の侵入を遮断する機能性仕上材である。(施工工程については図-1参照)
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 次回は、月刊リフォーム1988年8月号 特集・学校施設のリフォーム、学校施設における改修工事例「打放しコンクリート若返りシステムによるS女学院外壁改修工事」後編をご紹介します。
 さて、この年1988年12月27日竹下内閣が発足してわずか4日後にリクルート疑惑で長谷川法相がリクルートから政治献金を受けていた事実が発覚し辞任!在任4日は史上最短記録だそうです。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-05-26 07:25 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その19

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」を5回に分けご紹介します。今回は最終「おわりに」をご紹介します。

おわりに
 本工法は、外壁下地の回復に根本から耐久性を付与することに目的がある。従来、コンクリート、モルタル外壁のひびわれ、浮きの補修はされても、外壁そのものの劣化に対しては、考慮されていないのが現状である。
 ここで、リフォーム工法の原点にかえって検討し、改良されたもので、たとえば、下地ひびわれ幅が仕上げの2倍以上の伸性能があれば破断は起こらないとされている。DD-エラスティックシステムは、いわゆるゼロスパンテンションに対する回答だけでなく、コンクリート、モルタル外壁の伸縮挙動に最も適した工法の一つである。
 劣化の回復を基礎として、固定から動きに追従する妥当性が理解されて変形能を有するエラスティック材料は、今後着実に増加していくものと思われる。
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 次回は、月刊リフォーム1988年8月号 特集・学校施設のリフォーム、学校施設における改修工事例「打放しコンクリート若返りシステムによるS女学院外壁改修工事」をご紹介します。

 さて、この年1987年9月22日 、昭和天皇が腸通過障害のため宮内庁病院で手術をすることとなり初の沖縄訪問が中止になってしまいました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-05-19 07:23 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その18

 今回は「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」を5回に分けご紹介します。今回は4回目「2.施工要領」B.外壁モルタルの浮きについて(NY-エラスティックアンカー併用)をご紹介します。

2.施工要領
B.外壁モルタルの浮きについて(NY-エラスティックアンカー併用)
 本仕様は、外壁モルタル仕上げなどの浮き部分(0.3mm以上)に弾性スラリー(NY-エラスティックスラリー)を注入し、NY-エラスティックアンカーを併用して、浮き部分をコンクリート躯体に固定する工事に適用する。
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①テストハンマーで壁面の打診を行い、浮きの範囲をチョークなどで明示する。
②注入剤の流出を防ぐため、ひびわれ部分をUカットし、NY-エラスティックモルタルを充填する。
③注入圧による外壁モルタルのふくれや脱落を防止するため、浮き部分1㎡当り5箇所をNY-エラスティックアンカーピンおよびエポキシ樹脂で固定する。
④アンカーピンの挿入孔は径7~9mmとし、コンクリート躯体の表面から深さ15mmまでコンクリートドリルで穿孔し、挿入孔内の粉塵はエアブラシなどで完全に除去する。
⑤挿入孔へエポキシ樹脂を注入し、NY-エラスティックアンカーを孔底まで確実に挿入する。
⑥アンカーピンの固定状況を確認し、図-3により径10~13mmのスラリー注入孔を500mm間隔にコンクリートドリルで躯体まで穿孔する。
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⑦注入ポンプにより、注入孔1箇所につき40gの割でスラリーを注入する。
⑧壁面などに流出した注入剤は直ちに除去し、水刷毛などを用いて十分洗浄する。
⑨注入後2日間は、注入部分に振動や衝撃を与えてはならない。
⑩完了後テストハンマーを用いて、注入状況の確認を行う。
 以上述べてきた、ひびわれと浮きの補修作業をフローチャートにして図-4にまとめた。
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 また、当工法の材料、NY-エラスティック8000のテクニカルデータを表2~4に示す。
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施工実績は、日本楽器研修会館 (静岡県、施工面積3600㎡)(現在のヤマハです)、国立科学博物館(東京都、1500㎡)、NTT三重支社(三重県、760㎡)、日本原子力研究所東海研究所炉特研(茨城県、1520㎡)ほか多数ある。

 次回は、同じく「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」の「おわりに」をご紹介します。

さて、この年1987年10月19日(月)アメリカ/ニューヨーク株式市場では史上最大の株価大暴落。「暗黒の月曜日」といわれました。1929年の大恐慌を越えるものでした。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-05-12 07:26 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その17

こんにちはpikayoshi72です。

今回は「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」を5回に分けご紹介します。今回は3回目「2.施工要領」A.ひびわれの補修についてをご紹介します。

施工要領
A.ひびわれの補修について
 本仕様は、コンクリート外壁のひびわれ部にUカットを行い、接着性、止水性にすぐれた弾性モルタル(NY-エラスティックモルタル)を充填する工事に用いる。(図-1、写真-1~5)
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ひびわれの幅をクラックゲージなどで測定し、記録する。
ひびわれに沿ってコンクリート躯体にUカッターを用い、幅15mm、深さ12mmにコンクリートをカットし、エアなどで十分清掃を行う。
Uカット目地底部のひびわれにウレタン系シーリング材を充填する。
シーリング面およびUカット目地部にNY-エラスティックフィラーを塗布する。
Uカット目地内に弾性モルタルNY-エラスティックモルタルを金ベラなどを用い充填する。
施工後、夏期で12時間、冬期で24時間以上養生を行う。
完了後既設仕上げに倣い補修を行う。
気温3℃以下の施工は行わない。

 次回は、同じく「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」の「2.施工要領」B.外壁モルタルの浮きについて(NY-エラスティックアンカー併用) をご紹介します。

紹介しましたNY-エラスティックモルタル、かなりの弾性を有しているんですよ!

さて、この年の 1月17日当時神戸に住む女性(29才)が、日本で最初のエイズ患者として厚生省に認定され、1月20日、発病からわずか半年で、カリニ肺炎のため死去されました。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-05-05 11:56 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その16

こんにちはpikayoshi72です。

今回は「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」を5回に分けご紹介します。今回は2回目「1.DD-エラスティック工法の特徴」をご紹介します。

1.DDエラスティック工法の特徴

①浸透性の溶液で、劣化したコンクリートやモルタルの空隙を充填し表面強度の向上、中性
化 防止、防水性を付加する。

②弾性材料なので、躯体や外壁の伸縮挙動に対して柔軟に吸収追従して浮き、ひびわれの
再発を抑制する。

③水硬性の材料なので躯体や外壁の湿潤は適しており、工事中の降雨直後も問題ない。

④浮き部分、空隙界面にある各種の塵埃や粉化物質も「エラスティックスラリー」により湿潤
浸透し接着する。

⑤冬季の寒冷時の工事でも材料の温度、軟度変化が少なく作業性は良好で扱いやすい。

⑥注入作業性、流動性が良好で大量注入から少量の注入まで、空気圧や機械的圧力で
各種の注入機を使用して広く利用できる。

⑦材料はセット梱包されており、混合や取扱い上のミスをおかすことなく、正しい配合で混練
できる。

浮きの補修に関して、当工法と他の工法の性能比較を表-1に示す。

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 次回は、同じく「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」の「2.施工要領」A.ひびわれの補修について をご紹介します。

施工面がぬれていても使用できるところが他の材料と違うところです。

 さて、この年に帝銀事件(1948年発生)の死刑囚、平沢貞通被告が再審請求を実現させぬまま、八王子医療刑務所で、老衰と肺炎のため死去しました。歴代35人の法務大臣は刑の執行をさけ、逮捕から39年の牢獄生活を送ったのです。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-04-28 07:18 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その15

今回は「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」を5回に分けご紹介します。今回は1回目「まえがき」をご紹介します。
その前に「施工」という建築専門誌について簡単ですが説明します。発行は彰国社で正式には建築の技術「施工」といいます。創刊は昭和41年12月で、残念ながら2001年3月号をもって休刊となってしまいました。
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 近年、外壁下地回復仕上工法における問題点として、次の点があげられる。
 劣化したコンクリートやモルタル外壁の表面強度の回復と、ひびわれ、浮きの補修に関してである。下地が脆弱なまま部分的にひびわれ、浮きの補修を試みることは、軟弱地盤へ構造物を建設するようなもので、外壁の内面より改修する、つまり土台をまず強固なものにすることが重要であり、次に外壁の絶え間ない伸縮挙動の繰り返しに対する補修仕上工法を行うことである。
 この点に着目して開発されたものが、総合的な外壁の下地回復・仕上工法-グランドリフォーム、DD-エラスティックシステムである。
 本工法は、NTT建築部とニチエー吉田(株)により共同開発されたもので、劣化した外壁の耐久性の向上にNY-606表面強化剤を含浸塗布して、表層部を緻密な組織に変え劣化外的要因から保護し、耐久性の向上を図ることである。
 一方、従来外壁のひびわれ、浮きの補修工法としてエポキシ樹脂工法やUカットシーリング工法などにより、コンクリート躯体との接着固定化を行い一体化を図ってきたが、動きのあるひびわれ部や熱応力の繰返し作用により、再び外壁の弱い部分に新たなひびわれおよび仕上材の剥離の発生する恐れがあり、コンクリート躯体と外壁材の固定工法の改善が望まれていた。
 本工法は、ひびわれ部や浮きの挙動に追従できる変形能力にすぐれた弾性高分子材料を採用することにより下地および、仕上材の個々の動きを柔軟に吸収、追従し接着、耐浸透水性、耐久性にすぐれた工法である。

 以上が「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」のまえがきです。

 次回は、同じく「施工」1987年4月号特集・補修防水工法実例「“DDエラスティック工法”弾性モルタルを用いたひび割れの補修」の「1.DD-エラスティック工法の特徴」をご紹介します。

 現在も改修工事においてひび割れ処理には、この「DD-エラスティックシステム」を使用しています。

さて、この年11月6日に竹下内閣が発足しました。内閣大臣は [総理]竹下登、[副総理]宮沢喜一、[法務]林田悠紀夫、[外務]宇野宗佑、[大蔵]宮沢喜一でした。

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2008-04-21 07:28 | ブログ