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「打放しコンクリートと共に」 その(86)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」を3回に分けご紹介します。本日は最終回「4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2」、「5.調査診断と選定」、「6.打放しコンクリート若返りシステムの工程」「7.おわりに」をご紹介します。

4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2
 打放しコンクリートの表層面は、日射・酸性雨・海塩粒子・温湿度変化等の自然現象とその他大気化学物質などの科学的作用や挙動・振動に起因した物理的作用を受ける。そしてそれは、ひび割れ・中性化・鉄筋腐食や凍害など著しく汚損磨耗し、意匠性の喪失や躯体の損傷にまで及ぶ。この様な打放しコンクリートの劣化損傷にSTEP-2で対応する。

4-1調査
 調査方法は、外観目視法により調査項目は、ひび割れ…露出鉄筋やジャンカなど9項目とする。調査結果に基づいた原因の推定と劣化項目に従い集計表に詳細記録する。
 調査項目は下記の通りである。
 ひび割れ・露出鉄筋(0.5m.未満)・露出鉄筋(0.5m.以上)・コールドジョイント・ジャンカ・モルタル補修跡・モルタル浮き・木コン跡・欠損
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4-2STEP-2を構成する改修再生システム
 経年劣化した打放しコンクリートの改修再生技術としてSTEP-2を提案、調査診断結果に基づく劣化度により施工システムを選定する。
 適応再生システムは次の通りである。
1)打放しコンクリートFMシステム(劣化度・中度)
 打放しコンクリートの表層面が中度の劣化状態で、表層面を生かしつつコンクリート強化剤を含浸塗布することによりコンクリートを内面より強化し、劣化部に対しては、限定消去法で対応し更にトップコート塗膜型防水剤を塗布する。
2)打放しコンクリート若返りシステム(劣化度・重度)
 築後、15~30年余りで劣化損傷が重度と診断されたもので、打放しコンクリート仕上げの耐久性を内外面から改修再生する。露出鉄筋の防錆処理を始めとする本格的な補修・修整を施し更に高耐久性を付与し元設計の型枠模様を復元甦らせる。

5.調査診断と選定
 竣工後の所業点検(2年以内)及び定期点検(10年以内の周期で実施)によって、経年期における劣化損傷状況の調査診断をし、その結果に基づき施工システムの選定をする。

6.打放しコンクリート若返りシステムの工程
 劣化度重度に対応した打放しコンクリート若返りシステムのフローチャートに基づいて述べる。なお、FMシステムはトップコートの違いのみであるため紙面の都合で割愛する。
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6-1素地調整
(1)コンクリートの表層面を高圧水で洗浄し、汚れやほこり等を除去。
(2)空隙を伴う砂利・アバタは叩き落す。
(3)表層面に付着した鉄筋の錆及び染みは、ケミカルエースR(当社製)を用い洗浄。

6-2NY-606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、1㎡当たり200gのNY-606を含浸塗布する。
 NY-606は各種特殊添加剤を加えた珪弗化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性の弗化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。
 NY-606を含浸塗布することにより、不溶性の弗化カルシウムが固着され花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性が向上する。また、酸に対する抵抗性が向上し表面症状が改善されコンクリート自体の耐久性が付与される。
               2CaCo₂+MgSiF₂=2CaF₂+SiO₂+2Co₂

6-3欠損部の処理
 各種劣化欠損部に対する処理方法を以下に示す。
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6-3-1露出鉄筋部
(1)腐食している鉄筋の周囲を入念に斫り取る。
(2)錆化鉄筋は、ワイヤーブラシ・電動ケレン機等を使用し、錆を除去する。
(3)錆化鉄筋にNY-特殊防錆剤を塗布。
(4)斫りの深さにより1~3回に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。コンクリートの表層面(仕上げ面)より1~2mm程度下げる。
6-3-2ひび割れ部(コールドジョイントを含む)
(1)ひび割れに沿って幅12mm程度、深さ15mm程度にU字型の溝を設ける。
(2)Uカット溝部に付着している斫り片、粉塵を刷毛等で除去。
(3)Uカット溝底部にウレタンプライマーを塗布。
(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを充填。Uカット溝底部から5㎜厚とし、充填後はヘラで押さえ下地と密着させて表層面は平滑に仕上げる。
(5)NY―エラスティックフィラーを塗布。
(6)NY-エラスティックモルタルを充填する。(注:0.2mm以下のひび割れは、NY-エラスティックモルタルによるシゴキ充填)
6-3-3既存補修モルタル部
(1)浮きヶ所の既存モルタルは除去する。
(2)刷毛・ブラシ等で汚れ・ほこり等を除去する。
(3)NY-7000を下地部分に塗布する。
(4)斫りの深さにより1~3回に分け、NY-調合樹脂モルタルを充填、表層面から1~2mm程度下げる。

6-4修整用NY-調合樹脂モルタルのコテ塗り
 欠損部を処理した箇所の周辺部との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルをコテ塗りし、コンクリート表層面(仕上面)に準じて平滑に仕上げる。

6-5素地全面生地調整
(1)表層面の色相調整をする、NY-調合樹脂生地調整材(NY-7000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]
(2)ひび割れに追従するNY-調合樹脂生地調整材(NY-8000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透材:特殊添加剤]の塗布。

6-6型枠模様復元
 カラーコート[特殊灰汁:浸透材:添加剤]及び型枠模様造成具により復元。

6-7トップコート
浸水抵抗の高い緻密な皮膜を形成、高耐久性を付与するトップコートNY-8090(9090)を塗布。(図5)
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7.おわりに
 打放しコンクリートの誕生からリニューアルに至る過程で表層面に生じる現象に対し、STEP-1及びSTEP-2の対応技術について現状を報告した。
 素材感が生命である打放しコンクリートは補修・改修によって質感が損なう様なものであってはならない。40年余の打放しコンクリートのライフサイクルに携わった者として、ご参考にしていただければ幸いである。

【参考文献】は割愛させていただきます。

 次回は月刊建築仕上技術2003年7月号「打放しコンクリートの仕上工法最新動向」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、12月1日JR東日本は東北新幹線の盛岡-八戸間を開業。結果、東京-八戸間を最短2時間56分で運行。日本がますます小さくなりました!

 それでは次回をお楽しみに!
 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-08-31 07:24 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(85)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」を3回に分けご紹介します。本日はその第2回「3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1」をご紹介します。

3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1
3-1脱型と保護養生
 打放しコンクリート表層面の保護対策は、脱型と同時に施工することが好ましい。竣工に至るまでの間、打放しコンクリートは多種多様な関連作業による表層面の汚損が避けられない。その他、脱型時に生じる不具合は、打設技術によるもの以外に不注意な作業者によって生じたものも少なくない。脱型時のバールのかけ方の配慮不足による、角かけや表層面の摩擦傷等があり、寸法出しのための墨打ちなどは除去が困難で、打放しコンクリート現場で改善されない作業の一つである。
 一般的には、工事期間中の表層面保護に、ビニールシート等による養生が行われているが、表層面を緻密に覆う事が難しいだけでなく、自然環境下でのコンクリートの養生固化を阻害し、しかも風雨に煽られ現場作業者の危険性を招く。
 上層階のコンクリート打設に伴い、流下するセメントノロ、型枠のアクや鉄筋の錆汁は表層面に付着し、竣工時まで放置することにより浸透付着は強固となり、表層面を汚損し意匠性を著しく低下させ洗浄しても除去できない。
 脱型から竣工に至る間の打放しコンクリート表層面の養生方法に次のようなものがある。
 型枠脱型後、直ちに表層面にガードシーラーを塗布する。本材は防汚性を有し、上層階のコンクリート打設時に生ずる諸々の汚染物に対する付着防止作用とコンクリートの乾燥養生に不可欠な毛細空隙を保護し気体の透過性を確保する。
 ガードシーラーは打放しコンクリート表層面の素材感を失うことがなく、従来のシート養生方法と比較して簡易で作業上の安全性とコストに効果的である。

3-2建築現場の現状
 多くの施工現場では、不具合箇所の発生は予測していない。従ってその対応策も計画の中にないところが多い。現実には完璧な打放しコンクリートは稀で、様々な不具合箇所が生じ対策に苦慮している。しかも発生した不具合箇所の処置消去方法によっては、仕上材の塗布によって生ずる変色・斑模様は、表層面と意匠性を著しく阻害する。
仕上材の材質によっては、築後の経年劣化の進行度合いに大きな格差が生じ、高耐久性を付与する上で打放しコンクリート仕上げの重点項目の一つである。
打放しコンクリート仕上げは、表層面の不具合箇所を消去し痕跡を残さず且つ、塗材による変色・ムラ・濡れ等の意匠性を阻害するものであってはならない。
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3-3補修と仕上げの分類
 現状では打放しコンクリートに生じた不具合箇所に関する施工分野の位置づけがなく、下地補修と仕上げの仕切が不明確である。仕上げ分野は表層面の意匠性を復元するための不具合箇所の修整・消去と、それを保護、高耐久性を付与する仕上げ材の塗工で、ポリマーセメントモルタルによる補修は前段階の下地左官工事に区別される。

3-4不具合箇所の調査
 養生後、表層面の不具合箇所の調査。ひび割れ・ジャンカ・コールドジョイント・色ムラ等があり、セメント・セメントノロ・エフロレッセンスや錆汁など頑固な汚れの不具合箇所に準ずる。

3-5不具合箇所の下地成形
 ジャンカ・コールドジョイントや角かけ等、欠損箇所の形状・大きさ等状況により下地成形に適応した補修材の選定をする。
 下地補修モルタルは付着・引張強度(0.98N/㎟以上)が満たされるポリマーセメントモルタルであればよい。成形補修は左官工により仕上げ面より2~3mm下げて成形する。

3-6養生
 ポリマーセメントモルタルによる下地補修後、乾燥養生する。養生不足のままの修整消去は、ひび割れや変色等を引き起こす。

3-7表面洗浄
 表層面に付着した汚染物の洗浄除去。洗浄によって除去出来ないものは、消去技術による。

3-8不具合箇所修整消去
  不具合箇所補修成形後、表層面に散在する不具合箇所の修整・消去は次の通りである。
 あらかじめ工場生産された6種類の既調合の修整・消去材と、同一修整消去材で塗工された6種類の選定プレートから構成される。表層面に点在する不具合箇所周辺の生地表層面に6種類の選定プレートを比較し選定する。
 従来、職人の熟練度と勘によって、その都度不具合箇所に合わせた修整消去材の調合を行っていたが、本技術により精度の高い修整消去材を具現した。
 選定された修整消去材を下地成形補修材の乾燥養生を確認の上、表層面に合わせ塗工する。

3-9修整消去材の性能
1.不具合箇所周辺の表層面との一体化した色調。
2.変色、ひび割れや乾燥収縮が少ない。
3.不具合箇所の痕跡を修整消去し意匠性の復元が容易。
4.仕上げ塗材による濡れ・ムラ・変色等修整消去材に変化や影響がない。
5.経年劣化が躯体コンクリート同等以上の機能。

3-10修整消去仕上箇所の型枠模様造成
 修整消去後、喪失した型枠模様をカラーコート及び特殊工具により造成する。

3-11特殊浸透性吸水防水材の塗布
 打放しコンクリートのピンホール及び毛細空隙の防水下地として特殊浸透性吸水防水材Aシーラーを含浸塗布する。(150g/㎡程度)

3-12塗膜型防水材
 Bタイプ・特殊浸透性吸水防止材Aシーラーを塗布乾燥養生後、塗膜型防水材NY-7090を2回塗布する。

3-13高耐久性防水材・Aタイプ
 AシーラーとNY-7090塗布乾燥養生後、フッ素又はアクリルシリコン樹脂を塗布する。塗布することで濡れ色・ムラや変色、不具合消去箇所を際立たせ著しく意匠性を損なうことがない。
 意匠性と高耐久性の付与。(図2)
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 次回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」の最終回「4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2」、「5.調査診断と選定」、「6.打放しコンクリート若返りシステムの工程」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、牛肉偽装事件が連続2件ありました。まずは1月23日、雪印食品の関西ミートセンターが、狂牛病対策の国際牛買い取り制度を逆手にとって、輸入牛を国内産と偽って業界団体に買い取らせていたことが発覚。4月30日、雪印食品は解散に追い込まれました。さらに7月30日、日本ハムの検査前牛肉の無断焼却が発覚。偽装工作が明らかになり8月28日、創業者の会長が引退する事態に。消費者は何を信じて食べればいいのか!未だにこの類の事件は頻発しています!

 それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-08-24 07:22 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(84)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」を3回に分けご紹介します。本日はその第1回「1.はじめに」、「2.打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)について」をご紹介します。
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1.はじめに
 素朴で重厚感を合わせもつ打放しコンクリート。その魅力に反して、入念なコンクリート打設にも拘らず、脱型したコンクリート表層面には様々な不具合が生じ、打放しコンクリートとしてのファサードを著しく阻害する。
 大きく分けて打放しコンクリートに求められる要素は、外観と耐久性と言える。
 新築時に於いては、躯体表層面と意匠性を保護するための保全技術であり、一方、経年劣化した打放しコンクリートにあっては、再び新築時の躯体表層面の強化と意匠性回復を期した耐久性付与によるリニューアルである。
 打放しコンクリートの新築時から経年劣化に至る環境作用による劣化現象のデータは少なく、他の建築作法と全く異なった仕上げ構成ゆえに、新築時に付与する保護手法とリニューアルへの対応技術は研究課題の一つであろう。
 では、打放しコンクリート仕上げの脱型時より始まる保全技術と経年劣化による再生技術に至る一貫した保全とリニューアルを構成するシステムについて提案する。
 新旧打放しコンクリートに対応した各々の仕上げ技術は新築にあっては維持保全の役割を与え、劣化損傷したものには再び甦らせ健全化する。快適な居住空間の再生は、衰退する街づくりの復活と良好な社会資産の構築に供し、スクラップアンドビルドを抑制することにより地球環境の保全にも貢献する。
 打放しコンクリート仕上げの計画・設計から改修・再生に至るまでの要点を21のキーポイントにピックアップし、PEC21・パーフェクトエンジニアリングドコントロールとして、これらを打放しコンクリートのライフサイクルに纏めた。

2.打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)について
 使用者・設計者・施工者により構成し、各々の立場から求められる要領項目を抽出し、新築打放しコンクリートを脱型から仕上げのトップコートまでの責任を明確化し一貫性をもたせる。脱型するまで予測不可能な表層面に生じるジャンカ・コールドジョイント・色ムラや目違いなどに対し、対応処置を事前想定し、完璧な打放しコンクリート仕上げとする過程をSTEP-1とする。
 次に築後、経年劣化した打放しコンクリート仕上げを甦らせる若返り過程による改修をSTEP-2とし、STEP-1とドッキング、打放しコンクリートのライフサイクルとし体系的に構成したものである。
 打放しコンクリート仕上げ・LC(ライフサイクル)に於ける2システム対応図を図1に示す。
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 次回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」の第2回「3.新築対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-1」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、韓国、日本の共同開催と言うことで、第17回サッカーワールドカップ が行われました。日本は、6月4日、埼玉スタジアムでベルギーと2-2で引き分けW杯初の勝ち点1をあげ、さらに9日のロシア戦で1-0で初勝利、14日のチュニジア戦も2-0で勝ち、予選1次リーグを1位で抜けましたが、決勝トーナメントでは1回戦で敗れてしまいました。

 それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-08-17 07:20 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(83)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は防水ジャーナル2002年2月号特集■管理組合が求める防水・外壁改修の進め方「打放しコンクリートの意匠を生かした集合住宅改修工事」を読み切りでご紹介します。
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はじめに
 本物件は改修工事全般にわたり施工したが、誌面の都合で躯体の仕上げを構成する打放しコンクリートに限定し報告する。

工事概要
工事名称  :フォレスト南本山改修工事
施主    :フォレスト南本山管理組合(世帯数・32)
設計管理者名:設計事務所㈱遊 田中智美
所在地   :兵庫県神戸市東灘区本山南8丁目地内
構造規模  :鉄筋コンクリート造地上6階、地下1階
現況の外装 :軒裏・壁面・柱・梁-化粧打放しコンクリート仕上げ
       外壁面一部-タイル貼り仕上げ
竣工年   :平成元年
施工面積  :2,814㎡
工期    :平成13年10月15日~12月27日

調査診断と結果報告
 平成13年初頭、設計事務所「遊」より、集合住宅「フォレスト南本山」の総合的な調査診断の依頼を受けた。調査診断の調査員はBELCA建築仕上げ診断技術士と建築仕上げ改修施工管理者の資格を持つ者で編成した。
調査チームは現地に赴き、依頼主の改修設計管理者と打ち合わせ後、直ちに調査診断を開始した。調査方法は外観目視法により、調査内容は打放しコンクリート表面に発生している劣化損傷箇所、漏水、汚損状況など8項目にわたり調査を実施した。外壁調査報告書は、経年劣化に伴う打放しコンクリートの表面の損傷箇所と汚損状況を、写真と図面上で明らかにし、その劣化不具合箇所を数値で示した。

見積書作成と工法説明会の開催
 調査結果に基づく劣化損傷に対するそれぞれの補修方法に対応した施工名称と、項目ごとの単価と数量を明確にした見積書とした。
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 見積書は単独で提出するのではなく、経年劣化した打放しコンクリートには、どのような施工方法によって機能と美観の回復ができるのかなど、日常の生活用語をなるべく多くして理解の人助けとなるような資料も提出することとした。
 改修設計管理者より、見積書と提案書に基づいた工法の説明会を、当管理組合役員5名、改修設計管理者2名と当社2名出席のもと実施された。当社工法の説明後、質疑応答が行われ、改めて劣化した当打放しコンクリートは、どのようにして補修・改修するか、この点に集中された。工法説明会修了後、改修設計管理者より当社の施工に決定した旨通知があった。

施工決定に基づく説明会と施工計画書の提出
 施工決定に基づく、当管理組合長と会計責任者の出席のもと、関係者全員を対象に再度説明会を実施した。今回は先に提出した提案書から一歩踏み込んで、工事について具体化したものを資料として作成した。特に関心をもたれたものは、日常生活を営む上での居住者に与える不便さや障害の有無が主なものだった。
 先に提出した調査結果報告書と関連資料に基づいて、工事概要・施工管理組織表など6章にわたり施工計画書を提出した。内容が日常接することが少ない用語と工事内容のため、理解を深めるために管理組合役員と居住者の全員に5回程の説明会を実施した。特に要望されたのは、緊急時の連絡体制だった。

工法選定のポイント
 過去30年余りに及ぶ改修の施工実績、第三者機関による試験データ、10年の保証と「打放しコンクリートの意匠性を残す」というのも選定理由となった。本関係者による実地調査も行い、既改修された見物所有者・居住者の声も聞き検討資料の1つとしたとのことであった。
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環境問題
 本工法に用いる材料は、最終の仕上材を除いてすべて水性材料で構成されている。水性材料とは言っても樹脂特有の臭いがあり、配慮が必要である。騒音の発生は、事前に関係居住者には通知して施工した。廃棄物については、当工法は環境ISO14000sに準じた処理をしているため、問題とはならなかった。

まとめ
 約2ヶ月余にわたり改修施工したフォレスト南本山は、無事故無災害に加え、管理組合役員の方々と居住者との間に、厚い信頼関係が醸成され、良好な施工環境が構築された。
 特筆すべきは、居住者の総意として打放しコンクリートの持つ特有な意匠性を強く意識され、その重厚な質感の維持保全こそ、精神的な資産であると聞いたことである。
 唯一、打放しコンクリート意匠を残す、と言う一貫した居住者の合意が、いろいろな障害を乗り越えて来たと言うことだった。完了にあたり関係者全員の晴れやかなご満足を頂けたことは、施工者としてこの上ないよろこびであった。

次回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」をお送りします。

 さてこの年の重大ニュースは、二人の方が同時にノーベル賞を受賞しました。
小柴昌俊さんがノーベル物理学賞で授賞理由は「宇宙ニュートリノの検出へのパイオニア的貢献をされた」。宇宙から飛んでくる素粒子「ニュートリノ」をとらえ、ニュートリノ天文学という新しい学問分野を築いた。1987年 HYPERLINK "http://www001.upp.so-net.ne.jp/fukushi/year/1987.html" \l "science" ニュートリノを観測しました。
 もうお一方は田中耕一さんがノーベル化学賞で授賞理由は、たんぱく質の複雑な立体構造の解析や質量の分析により、細胞中でのたんぱく質の機能など生命のプロセスをこれまで以上に理解できるようにされた。すごいですね!二人もいっぺんに受賞です!


それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-08-10 07:12 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(82)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術2001年7月号特集:打放しコンクリートの美観向上と保護、「打放しコンクリートの美観向上最新技術」を2回に分けご紹介します。
本日はその後編「4.改修時における施工技術」、「5.まとめ」をご紹介します。

4.改修時における施工技術
 打放しコンクリート建築の表層面は、海塩粒子・炭酸ガス等の科学的作用、雨水・環境温度・湿度の変化等の自然現象及び振動等に伴う物理的作用など、これらの複合作用を受けてひび割れや内部鉄筋の腐食膨張など劣化損傷が顕在化する。これらは、意匠的に美観の喪失にとどまらず建物全体に悪影響を与える要因である。
 こうした現象の顕在化に伴い資産としての価値低下を招き、並行して建物の耐久性、安全性の面からも懸念され改修計画が検討される。建物の設計から取り壊しまでの過程を、一つのサイクルとして捉えたライフサイクルの考え方が定着し、改修工事は快適な空間の確保と維持管理のランニングコストを精査、資産価値の向上を目的として行われる。
 改修後少なくとも15~20年以上のメンテナンスフリーを目標にすべきで、あくまで耐用年数が基本である。こうした流れから改修工事において美観の回復と耐久性を考慮した躯体の強化策、下地補修から仕上げまで一貫した施工技術が不可欠である。これらのニーズに対応する打放しコンクリート改修施工技術を図2「改修時における施工技術のフローチャート」に示す。
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5.まとめ
 これまで紹介したように打放しコンクリート建築の新築・改修を問わず補修・仕上げ技術の要求範囲は多様化している。美観の回復はもとより耐久性・耐候性及びコストを重視した仕上げ等工法の分類により顧客の選択肢を多くしている。ISOに代表される高品質な施工技術と信頼性、良好な施工環境の構築によって、顧客のニーズを満足させることがより一層強く求められている。新・旧打放しコンクリート仕上げ技術もそれに応えるだけの幅広い技術の提供が不可欠である。今後の課題として環境問題が挙げられる。技術者の安全と健康維持は勿論のこと、良好な作業環境の構築は、周辺の生活環境を守ることにも繋がる。健康を害さない施工材料と廃棄物のゼロ・エミッション化は21世紀のテーマでもある。
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 なお、ここで述べた本工法に関連する当社の特許番号を下記参考に供する。
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 次回は防水ジャーナル2002年2月号特集■管理組合が求める防水・外壁改修の進め方「打放しコンクリートの意匠を生かした集合住宅改修工事」を読み切りでご紹介します。

 さてこの年の重大ニュースは、6月8日大阪府池田市の大阪教育大学付属池田小学校に男が乱入して刃物を振り回し、児童8人が死亡、教員を含む計15人がけがをしました。男(37歳)が殺人未遂容疑で逮捕され、 2003年には死刑が確定しました。冷酷無比で残虐な事件でした。

 それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-08-03 07:20 | ブログ