「打放しコンクリートと共に」 その(103)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、月刊リフォーム2006年8月号、特集:シックハウス対策とリニューアル工事の環境対策、「打放しコンクリート若返りシステム(静岡県庁西館)」を2回に分け、お送りします。
本日は「1.はじめに」から「5.吉田工法の環境対応型諸材料」までをお送りします。
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1.はじめに
 「目がツーンとする」「頭やのどが痛い」「ゼイゼイする」この様な症状をシックハウス症候群と呼ばれ、建物の高気密化や化学物質を放散する建材・内装等の使用による室内空気汚染が原因とされている。その他、家具・日用品の影響、カビ・ダニ等のアルゲン化学物質に対する感受性の個人差など様々な要因が複雑に関係しているといわれている。日常生活に深く関わるシックハウス症候群は健全な生活環境の破壊に留まらず、健康をもむしばむことに繋がっている。
 この様なことを背景として小社は、自社開発の全ての材料について、徹底したシックハウス対策を講ずることとした。
 本稿は、シックハウス対策と併行して品質、環境及び労働安全マネジメントシステムによるリニューアル工事について打放しコンクリート若返りシステム(吉田工法)の施工事例に焦点をあて述べる。

2.建物概要
 予測される東海地震に備えて計画された静岡県庁西館耐震改修工事と併行して懸案となっていた外壁打放しコンクリートのリニューアルを実施することとなった。
建物概要は次の通り。

建物概要
 建物名称:静岡県庁西館
 所在地:静岡県静岡市追手町9番6号
 竣工年:昭和49年3月
 構造・規模:地下1階、地上10階
外壁面積:8、897㎡
工法:打放しコンクリート若返りシステム(吉田工法)

3.経過年数と劣化症状
 本建物の外周壁は打放しコンクリートで築後32年経過、今まで中高層建築のため適時適切なメンテナンスは施されていなかった。表層面は劣化損傷を示す防水塗材の性能低下、汚染物の付着、ひび割れ、露出鉄筋や不具合箇所の補修モルタルの剥落などが生じていた。新築時表層面に施された各種の補修材は厳しい自然環境に侵され機能喪失し、ひび割れからの酸性雨の浸透は内部鉄筋の錆化膨張を招きその膨張圧による被りコンクリートの押し出し剥離などによって、美観の喪失と周辺環境の安全性が脅かされる状況にあった。
4.リニューアル計画に基づく調査
 周辺環境の安全性確保と美観の回復を目的に外壁を構成する打放しコンクリート表層面を外観目視法に基づき調査した。主な調査項目は次の通り
a)ひび割れ b)露出鉄筋 c)コールドジョイント d)木コン跡 e)コンクリート欠損 
f)ジャンカ g)モルタルの浮き
 調査結果を外壁調査報告書にまとめ、調査結果に基づく項目に従い全項目集計表を作成した。次に集計表より、欠損部のマーキング図を作成、各階各面を図面上に明記した。外壁調査結果報告書の一部を抜粋し図1、写真1に示す。
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5.吉田工法の環境対応型諸材料
 シックハウス症候群の発生原因は冒頭述べた通りであるが、その対応策として建築内外装に使用される諸材料や建材から放散する化学物質を一切含有使用しないことにある。
 2004年生活環境を脅かす有害物質について、吉田工法に包括される新築及びリニューアル対応のシステム工法に使用される全材料について検討した。作業者の労働安全と放散する化学物質による環境汚染や健康被害の防止対策が目的である。使用材料を日本建築仕上材工業会(NSK)に審査登録した。
 その結果、安全性を確保する「F☆☆☆☆」を取得。自主表示登録番号を各材料に表示し、環境対策を期することとした。

次回は、2010年新春第一号となるわけですが、月刊リフォーム2006年8月号、特集:シックハウス対策とリニューアル工事の環境対策、「打放しコンクリート若返りシステム(静岡県庁西館)」の最終回「6.環境対応型材料の登録番号」から「9.おわりに」をお送りします。
今年も余すところあと3日となりました。当ブログをご購読いただきまして誠にありがとうございました。
皆様方におきまして良いお年を迎えられることを心からお祈りして、今年のブログを終わりたいと思います。
ありがとうございました。

さて、この年のニュース、2月16日、兵庫県神戸市ポートアイランド沖に、神戸空港が開港されました。

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-12-28 08:13 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(102)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、月刊建築仕上技術2006年7月号、特集:外壁汚れ防止・除去技術の最新動向「打放しコンクリート・光触媒仕上げシステムについて」を読み切りでお送りします。

1.はじめに
 深刻化する環境問題は打放しコンクリートの美観の維持と劣化防止に課題を提起している。
 築後間もなく発生する汚れの付着は、表層面の仕上げが意匠である打放しコンクリートの意匠性を阻害し美観の喪失を招き、同時に劣化損傷へと繋がる。特に都市部での打放しコンクリート外周壁の汚れは、油脂分とともにカーボンなどが付着したものが多く、その汚れは加速度的に拡大することにある。
 このような事象に対応した新技術・工法として、打放しコンクリート仕上げシステムをベースとして新開発された汚染対応型新光触媒(フッ化アパタイト被覆二酸化チタン光触媒)の特長、施工例などを交えて「打放しコンクリート光触媒仕上げシステム」を紹介する。

2.打放しコンクリートの現状と汚染対策
 打放しコンクリートの経年変化を知り得る人は限られているため維持保全の扱いに困惑しているのが現状である。打放しコンクリート建築に継続して携わる設計者、施工者は極めて少なく施主にあっては最初で最後といったところである。

3.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムとは
 光触媒には、打放しコンクリートに不可欠な防水機能はなく、表層面の強固な防水処理が必要である。
 従来から防水材として採用されている高耐久性フッ素樹脂やその他有機質防水材に光触媒を直接塗工した場合、紫外線エネルギーにより励起した酸化チタンはその強い酸化力でフッ素樹脂などの有機質防水材を分解し、防水機能を喪失させるため、保護するバリア材のコーティングを必要とした。新開発の光触媒仕上げシステムはフッ化アパタイトを被覆した二酸化チタンでバリア材は不要である。しかも下地の仕上げシステムとの付着は良好で打放しコンクリート仕上げの質感を保持しつつ防水性及び光触媒のセルフクリーニング機能を具備した打放しコンクリート光触媒仕上げシステムである。その基本原理とセルフクリーニング機能を図1に、また、同システムのフローチャートを図2に示す。
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(1)打放しコンクリートに於ける光触媒の機能と応用
 光触媒の塗布面に紫外線が当たると光触媒反応が起き酸化力により塗布面に接触する有機物を分解する。例えば有機物としてカビ、細菌、藻、ウイルス、油脂、車の排気ガス、タバコの煙とヤニ、VOC、悪臭(アンモニア)などである。
 光触媒反応は酸化チタンを消費しないので反応による酸化力は減退しない。したがって、反応は半永久的に継続し酸化力による浄化機能も持続することになる。
 光触媒のコーティングの膜厚はせいぜい1μm程度であり、塗膜に接触しているカーボン、油煙、細菌類真菌類などは光触媒による分解であるため、薄膜であってもその機能を十分に発揮することができる。
 一般的に都市部での建築外壁面の汚れは、油脂分とともにカーボンなどが付着した汚れが多く、光触媒によりこの油脂分が分解されて汚れの成分の付着力が弱められ、雨により洗い流される。
(2)光触媒の性状
 打放しコンクリート表層面に施した光触媒とフッ素樹脂の親水性の比較を写真1に示す。光触媒は表層面に馴染んでいるが、フッ素樹脂は水玉となっている。
 光触媒表面に太陽光が照射されることによって、表面に水酸基が発生し親水性となる。水の接触角は10~30°と極端に小さくなり、水玉にならない(図3)。
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 この水が光触媒の作用で分解された汚染物の間に流れ込み、セルフクリーニング機能が生じ付着した汚染物が流れ落ちる。この光触媒反応は酸化チタンを消費しないため、反応によって酸化力は減退しない。すなわち、半永久的に酸化力による浄化機能は維持される。
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4.おわりに
 都市部の環境悪化に伴う汚れの付着は必然的な事象として忍受されてきた。特に打放しコンクリートの著しい汚れは美観の喪失に留まらず建築物としての資産価値を低下させる。そのため定期的なクリーニングが施されそのコスト負担は大きなものであった。
 本システムを構成する新光触媒によって付着汚染物の分解作用と親水性によるセルフクリーニング機能によって打放しコンクリート建築に課せられた難題を解消し美観、資産価値の維持だけに留まらず良好な周辺環境の向上にも寄与するシステム工法である。
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 次回は、月刊リフォーム2006年8月号、特集:シックハウス対策とリニューアル工事の環境対策、「打放しコンクリート若返りシステム(静岡県庁西館)」お送りします。

 さて、この年の重大ニュース、1月20日、 2005年12月に輸入を再開した米国産牛肉にBSE危険部位の脊柱が混入していたことが判明し、全ての米国産牛肉の輸入手続きを再停止しました。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-12-21 07:17 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(101)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、建築技術2006年6月号特別寄稿「打放しコンクリートのリニューアル」読み切りでお送りします。
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はじめに
 予測される東海地震に備え,平成16年度静岡県庁西館耐震改修工事に合わせて,外壁打放しコンクリートの耐久性・安全性の付与および美観と意匠性の回復を図るため,リニューアルを実施した。ここに,その事例を紹介する。建物の概要は次のとおりである。

劣化現象
 本建物は築後31年経過,外壁打放しコンクリート表層面は紫外線,酸性雨,炭酸ガス,温湿度変化などの自然現象や大気中に拡散された各種の化学物質に加え,挙動・震動に起因した劣化外力を受け,中性化をはじめとしてひび割れや鉄筋腐食など表層面を著しく汚損摩耗した状況を呈していた。同時に美観と意匠性の喪失に留まらず,躯体の損傷にまで及びコンクリート片の剥落など安全性が脅かされるまでに至った。

劣化現象に対する調査
 県では東海地震に備えて,耐震化工事と併せて経年劣化した外壁打放しコンクリートのリニューアルを計画した。本計画の実施に先立ち,外壁全面にわたり外観目視法に基づき調査した。
 調査項目は,ひび割れ・亀甲状ひび割れ・コールドジョイント・鉄筋の露出・モルタルの浮き・欠損・ジャンカ・Pコン跡・木屑の9項目とした。調査結果に基づいて,発生原因の推定および劣化状況の調査結果を項目別に整理集計し,劣化損傷箇所を図面上に記録した。これらを纏めて,調査結果報告書を作成した。調査結果の一部東面外壁の劣化損傷箇所を図1に示す。
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改修システム
 本改修工事に適応した打放しコンクリート若返りシステム(吉田工法)のフローチャートを図2に示す。
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 工事はフローチャートに示された工程に従い施工した。最初に打放しコンクリート表層面の高圧洗浄,表面強化処理,欠損部のはつり露出鉄筋の防錆処理など躯体の補修強化を施し,表層面の復元,美観の回復後にトップコートには耐久性の高いアクリルシリコン樹脂を塗布した。これらの7工程のうち,主要ポイントは次の2工程である。中性化したポーラスな表層面に,表面強化処理剤の含浸塗布である。珪フッ化物を主成分とした浸透性水溶液で塗布することによって,中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し,不溶性のフッ化カルシウムが生成される。花崗岩のように結晶化しコンクリートの空隙が充填密実となり,躯体コンクリートの強度と防水性が付与向上される。次は工程4に示された生地調整である。劣化損傷したコンクリート表層面は汚染物の浸透と付着などにより黒ずみ,本来のコンクリートの色相は喪失している。このようなコンクリートの色相を回復させる生地調整工程は,コンクリート表層面の健全化と美観の回復に寄与し,甦らせる重要な工程である。

 おわりに
 本工事に供した打放しコンクリート若返りシステムは,1975年に開発され幾多の改良を加え今日に至っている。遡ること1989年,静岡県庁舎東館(地下1階・地上18階・12,100㎡)は,このシステムで施工した。以降17年経過したが劣化現象は見られず,打放しコンクリート表層面の維持保全状況は良好でメンテナンスフリーである。本工法による施工は500物件余を数え,45万㎡に及ぶ実績を有している。
 なお当社は,ISO9001(品質マネジメントシステム)とISO14001(環境マネジメントシステム),並びにOHSAS18001(労働安全衛生マネジメントシステム)の三つを統合したマネジメントシステムに基づき施工を実施している。
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 次回は、月刊建築仕上技術2006年7月号、特集:外壁汚れ防止・除去技術の最新動向「打放しコンクリート・光触媒仕上げシステムについて」を、お送りします。

 さて、この年の重大ニュース、9月26日、小泉内閣が総辞職し、阿部内閣が発足。組閣は[総理]安倍晋三、[総務]菅義偉、[法務]長勢甚遠、[外務]麻生太郎(再任)、[財務]尾身幸次、[文部科学]伊吹文明、[厚生労働]柳沢伯夫、[農林水産]松岡利勝 (後に自殺)、[経済産業]甘利明、[国土交通]冬柴鉄三(公明)、[防衛]久間章生(後に辞任)、[規制改革・行革]佐田玄一郎(後に辞任)。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-12-14 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(100)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、「打放しコンクリートと共に」 その(100)、建築仕上技術2005年8月号 特集:環境最重視の時代を担う湿式建材、「打放しコンクリート意匠ボードに塗材で断熱性・低汚染性を付与」、最終回「4.セルフクリーニング機能と性状」から「5.おわりに」をお送りします。

4.セルフクリーニング機能と性状
 部材表面の意匠性の維持保全は打放しコンクリートに不可欠要素である。本ボードに採用されるNY-セラクリーンは、ケイ酸塩を加水分解した無機コーティング材で無色透明の塗膜を形成し、意匠性を阻害することがない。塗膜の親水性の働きにより雨水が汚れの下に入り込み汚れが浮き上がり雨水と一緒に流れ落ちる。
 NY-セラクリーンの性状は次の様である。
 塗膜表面に-OH(親水基)が並び親水性表面となる。光触媒と異なるところは、直接塗布できることの外、日射を必要とせず水(雨)だけで汚れを除去する。ボードとの接触角が小さければ水は濡れ広がりセルフクリーニング効果を発揮し、大きければ水滴となり汚れの原因となる(図4)。
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5.おわりに
 本ボードの外断熱とセルフクリーニング機能は、深刻化する地球環境とそれに伴うヒートアイランド現象や大気汚染などに対応し、同時にこれら汚染物質の付着による建物外装を保護、美観の維持保全に寄与するものである。
 断熱効果による冷暖房効果の節減とセルフクリーニングによる美観の保持は建物の維持保全管理経費の削減に留まらず資産価値の低下を抑制することにも繋がる。 
 懸案であった小規模建築物に打放しコンクリート意匠を具備したボードの開発により、打放し建築が身近なものとなり低コストで手軽に設計・施工が可能となった。しかも外装用建材分野に打放し意匠を具備したボードに留まらず、二つの環境対策に呼応した外断熱とセルフクリーニング機能は将来ボードに限らず建築物の外装には必需化されるものと思われる。
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 次回は、建築技術2006年6月号特別寄稿「打放しコンクリートのリニューアル」をお送りします。

 それでは次回をお楽しみに!

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 「打放しコンクリートと共に」シリーズも100回を迎えることが出来ました。
 これも偏に多くの読者の方々に支えられながら出来たものと感謝いたしております。
 打放しコンクリート建築に携わって51年1970年の大阪万博を初めとして皇居新宮殿、新御所と著名な打放しコンクリート建築の仕上げに参加させて頂きました。
 爾来、地球規模の環境悪化に伴う経年劣化にあえぐ打放しコンクリートの再生工事と時代の変化を共に受けながら、新技術の開発を続けて参りました。
 これからも、信頼いただける打放しコンクリート仕上げ技術に一層の磨きを掛け邁進していく所存でございます。
 今後とも、どうか変わらぬご愛顧をよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

                                      By pikayoshi72
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# by pikayoshi72 | 2009-12-07 07:17 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(99)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、建築仕上技術2005年8月号 特集:環境最重視の時代を担う湿式建材、「打放しコンクリート意匠ボードに塗材で断熱性・低汚染性を付与」を2回に分けご紹介します。
本日は第1回、「1.はじめに」から「3.NY-ヒートカットの機能と効果」をお送りします。
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1.はじめに
 物の本質を表現する現代建築作法の一つに打放しコンクリートがある。特に素材の持つ質感の美しさと形成される空間は自然環境を演出し癒しを醸し出し魅了する。
 この様な背景から美術館、教会、学舎など比較的大型な建築に多く採用されてきた。多くの人々の心を引き付ける打放しコンクリート建築は、最近ではその範囲を広げ住宅、店舗など小規模建築にまで及んでいる。打放しコンクリート建築は、一方に於いて高度な施工技術を要し、しかもやり直しのきかないところにその難しさがある。
 特に小規模な打放しコンクリートは、難易度が高く不具合が避けられない。この様なことからニーズがあり乍ら対応に苦慮しているのが現状である。この様な実態に鑑み打放しコンクリートの意匠性を具現化しつつ、しかも工期短縮とコスト低減に対応誕生したものがノンクリート打放しボードである。本ボードは内外装二種で構成させている。本稿は新技術を導入、環境問題で懸案とされているヒートアイランド現象と深刻化する大気汚染による汚れの付着に対応したノンクリート打放しボード・外装用断熱タイプについて紹介する。
 打放しコンクリートは部材表面が仕上げとなるため、新築時に於いてのふぐあいは健全な表面に合わせて修復しなければならない。しかもその表面は直接自然環境に曝され劣化損傷の起因となっている。建物を取り巻く厳しい環境は改善の兆しはなく早期劣化が指摘され、その解決が急務となっている。
遡ること40年余り、打放しコンクリートの不具合の修復技術と、その後の経年劣化現象に対応した再生技術による多くの施工実績をフィードバック、表面に発生した各種の不具合に対応した修正及び再生後術の採用によって維持保全が長期間にわたるものとした。
 打放しコンクリートとは、英語で“Exposed Concrete”で部材表面にコンクリートが現れていればよいと定義されている。これを基として蓄積された仕上げ技術をボードに投入、表面が打放しコンクリート仕上げであること、基材にコンクリートでなく窯業系ボードであること、その表面をコンクリート色調の断熱塗材を施し打放しコンクリート調で仕上げすることにより意匠性と耐久性を確保、トップコートにセルフクリーニング機能を付与し製作されたものがノンクリート打放しボード・外装用断熱タイプである(写真1)。
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2.ノンクリート打放しボード・外装用断熱タイプの工程と意匠性
 打放しコンクリートの意匠性の具現化が本ボードのポイントである。すなわち表面をコンクリート色に調合した断熱塗材NY-ヒートカットを基材表面に塗布、次に意匠性を表現する型枠模様の造成後、劣化進行を阻止するフッ素樹脂を塗布する。これにより外断熱性を有した打放しコンクリートのイメージと表面の耐久性が付与される(図1)。
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3.NY-ヒートカットの機能と効果
 NY-ヒートカットの断熱効果のメカニズムは、特殊熱反射顔料と特殊セラミックが作用し、熱作用の高い近赤外線を効率よく反射・散乱し太陽熱の吸収を防ぎ高い断熱性を実現する(図2)。
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 在来の内断熱工法は断熱材側の躯体温度が外気と同じになり、躯体内が高湿度による結露状態になりやすく、湿度90%以上でカビを発生させ、カビを餌とするダニの繁殖にもつながる。この躯体内高湿化と結露発生を防止するには、外断熱工法が効果的である。断熱ボードは一般のボードと比較して熱伝導率が低く保温材としても機能するため、効率のよい断熱効果を生み出す。
 汎用ボードとノンクリート打放しボード・外装用断熱タイプの表面に室内ランプを照射し裏面温度を測定した結果をグラフに示す(図3)。
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 次回は、「打放しコンクリートと共に」 その(100)、建築仕上技術2005年8月号 特集:環境最重視の時代を担う湿式建材、「打放しコンクリート意匠ボードに塗材で断熱性・低汚染性を付与」、最終回「4.セルフクリーニング機能と性状」から「5.おわりに」をお送りします。

 さて、この年の重大ニュース、11月17日、国土交通省の発表により姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造が21件あることが発覚しました。うちマンション・ホテル12棟については震度5以上で倒壊の危険性が有ることが判明。以後、マスコミで大きく取り上げられ社会問題になりました。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-11-30 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(98)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、光アライアンス2005年3月号製品技術紹介「ノンクリート打放しボード外装用断熱タイプ」の最終回「4.ノンクリート打放しボード外装用断熱タイプ」、「5.まとめ」をご紹介します。

4.ノンクリート打放しボード外装用断熱タイプ
 太陽光線は、大きく3つにわけて、紫外線、可視光線、赤外線がある。
 このうち、紫外線の波長は約200nm〜380nm、可視光線が380nm〜760nm、最も長い赤外線が760nm以上で、可視光線は地上に光を、赤外線は熱を送っている。
 通常の仕上げに使用される塗材は、熱作用の高い近赤外線を吸収するため温度上昇が大きい。熱を反射する塗材として、遮熱塗料がある。その多くは屋根に使用され塗料中に配合された特殊熱反射顔料や特殊セラミック(シラスなど)が、熱作用の高い近赤外線を効率よく反射・散乱し、太陽熱の吸収を防ぎ、また、塗膜にいったん吸収された熱を特殊セラミックの働きにより熱放射する。これらの複合作用により、高い遮熱性能を実現している。
 これらの性状を保持しつつ、打放しコンクリート表層面の意匠性と耐久性を具現し、かつ、外断熱機能を付与させるものを目的として開発されたものが、NY−ヒートカットである。
 新開発の断熱塗料NY−ヒートカットは、打放しコンクリート意匠を具現させコンクリート素材感を表現する断熱塗料で、今まで実用化は不可能とされていた。NY−ヒートカットの開発によってノンクリート打放しボード外装用外断熱タイプが実現したものである。
 図3はボードの断熱作用を比較実験したもので、室内ランプにて一定時間照射したボードの裏面温度を測定した。結果が示すように、従来品は15分で70.4℃に達したのに対し断熱タイプは57.4℃で、13.0℃の温度抑制差がみられる。
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5.まとめ
深刻化する都市環境の悪化に対応した諸材料の開発は多様化しつつある。特にヒートアイランド現象に対応した建築材料は、ますます進化を促していくであろう。
 ノンクリート打放しボード断熱タイプは表層面が打放しという独特の外壁建材で、打放しをより身近なものとし、しかも、環境対応機能を付与した外断熱という新しい技術を付加し実用化させたところに、外壁材としての特異性がある。
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次回は、建築仕上技術2005年8月号 特集:環境最重視の時代を担う湿式建材、「打放しコンクリート意匠ボードに塗材で断熱性・低汚染性を付与」をお送りします。

さて、この年の重大ニュース、12月22日、厚生労働省が2005年人口動態統計の年間推計を発表しました。結果、1899年の統計開始以来初めて人口自然減という結果に!

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-11-23 09:07 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(97)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、光アライアンス2005年3月号製品技術紹介「ノンクリート打放しボード外装用断熱タイプ」を2回に分けご紹介します。
本日は第1回「1.はじめに」から「3.内断熱と外断熱」をご紹介します。
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1.はじめに
 打放しコンクリートは、国内外の著名な建築家により歴史的な建造物に広く採用されてきた。その背景は構造体としてのコンクリートの特性にも大きく関わるが、コンクリート自体が持つ素材としての重厚感と簡素な造形の美しさが卓越していることにある。
 こうした素朴な仕上げにもかかわらず打放しコンクリート建築の施工においては、万全の施工管理と、細心の注意を払ってしても、不具合の発生は避けられない。
 このような観点から、打放しコンクリート表層面は意匠性や耐久性に関わる極めて重要な部分といえる。
 不具合に対応した補修、経年劣化に適応した再生技術の外、最近の環境汚染による打放しコンクリート表層面の汚れの付着は著しく、竣工後数年で意匠性まで阻害する例など美観の維持保全上大きな問題として提起されている。
 このようなことを背景に、新築時の脱型直後の表層面に生じた不具合と劣化外力を直接受け、劣化進行の起点となる汚染物の付着に注目し、打放しコンクリート表層面の不具合と経年劣化に対応した補修・再生の技術工法が開発された。
 これらの不具合対応工法や経年劣化により発生した不具合に対して行われる補修・再生工法を応用し、窯業系のサイディングボードに導入開発されたものが『ノンクリート打放しボード』である。
 ノンクリート打放しボードは内装・外装の仕上げ用建材として構成され、Pコンと呼ばれる穴がリアルに再現してある。また、内装用はケイカル板でホルムアルデヒド放散等級F☆☆☆☆を取得。外装用は窯業系のサイディングボードで不燃認定も取得している。
 用途としては、今まで高価で技術的にも困難とされる打放しコンクリートに替り、一般店舗の内装やモデルルーム、木造や鉄骨造など比較的小規模な打放しコンクリート意匠の内外壁として利用されている。

2.ヒートアイランド現象
 都市の中心部の地上気温が周辺部より高くなる現象をヒートアイランド現象という。都市内外の気温差は1年を通じてあるが、とくに風のない夜間は差が大きく、また夏よりも冬のほうが温度差が大きいという傾向がある。
 その主な原因は、①アスファルトの道路は昼間の太陽の熱射で深層まで高温となり、夜間に蓄積された熱が放出されること②樹木は大量の水を空気中に吐き出しており、緑地面積が小さくなると植物や地表からの水分の蒸発量が減少し、蒸発潜熱が減少すること③都市への人口の集中により各種のエネルギーの使用量が増え、排熱量が増加すること④高層建物などの壁面で熱が多重反射するため都市の構造物が加熱され易くなることなどがあげられる。
 これらのことが悪循環になって、都市部の気温は年々上がり続けている。
 その対策としては、車の排気ガスの排出抑制、工場で発生する排熱の回収、住宅建設における断熱材の使用、太陽エネルギーの使用、風力発電システムの導入、ゴミ焼却排熱の利用などの人工排熱の低減化、緑の倍増、道路の沿道の緑化、建物の屋上の緑化、多自然型河川の造成、雨水の涵養と湧水の安定などの都市における緑や水辺の保全があげられる。

3.内断熱と外断熱
 前記したような環境問題を背景として、一般的な建物においては省エネ目的の断熱材が採用されている。その多くは内側に断熱層を設ける内断熱工法がほとんどである。
 内断熱は断熱材側の躯体温度が外気温と同じになり躯体内に高湿度あるいは結露状態ができやすく、湿度90%以上ではカビを発生させ、カビを餌とするダニの繁殖にもつながる。
 一方外断熱工法は、躯体内高湿化、結露発生の防止に有効的で、冷暖房効率も効果的で、太陽光の吸収・蓄熱作用を遮断し、温度上昇を抑制する効率的な工法である。(図1参照)
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 次回は、最終回「4.ノンクリート打放しボード外装用断熱タイプ」、「5.まとめ」をお送りします。

 さて、この年の重大ニュース、3月25日~9月25日の会期で、「愛知万博」愛・地球博が開催された。テーマは「自然の叡智」、サブテーマは「宇宙、生命と情報」「人生の『わざ』と知恵」「循環型社会」と抽象的でわかりにくいものとなっていました。 出展費用が無料で支援費が出ることもあり、発展途上国からも多数の参加がありました。目玉は冷凍マンモスで、総合的な万博は35年ぶりの開催。2200万人が来訪したが、 「食中毒対策の一環」と称して当初手作り弁当の持ち込みが禁止されましたが、さすがに疑問の声が多く出たため、最終的にはお弁当の持ち込みは可能となりました。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-11-16 07:18 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(96)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は、FINEX2005年1、2月号我が社の新材料・新工法「ノンクリート打放しボード・外断熱タイプ」の最終回「4.セルフクリーニング機能」から「8.おわりに」にまでをご紹介します。

4.セルフクリーニング機能
 部材表面の意匠性の維持保全は打放しコンクリートに不可欠要素である。本ボードに採用されるNY-セラクリーンは、ケイ酸塩を加水分解した無機コーティング材で無色透明の塗膜を形成し、意匠性を阻害することがない。塗膜の親水性の働きにより雨水が汚れの下に入り込み汚れが浮き上がり雨水と一緒に流れ落ちる機能を有する(図4)。
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・ノンクリート打放しボードとの接触角が小さければ水は濡れ広がりセルフクリーニング効果を発揮し、大きければ水滴となり汚れの原因となる(図5)。
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・NY-セラクリーンの性状
塗膜表面に-OH(親水基)が並び親水性表面となる。光触媒との異なるところは、有機材料に直接塗布出来ることの外、日射を必要とせず水(雨)だけで汚れを除去する。
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5.ノンクリート打放しボードの積層塗材の概要
   基材表面に施される仕様は次の通りである。
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6.ノンクリート打放しボードの仕様と施工
 基材はケイ酸カルシウムを主原料とし、高温で養生した窯業系サイディングボードである。長期にわたり安定した性能を有し、過酷な環境においても劣化はほとんどない。高温・高湿などに対して、高性能の浸透性吸水防止材を基材全面に含浸塗布されている。常に降雨にさらされる表面には、三層にわたる防水機能が施されている。施工に際しての事項は次の通り。
■施工高さの目安は13m以下または、      
地上3階建て以内とする。
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 ■ビス打ち縁端距離
縁端距離は30㎜以上(相欠り部分を除く)を確保する。
縁端距離:材料周辺部におけるビス打ち部の小口からの距離
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■胴縁サイズ
 胴縁は所定のサイズを使用する。
 ★木下地:45×21同等以上
 ★鉄骨下地:  -100×50×20×2.3同等以上
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■胴縁の方向
 ノンクリート打放しボードをヨコ張りする場合はタテ胴縁、タテ張りの場合はヨコ胴縁を基本とし、ノンクリート打放しボードの長手方向に直角に胴縁を入れ、固定することによって、より強度(風圧や衝撃)に対して有利に働くためで、また、材料の挙動(反り、伸縮など)を抑制する。
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■胴縁間隔
胴縁間隔は455㎜以下
■施工上の注意
ノンクリート打放しボードを張る場合は、四周をコーキングする。
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7.ノンクリート打放しボードの仕様
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8.おわりに
 本ボードの外断熱・セルフクリーニング機能は、深刻化する地球環境に伴うヒートアイランド現象などに対応し、同時に汚染物質の付着による建物外装を保護、美観の維持保全に寄与するものである。
 断熱効果による冷暖房経費の節減とセルフクリーニングによる美観の保持は建物の維持管理経費の削減に留まらず資産価値の低下を抑制することに繋がる。
懸案であった小規模建築物に打放しコンクリート意匠を外装に供与、低コストで手軽に設計・施工が可能となった。従来なかった外装用建材分野に打放し意匠ボードを提供、外断熱とセルフクリーニングの二つの環境対応機能は将来建築物の外装には必需化されるものと思われる。

次回は、光アライアンス2005年3月号製品技術紹介「ノンクリート打放しボード外装用断熱タイプ」をお送りします。

さて、この年の重大ニュース、2月7日、愛知県常滑市に中部新国際空港(通称セントレア)が開港しました。 常滑市沖を埋め立てた海上空港ですが、社長がトヨタグループ企業の社長だったこともあり、通称「トヨタ空港」とも呼ばれています。

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-11-09 07:00 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(95)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、FINEX2005年1、2月号我が社の新材料・新工法「ノンクリート打放しボード・外断熱タイプ」を2回に分けご紹介します。
 本日は「1.はじめに」から「3.NY-ヒートカット断熱材の機能と効果」をご紹介します。
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1.はじめに
 物の本質を素直に表現する現代建築の作法の一つに打放しコンクリートがある。特に素材の持つ量感の美しさと形成される空間は自然環境を演出し癒しを醸し出す。
 この様な背景から美術館、教会、学舎など比較的大型な建築に多く採用されて来た。多くの人々の心を奪う打放しコンクリートは、その範囲を拡げ最近では、住宅、店舗など小規模建築にまで及んでいる。打放しコンクリート建築は、一方に於いて高度な施工技術を要し、しかもやり直しのきかないところにその難しさがある。
 特に小規模な打放しコンクリートは難易度が高く、不具合が避けられない。この様なことから大きなニーズがあり乍ら対応に苦慮しているのが現状である。この様な実態に対し打放しコンクリートの意匠性を具現化し、しかも工期短縮とコスト低減に対応したものがノンクリート打放しボードである。本ボードは内外装で構成されている。本稿はヒートアイランド現象を意識した外装用ボード・外断熱とそのルーツを紹介する。
 打放しコンクリートは部材表面が仕上げであり、表面は直接自然環境に曝され劣化損傷のもととなる。不具合は健全な表面に合わせ補修しなければならない。建物を取り巻く環境悪化は日に日に著しく、早期劣化が指摘され、その解決が急務とされている。
 遡ること40年余り、打放しコンクリートの不具合の補修と、その後の劣化事象に対処する技術開発と施工、経年劣化の追跡調査を重ね、新旧打放しコンクリートに不可欠な不具合に供する修整技術と劣化損傷に対する補修・再生技術を蓄積フィードバックし、維持保全が長期間にわたり期待できる技術(吉田工法)を確立した。本工法は1993年日本建築仕上学会学会賞技術賞を受賞した。
 打放しコンクリートとは、英語で “Exposed Concrete” で部材表面にコンクリートが現れていればよいと定義されている。これを基として蓄積された技術をボードに導入、表面が打放しコンクリート意匠仕上げであること、基材にコンクリートでなく窯業系ボードであること、その表面を吉田工法で仕上げすることにより意匠性と耐久性を付与、完成されたものがノンクリート打放しボード・外断熱タイプである。
2.ノンクリート打放しボード・外断熱タイプの意匠性
 打放しコンクリートの意匠性の具現化が本ボードのポイントである。すなわち表面をコンクリート色に調合した断熱塗材NY-ヒートカットを基材表面に塗布、意匠性を表現する型枠模様の造成、次に劣化進行を阻止するフッ素樹脂を塗布する。これにより打放しコンクリートのイメージと表面の耐久性を付与する。
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3.NY-ヒートカット断熱材の機能と効果
 現在、建物の断熱工法として、内断熱と外断熱がある。
建物の内側に施工される内断熱工法は、断熱材側の躯体温度が外気と同じになり、躯体内が高湿度による結露状態になりやすく、湿度90%以上でカビを発生させ、カビを餌とするダニの繁殖にもつながる。
この躯体内高湿化と結露発生を防止するには、外断熱工法が効果的である。そこで、断熱塗料NY-ヒートカットを基材外部に塗布し断熱層を設けたものがノンクリート打放しボード・外断熱タイプである。
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 NY-ヒートカットの断熱効果のメカニズムは、特殊熱反射顔料と特殊セラミックが作用し、熱作用の高い近赤外線を効率よく反射・散乱することにより太陽熱の吸収を防ぎ高い断熱性を実現する。また、
外部環境の温度変化を受けにくいことによる省エネ性が挙げられる(表1、図2)。
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 次回は、FINEX2005年1、2月号我が社の新材料・新工法「ノンクリート打放しボード・外断熱タイプ」「4.セルフクリーニング機能」から「8.おわりに」をお送りします。

 さて、この年の重大ニュース、4月25日、午前9時18分ごろ、兵庫県尼崎市で、JR西日本・福知山線の快速電車の先頭車両4両が脱線、うち2両が線路から約6メートル離れたマンションに激突し、107人が死亡、549人が負傷し、JR史上最悪の大惨事となった。 快速電車は脱線事故直前に1分半遅れで伊丹駅を出発し、塚口駅を通過した後、右カーブに入るため制限速度が時速70キロに決められている区間を、時速108キロで走行していたことが判明した。
 それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2009-11-02 08:55 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(94)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、防水ジャーナル2004年10月号特集:きれいな外壁仕上げの方法、工事事例報告と題して、
(RC造・事務所の場合)「打放しコンクリート外壁における光触媒仕上げ」を読み切りでご紹介します。
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◆工事概要
工事名称:社団法人四国建設弘済会高知支所施設新築工事
所在地:高知県高知市南新田町2番30号
用途:事務所
施主:社団法人 四国建設弘済会
設計者名:プランツアソシエイツ
工期:平成15年2月
敷地面積:約1,200㎡
施工面積:約500㎡
構造:鉄筋コンクリート造
施工:ニチエー吉田株式会社

◆工事詳細
 工程:漆喰壁の上に、①NY-Aシーラー②NY-7090③NY-8090トップコート④NY-バリアコート⑤NY-光触媒仕上げ
施工仕様および工法:打放しコンクリートSEFシステム(特許:吉田工法)+光触媒仕上げシステム(特許:吉田工法)
使用材料:ニチエー吉田製品

◆材料および工法・仕様選択の経過
 本物件は四国に建設された事務所の外壁に光触媒仕上げを施した物件である。
ここで当社の光触媒仕上げシステムについての概略を説明する。一般的に光触媒とは光が照射されることにより、それ自身は変化をしないが化学反応を促進する物質のことをいう。広く一般的に建築材料等で言われている光触媒とは、酸化チタンを主原料としたものであり、有機物を分解することができる。有機物の分解はさまざまな効果を発生させる。脱臭、抗菌、防汚、浄水、大気浄化など、排気ガス(NOx、SOx)をはじめ、シックハウス症候群の要因といわれるホルムアルデヒドや、タバコのにおいの成分であるアセトアルデヒド、その他アンモニア臭など、身の周りのさまざまな空気の汚れを除去することができる。
 しかし、光触媒自体には防水機能はなく、現在主流とされ最も多く採用されているフッ素樹脂やその他の有機質防水材に光触媒を塗布した場合、有機質防水材である塗膜を分解し、防水機能を喪失させてしまうことがある。
 このようなことから光触媒仕上げによる外壁に塗膜型の防水性とセルフクリーニング機能の両立は不可能であった。
 そこで、当社の光触媒仕上げシステム(図1参照)は、光触媒と塗膜型防水材との間にバリアコート(過酸化チタンを主成分とする材料)を介在塗布することで問題点を解決した。打放しコンクリートに防水性、セルフクリーニング性にプラス超耐久性付与を可能としたもので、全く異なる発想から生まれた高次元新技術である。
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◆工事の特殊性
 打放しコンクリートに於いては、光触媒仕上げ自体がまだ特殊な工事であるといえる。当社においても、施工事例が少なく、経年劣化による性能変化などフィールドに於ける問題点が課題としてある。光触媒塗布工事は従来の塗装の概念を全く変えるもので、テスト施工や塗布方法の選定等、多くの実験を繰り返し、実用化することができた。(図2参照)
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◆まとめ
 長年の課題であった打放しコンクリート外壁の高耐久性付与は、今日ではほぼ解消されたといえる。しかし、深刻化する都市部の環境悪化に伴う汚れの付着は必然的な事象として、避けて通ることのできないものとされていた。特に打放しコンクリート表層面の著しい汚れは資産価値を減少させるため、美観と資産価値を維持させるために定期的なクリーニングが必要でそのコスト負担は大きなものであった。
 本システムを構成する光触媒によって、汚染物の分解作用と親水性によるセルフクリーニング機能は建築に対してその果たす役割は計り知れないものがある。今日まで外壁の宿命とした汚染物の付着が、光触媒の実用化によって美観の維持だけでなく建築の資産価値と周辺環境の向上に寄与する点からも画期的な新技術といえよう。
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                   写真1 光触媒仕上げシステム施工物件
 次回は、FINEX2005年1、2月号我が社の新材料・新工法「ノンクリート打放しボード・外断熱タイプ」をお送りします。

 さて、この年の重大ニュース、3月13日、 九州新幹線の新八代駅-鹿児島中央駅間が開業しました。また、日本が小さくなりました!

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-10-26 07:24 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(93)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は、光アライアンス2003年10月号、特集:光触媒の応用「打放しコンクリート光触媒仕上システム」を2回に分けご紹介します。
本日は最終回「3.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムとは」、「4.おわりに」をご紹介します。

 3.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムとは
 光触媒には、打放しコンクリートに不可欠な防水機能はなく、しかも防水材として多く採用されている高耐久性フッ素樹脂やその他有機質防水材に光触媒を塗工した場合、紫外線エネルギーにより励起した酸化チタンはその強い酸化力でフッ素樹脂などの有機質防水材を分解し、防水機能を喪失させる。この様な有機質防水材を保護し、光触媒の機能を付与する技術と浸透型無機質防水材をベースとした光触媒仕上げシステムで構成される。何れも打放しコンクリート仕上げの質感を保持しつつ防水性、防汚性にセルフクリーニング機能を具備した工法である。
3-1.光触媒仕上げシステムの3タイプ
 打放しコンクリート光触媒仕上げシステムには、STEP1・STEP2と無機質防水材からなるNY-バリアコートとの組み合わせの3タイプがある。各々を組み合わせることにより、コンクリート表層面に強固な防水層を形成する。NY-バリアコートを除き、STEP1・STEP2の工程に無機バインダーをコーティングし各々にトップコートの光触媒を塗工する。この積層工程によって、防水性・防汚性・セルフクリーニング機能が付与される。
3-2.NY-バリアコートの特長と性状
 NY-バリアコートは粘度と表面張力が水より小さいためコンクリートに深く浸透し、コンクリートの遊離石灰、シリカ質と反応して、内部の空隙を疎水性無機質結晶で充填し緻密化する。緻密化した疎水層は雨水の浸透を防ぎコンクリートに強固な無機質防水層を形成する。
 NY-バリアコートの性状を表-1に示す。
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3-3.光触媒仕上げシステムの基本原理とセルフクリーニング機能
 光触媒仕上げシステムの基本原理とセルフクリーニング機能を図-4に示す。
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3-4.打放しコンクリートに於ける光触媒の機能と応用
 光触媒の塗布面に紫外線が当ると光触媒反応が起き酸化力により塗布面に接触する有機物を分解する。例えば有機物としてカビ、細菌、藻、ウイルス、油脂、車の排気ガス、タバコの煙とヤニ、VOC、悪臭(アンモニア)などである。
 光触媒反応は酸化チタンを消費しないので反応による酸化力は減退しない。したがって、反応は半永久的に継続し酸化力による浄化機能も持続することになる。
 光触媒のコーティングの膜厚はせいぜい1μm程度であり、塗膜に接触しているカーボン、油煙、細菌類真菌類などは光触媒による分解であるため、薄膜であってもその機能を十分発揮することができる。
 一般的に都市部での建築外壁面の汚れは、油脂分とともにカーボンなどが付着した汚れが多く、光触媒によりこの油脂分が分解されて汚れ成分の付着力が弱められ、雨により洗い流される。また、光触媒の二酸化チタン薄膜中には銀や銅も存在している。したがって、光触媒の働きだけでなく銀イオンや銅イオンによる殺菌・抗菌作用も利用されている。そのため、光が照射されない場合でも殺菌・抗菌作用が期待できるとされている。
 新築又は経年劣化した打放しコンクリート仕上げに於いてSTEP1及びSTEP2を施した後、無機系材料によるバリア層を設ける。すなわち、STEP1・STEP2の仕上げ防水材は有機系塗膜であるため、直接光触媒を表面に塗布すると防水塗膜が光触媒の作用を受けて分解されてしまう。したがって、無機系材料による保護塗膜(バリア層)を設け、光触媒を塗工仕上げとする。

3-5.光触媒の性状
 打放しコンクリート表層面に施した光触媒とフッ素樹脂系の親水性の比較を写真-3に示す。光触媒は表層面に馴染んでいるが、フッ素樹脂は水玉となっている。
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 光触媒表層面に太陽光が照射されることによって、表面に水酸基が発生し親水性となる。水の接触角は10~30°と極端に小さくなり、水玉にならない〔図-5〕。
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 この水が光触媒の作用で分解された汚染物の間に流れ込み、セルフクリーニング機能が生じ付着した汚染物が流れ落ちる。この光触媒反応は酸化チタンを消費しないため、反応によって酸化力は減退しない。すなわち、半永久的に酸化力による浄化機能は維持される。

3-6.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムのフローチャート
 打放しコンクリート光触媒仕上げシステムのフローチャートを図-6に示す。
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1)打放しコンクリート仕上げシステムSTEP1・2の工程完了後、無機バインダーを塗工する。NY-バリアコートは表層面不具合を修整消去して後、塗工する。NY-バリアコートは防水層を形成し、且つ無機バインダー機能を果たす。
2)無機バインダー及びNY-バリアコートの乾燥確認の上、光触媒を20~50g/㎡を吹付塗工する。
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4.おわりに
 長年の課題であった打放しコンクリートの高耐久性付与は、STEP1・STEP2によりほぼ解消したといえよう。しかし、深刻化する都市部の環境悪化に伴う汚れの付着は必然的な事象として、避けて通ることが出来ないものとされていた。特に打放しコンクリート表層面の著しい汚れは資産価値を減少させるため、美観と資産価値を維持するために定期的なクリーニングが必要でそのコスト負担は大きなものであった。
 本システムを構成する光触媒によって、汚染物の分解作用と親水性によるセルフクリーニング機能は、打放しコンクリート建築に対してその果たす役割は計り知れないものがある。今日まで打放しコンクリートの宿命とした汚染物の付着が、光触媒の実用化によって、美観の維持だけでなく打放しコンクリート建築の資産価値と周辺環境の向上に寄与する点からも画期的なことといえるではなかろうか。

次回は、防水ジャーナル2004年10月号きれいな外壁仕上げの方法と題して、(RC造・事務所の場合)
「打放しコンクリート外壁における光触媒仕上げ」お送りします。

さて、この年の重大ニュース、11月29日、情報収集衛星2機を載せたH2Aロケツト6号機が補助ロケットを分離できずに軌道をそれたため、地上からの破壊信号で爆破され、12月9日には1998年の打ち上げ後、エンジンや電源系の故障が続いた日本初の惑星探査機「のぞみ」の火星周回軌道投入が断念された。宇宙開発に一体いくら費やしたんでしょうか!

それでは次回をお楽しみに!
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# by pikayoshi72 | 2009-10-19 07:00 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(92)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、光アライアンス2003年10月号、特集:光触媒の応用「打放しコンクリート光触媒仕上システム」を2回に分けご紹介します。
 本日は第1回「1.開発の背景」「2.システムの概要」をご紹介します。
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1.開発の背景
 打放しコンクリートは、国内外の著名な建築家により歴史的な建造物に多く採用されてきた。その背景はコンクリートが持つ素材としての重厚感と簡素な造形の美しさが卓越していることにある。
 こうした素朴な仕上げにも拘わらず打放しコンクリート建築の施工においては、やり直しのきかない一発勝負で、建設にあたり万全の施工管理と、細心の注意を払ってしても、不具合の発生は避けられないことにある。
 とりわけ表層面は仕上げ面であるため不具合の発生は、打放しコンクリートの生命である表層面の意匠性を損ない、
 しかもそれらに起因した汚れの発生と耐久性の低下が指摘されている。このような観点から打放しコンクリート表層面は、意匠性や耐久性に関わる極めて重要な部位といえる。
 現状においては不具合に対応した補修、経年劣化に適応した再生技術など、幾つか方法はみられているが、不具合が発生した後にそれらの部分のみの補修を行うなど、確立した技術とは言い難いのが現状である。しかも最近の環境汚染による打放しコンクリート表層面の汚れの付着は著しく、竣工後数年で意匠性まで阻害する例など美観の維持保全上大きな問題として提起されている。
 このようなことを背景に、新築時脱型直後の表層面に生じた不具合と劣化外力を直接受け、劣化進行の起点となる汚染物の付着に注目し、避けて通ることの出来ない打放しコンクリート表層面の不具合と経年劣化に対応した補修・再生の技術・工法を開発した。次いで、それらの結果を踏まえて打放しコンクリート表層面の汚染防止を目的に意匠性、耐久性の観点からの汚染防止システムを検討し、打放しコンクリート建物の汚染防止に対応させた光触媒仕上げシステムを具現化した。
 新築打放しコンクリート建築に不可欠な不具合対応工法及び経年劣化により発生した不具合に対し、これらの補修・再生後に施す汚染防止工法が、今回紹介する打放しコンクリート光触媒仕上げシステムである。
 脱型直後より一貫した打放しコンクリート補修・再生工法に光触媒をドッキングしたもので、打放しコンクリートに要求される恒久的な美観の維持が目的とされる。汚染防止機能付与による美観の確保は維持保全上に於いて画期的なもので、美観保持を期するフリーメンテナンスの具現化は、打放しコンクリート建築に求められていた至要課題に対し革新的な付加技術として期待されるものである。
2.システムの概要
 打放しコンクリートは、躯体そのものが仕上げのため、他の建築施工の作法とは大きく異なる。つまり、型枠に打設されたコンクリートそのものが仕上げとなり、一般建築に施される脱型してから表層面を装飾し仕上げとする工法とは一線を画する。すなわち、手を加えない表層面にその特異性と施工上の難しさがある。
 打放しコンクリート光触媒仕上げシスムに不可欠な補修・再生工法の流れは次のようである。打放しコンクリート建物のライフサイクルを設計・施工・維持保全に大別し、それに対応すべき表層面の仕上げシステムの概要を図−1に示す。
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図中に示されるように、施工中から竣工までに施されるべき仕上げをSTEP1、築後の経年・改修期に施すべき仕上げをSTEP2と呼ぶこととして分類している。以下、それらについて述べる。

2−1.STEP1
 フローチャートを図−2に示す。
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 ここで意図した仕上げ技術は、脱型時点の不具合の補修から耐久性向上のための表層面仕上げまで一貫性を持たせ、設計施工段階で予測不可能な表層面の事象やジャンカ、コールドジョイント、色ムラなどの不具合写真1−6の発生に対しても合理的に対応処置するものである。 図中には、主な使用材料と作業内容を併記している。
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 特に不具合部の処理においては、不具合部を健全部に合わせて修復する。すなわち、打放しコンクリート表層面に点在した不具合に対して、その各々に不具合箇所周辺の生地色に適合する材料を供し、不具合箇所の痕跡を残さない材料・工法により健全化し、打放しコンクリートの表層面と違和感のない美観を確保するものである。
 最終工程での表層面仕上げでは、耐候性防水材の塗布による表層面の長期的維持と耐久性の向上を狙いとして施される。
2−2.STEP2
 フローチャートを図−3に示す。
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築後の経年劣化写真7−10の程度に応じて分別している。
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 すなわち、劣化が軽度の場合には、汚染物の除去を主とした素地調整の上で表層面仕上げを施し耐久性を付与する。これに対して、中度・重度の場合には珪フッ化物を主成分とした強化剤をコンクートに塗布含浸して表層面の強化を図り、次いで劣化部を充填材により処理する。重度の場合は、さらに中性化抑制材を塗布したのちに、型枠模様を復元し、長期的維持と耐久性の向上の観点から最終工程での表層面仕上げを施す。
 以上、打放しコンクリートの誕生からリニューアルに至る過程で表層面に生じる各種の不具合に対し、STEP1及びSTEP2による対応技術について報告した。これらの技術・工法の共通点は、不具合ヶ所を違和感のない補修とし躯体と一本化させることにある。
 素材感が生命である打放しコンクリートは補修・再生によって質感を損ない、設計意図が喪失する様なものであってはならない。STEP1・STEP2によって、打放しコンクリートに拘わる保護・再生の技術的問題点は解消し得るといえるが、深刻化する環境問題は打放しコンクリートの美観の維持に新たな課題として提起されている。
 すなわち、築後間もなく発生する汚れの付着である。表層面が意匠である打放しコンクリートは、汚れの付着によって素材の生命である意匠性が阻害され美観の喪失を招き資産価値の低下に繋がる。
 特に都市部での打放しコンクリートの外周壁の汚れは、油脂分とともにカーボンなどが付着したものが多く、その汚れは加速度的に拡大することにある。
 この様な事象に対応した新技術・工法として、「打放しコンクリート光触媒仕上げシステム」が挙げられる。打放しコンクリート表層面の汚れに対し自浄作用を付与したセルフクリーニング機能を有したフリーメンテナンスの新工法である。

 次回は、光アライアンス2003年10月号、特集:光触媒の応用「打放しコンクリート光触媒仕上システム」の最終回「3.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムとは」、「4.おわりに」をお送りします。

 さて、この年の重大ニュース、10月25日、開発費725億円もかけ打ち上げた環境観測技術衛星「みどり2号」が、電源系統の故障から音信不通に陥り、打ち上げからわずか10ヵ月で運用断念に追い込まれてしまいました。何という無駄遣い!

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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# by pikayoshi72 | 2009-10-12 07:07 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(91)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回はを月刊建築技術2003年8月号テクニカルビュー「セルフクリーニング機能を持った外断熱打放しALC外壁」を読み切りでご紹介します。
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■セルフクリーニング機能を持った外断熱打放しALC外壁
 ニチエー吉田は、ALCパネルの外壁の打放しコンクリートフェイス仕上げに特殊な外断熱モルタルを用いた外断熱・防水・セルフクリーニング機能を備えた新工法、「ALC打放しフェイス外断熱仕上げシステム」を開発した。
 同工法は、ALCパネルに熱伝導率の小さい同社の「NY-外断熱モルタル」を重ね、さらに付着した汚れを降雨で除去する作用を持つ「NY-セラクリーン」を重ねたものである。
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■外断熱とセルフクリーニング機能を兼ね備える
 同工法の外断熱・セルフクリーニング仕上げは、ALCパネルにNY-8090シーラー、NY-外断熱モルタル、NY-Eフィラー、型枠模様、NY-9090(防水)、NY-セラクリーン塗膜を施したものである。これにより従来の内断熱ではALC外壁が外気に直接さらされているため、外壁が外気温に同調することで結露が発生し、カビが生えやすいなどの問題があったが、外断熱とすることでこれを防止することが可能になった。また、外壁表面に仕上げを施すので、一般にポーラスナ打放しALCの表面を密実なものとすることができ、高い耐久性と防水性能の向上を持つものとしている。
 セルフクリーニング効果は、メチルシリケードを特殊な加工で加水分解した無機コーティング材で、塗布すると常温で無色透明の親水性薄膜を形成し、付着した汚れを降雨で除去するNY-セラクリーンによるものである。同剤を一番外側のトップコートとして施すと親水性の薄膜となり、水との接触角が小さくなるので水が表面に広がりやすくなる。これにより雨水による汚れの除去が可能となる。
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 同様にセルフクリーニング効果を発揮する光触媒は、有機材料に直接塗布ができず、また汚れを除去するために水(雨)のほか、紫外線(日光)照射が必要となるのに比較して、同剤は、有機材料に塗布が可能かつ日光に関係なく水のみで効果を発揮するので方位に関係なく使用できるといった長所がある。
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 次回は、光アライアンス2003年10月号、特集:光触媒の応用「打放しコンクリート光触媒仕上システム」をお送りします。

 さてこの年、11月29日、イラク北部を車で移動していた在英大使館参事官、在イラク大使館3等書記官が襲撃、殺害された。日本人外交官2人がCPA(連合暫定施設当局)に出向し占領行政の一翼を担っていたという事実はほとんど報道されていませんでした。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-10-05 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(90)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向を4回に分けご紹介します。本日はその最終回「6.打放しコンクリート光触媒仕上げシステム」、「7.おわりに」をご紹介します。

6.打放しコンクリート光触媒仕上げシステム
 光触媒には、打放しコンクリートに不可欠な防水性はなく、しかも防水材として多く採用されている超耐久性フッ素樹脂やその他有機質防水材に光触媒を塗工した場合、紫外線エネルギーにより励起した酸化チタンはその強い酸化力でフッ素樹脂などの有機質防水材を分解し、防水機能を喪失させてしまう。そこで打放しコンクリート仕上げの質感を保持しつつ防水性、防汚性にセルフクリーニング機能を付与した工法が打放しコンクリート光触媒仕上げシステムである。
 本システムは、打放しコンクリートの保護・再生システム(STEP1・STEP2)と組み合わせることにより、防水性、防汚性、高耐久性プラス、セルフクリーニング機能を具備したもので、打放しコンクリートの最新仕上げ技術である。トップコートにコーティングされた光触媒に紫外線が当たることによって活性酸素が形成され、その分解力と降雨によって表層面に付着した汚れを洗い流し除去する。この汚染物の分解とセルフクリーニング機能を有した光触媒を積層した新仕上げシステムである。

6-1 光触媒仕上げシステムの3タイプ
 打放しコンクリート光触媒仕上げシステムには、STEP-1・STEP-2と無機質防水材からなるNY-バリアコートとの組み合わせの3タイプがある。各々を組み合わせることにより、コンクリートの表層面に強固な防水層を形成する。NY-バリアコートを除き、STEP1・2に無機質バインダーをコーティングし各々トップコートに光触媒を塗工する。この積層工程により、防水性・防汚性・セルフクリーニング機能が付与される(写真9)。
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6-2 光触媒仕上げシステムの基本原理
 光触媒仕上げシステムの基本原理を図8に示す。
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6-3 NY-バリアコートの特長と性状
 NY-バリアコートは粘度と表面張力が水より小さいためコンクリートに深く浸透し、コンクリートの遊離石灰、シリカ質と反応して、内部の空隙を疎水性無機質結晶で充填し緻密化する。
 緻密化した疎水層は雨水の浸透を防ぎコンクリートに強固な無機質防水層を形成する。
 NY-バリアコートの性状を表1に示す。
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6-4 光触媒の性状
 打放しコンクリート表層面に施した光触媒とフッ素樹脂系の親水性の比較を写真10に示す。光触媒は表層面に馴染んでいるが、フッ素樹脂は水玉となっている。
 光触媒表層面に太陽光が照射されることによって、表面に水酸基が発生し親水性となる。水之接触角は10~30°と極端に小さくなり、水玉にはならない(図9)。
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 この水が光触媒の作用で分解された汚染物の間に流れ込み、セルフクリーニング機能によって付着した汚染物が流れ落ちる。この光触媒反応は酸化チタンを消費しないため、反応によって酸化力は減退しない。即ち半永久的に酸化力による浄化機能は維持される。

6-5 打放しコンクリート光触媒仕上げシステムのフローチャート
 打放しコンクリート光触媒仕上げシステムのフローチャートを図10に示す。
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1)打放しコンクリート仕上げシステムSTEP-1・STEP-2の工程完了後、無機バインダーを塗工する。NY-バリアコートは防水層を形成し、且つ無機質バインダー機能を果たす。
2)無機バインダー及びNY-バリアコートの乾燥確認の上、光触媒を20~50g/㎡を吹付塗工する。

7.おわりに
 長年の課題であった打放しコンクリートの高耐久性付与は、STEP-1・2によりほぼ解消したといえよう。しかし、深刻化する都市部の環境悪化に伴う汚れは必然的な事象として、避けて通ることが出来ないものとされてきた。特に打放しコンクリート表層面の著しい汚れは資産価値を減少させるため、美観と資産価値を維持するためには、定期的なクリーニングが必要である。
 光触媒によって生ずる自浄作用の防汚性、セルフクリーニング機能は、その果たす役割は計り知れないものがある。今日まで打放しコンクリートの宿命とした汚染物の付着が、光触媒の実用化によって、美観の維持だけでなく建物の資産価値の観点からも、画期的なことといえるのではなかろうか。

 次回は月刊建築技術2003年8月号テクニカルビュー「セルフクリーニング機能を持った外断熱打放しALC外壁」を読み切りで、お送りします。

 さてこの年、最後の重大ニュースは、2月1日、米スペースシャトル・コロンビア号が大気圏再突入時に空中分解、搭乗員7人全員が亡くなりました。NASAは8日コロンビア号空中分解の原因をシャトル左翼の断熱材損傷が直接原因と、最終報告をしていました。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-09-28 07:26 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(89)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向を4回に分けご紹介します。本日は第3回「4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP−2」、「5.打放しコンクリート若返りシステムの工程」をご紹介します。

4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP−2
 打放しコンクリートの表層面は、脱型直後から日射・酸性雨・海塩粒子・温湿度変化等の自然現象とその他化学物質などの化学的作用や挙動・振動に起因した物理的作用を受け、これらに起因して、ひび割れ・中性化・鉄筋腐食や凍害などコンクリート表層面より躯体へと著しく劣化汚損し、意匠性の喪失と躯体の損傷にまで至る(写真5〜8)。
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 この様な打放しコンクリートの劣化損傷にはSTEP−2で対応する。

4−1 調査診断と選定
 竣工後の初期点検(2年以内)及び定期点検(10年以内の周期で実施)によって、経年期における劣化損傷状況の調査診断をし、その結果に基づき再生システムの選定をする。

4−2 調査診断
 調査方法は、外観目視法により調査項目は、ひび割れ・露出鉄筋やジャンカなど9項目とする。調査結果に基づいた原因の推定と劣化項目に従い集計表に詳細記録する。
調査項目は下記の通りである。
ひび割れ(0.5㎜未満及び0.5㎜以上)・露出鉄筋・コールドジョイント・ジャンカ・モルタル補修跡・モルタル浮き・木コン跡・欠損

4−3 STEP−2を構成する再生システム
 経年劣化した打放しコンクリートの再生技術としてSTEP−2を提案、調査診断結果に基づく劣化度に対応した再生システムを選定する。適用再生システムの概要は次の通りである(図3)。
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1)打放しコンクリートFMシステム(劣化度・中度)
 打放しコンクリートの表層面が中度の劣化状態で、表層面を活かしつつコンクリート強化剤を含浸塗布することによりコンクリートを内面より強化し、劣化部に対しては、限定消去法で対応し更にトップコート塗膜型に防水材を塗布する。
2)打放しコンクリート若返りシステム(劣化度・重度)
 築後15〜30年余りで劣化損傷が重度と診断されたもので、劣化した打放しコンクリートを内外面から補修・再生する。露出鉄筋の防錆処理を始めとする本格的な補修・修整を施し、元設計の型枠模様を復元甦らせ更に高耐久性防水材を塗布する。

5.打放しコンクリート若返りシステムの工程
 劣化度に準じた打放しコンクリート再生システム、STEP−2のうちFMシステム及び若返りシステムについてフローチャートに基づき工程の詳細を示す。なお、劣化度・軽度については、劣化損傷がFMシステムに比較し、軽微であることの外、工程は同一であるため割愛する。

5−1 素地調整
(1)コンクリートの表層面を高圧水で洗浄し、汚れやほこり等を除去。
(2)空隙を伴う砂利・アバタは叩き落とす。
(3)表層面に付着した鉄筋の錆及び染みは、ケミカルエースR(当社製)を用い洗浄。

5−2 NY−606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、1㎡当たり200gのNY−606を含浸塗布する。
 NY−606は各種特殊添加剤を加えた珪弗化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性の弗化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。
 NY−606を含浸塗布することにより、不溶性の弗化カルシウムが固着され花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性が向上する。また、酸に対する抵抗性が向上し表面症状が改善されコンクリート自体の耐久性が付与される(図4)。
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2CaCO3+MgSiF6=2CaF2+MgF2+SiO2+2CO2

5−3 欠損部の処理
 各種劣化欠損部に対する処理方法を以下に示す(図5)。
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5−3−1 露出鉄筋部
(1)腐食している鉄筋の周囲を入念に斫り取る。
(2)錆化鉄筋は、ワイヤーブラシ・電動ケレン機等を使用し、錆を除去する。
(3)錆化鉄筋にNY−特殊防錆材を塗布。
(4)NY−7000プライマーを下地部分に塗布する。
(5)斫りの深さにより1〜3回に分け、NY−調合樹脂モルタルを塗り付ける。コンクリートの表層面(仕上面)より1〜2㎜程度下げる。

5−3−2 ひび割れ部(コールドジョイント含む)
(1)ひび割れに沿って幅12㎜程度、深さ15㎜程度にU字型の溝を設ける。
(2)Uカット溝部に付着している斫り片、粉塵を刷毛で除去。
(3)Uカット溝底部にウレタンプライマーを塗布。
(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを充填。Uカット溝底部から5㎜厚とし、充填後はヘラで押さえ下地と密着させて表層面は平滑に仕上げる。
(5)NY−エラスティックフィラーを塗布する。
(6)NY−エラスティックモルタルを充填する。(注:0.2㎜以下のひび割れは、NY−エラスティックモルタルによるシゴキ充填)

5−3−3 既存補修モルタル部
(1)浮きヶ所の既存モルタルは除去する。
(2)刷毛・ブラシ等で汚れ・ほこり等を除去する。
(3)NY−7000プライマーを下地部分に塗布する。
(4)斫りの深さにより1〜3回に分け、NY−調合樹脂モルタルを充填(図6)。
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表層面から1〜2㎜程度下げる。

5−4 修整用NY−調合樹脂モルタルのコテ塗り
 欠損部を処理した箇所の周辺部との色違いがあるため、修整用NY−調合樹脂モルタルをコテ塗りしコンクリート表層面(仕上面)に準じて平滑に仕上げる。

5−5 素地全面生地調整
(1)表層面の色相調整をする。NY−調合樹脂生地調整材(NY−7000)〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕
(2)ひび割れに追従するNY−調合樹脂生地調整材(NY−8000)〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕の塗布。

5−6 型枠模様復元
 カラーコート〔特殊灰汁:浸透剤:添加剤〕及び型枠模様造成具により復元する。

5−7 トップコート
 浸水抵抗の高い緻密な皮膜を形成、高耐久性を付与するトップコートNY−8090(9090)を塗布する(図7)。
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 以上、打放しコンクリートの誕生からリニューアルに至る過程で表層面に生じる現象に対し、STEP−1及びSTEP−2の対応技術について報告した。
 素材感が生命である打放しコンクリートは補修・再生によって質感を損ない、設計意図が活かされない様なものであってはならない。STEP1・2によって、打放しコンクリートに拘わる保護・再生の技術的問題点は解消し得るといえるが、最近の環境問題は打放しコンクリートに新たな課題を提示している。
 その顕著なものに築後間もなく発生する汚れがある。表層面が意匠である打放しコンクリートは、汚れによって素材の生命である意匠性が阻害されて美観を低下させる。
 特に都市部での打放しコンクリートの外周壁の汚れは、油脂分とともにカーボンなどが付着したものが多く、その汚れは加速度的に拡大することである。
 この様な事象に対応した技術として、「打放しコンクリート光触媒仕上げ」が上市された。打放しコンクリート表層面の汚れに自浄作用を付与したセルフクリーニング機能を有した新工法である。

 次回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向の最終回「6.打放しコンクリート光触媒仕上げシステム」、「7.おわりに」をお送りします。

 さてこの年の重大ニュースは、10月1日、東海道新幹線品川駅が開業、東京・六本木に六本木ヒルズが開業されました。そして12月1日、地上デジタルテレビジョン放送が東京、大阪、名古屋で放送開始されました。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-09-21 07:49 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(88)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向を4回に分けご紹介します。本日は第2回「3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1」をご紹介します。

3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1
3-1 脱型と保護養生
 打放しコンクリート表層面の保護対策は、脱型と同時に対応することが好ましい。竣工に至るまでの間、打放しコンクリートは多種多様な関連作業による表層面の汚損が避けられない。その外、脱型時に生じる不具合は、打設技術によるもの以外に不注意な作業者によって生じたものも少なくない。脱型時のバールのかけ方の配慮不足による、角欠けや表層面の摩擦傷等があり、寸法出しのための墨打ちなどは除去が困難で、打放しコンクリート現場では安易に扱われる作業の一つである。
 一般的には、工事期間中の表層面保護に、ビニールシート等による養生が行われているが、表層面を緻密に覆う事が難しいだけでなく、自然環境下でのコンクリートの養生固化を阻害し、しかも風雨に煽られ現場作業者の災害に繋がることが懸念される。
 上層階のコンクリート打設に伴うセメントノロ、型枠のアクや鉄筋の錆汁は表層面を流下付着する。工事竣工まで放置することにより内部に浸透付着し、より強固となり、洗浄しても除去できないため表層面を汚損し意匠性を著しく低下させる。
 脱型から竣工に至る間の打放しコンクリート表層面の養生方法に次のようなものがある。
 型枠脱型後、直ちに表層面にガードシーラーを塗布する。本材は防汚性を有し、上層階のコンクリート打設時に生ずる諸々の汚染物に対する付着防止作用とコンクリートの乾燥養生に不可欠な毛管空隙を塞ぐことなく保護し気体の透過性を確保することを目的としたものである。
 防汚材・ガードシーラーは打放しコンクリート表層面の素材感を失うことがなく、従来のシート養生方法と比較して簡易で作業上の安全性とコストに効果的である。

3-2 建設現場の現状
 多くの施工現場では、不具合箇所の発生は予測していないため、その対応策も施工計画の中に含まれていないところが多い。
 現実には不具合のない打放しコンクリートは稀で、様々な不具合が生じ対策に苦慮している。しかも発生した不具合箇所の対処方法によっては、最終の仕上材の塗布によって前工程の処置材料の変色・斑模様などによって、表層面の意匠性を著しく阻害し施工不良に繋がる。
 特に注意を要する仕上材の一つにフッ素樹脂仕上材がある。高耐久性の付与を目的として塗布されるが、打放しコンクリート表層面の不具合箇所の補修材が、塗布することによる変色・ムラ・濡れ等の意匠性を阻害することが多い。そのため塗材に着色顔料を添加して補修跡変色を抑制する方法が行われているが、打放しコンクリートの素材の持つ質感を低下させることがある。

3-3 補修と仕上げの分類
 現状では打放しコンクリートに生じた不具合箇所に関する施工分野の位置づけがなく、下地補修と仕上げの仕切が不明確である。仕上げ分野は表層面の意匠性を復元するための不具合箇所の修整・消去と、それを保護、高耐久性を付与する仕上材の塗工で、不具合箇所のポリマーセメントモルタルによる下地補修は前段階の左官工事の分野とされる。

3-4 不具合ヶ所の調査
 ガードシーラーによる養生後、表層面の不具合箇所の調査が不可欠である。ひび割れ・ジャンカ・コールドジョイント・色ムラは当然として、養生前に付着したセメント・セメントノロ、エフロレッセンスや錆汁など頑固な汚れも不具合ヶ所に準ずる。

3-5 不具合ヶ所の下地形成
 ジャンカ・コールドジョイントや角欠け等、欠損ヶ所の形状・大きさ等状況により下地形成に適応した補修材の調合をする。
 下地補修モルタルは付着・引張強度(0.98N/㎜2以上)が満たされるポリマーセメントモルタルであればよい。成形補修は左官工により仕上げ面より2~3㎜下げて成形する。

3-6 養生
 ポリマーセメントモルタルによる下地補修後、乾燥養生する。養生不足のまま次の修整消去は、補修材のひび割れや変色等の不具合を引き起こす。

3-7 表面洗浄
 表層面に付着した汚染物の洗浄除去とし、洗浄によって除去出来ない浸透した汚染物は、表層面に対応した消去技術により行う。

3-8 不具合箇所修整消去技術
 不具合箇所補修成形後、表層面に散在する不具合箇所の修整・消去工程は次の通りである。
 あらかじめ工場生産された6種類の既調合の修整・消去材と、同一修整消去材で塗工された6種類の選定プレートを不具合ヶ所周辺健全部に合わせ修整消去材を選定する。
 従来、職人の熟練度と勘によって、その都度不具合箇所に合わせた修整消去材の調合を施工現場にて行っていたが、本選定プレート方式により合理的な精度の高い修整消去材の選定施工を具現した。
 選定された修整消去材を下地成形補修材の乾燥養生を確認の上、表層面に合わせ塗工する。

3-9 修整消去材の仕様と性能
1.不具合箇所周辺の表層面と一体化した色調であること。
2.変色・ひび割れや乾燥収縮がない。
3.不具合箇所の痕跡を修整消去し意匠性の復元が容易であること。
4.仕上げ塗材による濡れ・ムラ・変色等修整消去材に変化や影響を与えないこと。
5.経年劣化が躯体コンクリート同等、ないしはそれ以上の性能であること。

3-10 修整消去ヶ所の型枠模様造成
 修整消去後、喪失した型枠模様をカラーコート及び特殊工具により造成する。

3-11 特殊浸透性吸水防止材の塗布
 打放しコンクリートのピンホール及び毛管空隙の防水下地として特殊浸透吸水防止材Aシーラーを含浸塗布する(150g/㎡)。

3-12 塗膜型防水材の塗布
 A・Bタイプ共、特殊浸透性吸水防止材Aシーラーを塗布乾燥養生後、塗膜型防水材 NY-7090を2回塗布する(図2)。
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3-13 高耐久性防水材、Aタイプ・Bタイプ
 NY-7090塗布乾燥養生後、フッ素又はアクリルシリコン樹脂系防水材を塗布する。塗布することで濡れ色・ムラや変色等、不具合消去箇所を際立たせ表層面の意匠性を損なうことなく一体化し意匠性と高耐久性を付与する。

 次回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向の第3回「4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2」、「5.打放しコンクリート若返りシステムの工程」をお送りします。

 さてこの年の重大ニュースは、イラク復興支援特別措置法を前提に非戦闘地域を特定できないまま、世論の反対が多い中で、対米関係を重視する小泉首相の判断で12月9日、自衛隊のイラク派遣が決定。26日に航空自衛隊の先遣隊が出発しました。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-09-14 07:23 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(87)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向を4回に分けご紹介します。本日は第1回「1.はじめに」および「2.打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)について」ご紹介します。
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1.はじめに
 打放しコンクリートは、国内外の著名な建築家により歴史的な建造物に多く採用されてきた。近年に至ってそのコンクリートが持つ素材としての重厚感と簡素な造形の美しさが多くの人々の心をとらえ生活空間の癒しにまで至っている。
 こうした素朴な仕上げにも拘わらず打放しコンクリート建築の施工においては、やり直しのきかない一発勝負で、建設にあたり万全の施工管理と、細心の注意を払ってしても、不具合の発生は避けられないことが多い。
 とりわけ表層面は仕上げ面であるため不具合の発生は、打放しコンクリートの生命である表層面の意匠性を損ない、しかもそれらに起因した汚れの発生や耐久性の低下が指摘されている。このような観点から打放しコンクリート表層面は、意匠性や耐久性に関わる極めて重要な部位といえる。
 これらを背景として、打放しコンクリートに求められる基本的要素として美観と耐久性が挙げられる。
 つまり新築時に於いては、躯体表層面と意匠性を保護するための保全技術が不可欠であり、一方、経年劣化した打放しコンクリートにあっては、再び新築時の躯体表層面の強化と意匠性回復を期した耐久性付与によるリニューアルが求められる。
 そこで、打放しコンクリート仕上げの脱型時より始まる維持保全技術と経年劣化による再生技術に至る一貫した保全とリニューアルで構成するシステムについて提案する。
 新旧打放しコンクリートに生じた各々の対応技術として、新築にあっては維持保全の付与、劣化損傷したものには再び甦らせ健全化を目的とする。新築時の快適な居住空間の再生は、衰退する街づくりの復活と良好な社会資産の再構築に供し、スクラップ アンド ビルドを抑制することにより地球環境の保全にも貢献するといえる。
 打放しコンクリート仕上げの計画・設計段階から改修・再生に至るまでの要点を、21のキーポイントにピックアップし、PEC21(パーフェクト エンジニャリングド コントロール21)として提示、これらを打放しコンクリートのライフサイクルに纏めた。

2.打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)について
 使用者・設計者・施工者により構成し、各々の立場から求められる要求項目を抽出し、脱型から仕上げまでの問題点を明確にして、一貫性を持たせたものとする。例えば、脱型するまで予測不可能な表層面に生じるジャンカ、コールドジョイント、はらみ、ピンホールや錆汁など不具合(写真1~4)に対し、対応処置を事前想定し、完璧な打放しコンクリート仕上げとする過程をSTEP-1とする。

 次に築後、経年劣化した打放しコンクリートを再び甦らせる若返り工程をSTEP-2とした。STEP-1とドッキング、打放しコンクリートのライフサイクルとし体系的に構成したものである。
 打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)に於ける2つのシステム対応図を図1に示す。

 次回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向の第2回「3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1」をお送りします。

 さてこの年の重大ニュースは、米軍がイラクに侵攻!3月20日、ブッシュ米大統領はイラクに対する武力攻撃を開始し、英国・オーストラリアもこれに追従した。圧倒的な軍事力で4月9日バグダッドを陥落。フセイン体制は事実上崩壊したが、多くの国民が殺され主要機能が破壊され、治安も悪化、国内は混乱した。「イラクが隠し持っているとされる大量破壊兵器を将来テロリストに渡す可能性がありアメリカが攻撃されるおそれがある」というあいまいな理由での先制攻撃だったが、いつの間にか「フセイン政権の打倒とイラク市民の解放」と目的がすり替えられ、石油利権も見えかくれした。国連や国際世論の反対を無視したアメリカ独走に対して、世界中で平和を求める市民レベルでの反対運動が巻き起こった。

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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# by pikayoshi72 | 2009-09-07 07:15 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(86)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」を3回に分けご紹介します。本日は最終回「4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2」、「5.調査診断と選定」、「6.打放しコンクリート若返りシステムの工程」「7.おわりに」をご紹介します。

4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2
 打放しコンクリートの表層面は、日射・酸性雨・海塩粒子・温湿度変化等の自然現象とその他大気化学物質などの科学的作用や挙動・振動に起因した物理的作用を受ける。そしてそれは、ひび割れ・中性化・鉄筋腐食や凍害など著しく汚損磨耗し、意匠性の喪失や躯体の損傷にまで及ぶ。この様な打放しコンクリートの劣化損傷にSTEP-2で対応する。

4-1調査
 調査方法は、外観目視法により調査項目は、ひび割れ…露出鉄筋やジャンカなど9項目とする。調査結果に基づいた原因の推定と劣化項目に従い集計表に詳細記録する。
 調査項目は下記の通りである。
 ひび割れ・露出鉄筋(0.5m.未満)・露出鉄筋(0.5m.以上)・コールドジョイント・ジャンカ・モルタル補修跡・モルタル浮き・木コン跡・欠損
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4-2STEP-2を構成する改修再生システム
 経年劣化した打放しコンクリートの改修再生技術としてSTEP-2を提案、調査診断結果に基づく劣化度により施工システムを選定する。
 適応再生システムは次の通りである。
1)打放しコンクリートFMシステム(劣化度・中度)
 打放しコンクリートの表層面が中度の劣化状態で、表層面を生かしつつコンクリート強化剤を含浸塗布することによりコンクリートを内面より強化し、劣化部に対しては、限定消去法で対応し更にトップコート塗膜型防水剤を塗布する。
2)打放しコンクリート若返りシステム(劣化度・重度)
 築後、15~30年余りで劣化損傷が重度と診断されたもので、打放しコンクリート仕上げの耐久性を内外面から改修再生する。露出鉄筋の防錆処理を始めとする本格的な補修・修整を施し更に高耐久性を付与し元設計の型枠模様を復元甦らせる。

5.調査診断と選定
 竣工後の所業点検(2年以内)及び定期点検(10年以内の周期で実施)によって、経年期における劣化損傷状況の調査診断をし、その結果に基づき施工システムの選定をする。

6.打放しコンクリート若返りシステムの工程
 劣化度重度に対応した打放しコンクリート若返りシステムのフローチャートに基づいて述べる。なお、FMシステムはトップコートの違いのみであるため紙面の都合で割愛する。
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6-1素地調整
(1)コンクリートの表層面を高圧水で洗浄し、汚れやほこり等を除去。
(2)空隙を伴う砂利・アバタは叩き落す。
(3)表層面に付着した鉄筋の錆及び染みは、ケミカルエースR(当社製)を用い洗浄。

6-2NY-606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、1㎡当たり200gのNY-606を含浸塗布する。
 NY-606は各種特殊添加剤を加えた珪弗化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性の弗化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。
 NY-606を含浸塗布することにより、不溶性の弗化カルシウムが固着され花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性が向上する。また、酸に対する抵抗性が向上し表面症状が改善されコンクリート自体の耐久性が付与される。
               2CaCo₂+MgSiF₂=2CaF₂+SiO₂+2Co₂

6-3欠損部の処理
 各種劣化欠損部に対する処理方法を以下に示す。
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6-3-1露出鉄筋部
(1)腐食している鉄筋の周囲を入念に斫り取る。
(2)錆化鉄筋は、ワイヤーブラシ・電動ケレン機等を使用し、錆を除去する。
(3)錆化鉄筋にNY-特殊防錆剤を塗布。
(4)斫りの深さにより1~3回に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。コンクリートの表層面(仕上げ面)より1~2mm程度下げる。
6-3-2ひび割れ部(コールドジョイントを含む)
(1)ひび割れに沿って幅12mm程度、深さ15mm程度にU字型の溝を設ける。
(2)Uカット溝部に付着している斫り片、粉塵を刷毛等で除去。
(3)Uカット溝底部にウレタンプライマーを塗布。
(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを充填。Uカット溝底部から5㎜厚とし、充填後はヘラで押さえ下地と密着させて表層面は平滑に仕上げる。
(5)NY―エラスティックフィラーを塗布。
(6)NY-エラスティックモルタルを充填する。(注:0.2mm以下のひび割れは、NY-エラスティックモルタルによるシゴキ充填)
6-3-3既存補修モルタル部
(1)浮きヶ所の既存モルタルは除去する。
(2)刷毛・ブラシ等で汚れ・ほこり等を除去する。
(3)NY-7000を下地部分に塗布する。
(4)斫りの深さにより1~3回に分け、NY-調合樹脂モルタルを充填、表層面から1~2mm程度下げる。

6-4修整用NY-調合樹脂モルタルのコテ塗り
 欠損部を処理した箇所の周辺部との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルをコテ塗りし、コンクリート表層面(仕上面)に準じて平滑に仕上げる。

6-5素地全面生地調整
(1)表層面の色相調整をする、NY-調合樹脂生地調整材(NY-7000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]
(2)ひび割れに追従するNY-調合樹脂生地調整材(NY-8000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透材:特殊添加剤]の塗布。

6-6型枠模様復元
 カラーコート[特殊灰汁:浸透材:添加剤]及び型枠模様造成具により復元。

6-7トップコート
浸水抵抗の高い緻密な皮膜を形成、高耐久性を付与するトップコートNY-8090(9090)を塗布。(図5)
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7.おわりに
 打放しコンクリートの誕生からリニューアルに至る過程で表層面に生じる現象に対し、STEP-1及びSTEP-2の対応技術について現状を報告した。
 素材感が生命である打放しコンクリートは補修・改修によって質感が損なう様なものであってはならない。40年余の打放しコンクリートのライフサイクルに携わった者として、ご参考にしていただければ幸いである。

【参考文献】は割愛させていただきます。

 次回は月刊建築仕上技術2003年7月号「打放しコンクリートの仕上工法最新動向」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、12月1日JR東日本は東北新幹線の盛岡-八戸間を開業。結果、東京-八戸間を最短2時間56分で運行。日本がますます小さくなりました!

 それでは次回をお楽しみに!
 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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# by pikayoshi72 | 2009-08-31 07:24 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(85)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」を3回に分けご紹介します。本日はその第2回「3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1」をご紹介します。

3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1
3-1脱型と保護養生
 打放しコンクリート表層面の保護対策は、脱型と同時に施工することが好ましい。竣工に至るまでの間、打放しコンクリートは多種多様な関連作業による表層面の汚損が避けられない。その他、脱型時に生じる不具合は、打設技術によるもの以外に不注意な作業者によって生じたものも少なくない。脱型時のバールのかけ方の配慮不足による、角かけや表層面の摩擦傷等があり、寸法出しのための墨打ちなどは除去が困難で、打放しコンクリート現場で改善されない作業の一つである。
 一般的には、工事期間中の表層面保護に、ビニールシート等による養生が行われているが、表層面を緻密に覆う事が難しいだけでなく、自然環境下でのコンクリートの養生固化を阻害し、しかも風雨に煽られ現場作業者の危険性を招く。
 上層階のコンクリート打設に伴い、流下するセメントノロ、型枠のアクや鉄筋の錆汁は表層面に付着し、竣工時まで放置することにより浸透付着は強固となり、表層面を汚損し意匠性を著しく低下させ洗浄しても除去できない。
 脱型から竣工に至る間の打放しコンクリート表層面の養生方法に次のようなものがある。
 型枠脱型後、直ちに表層面にガードシーラーを塗布する。本材は防汚性を有し、上層階のコンクリート打設時に生ずる諸々の汚染物に対する付着防止作用とコンクリートの乾燥養生に不可欠な毛細空隙を保護し気体の透過性を確保する。
 ガードシーラーは打放しコンクリート表層面の素材感を失うことがなく、従来のシート養生方法と比較して簡易で作業上の安全性とコストに効果的である。

3-2建築現場の現状
 多くの施工現場では、不具合箇所の発生は予測していない。従ってその対応策も計画の中にないところが多い。現実には完璧な打放しコンクリートは稀で、様々な不具合箇所が生じ対策に苦慮している。しかも発生した不具合箇所の処置消去方法によっては、仕上材の塗布によって生ずる変色・斑模様は、表層面と意匠性を著しく阻害する。
仕上材の材質によっては、築後の経年劣化の進行度合いに大きな格差が生じ、高耐久性を付与する上で打放しコンクリート仕上げの重点項目の一つである。
打放しコンクリート仕上げは、表層面の不具合箇所を消去し痕跡を残さず且つ、塗材による変色・ムラ・濡れ等の意匠性を阻害するものであってはならない。
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3-3補修と仕上げの分類
 現状では打放しコンクリートに生じた不具合箇所に関する施工分野の位置づけがなく、下地補修と仕上げの仕切が不明確である。仕上げ分野は表層面の意匠性を復元するための不具合箇所の修整・消去と、それを保護、高耐久性を付与する仕上げ材の塗工で、ポリマーセメントモルタルによる補修は前段階の下地左官工事に区別される。

3-4不具合箇所の調査
 養生後、表層面の不具合箇所の調査。ひび割れ・ジャンカ・コールドジョイント・色ムラ等があり、セメント・セメントノロ・エフロレッセンスや錆汁など頑固な汚れの不具合箇所に準ずる。

3-5不具合箇所の下地成形
 ジャンカ・コールドジョイントや角かけ等、欠損箇所の形状・大きさ等状況により下地成形に適応した補修材の選定をする。
 下地補修モルタルは付着・引張強度(0.98N/㎟以上)が満たされるポリマーセメントモルタルであればよい。成形補修は左官工により仕上げ面より2~3mm下げて成形する。

3-6養生
 ポリマーセメントモルタルによる下地補修後、乾燥養生する。養生不足のままの修整消去は、ひび割れや変色等を引き起こす。

3-7表面洗浄
 表層面に付着した汚染物の洗浄除去。洗浄によって除去出来ないものは、消去技術による。

3-8不具合箇所修整消去
  不具合箇所補修成形後、表層面に散在する不具合箇所の修整・消去は次の通りである。
 あらかじめ工場生産された6種類の既調合の修整・消去材と、同一修整消去材で塗工された6種類の選定プレートから構成される。表層面に点在する不具合箇所周辺の生地表層面に6種類の選定プレートを比較し選定する。
 従来、職人の熟練度と勘によって、その都度不具合箇所に合わせた修整消去材の調合を行っていたが、本技術により精度の高い修整消去材を具現した。
 選定された修整消去材を下地成形補修材の乾燥養生を確認の上、表層面に合わせ塗工する。

3-9修整消去材の性能
1.不具合箇所周辺の表層面との一体化した色調。
2.変色、ひび割れや乾燥収縮が少ない。
3.不具合箇所の痕跡を修整消去し意匠性の復元が容易。
4.仕上げ塗材による濡れ・ムラ・変色等修整消去材に変化や影響がない。
5.経年劣化が躯体コンクリート同等以上の機能。

3-10修整消去仕上箇所の型枠模様造成
 修整消去後、喪失した型枠模様をカラーコート及び特殊工具により造成する。

3-11特殊浸透性吸水防水材の塗布
 打放しコンクリートのピンホール及び毛細空隙の防水下地として特殊浸透性吸水防水材Aシーラーを含浸塗布する。(150g/㎡程度)

3-12塗膜型防水材
 Bタイプ・特殊浸透性吸水防止材Aシーラーを塗布乾燥養生後、塗膜型防水材NY-7090を2回塗布する。

3-13高耐久性防水材・Aタイプ
 AシーラーとNY-7090塗布乾燥養生後、フッ素又はアクリルシリコン樹脂を塗布する。塗布することで濡れ色・ムラや変色、不具合消去箇所を際立たせ著しく意匠性を損なうことがない。
 意匠性と高耐久性の付与。(図2)
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 次回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」の最終回「4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2」、「5.調査診断と選定」、「6.打放しコンクリート若返りシステムの工程」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、牛肉偽装事件が連続2件ありました。まずは1月23日、雪印食品の関西ミートセンターが、狂牛病対策の国際牛買い取り制度を逆手にとって、輸入牛を国内産と偽って業界団体に買い取らせていたことが発覚。4月30日、雪印食品は解散に追い込まれました。さらに7月30日、日本ハムの検査前牛肉の無断焼却が発覚。偽装工作が明らかになり8月28日、創業者の会長が引退する事態に。消費者は何を信じて食べればいいのか!未だにこの類の事件は頻発しています!

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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# by pikayoshi72 | 2009-08-24 07:22 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(84)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」を3回に分けご紹介します。本日はその第1回「1.はじめに」、「2.打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)について」をご紹介します。
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1.はじめに
 素朴で重厚感を合わせもつ打放しコンクリート。その魅力に反して、入念なコンクリート打設にも拘らず、脱型したコンクリート表層面には様々な不具合が生じ、打放しコンクリートとしてのファサードを著しく阻害する。
 大きく分けて打放しコンクリートに求められる要素は、外観と耐久性と言える。
 新築時に於いては、躯体表層面と意匠性を保護するための保全技術であり、一方、経年劣化した打放しコンクリートにあっては、再び新築時の躯体表層面の強化と意匠性回復を期した耐久性付与によるリニューアルである。
 打放しコンクリートの新築時から経年劣化に至る環境作用による劣化現象のデータは少なく、他の建築作法と全く異なった仕上げ構成ゆえに、新築時に付与する保護手法とリニューアルへの対応技術は研究課題の一つであろう。
 では、打放しコンクリート仕上げの脱型時より始まる保全技術と経年劣化による再生技術に至る一貫した保全とリニューアルを構成するシステムについて提案する。
 新旧打放しコンクリートに対応した各々の仕上げ技術は新築にあっては維持保全の役割を与え、劣化損傷したものには再び甦らせ健全化する。快適な居住空間の再生は、衰退する街づくりの復活と良好な社会資産の構築に供し、スクラップアンドビルドを抑制することにより地球環境の保全にも貢献する。
 打放しコンクリート仕上げの計画・設計から改修・再生に至るまでの要点を21のキーポイントにピックアップし、PEC21・パーフェクトエンジニアリングドコントロールとして、これらを打放しコンクリートのライフサイクルに纏めた。

2.打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)について
 使用者・設計者・施工者により構成し、各々の立場から求められる要領項目を抽出し、新築打放しコンクリートを脱型から仕上げのトップコートまでの責任を明確化し一貫性をもたせる。脱型するまで予測不可能な表層面に生じるジャンカ・コールドジョイント・色ムラや目違いなどに対し、対応処置を事前想定し、完璧な打放しコンクリート仕上げとする過程をSTEP-1とする。
 次に築後、経年劣化した打放しコンクリート仕上げを甦らせる若返り過程による改修をSTEP-2とし、STEP-1とドッキング、打放しコンクリートのライフサイクルとし体系的に構成したものである。
 打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)に於ける2システム対応図を図1に示す。
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 次回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」の第2回「3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、韓国、日本の共同開催と言うことで、第17回サッカーワールドカップ が行われました。日本は、6月4日、埼玉スタジアムでベルギーと2-2で引き分けW杯初の勝ち点1をあげ、さらに9日のロシア戦で1-0で初勝利、14日のチュニジア戦も2-0で勝ち、予選1次リーグを1位で抜けましたが、決勝トーナメントでは1回戦で敗れてしまいました。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-08-17 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(83)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は防水ジャーナル2002年2月号特集■管理組合が求める防水・外壁改修の進め方「打放しコンクリートの意匠を生かした集合住宅改修工事」を読み切りでご紹介します。
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はじめに
 本物件は改修工事全般にわたり施工したが、誌面の都合で躯体の仕上げを構成する打放しコンクリートに限定し報告する。

工事概要
工事名称  :フォレスト南本山改修工事
施主    :フォレスト南本山管理組合(世帯数・32)
設計管理者名:設計事務所㈱遊 田中智美
所在地   :兵庫県神戸市東灘区本山南8丁目地内
構造規模  :鉄筋コンクリート造地上6階、地下1階
現況の外装 :軒裏・壁面・柱・梁-化粧打放しコンクリート仕上げ
       外壁面一部-タイル貼り仕上げ
竣工年   :平成元年
施工面積  :2,814㎡
工期    :平成13年10月15日~12月27日

調査診断と結果報告
 平成13年初頭、設計事務所「遊」より、集合住宅「フォレスト南本山」の総合的な調査診断の依頼を受けた。調査診断の調査員はBELCA建築仕上げ診断技術士と建築仕上げ改修施工管理者の資格を持つ者で編成した。
調査チームは現地に赴き、依頼主の改修設計管理者と打ち合わせ後、直ちに調査診断を開始した。調査方法は外観目視法により、調査内容は打放しコンクリート表面に発生している劣化損傷箇所、漏水、汚損状況など8項目にわたり調査を実施した。外壁調査報告書は、経年劣化に伴う打放しコンクリートの表面の損傷箇所と汚損状況を、写真と図面上で明らかにし、その劣化不具合箇所を数値で示した。

見積書作成と工法説明会の開催
 調査結果に基づく劣化損傷に対するそれぞれの補修方法に対応した施工名称と、項目ごとの単価と数量を明確にした見積書とした。
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 見積書は単独で提出するのではなく、経年劣化した打放しコンクリートには、どのような施工方法によって機能と美観の回復ができるのかなど、日常の生活用語をなるべく多くして理解の人助けとなるような資料も提出することとした。
 改修設計管理者より、見積書と提案書に基づいた工法の説明会を、当管理組合役員5名、改修設計管理者2名と当社2名出席のもと実施された。当社工法の説明後、質疑応答が行われ、改めて劣化した当打放しコンクリートは、どのようにして補修・改修するか、この点に集中された。工法説明会修了後、改修設計管理者より当社の施工に決定した旨通知があった。

施工決定に基づく説明会と施工計画書の提出
 施工決定に基づく、当管理組合長と会計責任者の出席のもと、関係者全員を対象に再度説明会を実施した。今回は先に提出した提案書から一歩踏み込んで、工事について具体化したものを資料として作成した。特に関心をもたれたものは、日常生活を営む上での居住者に与える不便さや障害の有無が主なものだった。
 先に提出した調査結果報告書と関連資料に基づいて、工事概要・施工管理組織表など6章にわたり施工計画書を提出した。内容が日常接することが少ない用語と工事内容のため、理解を深めるために管理組合役員と居住者の全員に5回程の説明会を実施した。特に要望されたのは、緊急時の連絡体制だった。

工法選定のポイント
 過去30年余りに及ぶ改修の施工実績、第三者機関による試験データ、10年の保証と「打放しコンクリートの意匠性を残す」というのも選定理由となった。本関係者による実地調査も行い、既改修された見物所有者・居住者の声も聞き検討資料の1つとしたとのことであった。
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環境問題
 本工法に用いる材料は、最終の仕上材を除いてすべて水性材料で構成されている。水性材料とは言っても樹脂特有の臭いがあり、配慮が必要である。騒音の発生は、事前に関係居住者には通知して施工した。廃棄物については、当工法は環境ISO14000sに準じた処理をしているため、問題とはならなかった。

まとめ
 約2ヶ月余にわたり改修施工したフォレスト南本山は、無事故無災害に加え、管理組合役員の方々と居住者との間に、厚い信頼関係が醸成され、良好な施工環境が構築された。
 特筆すべきは、居住者の総意として打放しコンクリートの持つ特有な意匠性を強く意識され、その重厚な質感の維持保全こそ、精神的な資産であると聞いたことである。
 唯一、打放しコンクリート意匠を残す、と言う一貫した居住者の合意が、いろいろな障害を乗り越えて来たと言うことだった。完了にあたり関係者全員の晴れやかなご満足を頂けたことは、施工者としてこの上ないよろこびであった。

次回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」をお送りします。

 さてこの年の重大ニュースは、二人の方が同時にノーベル賞を受賞しました。
小柴昌俊さんがノーベル物理学賞で授賞理由は「宇宙ニュートリノの検出へのパイオニア的貢献をされた」。宇宙から飛んでくる素粒子「ニュートリノ」をとらえ、ニュートリノ天文学という新しい学問分野を築いた。1987年 HYPERLINK "http://www001.upp.so-net.ne.jp/fukushi/year/1987.html" \l "science" ニュートリノを観測しました。
 もうお一方は田中耕一さんがノーベル化学賞で授賞理由は、たんぱく質の複雑な立体構造の解析や質量の分析により、細胞中でのたんぱく質の機能など生命のプロセスをこれまで以上に理解できるようにされた。すごいですね!二人もいっぺんに受賞です!


それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-08-10 07:12 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(82)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術2001年7月号特集:打放しコンクリートの美観向上と保護、「打放しコンクリートの美観向上最新技術」を2回に分けご紹介します。
本日はその後編「4.改修時における施工技術」、「5.まとめ」をご紹介します。

4.改修時における施工技術
 打放しコンクリート建築の表層面は、海塩粒子・炭酸ガス等の科学的作用、雨水・環境温度・湿度の変化等の自然現象及び振動等に伴う物理的作用など、これらの複合作用を受けてひび割れや内部鉄筋の腐食膨張など劣化損傷が顕在化する。これらは、意匠的に美観の喪失にとどまらず建物全体に悪影響を与える要因である。
 こうした現象の顕在化に伴い資産としての価値低下を招き、並行して建物の耐久性、安全性の面からも懸念され改修計画が検討される。建物の設計から取り壊しまでの過程を、一つのサイクルとして捉えたライフサイクルの考え方が定着し、改修工事は快適な空間の確保と維持管理のランニングコストを精査、資産価値の向上を目的として行われる。
 改修後少なくとも15~20年以上のメンテナンスフリーを目標にすべきで、あくまで耐用年数が基本である。こうした流れから改修工事において美観の回復と耐久性を考慮した躯体の強化策、下地補修から仕上げまで一貫した施工技術が不可欠である。これらのニーズに対応する打放しコンクリート改修施工技術を図2「改修時における施工技術のフローチャート」に示す。
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5.まとめ
 これまで紹介したように打放しコンクリート建築の新築・改修を問わず補修・仕上げ技術の要求範囲は多様化している。美観の回復はもとより耐久性・耐候性及びコストを重視した仕上げ等工法の分類により顧客の選択肢を多くしている。ISOに代表される高品質な施工技術と信頼性、良好な施工環境の構築によって、顧客のニーズを満足させることがより一層強く求められている。新・旧打放しコンクリート仕上げ技術もそれに応えるだけの幅広い技術の提供が不可欠である。今後の課題として環境問題が挙げられる。技術者の安全と健康維持は勿論のこと、良好な作業環境の構築は、周辺の生活環境を守ることにも繋がる。健康を害さない施工材料と廃棄物のゼロ・エミッション化は21世紀のテーマでもある。
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 なお、ここで述べた本工法に関連する当社の特許番号を下記参考に供する。
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 次回は防水ジャーナル2002年2月号特集■管理組合が求める防水・外壁改修の進め方「打放しコンクリートの意匠を生かした集合住宅改修工事」を読み切りでご紹介します。

 さてこの年の重大ニュースは、6月8日大阪府池田市の大阪教育大学付属池田小学校に男が乱入して刃物を振り回し、児童8人が死亡、教員を含む計15人がけがをしました。男(37歳)が殺人未遂容疑で逮捕され、 2003年には死刑が確定しました。冷酷無比で残虐な事件でした。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-08-03 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(81)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術2001年7月号特集:打放しコンクリートの美観向上と保護、「打放しコンクリートの美観向上最新技術」を2回に分けご紹介します。
本日はその前編「1.はじめに」から「3.新築時における施工技術」までをご紹介します。
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1.はじめに
 厳しい経済状態が続く昨今、公共建築物、テナントビル、マンションや住宅などの管理者・所有者に隔てなく求められるものは、コストを抑えた高品質の建築とローコストの維持管理である。
 1960年代に始まる鉄筋コンクリートの建築ラッシュと並行して、スクラップアンドビルドを繰り返したバブル期を経て、打放しコンクリートにおいても健全な維持管理を支える保護材の必要性が認識され、近年においては高レベルの仕上げ技術と長耐久性付与が両輪となっている。そのニーズに応える最新の新・旧打放しコンクリートの美観向上、維持保全と長耐久性技術をその施工事例とともに紹介する。

2.表層面の汚染付着防止技術
 コンクリートの打設は、下層階から上層階へと打ち継いでいくために、上層階を打設する際のセメントノロ・錆汁等が流下し、下層階に付着することが多く、時間の経過とともに表層面に浸透し、除去が困難になる。こうした汚染物の付着は、痕跡を残し建物の美観にも大きな影響を与える。
 これを防ぐための手段として、これまでは型枠脱型後に表面をビニールシート等で覆い上層階を打設する方法で進められてきた。この様な養生は、汚れの付着防止が不完全であるばかりか、養生シート内部に湿気が停滞し、通気性を遮断するためコンクリートの乾燥固化が阻害され、表面を斑にすることがある。
 此等の問題点を改善すべく打放しコンクリートの表面養生・保護対策として変性エチレン系樹脂を主成分とする汚染付着防止剤(ガードシーラー)の塗布があげられる。本汚染付着防止材は、セメントノロ・錆汁等の付着防止に特に効果があるとともにコンクリート内部からの通気性を遮断することなくコンクリートの乾燥養生にも全く影響を与えない。
 また、塗布するにあたり、特別難しい作業ではないことから作業性、安全性、及びコスト面からも大きな効果が期待できるものである。
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3.新築時における施工技術
 冒頭でも触れたとおり、近年においては打放しコンクリート建築の長期にわたる良好な維持管理を目的に高品質な仕上げ材を施し、耐久性・耐候性を持たせることが当然のことと認識されてきた。
 その一方で、ジャンカ、コールドジョイント等に代表される不具合箇所の処理については、最も技術を要する反面、予算的な処置が乏しく十分な対応がなされない。
 一時的避難手法として、多くの場合不具合箇所にモルタルを埋め戻し、修整に技術的な要素を省き、安易なカラー塗装で補修跡と生地肌まで隠蔽するケースが多い。少なくとも打放しコンクリートは、表層面を活かしたカラークリアとすべきで、意匠的観点からもカラー塗装は避けるべきである。コンクリートが持つ肌合いを活かす意匠仕上げが、打放しコンクリートの存在感を高める本来の姿である。
 その技術の一部を図1「新築時における施工技術のフローチャート」に示す。
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 次回は同じく月刊建築仕上技術2001年7月号特集:打放しコンクリートの美観向上と保護、「打放しコンクリートの美観向上最新技術」の後編「4.改修時における施工技術」、「5.まとめ」を紹介します。

 さてこの年の重大ニュースは、2月9日、米ハワイ沖で、愛媛県宇和島水産高の実習生らが乗った実習船えひめ丸が、急浮上してきた米海軍の原子力潜水艦と衝突して沈没し、9人が行方不明になった原潜事故が発生。船体は10月に引き揚げられ、8人の遺体が収容されました。森首相は、事故当日第一報を受けた後もゴルフを続けたことを批判されてました。何ともはや、一国の主が情けないことですね!

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-07-27 07:18 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(80)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は月刊建築仕上技術2000年7月号工文社創立25周年・創立300号記念企画「新・リニューアル市場の創出」、「3.外壁リニューアルのための技術開発動向」の後編「8.築後の経緯と改修の実例」から
「12.改修後の維持保全状況」をご紹介します。

築後の経緯と改修の実例
 既に改修工事内容及び手順等の改修事例は小社にて数多く発表されているので省略し、改修後10年余り経過した静岡県庁東館にスポットをあててみた。静岡県庁東館は1970年5月完成、中部建築賞を受賞した著名な建築物である。㈱日建設計による設計で打放しコンクリート仕上げで高層建築の地下1階地上18階である。築後19年経過した1989年、外装材は劣化し、特に打放し表層面の防水塗膜の性能低下、ひび割れ、不具合箇所の補修モルタルの浮きなどが発生、また高層のため適時適切な処理が出来ず構造体に悪影響を及ぼす恐れが出てきたため改修を実施したものである。なお、打放しコンクリート以外の外装工事については割愛した。参考までに改修前の打放しコンクリートの劣化症状を各々の調査結果に基づいて記した。(写真1,2)
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建築概要
構造    鉄筋コンクリート造 地下1階地上18階
外壁    柱・梁型打放しコンクリート仕上げ
面積    12,100㎡  高さ64.55㎡
建築面積  3,684.4㎡
改修年月日 1989年7月~1990年3月
改修工法  打放しコンクリート若返り工法(特許・吉田工法)


劣化部調査
 調査に先立ち足場を18階まで全面にかけ、落下防止のため水平防護棚を垂直に設置し防護シートを設けた。
調査項目は、a)ひび割れ
      b)露出鉄筋
      c)コールドジョイント
      d)木コン跡
      e)コンクリート欠損箇所
      f)中性化深さ測定
      g)コンクリート圧縮強度
      h)かぶりコンクリート厚さ測定
      i)在来塗膜付着力試験
 上記調査結果を外壁調査報告書にまとめた。調査結果に基づく項目に従い、全項目集計表を作成した。次に集計表より、欠損部のマーキング図を作成、各階各面を図面上に明記した。
 調査結果を表で示す。調査方法は割愛した。
中性化深さ測定試験
躯体コンクリート圧縮強度試験
鉄筋のかぶりコンクリート厚さ測定結果
付着力試験結果(既存塗膜の表面処理後の付着力試験)
不具合箇所全項目集計表
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以上の調査結果に基づいて改修工法の選定をした。

11.改修工法の選定基準
1.打放しコンクリート仕上げに付着した各種の汚損物質を表層面を害することなく洗浄または除去できる。
2.補修用モルタルは耐久性があり、鉄筋やコンクリートと付着良好で、一体化し環境作用による材料に有害な変形がない。
3.仕上クリアは塩分・水分やガスなど腐食要因を遮断、超耐候性防水性能を有している。
4.長期のフリーメンテナンスが維持できる。
5.意匠性の復元と超耐久性の付与が可能である。
 以上の条件をクリア出来ることが選定基準として示された。
本工事に供した打放しコンクリート仕上げの改修技術の特長は下次の通り
DD-エラスティック工法(バイパスクラック再発防止工法)
NY-調合樹脂モルタル・NY-エラスティックフィラーの採用
型枠模様復元造成
超耐候性防水材(NY-9090アクリルシリコン樹脂系)

12.改修後の維持保全状況
 改修後10年余り経過した2000年5月、目視調査をした。表層面の防水塗膜、クラック補修ヶ所のバイパスクラックの発生、汚れの付着や補修モルタルとの変形、剥離、変色など劣化損傷を示す現象は皆無であった。特にNY-エラスティックフィラーは躯体の伸縮挙動に追従する性能を有し、NY-9090アクリルシリコン樹脂系の超耐候性を支え、工法、材料の適格性が示され、健全な打放しコンクリート仕上げの表層面を維持している。(写真-3)
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コメント
静岡県総務部庁舎整備室長 柳原利康氏談
 改修後10年余りになるが、維持保全には多大な関心をもって接しているが現在のところ打放しコンクリート仕上げに関してはフリーメンテナンスで来たが全く問題は生じていない。防水塗膜も健全で汚れの付着も認められず良好な状況である。
参考文献
地濃茂雄・吉田晃「打放しコンクリート表層面の維持保全に関する提案」
コンクリート工学年次論文報告集 Vol.19.No.1.1997
建築保全No.72吉田晃外装の補修・改修例
静岡県庁東館外壁改修工事
打放しコンクリート若返りシステム(特許・吉田工法)

次回は同じく月刊建築仕上技術2001年7月号特集:打放しコンクリートの美観向上と保護、「打放しコンクリートの美観向上最新技術」を紹介します。

さてこの年の重大ニュースは、1月28日、1990年11月から新潟県三条市内で行方不明になっていた19歳の少女が9年ぶり発見され、新潟県警に保護された。無職男性(37)宅で暮らし、外に出られなかったという。折しも新潟県警本部長はこの夜、特別監査に来ていた関東管区警察局長らと温泉ホテルで宴席を持ち、麻雀に興じていたことが明らかになり26日、国家公安委員会と警察庁は本部長を減給の懲戒処分にし、3月2日、警察庁長官を減給の懲戒処分としました。何ともはや情けない事ですね!

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-07-20 08:14 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(79)

 今回は月刊建築仕上技術2000年7月号工文社創立25周年・創立300号記念企画「新・リニューアル市場の創出」、「3.外壁リニューアルのための技術開発動向」を2回に分けご紹介します。
本日は前編「築後の維持保全の現状」から「STEP2」までを』ご紹介します。
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 脱型した打放しコンクリートは、躯体そのものが仕上げであると同時に仕上げ表層面は、直接多様な環境作用を受け次第に劣化へと繋がっていく。
 施工者から所有者への、竣工後の打放しコンクリート仕上げの維持保全に関する具体的なマニュアルなどは用意されていないことがほとんどである。ある日突然頭上よりコンクリート片が剥落したなど、それを切っ掛けに表層面の汚れの付着や漏水などの不具合の顕在化が引き金となって安全性と住環境の美観の低下が認識され、維持保全への関心を目覚めさせ、補修・改修工事の端緒となっている。

1.築後の維持保全の現状
 1978年2月より1999年末までの22年間に小社が改修工事した打放しコンクリート仕上げ物件は588件である。これらの打放しコンクリート仕上げの改修に至るまでの維持保全の経緯及び実状を追ってみた。

2.経緯と実状
 冒頭記述した様に安全性と住環境の低下に起因しての調査依頼が維持保全へのスタートである。調査に先立ち所有者に築後どの様なメンテナンスをしたか聞いたところ、コンクリート片の剥落による人身事故が心配される事態となって、はじめて維持保全の重要性を認識したまでで、築後、現在まで一切手を付けたことがないと言うケースがほとんどであった。いわゆる無関心のフリーメンテナンスである。
 一方、設計者・施工者による維持保全に関する日常的なケアや予測される劣化症状など具体的なアドバイスや改修例などの説明は少なく、その都度、発生した不具合には取り敢えず応急手当程度に留めているのが実状である。所有者の一般的な認識としては“打放しコンクリート仕上げは堅固で劣化損傷など次世代の問題で念頭にない”と言ったところである。どの様な建築物であっても劣化損傷は避けられないもので、定期的な保守点検は不可欠である。この点打放しコンクリート仕上げ特有の表層面の意匠性や耐汚染性など、保護するための健全な維持保全対策は、今日の低成長時代にあってはより重要であり資産価値の点から言っても今後の課題である。

3.経過年数と劣化症状
 築後、経過年数の短いものでは5~7年以内で改修を実施している。その他物件は築後15年~20年経過後が主流を占めている。
改修動機は・汚染物の付着が目立ち始めた(5~7年以内の施工物件)
・ひび割れからのエフロレッセンスの析出と漏水
・鉄筋の露出と錆汁の付着
・コンクリート片の剥落
などが主なものである。かぶり厚さ不足による鉄筋の錆化膨張と、それに伴うコンクリート片の剥落は居住環境の安全性が阻害され、同時に美観の低下が追い打ちをかける。この様な症状の発生は、打放しコンクリート仕上げの劣化を示す徴候で、加速度的に不具合箇所が拡大する前兆でもある。

4.築後の維持保全の前提
 維持保全の前提として考えられるのは、健全な打放しコンクリート仕上げであること。そのためには企画・設計の段階で、関係者による打放しコンクリート仕上げのライフサイクルの設定が求められる。

5.打放しコンクリート仕上げのライフサイクルの提案
 打放しコンクリート仕上げの維持保全の課題を解決する案として次のように提案する。
 美観と耐久性を確保するための表層面の仕上げを設計・施工段階より明確にし、それに対応すべき表層面の仕上げシステムを構築する。即ち打放しコンクリート仕上げのライフサイクルを設計・施工・維持保全に大別し、それに対応すべき仕上げシステムの概要を図1に示す。
 図中に示されるように打放しコンクリート仕上げを企画・設計から竣工まで施されるべき仕上げをSTEP1,築後の経年・改修期に施すべき仕上げをSTEP2とした。
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6.STEP1
 フロチャートを図2に示す、新築時の脱型時点から耐久性向上のための仕上げまで、一貫性をもたせ設計施工段階では予測不可能な不具合、豆板、コールドジョイント、色ムラなどの発生に対して合理的に対応処置するものである。最終工程の仕上げは、美観の長期的維持耐久性の向上を計る。
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7.STEP2
 フロチャートを次項図3に示す。築後の経年劣化の程度に応じて分別する。劣化が軽度の場合には汚染物の除去を主とした素地調製の上仕上げを施し耐久性を付与する。これに対して、中度・重度の場合には珪フッ化物を主成分とした強化剤をコンクリートに塗布含浸して表層面の強化を図り、次いで劣化部を充填材により処理する。重度の場合には、さらに中性化抑制剤を塗布したのちに、型枠模様を復元し、長期的維持と耐久性の向上の観点から表面仕上げを施す。
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 次回は月刊建築仕上技術2000年7月号工文社創立25周年・創立300号記念企画「新・リニューアル市場の創出」、「3.外壁リニューアルのための技術開発動向」の後編「8.築後の経緯と改修の実例」から「12.改修後の維持保全状況」を紹介します。

 さてこの年の重大ニュースは、3月8日午前9時1分頃、営団日比谷線脱線衝突事故が発生しました。帝都高速度交通営団(営団地下鉄、現東京地下鉄)日比谷線において発生した、列車脱線事故である。死者5名、負傷者64名を出した。事故発生の原因として推定されるものは、左右車輪にかかる重量の不均衡(輪重比)が30%に及んでいても放置されていたこと、事故が起こった箇所は半径160mの急カーブであるにも関らず脱線防止ガード(ガードレール)が無かったこと、などが挙げられており、複合的要因により発生した事故だとされている。そのため、いずれか1人に刑事責任を負わせる事はできないとされ、また保線関係者5名が管理限界を超える線路の狂いを放置したとして送検されていたが、不起訴とされた。

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-07-13 07:25 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(78)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築知識1999年11月号、「打放しコンクリートの補修方法と『仕上げ』」を読み切りでご紹介します。
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打放しコンクリートの本音と建前
 汚れる・冷たい・耐久性が低い・施工に神経を使う・メンテナンスが大変・コンパネ、剥離剤に変わった今も、ジャンカとクラックとコールドジョイントの恐怖に脅かされながら、建築家の心をとらえて離さない。そして、何故か日本的な空間の表現を可能とする。この文章は日本建築学会「建築雑誌」92年2月号の扉に掲載されたものを抜粋引用したものである。
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 打放し工事現場では、施主・設計者とゼネコンなど関係者の共通認識は、完璧な打放しであり、厳しいけれども建前として通している。そのため、打放しに生じた不具合に対する予算処理がなされていない例が多く、現場担当者はやり場のない苦悩をかかえこむことが多い。冒頭の建築学会誌の巻頭言は正にこのことを現場に変わって訴えたものではないかと思う。

■補修工事と仕上げ工事の差異
 ほぼ40年余り打放し補修と仕上げは一体化したものとして、下地補修から最後のトップコート塗布まで一貫して施工する事が行われていた。しかし下地補修は、施工内容からして、左官工事に類し打放し表層面の仕上げとは、施工内容が全く異なると言ってもよい。一例として、打放し表層面に色合わせしたポリマーセメントモルタルを充填補修することが一般的に知られているが、まもなく自然環境の影響を受けて補修ヶ所が歴然として際立ってくる。ここが補修と仕上技術の異なるところで、自然環境に対応した仕上材料と復元技術が左官工事と大きく違うところである。

■下地補修方法の紹介
 打放しに生ずる不具合ヶ所は、大旨次のような症状があげられる。豆板・空洞・気泡・表面剥離・化粧目地の歪み・リブ角・角の欠け・錆汁の付着やコールドジョイントなどがある。これらを補修するためのプレミックスモルタルは、市販品で十分である。次に補修について簡単に述べる。

①豆板(ジャンカ)
 豆板(ジャンカ)は、補修範囲を広げないために穴埋めする要領でジャンカ部分のみをモルタルで充填する。充填したモルタルは、健全な躯体コンクリートと平滑になるように仕上げをする。
②気泡(ピンホール)
 直径5㎜程度以上の気泡(ピンホール)を対象に補修範囲を広げないために穴埋めをする要領でピンホールのみをモルタルで充填する。周囲のコンクリートに付着したモルタルは、硬化前に除去し躯体コンクリートと平滑になるように仕上げをする。
③化粧目地(リブ)角及びピン角(出隅)の欠け
 化粧目地角の欠けは、目地棒を設置しモルタルにて修復後、角部分がシャープになるようにまた、躯体コンクリートと平滑になるように仕上げをする。
④錆汁の付着
 錆汁の付着した躯体コンクリートは、ケミカルエースRまたはケミカルエース・1(ニチエー吉田製)等を用いた化学洗浄を行う。これらを刷毛等で塗布・含浸させブラシでこすり水洗いする。付着の程度が著しい場合は、数回繰り返し、汚れを消去する。
⑤コールドジョイント
 コールドジョイントの補修については肌分かれ(口が開いた)を伴うコールドジョイントのみをモルタルで充填する。充填したモルタルは、躯体コンクリートと平滑になるように仕上げをする。口が開いていないコールドジョイントについては、消去(表面修整)する。
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左官補修後の打放し生地仕上げ
 モルタル補修した後の不具合ヶ所の仕上方法は、選定方法による既調合修整・消去材で行う。打放し表層面に散在する不具合ヶ所の修整・消去と復元方法は次のような工程である。
 あらかじめ工場生産された5種類の既調合修整・消去材で塗工された5種類の選定プレートから構成される。打放しコンクリート表層面に点在した不具合ヶ所周辺の生地色に前述の5種類の選定プレートを比較し、類似色の修整・消去材の選定をする。
 従来、職人の熟練度と勘によって不具合ヶ所毎に生地色に合わせた修整・消去材の調合を現場に於いて行っていたが、より精度の高い仕上げの向上と合理性・経済性を求めて開発された新技術である。
①選定された修整・消去材を下地補修材の乾燥養生を確認の上、打放しコンクリート表層面に合わせてコテ塗りする。打放しコンクリート仕上面との一体化を計るため研磨剤で平滑に整える。
②修整消去ヶ所の型枠模様補正として喪失した型枠模様を特殊カラーコートで補正する。
③打放しコンクリートの毛管空隙の防水下地として、浸透性吸水防止材Aシーラー(水性・溶剤型)を含浸塗布する。(150g/㎡程度)
④乾燥養生後、塗膜型防水材NY-7090を塗布して生地の質感をキープする。
⑤高耐久性防水剤を塗布することで濡れ色・ムラや変色が生じ、不具合ヶ所を際立たせ意匠性を損なう。そのため、着色して隠蔽する方法が採用されている中、特許吉田工法は打放しの意匠性を生かすクリア仕上げによって高耐久性も同時に付与することを可能にした。

 次回は月刊建築仕上技術2000年7月号工文社創立25周年・創立300号記念企画「新・リニューアル市場の創出」、「3.外壁リニューアルのための技術開発動向」をお送りします。

 さてこの年の重大ニュースは、9月30日、茨城県東海村の民間ウラン加工施設「JCO」で国内初の臨界事故が発生しました。現場の作業員ら49人が被ばくし、県は一時、施設から半径10km以内の住民約31万人に屋内退避勧告を出しました。臨海事故の原因は作業員が工程上、マニュアルに外れた手順違反を犯したのが原因とみられ、さらに「裏マニュアル」の存在も明らかになりました。大量の放射線を浴びた男性(25歳)は被爆し、12月21日にお亡くなりになりました。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-07-06 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(77)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」を3回にわけご紹介します。
本日は最終回「打放し若返りシステムの施工」、「おわりに」をご紹介します。

打放し若返りシステムの施工
(1)表面の高圧水洗浄
コンクリート表面に付着した汚染物や苔などを高圧水洗浄(200kgf/㎝²)により除去する。鉄筋の錆汁は下学洗浄剤による併用洗浄とする(写9)。
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(2)コンクリート強化剤の含浸塗布
コンクリート乾燥養生後、無機質浸透強化剤を刷毛またはローラーにて200g/m²を2回に分けて含浸塗布する。風化したコンクリート表層部分を緻密化し、また耐酸性を向上させることにより中性化の進行を防止する(図1、写10)。
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(3)露出鉄筋箇所の斫り・防錆処理
鉄筋の腐食が原因となって生じた被りコンクリートの剥離・浮き箇所の斫り取り、錆化腐食部分を中心にして腐食鉄筋の裏側に達するよう健全部まで丹念に斫り取る。そしてグラインダ、ワイヤーブラシなどを用いて腐食した鉄筋を十分ケレンし防錆材を塗布する(写11)。
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(4)エラスティックモルタルによるひび割れ補修
躯体コンクリートの発生したひび割れ補修方法として、ひび割れの発生原因が鉄筋の腐食よらない場合、従来からエポキシ樹脂の注入方法が効果的といわれているが、ひび割れは常に振動・荷重の増加、湿度・温度の変化などによりコンクリートの伸縮拳動が繰り返えされているため、注入した近傍に新たなバイパスクラックが発生する。このようなひび割れに対しては、普通モルタル10倍以上の引張変形性能をもつエラスティックモルタルを使用することにより、ひび割れの再発防止と防水性を付与することができる。施工方法はひび割れ箇所をUカットし、深部をウレタンコーキング、次にエラスティックフィラーを塗布し、エラスティックモルタルで仕上面まで充填整形する(図2、写12)。
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(5)調合樹脂モルタルの修整
欠損部の補修は、その都度躯体に合わせた調合樹脂モルタルによる修整とする。調合樹脂モルタルは、接着力・色調・強度・耐震性が高く、また打放しコンクリートの表面の色合いを的確に再現できる優れた調合モルタルである。なお、修整モルタルと躯体の一体化は打放しコンクリートの不可欠条件でプレート方式による調合樹脂モルタルの選定とする。露出鉄筋まわりのコンクリートを斫り取った部分への埋戻し(パッチング)は、防錆せる。このとき、かぶり厚を確保するため、鉄筋を内側へ押し込むなどの処理が必要である(写13)。
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(6)木コン穴の補修
木コンは新築時にセメントモルタルによる埋込みが施されているが、経年劣化とモルタルの収縮により木コンは離脱あるいは浮いていることが多い。木コン穴の残滓を取り除き、新たに底部にシーリング材を充填し、接着性・無収縮性・耐水性の優れた調合樹脂モルタルの埋込みを行う。
(7)色合わせ・型枠模様造成
耐候性に優れた数種の顔料・調合材によって、打放し全面の色合わせと型枠模様の復元を特殊刷毛によって施工する。コンクリート打放し仕上げの表面には、型枠から転写された木目模様や型枠の目違いなどから残存するため。再生するうえでもこれらをリアルに表現することがポイントである。本システムにおいては、施工物件ごとのコンクリート色に合わせた伸長型セメント系エラスティックフィラーを全面に塗布し、専門道具を用いてコンクリートの素肌を再現し、そこに耐候性に優れた無機質系顔料によって木目模様の造成を行う。このエラスティックフィラーは下地のコンクリートに発生するひび割れに追従し、また炭酸ガス・塩分を遮断する機能性下地材である(表3、写14)。
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(8)超耐候性アクリルシリコン樹脂系仕上げ
前記工程を施したコンプリート表面に、超耐候性アクリルシリコン樹脂系トップコートを全面に塗布する。これにより若返り諸工程の保護、表面の汚染防止、防水性能の向上と超耐候性能が付与される(表4、写15)。
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(9)打放しリニューアルに際しての提案
1)金属笠木の採用
打放し建築の最上階の天端仕上げには、当時はモルタル笠木が主流となっていた。そのほとんどに、浮き・ひび割れが生じている。これらは改修時にすべて補修され現状回復はされるがモルタル笠木の防水対策としては不十分である。
防水と汚れ防止策には、モルタル笠木の表面を金属笠木または防水シールなどでカバーリングするのが不可欠である。金属笠木の取付け位置は打放し面より20mm以上はね出し、雨水の垂れ流しを防止するための間隔をもたせて取り付ける(図3)。
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2)手摺・ベランダ腰壁の防水処理
PCaコンクリートの階段手摺や方位などで、雨水のあたる箇所は表面の劣化がいちじるしい。これら表面を調合樹脂モルタルでしごき塗りして下地成形し、強靱な防水仕上げを施す。
3)被りコンクリート厚さ不足の鉄筋処理
おもに庇上裏で規則的に位置した鉄筋の錆化で、被りコンクリートを剥落させるに至ってはいないが、いずれ錆化膨張に至り被りコンクリートの剥落が予測されるため、これらはすべて斫り出し、被り厚さを考慮に入れた深さまで溝斫りして、鉄筋を押し込み被り厚さを10mm以上確保する。
4)ひび割れ処理
日射温令の作用を受けて、ひび割れは補修後も継続的に繰り返し伸縮している。ひび割れの動きの追従する弾性材料による補修がポイントである。エポキシ樹脂やポリマーセメントモルタルなど硬い材質で補修した場合、バイパスクラックが生じ再び雨水の浸透を招くことになり、打放しリニューアルの成果が失われることになる。
5)超耐候性防水材
防水性能の低下、もしくは喪失による打放し面の雨水の浸透は中性化を促進させ、内部鉄筋の腐食を引き起こし、劣化損傷を早める。リニューアルの重点項目として、超耐候性防水材であるフッ素樹脂やアクリルシリコン樹脂を塗布することが望ましい。

 打放しリニューアルの主流は、原設計に基づいた意匠性の回復と躯体の強化である。厳しい外部の環境作用を受けて、往年の打放し建築の面影は疲弊し機能喪失を物語っている。このような打放しコンクリートに対し、再び新築時の意匠性と素材の機能回復を図るところに特徴がある。積み重ねられた実績をベースとして、よりリアルにしかも長期にわたり、美観と耐久性を付与した技術で寄与していきたい。
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 次回は建築知識1999年11月号、「打放しコンクリートの補修方法と『仕上げ』」を読み切りでご紹介します。

 さてこの年最後の重大ニュースは海外、8月31日未明、ダイアナ妃がパリで交通事故死しました。英皇太子妃ダイアナの乗った乗用車がパリ市内のセーヌ川沿いの自動車道路のトンネルで交通事故を起こし、重傷を負ったダイアナは出血多量のため亡くなりました。ダイアナ妃の新しい恋人とうわさされ事故車に同乗していたエジプト人の富豪も共に死亡しました。車は、追いかけるカメラマン(パパラッチ)たちの乗った数台のオートバイを猛スピードで振り切ろうとしてトンネルの壁に激突した模様で、9月6日ロンドンのウエストミンスター寺院で葬儀が行われエリザベス女王もご列席されました。

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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# by pikayoshi72 | 2009-06-29 07:36 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(76)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」を3回にわけご紹介します。
本日はその第2回「打放しリニューアルの手順」をご紹介します。

打放しリニューアルの手順 
 某学校建築の打放しリニューアルをモデルにして手順を紹介する。この建物は竣工後30年余り経過したもので、構造は鉄筋コンクリート造、地上3階建である。柱・外壁はすべて打放しコンクリートで、外壁面積が3,000㎡である。リニューアルに至るまでの過程を順を追って記述する(表1)。
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(1)外壁調査
最初に打放し外壁の調査診断を行った。この調査診断の目的は、現況の劣化損傷の把握である。調査内容は、概観目視法とし調査内容は表2のとおりである。
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(2)調査結果と原因の推定
1)ひび割れ
温度・湿度の環境変化に伴うコンクリートの伸縮で、そのほかコンクリートの乾燥収縮や拳動などによる環境作用と推定される。

2)露出鉄筋
確認した露出鉄筋は、いずれもコンクリートのかぶり厚さ不足と防水性能の喪失に起因し、雨水・炭酸ガスなどの浸透により内在鉄筋が腐食膨張し、かぶりコンクリートを押し出し、剥落が生じ鉄筋が露出したものと推定される。

3)モルタル補修跡
新築当時に発生した不具合箇所をモルタル補修したものである。経年劣化により補修材の付着力低下とひび割れで、部分的に浮きが生じているものと推定される。

4)コールドジョイント
コールドジョイントは、下層コンクリートの凝結硬化開始後に上層コンクリートを打設したため、一体化が阻害され生じたものと推定される。

5)木屑
コンクリート打設時に桟木が型枠内部に残存していたものと推定される。

(3)コンクリート圧縮強度の測定
コンクリートの圧縮強度はシュミットハンマーにより測定した。

(4)中性化深さ測定
測定箇所からのコア採取と中性化深さを測定する。
建物経過年数と中性化深さの関係を、以下の式により検討する。
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 フェノールフタレイン法による中性化深さ(測定値)は、建物経過年数から算出した平均中性化深さの値を下回っているが、南面・屋上②については平均中性化深さ以上である。

 次回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポートの最終回「打放し若返りシステムの施工」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、第16回ワールドカップアジア地区予選で日本が初出場決定。
 9月28日、韓国戦は先制しながらも守勢に回って逆転負けとなり、10月4日のカザブスタン戦ではロスタイムで同点にされて引き分けとなってしまう。加茂監督は更迭され岡田新監督の下、ウズベキスタン戦、アラブ首長国連邦戦に引き分け、そしてついに11月8日、カザブスタン戦で5-1と快勝し日本が初出場を決めました。


 それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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# by pikayoshi72 | 2009-06-22 07:24 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(75)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」を3回にわけご紹介します。
本日はその第1回「はじめに」、「打放しリニューアルの端緒」をご紹介します。
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 長く厳しい風雪に耐えてきた打放しの表面は、黒く汚れ、ひび割れとコンクリートの剥落が生じ、所々に鉄筋が露出し、劣化損傷にあえいでいる。このような打放しの表面に、再び元の活力と重厚な意匠性を取り戻すことを目的とした技術が、打放しコンクリートリニューアルシステムである。リニューアルシステム(吉田工法)には、次の三つのシステム工法からなり、おのおのの特徴は次のとおりである。

(1)打放しコンクリート若返りシステム
新築時の打放しに復元回復、耐久性を付与することを目的とした工法。

(2)打放しコンクリート年代風仕上げシステム
長期のわたり刻み込まれてきた伝統と歴史の数々をとどめ古さを保ちつつ同時に躯体をさらに強化、耐久性を付与する。

(3)打放しコンクリート立体型枠模様仕上げ
主として本実型枠模様が主流で、木目を立体的な深みのある仕上げに造成するのが特徴で、本実のリアル感を醸し出す工法。

 いずれのシステムも経年劣化した打放しを単なるリニューアルにとどまらず、打放し建築としての存在感と地域環境にマッチしたリニューアル工法で三つの選択肢が用意されている。
本稿は誌面の都合で年代風仕上げ・立体型枠模様仕上げは割愛し、若返りシステムを紹介する。

打放しリニューアルの端緒 
 リニューアルへの関心は、頭上からコンクリートの欠片が落ちてくる、漏水がある。汚れが目立ってきたなどの、安心性と住環境と美観の低下が端緒となる。
 打放しは、躯体そのものが仕上げを兼ねているため、外部作用による多様な影響を受けて劣化損耗へとつながっていく。打放し外壁の防水は撥水系のものが多用され、打放しの表層面を変化させない点が評価されているが、「美人薄命」の言葉どおりその防水効果はきわめて短く、防水性能の低下によって降雨のたびに濡れ色を呈し、吸水コンクリートと化す。浸透した雨水は汚れ・ほこりを付着させ、カビ・コケの発生原因となり、ひび割れは濡水やエフロレッセンスを誘発し、かぶり厚さの不足した鉄筋は錆化腐食していく。このような現象を経て、劣化損傷が顕在化しリニューアルの必要性が生じてくる。
 これらの打放し外壁のおもな劣化症状を示す。

①汚れ(写1) ②カビ・コケの付着(写2) ③ひび割れ(写3)
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④露出鉄筋(写4) ⑤浮き剥離(写5) ⑥欠損(写6) 
⑦漏水(写7) ⑧木屑(写8)
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 次回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポートの第2回「打放しリニューアルの手順」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、神戸で小学生殺傷事件、2月10日、神戸市須磨区で女児2人が金槌で殴られ、3月16日には女児が金槌で殴られて死亡、数分後に別の女児が刃物で刺されて重傷を負いました。5月24日には小学6年生の男児が行方不明となり、27日早朝、自宅近くの中学校の正門前で切断された頭部が発見され、午後には胴体部分が発見されました。そして6月4日、神戸新聞社に独特の字体の犯行声明文が届き、28日容疑者の中学3年生が逮捕され、女児4人の殺傷についても犯行を認めました。10月17日、神戸家裁は「医療少年院送致」の保護処分を言い渡した。犯行自体は鬼畜化していますが、それだけではかたづけられない世相のゆがみ、ひずみみたいなものを感じざるを得ない事件でした。

 それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-06-15 07:23 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(74)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」を3回にわけご紹介します。
本日はその最終回「4.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-2」、「5.調査と打放しコンクリート若返りシステム」をご紹介します。

4.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-2
 多様化した厳しい環境条件下での打放しコンクリート仕上げは、日射・酸性雨・海塩粒子・温湿度変化等の自然現象とその他大気化学物質などの化学的作用や挙動・振動に起因した物理的作用を受けて、表層面の劣化・ひび割れ・中性化・鉄筋腐食や凍害など打放しコンクリート仕上げの表層面は著しく劣化汚損し、意匠性や美観の喪失に止まらず躯体の損傷にまで及んでいる。
 打放しコンクリートのライフサイクルに於ける維持保全のスタートは竣工直後より生じる劣化に対して、打放しコンクリート仕上げシステムSTEP-2で対応する。
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4-1 STEP-2を構成する改修システム群
 経年劣化した打放しコンクリート仕上げの改修技術としてSTEP-2を提案、調査診断結果を基に劣化症状によって施工システムを選定する。
 適用改修技術のシステム群は次の通りである。
(1)打放しコンクリート現存システム
 打放しコンクリートの表層面をそのままの姿でリフレッシュし、耐久性を付与するシステム。築後の劣化損傷が極めて軽度で、現状の表層面より汚染物の除去をメインとした素地調整の上高耐久性を付与する。

(2)打放しコンクリート年代風仕上げシステム(劣化,中度)
 打放しコンクリートの表層面が中度の劣化状態で、表層面を生かしつつコンクリート強化剤を含浸塗布する事によりコンクリートを強化し、積み重ねられた風情を留めつつ、劣化部に対して限定消去法で対応し更に高耐久性を付与する。

(3)打放しコンクリート若返りシステム
 築後15~30年余りで劣化損傷が重度と診断されたもので、打放しコンクリート仕上げの耐久性を内外面から改修する。露出鉄筋の防錆処理を始めとする本格的な補修・修整を施しさらに超耐久性を付与し元設計の型枠模様を復元甦らせる。
・調査結果
 調査方法は、外観目視法により調査項目はひび割れ・露出鉄筋・ジャンカやコールドジョイントなど9項目とする。調査結果に基づいた原因の推定と劣化項目に従い集計表に詳細記入する。

5.調査と打放しコンクリート若返りシステム
 築後の経年劣化に伴う打放しコンクリート仕上げと再生改修技術として、3システムを紹介したが、劣化度重度の劣化損傷に対応した打放しコンクリート若返りシステムについて述べる。
 なお、現存システム並びに年代風仕上げシステムは紙面の都合で割愛する。
 次にSTEP-2のフローチャートに基づいてシステム工法を述べる。

5-1 調査診断
 竣工後の所業点検(2年以内)及び定期点検(10年以内の周期で実施)によって、経年期における劣化損傷状況の把握をする。
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5-2 素地調整
(1)コンクリートの表面を約200㎏/c㎡の高圧水で洗浄し、汚れやほこり等を完全に除去する。

(2)空隙のある、とれやすい砂利等は叩き落とす。

(3)表面に付着した鉄筋の錆及び染みは、ケミカルエースR(当社製)を用いて洗浄する。

5-3 NY-606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、1㎡当たり200gのNY-606を含浸塗布する。
 NY-606は各種特殊添加剤を加えた珪弗化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性の弗化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。
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 NY-606を含浸塗布することにより、不溶性の弗化カルシウムが固着され花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性が向上する。また、酸に対する抵抗性が向上し表面強度が改善され、コンクリート自体の耐久性が付与される。
 2CaCO3+MgSiF6=2CaF2+MgF2+SiO2+2CO2

5-4 欠損部の処理
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 各種劣化症状に対する補修方法を以下に示す。

5-4-1 露出鉄筋部
(1)鉄筋の腐食している鉄筋の周囲を深さ方向に入念に斫り取る。この際斫り取る深さは、腐食した鉄筋を十分にケレンし、防錆処理を適切に行うことが出来る程度とする。

(2)斫り取りが終了した後、ワイヤーブラシ・電動ケレン機等を使用し、錆を除去する。

(3)ケレンが終了した鉄筋にはNY-特殊防錆材を塗布する。

(4)斫りの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。この際、コンクリートの表面(仕上面)から1~2㎜程度下げて仕上げる。

(5)最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上面)にあわせて平滑に仕上げる。

5-4-2 ひび割れ部(コールドジョイント含む)
(1)ひび割れに沿って電動カッターを用いて巾12㎜程度、深さ15㎜程度にU字型の溝を設ける。

(2)Uカット溝部に付着している斫り片,粉塵を刷毛等で除去する。

(3)清掃した部分に対してウレタンプライマーを均一に塗布する。

(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを行う。充填はUカット溝底部から3㎜程度とし、充填後はヘラで充分押さえ下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。

(5)次にNY-エラスティックフィラーを塗り残しがないように均一に塗布する。

(6)NY-エラスティックモルタルを充填する。
(注:0.2㎜以下のひび割れは、NY-エラスティックモルタルによる木ベラでの塗り込みとする。)

5-4-3 既存補修モルタル部
(1)浮いている部分のモルタルは完全に除去する。また、豆板を補修したモルタルは完全に取り除き、豆板等脆弱部分は今後の劣化の進行に対して弱点となると考えられることから、このような部分は丹念に斫り取る。

(2)斫り取った下地部分は、刷毛・ブラシ等で汚れ・ほこり等を除去して清掃する。

(3)必要に応じNY-7000プライマーを下地部分に塗り残しのないよう塗布する。

(4)斫りの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。この際、コンクリートの表面(仕上面)から1~2㎜程度下げて仕上げる。
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(5)最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上面)に合わせて平滑に仕上げる。

5-5 修整用NY-調合樹脂モルタルのコテ塗り
(1)欠損部を処理した箇所は周囲との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルを薄くコテ塗りし、コンクリート表面(仕上面)に合わせて平滑に仕上げ水引き具合を見定めて毛足の長い刷毛で表面を刷毛引きする。また、5㎜以上のピンホールも同様に処理する。
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5-6 素地全面生地調整
(1)打放しコンクリート表面は部位により色違いがあるため、NY-調合樹脂生地調整材(NY-7000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]を刷毛にて塗布する。

(2)下地のコンクリートに起因するひび割れに追従するNY-調合樹脂生地調整材(NY-8000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]をローラーにて塗布する。

5-7 型枠模様造成
(1)カラーコート[特殊灰汁:浸透剤:添加剤]による板目・木目を専門職人により各種の刷毛を使用し造成する。

5-8 表面防水固定処理(NY-9090トップコート)
(1)各工程に要する樹脂材料・特殊添加剤を含む修整材料の性能発揮と劣化防止のために、耐久性と浸水抵抗と高い緻密な皮膜を形成する表面防水固定処理材特殊アクリルシリコン樹脂系NY-9090トップコートを塗布する。

(付記:当社の打放しコンクリート仕上げPEC21・STEP-2による改修実績に基づいて地域別・経過年数別にデータで示した。)
 このデータは(昭和61年~平成8年)の施工物件で、竣工から改修に至る経過年数を示したものである(グラフ2)。
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データ数は59物件であり、参考としてその地域頻度を示した(グラフ1)。
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 グラフ1より関東(22.0%),東京(25.4%)地域が半数を占めている。その他東海・北陸(20.3%),関西(11.9%),中国・四国(10.2%)の順となっている。
 経過年数別に示したグラフ2を見ると、竣工から改修工事に至る年数として18年~30年程度で改修工事を行う物件が多い傾向が認められる。また、このデータにおける4年~10年程度で改修工事に至る物件については、建物の経年劣化よりも新築時における不具合が原因となっているものと推定される。
 以上の結果から59件の改修工事に至る経過年数の平均は21.8年であり、20年前後で大規模な改修の検討を始めるものと思われる。

 次回は施工1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」をご紹介します。

さてこの年の重大ニュース、3月14日、エイズウイルス(HIV)に汚染された輸入血液製剤による薬害エイズ訴訟で、製薬会社の「ミドリ十字」が加害責任を認めて謝罪し血友病患者らとの間で和解が成立しました。

それでは次回をお楽しみに!

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# by pikayoshi72 | 2009-06-08 08:52 | ブログ