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「打放しコンクリートと共に」 その(77)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」を3回にわけご紹介します。
本日は最終回「打放し若返りシステムの施工」、「おわりに」をご紹介します。

打放し若返りシステムの施工
(1)表面の高圧水洗浄
コンクリート表面に付着した汚染物や苔などを高圧水洗浄(200kgf/㎝²)により除去する。鉄筋の錆汁は下学洗浄剤による併用洗浄とする(写9)。
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(2)コンクリート強化剤の含浸塗布
コンクリート乾燥養生後、無機質浸透強化剤を刷毛またはローラーにて200g/m²を2回に分けて含浸塗布する。風化したコンクリート表層部分を緻密化し、また耐酸性を向上させることにより中性化の進行を防止する(図1、写10)。
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(3)露出鉄筋箇所の斫り・防錆処理
鉄筋の腐食が原因となって生じた被りコンクリートの剥離・浮き箇所の斫り取り、錆化腐食部分を中心にして腐食鉄筋の裏側に達するよう健全部まで丹念に斫り取る。そしてグラインダ、ワイヤーブラシなどを用いて腐食した鉄筋を十分ケレンし防錆材を塗布する(写11)。
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(4)エラスティックモルタルによるひび割れ補修
躯体コンクリートの発生したひび割れ補修方法として、ひび割れの発生原因が鉄筋の腐食よらない場合、従来からエポキシ樹脂の注入方法が効果的といわれているが、ひび割れは常に振動・荷重の増加、湿度・温度の変化などによりコンクリートの伸縮拳動が繰り返えされているため、注入した近傍に新たなバイパスクラックが発生する。このようなひび割れに対しては、普通モルタル10倍以上の引張変形性能をもつエラスティックモルタルを使用することにより、ひび割れの再発防止と防水性を付与することができる。施工方法はひび割れ箇所をUカットし、深部をウレタンコーキング、次にエラスティックフィラーを塗布し、エラスティックモルタルで仕上面まで充填整形する(図2、写12)。
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(5)調合樹脂モルタルの修整
欠損部の補修は、その都度躯体に合わせた調合樹脂モルタルによる修整とする。調合樹脂モルタルは、接着力・色調・強度・耐震性が高く、また打放しコンクリートの表面の色合いを的確に再現できる優れた調合モルタルである。なお、修整モルタルと躯体の一体化は打放しコンクリートの不可欠条件でプレート方式による調合樹脂モルタルの選定とする。露出鉄筋まわりのコンクリートを斫り取った部分への埋戻し(パッチング)は、防錆せる。このとき、かぶり厚を確保するため、鉄筋を内側へ押し込むなどの処理が必要である(写13)。
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(6)木コン穴の補修
木コンは新築時にセメントモルタルによる埋込みが施されているが、経年劣化とモルタルの収縮により木コンは離脱あるいは浮いていることが多い。木コン穴の残滓を取り除き、新たに底部にシーリング材を充填し、接着性・無収縮性・耐水性の優れた調合樹脂モルタルの埋込みを行う。
(7)色合わせ・型枠模様造成
耐候性に優れた数種の顔料・調合材によって、打放し全面の色合わせと型枠模様の復元を特殊刷毛によって施工する。コンクリート打放し仕上げの表面には、型枠から転写された木目模様や型枠の目違いなどから残存するため。再生するうえでもこれらをリアルに表現することがポイントである。本システムにおいては、施工物件ごとのコンクリート色に合わせた伸長型セメント系エラスティックフィラーを全面に塗布し、専門道具を用いてコンクリートの素肌を再現し、そこに耐候性に優れた無機質系顔料によって木目模様の造成を行う。このエラスティックフィラーは下地のコンクリートに発生するひび割れに追従し、また炭酸ガス・塩分を遮断する機能性下地材である(表3、写14)。
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(8)超耐候性アクリルシリコン樹脂系仕上げ
前記工程を施したコンプリート表面に、超耐候性アクリルシリコン樹脂系トップコートを全面に塗布する。これにより若返り諸工程の保護、表面の汚染防止、防水性能の向上と超耐候性能が付与される(表4、写15)。
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(9)打放しリニューアルに際しての提案
1)金属笠木の採用
打放し建築の最上階の天端仕上げには、当時はモルタル笠木が主流となっていた。そのほとんどに、浮き・ひび割れが生じている。これらは改修時にすべて補修され現状回復はされるがモルタル笠木の防水対策としては不十分である。
防水と汚れ防止策には、モルタル笠木の表面を金属笠木または防水シールなどでカバーリングするのが不可欠である。金属笠木の取付け位置は打放し面より20mm以上はね出し、雨水の垂れ流しを防止するための間隔をもたせて取り付ける(図3)。
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2)手摺・ベランダ腰壁の防水処理
PCaコンクリートの階段手摺や方位などで、雨水のあたる箇所は表面の劣化がいちじるしい。これら表面を調合樹脂モルタルでしごき塗りして下地成形し、強靱な防水仕上げを施す。
3)被りコンクリート厚さ不足の鉄筋処理
おもに庇上裏で規則的に位置した鉄筋の錆化で、被りコンクリートを剥落させるに至ってはいないが、いずれ錆化膨張に至り被りコンクリートの剥落が予測されるため、これらはすべて斫り出し、被り厚さを考慮に入れた深さまで溝斫りして、鉄筋を押し込み被り厚さを10mm以上確保する。
4)ひび割れ処理
日射温令の作用を受けて、ひび割れは補修後も継続的に繰り返し伸縮している。ひび割れの動きの追従する弾性材料による補修がポイントである。エポキシ樹脂やポリマーセメントモルタルなど硬い材質で補修した場合、バイパスクラックが生じ再び雨水の浸透を招くことになり、打放しリニューアルの成果が失われることになる。
5)超耐候性防水材
防水性能の低下、もしくは喪失による打放し面の雨水の浸透は中性化を促進させ、内部鉄筋の腐食を引き起こし、劣化損傷を早める。リニューアルの重点項目として、超耐候性防水材であるフッ素樹脂やアクリルシリコン樹脂を塗布することが望ましい。

 打放しリニューアルの主流は、原設計に基づいた意匠性の回復と躯体の強化である。厳しい外部の環境作用を受けて、往年の打放し建築の面影は疲弊し機能喪失を物語っている。このような打放しコンクリートに対し、再び新築時の意匠性と素材の機能回復を図るところに特徴がある。積み重ねられた実績をベースとして、よりリアルにしかも長期にわたり、美観と耐久性を付与した技術で寄与していきたい。
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 次回は建築知識1999年11月号、「打放しコンクリートの補修方法と『仕上げ』」を読み切りでご紹介します。

 さてこの年最後の重大ニュースは海外、8月31日未明、ダイアナ妃がパリで交通事故死しました。英皇太子妃ダイアナの乗った乗用車がパリ市内のセーヌ川沿いの自動車道路のトンネルで交通事故を起こし、重傷を負ったダイアナは出血多量のため亡くなりました。ダイアナ妃の新しい恋人とうわさされ事故車に同乗していたエジプト人の富豪も共に死亡しました。車は、追いかけるカメラマン(パパラッチ)たちの乗った数台のオートバイを猛スピードで振り切ろうとしてトンネルの壁に激突した模様で、9月6日ロンドンのウエストミンスター寺院で葬儀が行われエリザベス女王もご列席されました。

 それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-06-29 07:36 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(76)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」を3回にわけご紹介します。
本日はその第2回「打放しリニューアルの手順」をご紹介します。

打放しリニューアルの手順 
 某学校建築の打放しリニューアルをモデルにして手順を紹介する。この建物は竣工後30年余り経過したもので、構造は鉄筋コンクリート造、地上3階建である。柱・外壁はすべて打放しコンクリートで、外壁面積が3,000㎡である。リニューアルに至るまでの過程を順を追って記述する(表1)。
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(1)外壁調査
最初に打放し外壁の調査診断を行った。この調査診断の目的は、現況の劣化損傷の把握である。調査内容は、概観目視法とし調査内容は表2のとおりである。
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(2)調査結果と原因の推定
1)ひび割れ
温度・湿度の環境変化に伴うコンクリートの伸縮で、そのほかコンクリートの乾燥収縮や拳動などによる環境作用と推定される。

2)露出鉄筋
確認した露出鉄筋は、いずれもコンクリートのかぶり厚さ不足と防水性能の喪失に起因し、雨水・炭酸ガスなどの浸透により内在鉄筋が腐食膨張し、かぶりコンクリートを押し出し、剥落が生じ鉄筋が露出したものと推定される。

3)モルタル補修跡
新築当時に発生した不具合箇所をモルタル補修したものである。経年劣化により補修材の付着力低下とひび割れで、部分的に浮きが生じているものと推定される。

4)コールドジョイント
コールドジョイントは、下層コンクリートの凝結硬化開始後に上層コンクリートを打設したため、一体化が阻害され生じたものと推定される。

5)木屑
コンクリート打設時に桟木が型枠内部に残存していたものと推定される。

(3)コンクリート圧縮強度の測定
コンクリートの圧縮強度はシュミットハンマーにより測定した。

(4)中性化深さ測定
測定箇所からのコア採取と中性化深さを測定する。
建物経過年数と中性化深さの関係を、以下の式により検討する。
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 フェノールフタレイン法による中性化深さ(測定値)は、建物経過年数から算出した平均中性化深さの値を下回っているが、南面・屋上②については平均中性化深さ以上である。

 次回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポートの最終回「打放し若返りシステムの施工」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、第16回ワールドカップアジア地区予選で日本が初出場決定。
 9月28日、韓国戦は先制しながらも守勢に回って逆転負けとなり、10月4日のカザブスタン戦ではロスタイムで同点にされて引き分けとなってしまう。加茂監督は更迭され岡田新監督の下、ウズベキスタン戦、アラブ首長国連邦戦に引き分け、そしてついに11月8日、カザブスタン戦で5-1と快勝し日本が初出場を決めました。


 それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-06-22 07:24 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(75)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」を3回にわけご紹介します。
本日はその第1回「はじめに」、「打放しリニューアルの端緒」をご紹介します。
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 長く厳しい風雪に耐えてきた打放しの表面は、黒く汚れ、ひび割れとコンクリートの剥落が生じ、所々に鉄筋が露出し、劣化損傷にあえいでいる。このような打放しの表面に、再び元の活力と重厚な意匠性を取り戻すことを目的とした技術が、打放しコンクリートリニューアルシステムである。リニューアルシステム(吉田工法)には、次の三つのシステム工法からなり、おのおのの特徴は次のとおりである。

(1)打放しコンクリート若返りシステム
新築時の打放しに復元回復、耐久性を付与することを目的とした工法。

(2)打放しコンクリート年代風仕上げシステム
長期のわたり刻み込まれてきた伝統と歴史の数々をとどめ古さを保ちつつ同時に躯体をさらに強化、耐久性を付与する。

(3)打放しコンクリート立体型枠模様仕上げ
主として本実型枠模様が主流で、木目を立体的な深みのある仕上げに造成するのが特徴で、本実のリアル感を醸し出す工法。

 いずれのシステムも経年劣化した打放しを単なるリニューアルにとどまらず、打放し建築としての存在感と地域環境にマッチしたリニューアル工法で三つの選択肢が用意されている。
本稿は誌面の都合で年代風仕上げ・立体型枠模様仕上げは割愛し、若返りシステムを紹介する。

打放しリニューアルの端緒 
 リニューアルへの関心は、頭上からコンクリートの欠片が落ちてくる、漏水がある。汚れが目立ってきたなどの、安心性と住環境と美観の低下が端緒となる。
 打放しは、躯体そのものが仕上げを兼ねているため、外部作用による多様な影響を受けて劣化損耗へとつながっていく。打放し外壁の防水は撥水系のものが多用され、打放しの表層面を変化させない点が評価されているが、「美人薄命」の言葉どおりその防水効果はきわめて短く、防水性能の低下によって降雨のたびに濡れ色を呈し、吸水コンクリートと化す。浸透した雨水は汚れ・ほこりを付着させ、カビ・コケの発生原因となり、ひび割れは濡水やエフロレッセンスを誘発し、かぶり厚さの不足した鉄筋は錆化腐食していく。このような現象を経て、劣化損傷が顕在化しリニューアルの必要性が生じてくる。
 これらの打放し外壁のおもな劣化症状を示す。

①汚れ(写1) ②カビ・コケの付着(写2) ③ひび割れ(写3)
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④露出鉄筋(写4) ⑤浮き剥離(写5) ⑥欠損(写6) 
⑦漏水(写7) ⑧木屑(写8)
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 次回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポートの第2回「打放しリニューアルの手順」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、神戸で小学生殺傷事件、2月10日、神戸市須磨区で女児2人が金槌で殴られ、3月16日には女児が金槌で殴られて死亡、数分後に別の女児が刃物で刺されて重傷を負いました。5月24日には小学6年生の男児が行方不明となり、27日早朝、自宅近くの中学校の正門前で切断された頭部が発見され、午後には胴体部分が発見されました。そして6月4日、神戸新聞社に独特の字体の犯行声明文が届き、28日容疑者の中学3年生が逮捕され、女児4人の殺傷についても犯行を認めました。10月17日、神戸家裁は「医療少年院送致」の保護処分を言い渡した。犯行自体は鬼畜化していますが、それだけではかたづけられない世相のゆがみ、ひずみみたいなものを感じざるを得ない事件でした。

 それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-06-15 07:23 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(74)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」を3回にわけご紹介します。
本日はその最終回「4.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-2」、「5.調査と打放しコンクリート若返りシステム」をご紹介します。

4.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-2
 多様化した厳しい環境条件下での打放しコンクリート仕上げは、日射・酸性雨・海塩粒子・温湿度変化等の自然現象とその他大気化学物質などの化学的作用や挙動・振動に起因した物理的作用を受けて、表層面の劣化・ひび割れ・中性化・鉄筋腐食や凍害など打放しコンクリート仕上げの表層面は著しく劣化汚損し、意匠性や美観の喪失に止まらず躯体の損傷にまで及んでいる。
 打放しコンクリートのライフサイクルに於ける維持保全のスタートは竣工直後より生じる劣化に対して、打放しコンクリート仕上げシステムSTEP-2で対応する。
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4-1 STEP-2を構成する改修システム群
 経年劣化した打放しコンクリート仕上げの改修技術としてSTEP-2を提案、調査診断結果を基に劣化症状によって施工システムを選定する。
 適用改修技術のシステム群は次の通りである。
(1)打放しコンクリート現存システム
 打放しコンクリートの表層面をそのままの姿でリフレッシュし、耐久性を付与するシステム。築後の劣化損傷が極めて軽度で、現状の表層面より汚染物の除去をメインとした素地調整の上高耐久性を付与する。

(2)打放しコンクリート年代風仕上げシステム(劣化,中度)
 打放しコンクリートの表層面が中度の劣化状態で、表層面を生かしつつコンクリート強化剤を含浸塗布する事によりコンクリートを強化し、積み重ねられた風情を留めつつ、劣化部に対して限定消去法で対応し更に高耐久性を付与する。

(3)打放しコンクリート若返りシステム
 築後15~30年余りで劣化損傷が重度と診断されたもので、打放しコンクリート仕上げの耐久性を内外面から改修する。露出鉄筋の防錆処理を始めとする本格的な補修・修整を施しさらに超耐久性を付与し元設計の型枠模様を復元甦らせる。
・調査結果
 調査方法は、外観目視法により調査項目はひび割れ・露出鉄筋・ジャンカやコールドジョイントなど9項目とする。調査結果に基づいた原因の推定と劣化項目に従い集計表に詳細記入する。

5.調査と打放しコンクリート若返りシステム
 築後の経年劣化に伴う打放しコンクリート仕上げと再生改修技術として、3システムを紹介したが、劣化度重度の劣化損傷に対応した打放しコンクリート若返りシステムについて述べる。
 なお、現存システム並びに年代風仕上げシステムは紙面の都合で割愛する。
 次にSTEP-2のフローチャートに基づいてシステム工法を述べる。

5-1 調査診断
 竣工後の所業点検(2年以内)及び定期点検(10年以内の周期で実施)によって、経年期における劣化損傷状況の把握をする。
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5-2 素地調整
(1)コンクリートの表面を約200㎏/c㎡の高圧水で洗浄し、汚れやほこり等を完全に除去する。

(2)空隙のある、とれやすい砂利等は叩き落とす。

(3)表面に付着した鉄筋の錆及び染みは、ケミカルエースR(当社製)を用いて洗浄する。

5-3 NY-606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、1㎡当たり200gのNY-606を含浸塗布する。
 NY-606は各種特殊添加剤を加えた珪弗化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性の弗化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。
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 NY-606を含浸塗布することにより、不溶性の弗化カルシウムが固着され花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性が向上する。また、酸に対する抵抗性が向上し表面強度が改善され、コンクリート自体の耐久性が付与される。
 2CaCO3+MgSiF6=2CaF2+MgF2+SiO2+2CO2

5-4 欠損部の処理
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 各種劣化症状に対する補修方法を以下に示す。

5-4-1 露出鉄筋部
(1)鉄筋の腐食している鉄筋の周囲を深さ方向に入念に斫り取る。この際斫り取る深さは、腐食した鉄筋を十分にケレンし、防錆処理を適切に行うことが出来る程度とする。

(2)斫り取りが終了した後、ワイヤーブラシ・電動ケレン機等を使用し、錆を除去する。

(3)ケレンが終了した鉄筋にはNY-特殊防錆材を塗布する。

(4)斫りの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。この際、コンクリートの表面(仕上面)から1~2㎜程度下げて仕上げる。

(5)最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上面)にあわせて平滑に仕上げる。

5-4-2 ひび割れ部(コールドジョイント含む)
(1)ひび割れに沿って電動カッターを用いて巾12㎜程度、深さ15㎜程度にU字型の溝を設ける。

(2)Uカット溝部に付着している斫り片,粉塵を刷毛等で除去する。

(3)清掃した部分に対してウレタンプライマーを均一に塗布する。

(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを行う。充填はUカット溝底部から3㎜程度とし、充填後はヘラで充分押さえ下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。

(5)次にNY-エラスティックフィラーを塗り残しがないように均一に塗布する。

(6)NY-エラスティックモルタルを充填する。
(注:0.2㎜以下のひび割れは、NY-エラスティックモルタルによる木ベラでの塗り込みとする。)

5-4-3 既存補修モルタル部
(1)浮いている部分のモルタルは完全に除去する。また、豆板を補修したモルタルは完全に取り除き、豆板等脆弱部分は今後の劣化の進行に対して弱点となると考えられることから、このような部分は丹念に斫り取る。

(2)斫り取った下地部分は、刷毛・ブラシ等で汚れ・ほこり等を除去して清掃する。

(3)必要に応じNY-7000プライマーを下地部分に塗り残しのないよう塗布する。

(4)斫りの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。この際、コンクリートの表面(仕上面)から1~2㎜程度下げて仕上げる。
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(5)最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上面)に合わせて平滑に仕上げる。

5-5 修整用NY-調合樹脂モルタルのコテ塗り
(1)欠損部を処理した箇所は周囲との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルを薄くコテ塗りし、コンクリート表面(仕上面)に合わせて平滑に仕上げ水引き具合を見定めて毛足の長い刷毛で表面を刷毛引きする。また、5㎜以上のピンホールも同様に処理する。
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5-6 素地全面生地調整
(1)打放しコンクリート表面は部位により色違いがあるため、NY-調合樹脂生地調整材(NY-7000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]を刷毛にて塗布する。

(2)下地のコンクリートに起因するひび割れに追従するNY-調合樹脂生地調整材(NY-8000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]をローラーにて塗布する。

5-7 型枠模様造成
(1)カラーコート[特殊灰汁:浸透剤:添加剤]による板目・木目を専門職人により各種の刷毛を使用し造成する。

5-8 表面防水固定処理(NY-9090トップコート)
(1)各工程に要する樹脂材料・特殊添加剤を含む修整材料の性能発揮と劣化防止のために、耐久性と浸水抵抗と高い緻密な皮膜を形成する表面防水固定処理材特殊アクリルシリコン樹脂系NY-9090トップコートを塗布する。

(付記:当社の打放しコンクリート仕上げPEC21・STEP-2による改修実績に基づいて地域別・経過年数別にデータで示した。)
 このデータは(昭和61年~平成8年)の施工物件で、竣工から改修に至る経過年数を示したものである(グラフ2)。
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データ数は59物件であり、参考としてその地域頻度を示した(グラフ1)。
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 グラフ1より関東(22.0%),東京(25.4%)地域が半数を占めている。その他東海・北陸(20.3%),関西(11.9%),中国・四国(10.2%)の順となっている。
 経過年数別に示したグラフ2を見ると、竣工から改修工事に至る年数として18年~30年程度で改修工事を行う物件が多い傾向が認められる。また、このデータにおける4年~10年程度で改修工事に至る物件については、建物の経年劣化よりも新築時における不具合が原因となっているものと推定される。
 以上の結果から59件の改修工事に至る経過年数の平均は21.8年であり、20年前後で大規模な改修の検討を始めるものと思われる。

 次回は施工1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」をご紹介します。

さてこの年の重大ニュース、3月14日、エイズウイルス(HIV)に汚染された輸入血液製剤による薬害エイズ訴訟で、製薬会社の「ミドリ十字」が加害責任を認めて謝罪し血友病患者らとの間で和解が成立しました。

それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-06-08 08:52 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(73)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」を3回にわけご紹介します。
本日はその第2回「3.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-1」をご紹介します。

3.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-1
3-1 脱型保護養生
 脱型から開始される打放しコンクリート表層面の保護保全対策は、竣工に至るまでの打放しコンクリートの仕上げに大きな影響を与える要素である。脱型時に生ずる欠損ヶ所は、不用意なバラシ作業によって生じたものである。
 バールのかけ方の配慮不足から角かけ・表層面の摩擦傷・メジや水切りの角かけがあり、その他寸法出しのための墨打ちなどは、後の除去が困難で特に注意を要するところである。
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次に工事期間表層面の保護養生のため、打放しコンクリート表層面をビニールシート等で覆い、保護する方法などが行われているが、シート取付けの手間と風雨に煽られる等作業上の危険性と表層面を緻密に覆う事が難しいなど解決すべき点がある。
 上層階のコンクリート打設の際、流下したセメントノロ、型枠のアクや鉄筋の錆汁は表層面を流下付着し、竣工まで放置されることによる浸透付着は強固なものとなり洗浄によっても完全に除去出来ない。理想としてはその都度洗浄除去すべきであるが、コストと関連工事とのからみで不可能に近い。
 ここに脱型後から竣工に至る間の打放しコンクリート表層面保護管理方法の技術上の問題点が浮かび上がってくる。
 次に打放しコンクリート表層面の汚染防止工法を紹介する。
 上層階の型枠を組付けた段階で下層階の型枠を脱型し、打放しコンクリート表層面に浸透性吸水防止材を塗工する。本防止材は撥水性を有し、上層階のコンクリート打設時に生じる諸々の汚染物に対し付着防止作用があり、コンクリートの乾燥養生に不可欠な毛管空隙を塞ぐことなく気体の透過性が良いため乾燥養生に支障はない。
 また、この工法は打放しコンクリートの表層面を傷めることがなく素材感を失うことがない。従来のシートの養生方法と比較して遥かに作業上の安全性とコストに効果的である。

3-2 補修・仕上げの分類
 現状打放しコンクリート不具合ヶ所の施工分野の位置づけがなく、補修と仕上げについて適切な分類が不明確である。その原因の一つに打放しコンクリートは脱型した表層面が仕上げであって、その素材を生かすために一切手を加えないのが基本で、素材の意匠性を損なうことのない仕上材を塗布することで仕上げとしている。
 現実には完璧な打放しコンクリートは稀で様々な不具合が生じ対応に苦慮している。その一方で築後の経年劣化の進行は速く環境作用を受けて汚染物の付着と損傷の拡大は打放しコンクリート仕上げの大きな課題とされている。
 この二つの問題点から打放しコンクリートの仕上げ技術の重要性がある。
 ジャンカ、コールドジョイント等の不具合の応急処置として補修がある。補修はあくまで、修整・消去仕上げの前段階であって下地工事と位置づけ、仕上げとは本質的に異なることを明記したい。
 打放しコンクリート仕上げの必須条件は、不具合ヶ所を消去し痕跡を残さず且つ打放しコンクリート表層面と一体化させ、最終仕上げ塗材による変色・ムラ・濡れ等の意匠性を阻害する影響を排除したものである。

3-3 不具合ヶ所及び汚染調査
 保護・養生完了後順次、打放しコンクリート表層面の不具合ヶ所の調査を行う。不具合としてひび割れ・ジャンカ・コールドジョイント・色ムラ等があり、セメント、セメントノロ、エフロレッセンスや錆汁など強固な汚れの付着も図面上記入する。
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 不具合及び汚染付着ヶ所を上記リストに従い、大きさ・部位・数量を記録する。

3-4 不具合ヶ所の下地補修
 ジャンカ・コールドジョイントや角かけ等、欠損ヶ所の形状・規模等状況により下地補修材の調合比率を決める。
 下地補修モルタルは付着・引張強度(10㎏f/c㎡以上)が満たされるポリマーセメント、セメントモルタルであれば特に問題はない。補修は左官工によって打放しコンクリート仕上げ面より2~3㎜下げて充填下地形成をする。

3-5 養生
 補修用ポリマーセメントモルタルによる下地補修後十分な乾燥養生が必要である。少なくとも含水率15%以下になるまで養生する。養生不足のまま修整消去仕上げを施すと後日、ひび割れや変色等を引き起こすので注意する。

3-6 表面洗浄
 下地補修とラップして汚染物の洗浄除去を行う。洗浄によって除去出来ないものは、消去技術によるものとする。

3-7 不具合ヶ所修整消去技術
 ここからが不具合ヶ所に対応した打放しコンクリート仕上げ(PEC21)の技術である。打放しコンクリート表層面に散在する不具合ヶ所の修整・消去仕上げ方法を述べる。
 あらかじめ工場生産された6種類の既調合の修整・消去仕上げ材と、同一修整消去材で塗工された6種の選定プレートから構成される。打放しコンクリート表層面に点在した不具合ヶ所周辺の生地色に前述の6種類の選定プレートを比較し、類似色の修整消去材の選定をする。
 従来、職人の熟練度と勘によってその都度不具合ヶ所毎に生地色に合わせた修整材の調合を現場に於いて行っていたが、より精度の高い仕上げの向上と合理性・経済性を求めて開発された新技術である。
 選定された修整消去仕上げ材を下地補修材の乾燥養生を確認の上、打放しコンクリート表層面に合わせコテ塗りする。打放しコンクリート仕上げ面との一体化を計るため研磨材で平滑に整える。

3-8 打放し補修と修整消去仕上げ

(1)補修方法
 打放し補修に使用するポリマーセメントモルタルは、不具合ヶ所の下地工事として施工するため、仕上げ面より2~3㎜下げて充填補修とするが不具合ヶ所の深さが2~3㎜以下であれば、補修の対象とはしない。

(2)補修材の性能
1.軀体コンクリートと密着一体化した調合ポリマーセメントモルタル。
2.ひび割れや収縮が少ない。
3.変色は可。
4.引張強度が10㎏f/c㎡以上であること。

(3)修整消去材の性能
1.不具合ヶ所の表層面と一体化した色調合のポリマーセメントモルタルであること。
2.変色、ひび割れや乾燥収縮がない。
3.不具合ヶ所部分を限定して修整消去し健全部を残す。
4.不具合ヶ所の痕跡を修整消去することにより、健全化し意匠性を復元する。
5.仕上げ塗材による濡れ・ムラ・変色等修整消去材に変化や影響がない。
6.経年変化が?体コンクリート同等以上の性能を有すること。

(4)修整消去
 補修材の十分な乾燥養生後、修整消去材を表層面に合わせコテ塗りとする。

3-9 修整消去仕上げヶ所の型枠模様造成
 修整消去仕上げ後の表層面を復元する。喪失した型枠模様を特殊カラーコート及び特殊器具により造成する。

3-10 浸透性吸水防止材の塗布
 撥水を主目的に実施される防水材の下地工程である。打放しコンクリートの毛管空隙の防水下地として、浸透性吸水防止材Aシーラー(水性・溶剤型)を含浸塗布する(150g/㎡程度)

3-11 塗膜型防水材
 浸透型吸水防止材Aシーラーを塗布乾燥養生後、塗膜型防水材NY-7090を塗布して打放しコンクリート表層面の生地の質感をキープ、最後にトップコート(フッ素・アクリルシリコン樹脂系)を塗布する。
 従来より高耐久性仕上げ塗材の塗布により生ずるムラ・濡れや不具合跡の顕在化はやむを得ぬものとされていたが、打放しコンクリート(PEC21)・STEP-1によって完璧な打放しコンクリート仕上げを具現した。

3-12 高耐久性防水材
 フッ素・アクリルシリコン樹脂に代表される高耐久性防水材は、その性状から打放しコンクリートとの仕上げの相性が良くないため、塗布することで濡れ色・ムラや変色が生じ、打放しコンクリート表層面の不具合ヶ所を際立たせ著しく意匠性を損なう。打放しコンクリート(PEC21)・STEP-1の一貫した新技術によって意匠性と高耐久性付与を同時に可能とした。

3-13 不具合現象の皆無
 打放しコンクリート表層面の不具合の発生が皆無の場合、仕上げ種別に基づいたものとする(STEP-1フローチャート参照)。
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次回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」、最終回
「4.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-2」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、住宅金融専門会社(住専)処理案をめぐり、与野党対立のまま国会は3週間空転したが、住専処理の6850億円を盛り込んだ1996年度予算案が5月10日に成立。大手借り口の不動産会社社長らが逮捕されました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-06-01 07:22 | ブログ