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「打放しコンクリートと共に」 その(72)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」を3回にわけご紹介します。
本日は第1回「1.はじめに」から「2.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)」までご紹介します。
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1.はじめに
 『汚れる、冷たい、耐久性が低い、施工に神経を使う、メンテナンスが大変、コンパネ、剥離剤に変わった今も、ジャンカとクラックとコールドジョイントの恐怖に脅かされながら、建築家の心をとらえて離さない。
そして何故か日本的な空間表現を可能とする』この文章は日本建築学会「建築雑誌」92年2月号の扉に掲載されたものを抜粋引用したものである。
 残念ながら既に取り壊されてしまったアントニン・レーモンド(1924年)の霊南坂の家が、日本で最初の本格的な打放しコンクリート建築ではないかと言われている。これを契機に、その後、全国各地の公共建築物に打放しが採用され、1960年代には打放しコンクリート建築の全盛時代をもたらし今日に至った。しかし、この素朴で重厚感を合わせもつ打放しコンクリートの限りない魅力に反して、入念なコンクリート打設にも拘らず、脱型したコンクリート表層面には様々な不具合が生じ、仕上げを著しく阻害する要因となっている。
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 近年、打放しコンクリートの関心の高まりは仕上げ精度の向上と表層面の意匠性の維持保全に重点が置かれ、耐久性のある仕上げ技術が要求されている。
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 築後より始まる劣化現象は、予想外の速さで補修改修を招き、打放しコンクリートのランニングコストを押し上げる結果となっている。この様なことからメンテナンスを要しない高耐久性の仕上げ技術が強く求められている由縁である。

2.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)
 打放しコンクリートのライフサイクルを設計・施工・維持保全に大別し、打放しコンクリートの生みの親、育ての親に係る21のキーポイントを抽出し、高品質・高耐久性の打放しコンクリート仕上げの実現を目指し、誕生から改修に至るライフサイクルを系統化し、竣工までをSTEP-1とし、築後の維持保全及び改修期をSTEP-2に分類、打放しコンクリート仕上げに係る問題点と対応技術を提起した。
 新築打放しコンクリートの仕上げを脱型からトップコートまで一貫性をもたせ、設計施工段階で予測不可能な表層面の現象やどうしても逃れることの出来ないジャンカや色ムラ、目違い、汚れや欠損などの発生に対し、予め予算的予防処置を講じ完璧な打放しコンクリート仕上げとするため合理的且柔軟に対応可能とした仕上げ技術である。
 次に築後、経年劣化損傷する打放しコンクリート仕上げを美しく老いていくための維持保全と新築時の打放しコンクリートに甦らせる若返り技術、誕生から歴史を物語る老後まで長期にわたる保全管理の使命を果たす維持保全と改修技術をSTEP-2とし、STEP-1とドッキングし体系的に構築したものである。
 最初に新築打放しコンクリート仕上げをSTEP-1、次に築後の維持保全・改修技術をSTEP-2として打放しコンクリート仕上げのLC(ライフサイクル)をシステム対応図に基づいて述べる。
 なお、本稿は打放し仕上げに関する施工技術に焦点を絞り創成期より改修期に至る設計・施工に付随した諸問題は割愛する。

 次回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」 第2回「3.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-1」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、集団食中毒病原性大腸菌「O-157」による集団食中毒が日本各地で発生し、患者は9000人を超え死者は11人にもおよびました。7月13日、大阪府堺市で学校給食が原因とみられる食中毒では女児が死亡、患者は5700人を超す被害になりました。

 それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-05-25 07:19 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(71)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築技術1995年10月号、特集「コンクリート工事/困ったときのノウハウ集」、「不具合が発生したときの対処、打放し仕上げの補修」を3回に分けご紹介します。
今回は最終回「補修方法」から「大気汚染対策」までをご紹介します。

補修方法
 繰り返し述べてきたことであるが、不具合箇所の補修にとりかかる前、目前の大きな不具合に目を奪われて取り敢えず充填補修に着手する。
現場関係者の心情はよく理解できるところであるが、結果的には二度手間であるばかりでなく、仕上げのための生地肌が確保されていない状態での補修は、補修モルタルの色調合の違いを招くことになり、斫り取り再補修という最も悪い施工となる。
打放し補修は刺身料理と同じで、手を付ければ付けるほど不味くなる。
次に一般的な不具合箇所の補修方法を述べる。

工程タイミング
 補修には躯体に合わせた材料の調合と、施工手順が大切である。不具合箇所に対する十分な知識と経験をもち、それぞれの施工手順に従い施工する。
例えば、調合樹脂モルタル補修後、養生期間を長くおいたため、強度が出過ぎて第2工程である研磨修整ができず、斫り取って再度補修する羽目となる。
そのため環境作用を考慮に入れた補修後の対応処置が、仕上がりの出来不出来に大きく関係してくる。

型枠模様の造成
 補修ポイントは何といっても、不具合箇所補修後の型枠模様の復元であろう。型枠には本実型枠を始めとして樹脂塗装合板型枠、ベニヤ型枠、鋼板型枠やプラスチック型枠などがある。型枠による色調も使用型枠によって異なる。不具合箇所はこの表層模様が失われているため、補修モルタル充填成形後の重要な仕上げとして高度の技術が集中される。
型枠模様造成の色調合には、耐候性の高い数種のカラーコートに合成樹脂を添加し、しかも補修箇所周辺部の型枠模様に連結させ、復元造成し型枠模様を健全部に一体化させることである。

防水材
 打放し表層面の生地肌に防水材を塗布するが、経年後の防水性能の低下によって躯体コンクリートと補修箇所との違いが歴然としてくるケースが多い。これは補修材と躯体コンクリートの吸水性の違いから生じたもので、その防止方法として躯体と補修箇所とは別々に考え、それぞれに防水材の塗布量、塗布回数などを考慮し施工することである。

表情を変えない
 最近は酸性雨が示すように、大気汚染が打放しに対し汚染物の付着と劣化を促進させている。これに合わせて、従来にはない高耐久性の塗材が採用されている。代表的なものに、超耐候性防水材としてフッ素樹脂やアクリルシリコン樹脂などがある。この種のクリアタイプの防水材は、補修箇所を生地肌と一体化させることが困難で、溶剤系のクリア塗膜防水は打放し生地肌を濡れ色にし、しかも補修箇所を歴然とさせ意匠性を著しく損なうため、着色して補修箇所をぼかす方法を試みている。
このため無色透明の浸透性吸水防止材が多く使用されているが、長期性能に乏しくしかも強い風雨には対応し得ず防水性能は低下する。強靱な透明塗膜で、生地肌に変化を与えない超耐候性防水塗膜材による防水性が、打放しには必要不可欠である。
 なお、打放しに採用される型枠はさまざまであるが、本実型枠とベニヤ合板型枠は、仕上げに艶は禁物である。一方樹脂塗装合板型枠と鋼板型枠は艶が特徴となっている。しかし、この艶も型枠脱型後数回の降雨に接するだけで半減する。このため同一建物の降雨に接する外部は、艶が消失し内部と異なった打放し仕上げとなる。
 この対策は、艶が消失しないうちに防水処置をすることである。なお、消失した艶の再生は可能であり、同時に防水性も付与することを付け加えたい。

大気汚染対策
 フッ素樹脂やアクリルシリコン樹脂による打放し仕上げ防水塗材は、超耐候性保護塗材として華々しく登場して以来10年になろうとしている。
浸透性吸水防止材(撥水剤など)にかわる夢の仕上げ防水塗材であったはずであるが、実用化には一部の特許技術による施工を除いては、打放し生地肌を濡れ色にしコンクリートの色合い、質感や意匠性まで損なわれるなどの諸問題が表面化してきた。
また、大気汚染対策の切り札ともされ期待されたフッ素樹脂は、汚染物が付着しやすいというおまけまでついて迷走中という状況である。
コストが安い、施工が簡単という特徴を生かして打放しに浸透性吸水防止材を塗布されているが、最近の大気汚染に伴う酸性雨によって予想を超えるコンクリートの中性化が進み、防水性能の短期喪失は打放しコンクリートの劣化に拍車をかけている。
大気汚染や酸性雨による汚れの付着は、浸透性吸水防止材のもつ撥水性で打放し生地肌の雨水をはじくことにより、汚れの付着を防止できるとされていたが、大気中の汚染物の主役とされる自動車の排ガスなどの油性の雨はむしろ汚れを促している。超耐候性のフッ素樹脂が親油性のため雨水に含まれている油性の汚染物の付着を招いているとも言われている。
 そこで登場したのが親水性高分子防水材で、塗膜表面が親水性(撥油性)であるため、油性の雨水があたっても塗膜表面の汚れを抱いたまま流下して汚れが付着しにくい特徴をもっている。
親水性(撥油性)の防水性能付与した超高耐久性低汚染型エマルションによって打放しコンクリートの美観と耐久性付与が可能となり、これからの打放し建築の保護対策に寄与することが期待される(写⑩)。
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 次回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、11月1日、東京臨海副都心と都心部を結ぶ新交通システム「ゆりかもめ」が開業しました。新橋-有明間を無人運転する画期的なシステムで、ゆりかもめが開通することにより国際展示場への交通の便が非常に良くなりました。

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンク リートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-05-18 07:18 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(70)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築技術1995年10月号、特集「コンクリート工事/困ったときのノウハウ集」、「不具合が発生したときの対処、打放し仕上げの補修」を3回に分けご紹介します。
今回は第2回「補修のタイミング」から「不具合箇所の取組み」までをご紹介します。

補修のタイミング
 打放しの不具合箇所補修前の流れと概要は、以上のとおりである。次に補修のタイミングについて述べる。
 脱型直後のコンクリートは、まだ湿潤状態で生地肌は濡れ色を呈している。しかし、打放しの位置する方位、部位によって次第に乾燥状態が異なってくるため、補修の着工箇所は注意する必要がある。
 一般的には、コンクリートの含水率8%以下を確認のうえ補修に入るのがベターである。生乾きの状態でありながら工期が迫っているため急ぎ補修をすることによって、補修材の色違いが後日表面化して違和感の著しい結果を招くことになる。このようなことから不具合箇所の補修は、コンクリートの十分な乾燥養生を待って着工することである。

補修材の性能
 打放し補修に求められる補修材の必須条件として、次のことが挙げられる。
1)躯体コンクリートに近い強度や発現があり、緻密性があること。
2)コンクリートの生地肌に整合する調合樹脂モルタルであること。
3)経時変化が少なく、変色がないこと。
4)乾燥収縮がなく、10kgf/㎠以上であること。
5)中性化を抑制する性能を有していること。
6)塩害の侵入・浸透を阻止する性能を有していること。
 主なものとして6項目を示したが、根本的な問題として補修材の調合にあたり不具合箇所周囲のコンクリートの色調が一定でなく、多様な色模様を呈しているため、どの部分に合わせて調合するか整合性を考慮して、補修材の調合をすることが肝要である(図1・2・3)。
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補 修
表層乾燥
 不具合箇所の補修材の色調合の基本であるコンクリートの乾燥養生は、脱型後2週間(夏期)程度、含水率で8%以下としたい。表層面の乾燥レベルの位置付けが、後々の補修に大きな影響を与えることになるので注意しなければならない。
汚染物の除去
 汚染物の除去は生地肌の乾燥とは関係なく、なるべく早期に手をかける方がよい。汚染物が付着してからの経過期間が長いほど、浸透固着する傾向があるため可能な限り早期に洗浄除去することである。洗浄レベルは、コンクリート付着物の一切を除去し表層面は生地肌とする。
作業手順の再確認
 洗浄後、今まで確認されていなかった諸々の不具合箇所が顕在化し、洗浄前の目視調査結果と異なるケースがあるので、再度確認する必要がある。次に不具合箇所の種類、例えばジャンカやコールドジョイントは下地処理を含め補修方法が異なり、その形状・大きさによっては斫りや防水処理を必要とする場合が出るので、補修方法・作業手順を最初に戻して再構築しなければならない(写⑥,⑦)。
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補修内容の確認
 設計者・現場監督者および仕上げ(補修)業者(個人住宅の場合は施主の参加)による、打放し仕上げの細部に至る打合せが不可欠である。不具合箇所は補修することにより消去され、健全部と一体化されるため、補修前は小さなものとして見逃していた不具合箇所が表面化し、思い付きの追加工事となりがちである。
ここで注意しなければならないものは、小さな補修といえども再びコンクリートの色調合から作業を始めなければならず、補修手間より調合手間の方がはるかに時間を要することである。
このようなことを防ぐために打合せ結果を明確にし、着手前に補修するべき箇所をマーキングしておくことがよい。
例えばピンホールは何㎜以上は充填し、その他はそのままとするなど細部の打合せが大切である。工事進行途中の追加補修は一切しないなど最初に約束されていることであっても、実際に仕上がってくると欲が出てスタート時の計画通りに進行されない場合が少なからずある(写⑧)。
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不具合箇所
 補修を要する不具合には、豆板・コールドジョイント・砂すじやピンホールなど多種多様なものがある。コンクリート生地肌の欠損だけでなく、汚れを軽視してはならない。その付着状況によっては単に洗浄で除去できるとは限らず、補修技術をもって対応しなければならないケースが少なくない。
不具合箇所の発生原因とその形状によって、補修方法が異なってくる。次に不具合の種類と発生原因を、大まかであるが整理してみた(写⑨,表1)。
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不具合箇所の取組み
 大きく分けて補修を要する不具合箇所が僅少で、一定部分だけに限られている場合と全面に不具合箇所が発生し補修が全面にわたる重症の場合がある。
前者の場合は問題は少ないが、後者の場合は全面に補修を加えることになるため、打放し表層面の生地肌がかなりの部分隠蔽されてしまうことになりかねず、最終的に仕上げた状態がどのようになるか事前にサンプル施工などで確認し、補修にとりかかるべきである。そのためにも補修工法の一貫性が重要な要素となる。

補修方法
 繰り返し述べてきたことであるが、不具合箇所の補修にとりかかる前、目前の大きな不具合に目を奪われて取り敢えず充填補修に着手する。
現場関係者の心情はよく理解できるところであるが、結果的には二度手間であるばかりでなく、仕上げのための生地肌が確保されていない状態での補修は、補修モルタルの色調合の違いを招くことになり、斫り取り再補修という最も悪い施工となる。
打放し補修は刺身料理と同じで、手を付ければ付けるほど不味くなる。
次に一般的な不具合箇所の補修方法を述べる。

 次回は建築技術1995年10月号、特集「コンクリート工事/困ったときのノウハウ集」、「不具合が発生したときの対処」の内、最終回「補修方法」から「大気汚染対策」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、12月8日福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の原子力発電所(高速増殖炉)「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が発生しましたが、事故に対し動燃はうその報告を繰り返し出したため、動燃の体質が大問題になりました。

 それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-05-11 07:24 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(69)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築技術1995年10月号、特集「コンクリート工事/困ったときのノウハウ集」、「不具合が発生したときの対処、打放し仕上げの補修」を3回に分けご紹介します。
 今回はその第1回、「現状」から「補修の姿勢」までをご紹介します。
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現 状
 十分な準備と用意周到な計画のもとに打設した打放しコンクリート、過去の経験と教訓を生かしての完全無欠な打放しコンクリートであったはずが、現実は必ずしも期待どおりとは限らない。
 携わって35年、繰り返されている不具合の発生に伴う不測の事態に対応する取組み姿勢は変わらず、出たとこ勝負の前時代的な対応は大きく時代の変遷する今日、打放し建築にいまだ取り残されているものの一つである。
 稀にしか完全無欠な打放しが望めない以上、計画段階で対応策を組み入れておく必要がある。しかし、設計者の立場からはゼネコンの施工技術の問題と不具合は認めず、打放し技術の低下を容認するような補修計画などできない相談と言ったところが一般的な動向である。
 このようなことを背景にして、打放し建築には不具合に対する補修費の計上はなく、仕上工事として清掃費と撥水剤の塗布程度のもので、不具合のための補修予算などなく発生状況如何では思いがけない多額の出費を余儀なくさせるものとなっている(写①,②)。
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調査と材料
 まず打放し全面に散在する不具合箇所を緻密に調査、図面化し明記する。作業量の推定と、施工方法・所要工期・施工技術者の選定など施工計画書を作成する。同時に、使用材料性能試験報告書等第3者機関の証明する信頼に足る補修材であることが前提条件となる。
 少なくとも補修用モルタルの基本物性の中でも、中性化と付着強度および立地環境によっては塩害に対する塩化物の侵入性試験データなどは、生活環境の悪化に伴う対応性能の信頼性のうえで不可欠なものである。

不具合箇所以外のもの
 脱型したままでまったく汚染付着物のない打放しは稀である。型枠より染み出したアク・セメントノロの流下、エフロレッセンスの析出や錆汁の流下など、見方によって不具合箇所と同レベルの汚損である。
 これらの不具合箇所は補修に先立って、各々適合した方法で除去しコンクリートの生地肌を確保しなければならない。除去方法によっては、汚染物の痕跡を残すばかりでなく、損傷を与え新たな不具合箇所を加えることにもなる。このため汚れはクリーニング業者任せでなく、少なくとも打放し仕上げを熟知したものが立会のうえ作業するのが最適である(写③)。
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補修も仕上げ
 汚染物の除去、不具合箇所の補修の後に、最終仕上げとして防水材の塗工がある。この3工程は一連の仕上げ作業として捉えるべきである。
 打放しは表面の生地肌が仕上げであり、意匠性保護の立場からも、各々分割した施工は期待したものとはなりにくい。
 仕上げ全体像を把握したうえで、この3工程の施工をすべきである。打放しの汚染物除去も補修の範疇であり、補修も仕上げの下地づくりである。防水材塗布はこれらをまとめ、打放し生地肌を具現保護する仕上げと言えないだろうか。
 しかし防水材の材質、性状によっては打放し生地肌を濡れ色にし、補修箇所を目立たせてしまうなど取り返しのつかないものとなる。
 打放し生地肌を傷めることなく、それぞれの汚染物を除去し整合性のとれた補修とし、しかも手を加えた跡を見せない打放し生地肌仕上げが本筋である。この意味から、打放し不具合に課せられた補修と言う表現は、仕上げの1工程であってむしろ前後の2工程を含め打放し生地仕上げと位置づけて衣替えする必要がある(写④)。
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補修前に
 脱型して初めて目にする不具合箇所、しかも追い討ちをかけるような打放し生地肌を覆う多種多様な汚れは、打放しの概念とは大きく異なる生地肌を呈している。
 型枠のアク、錆汁の流下、セメントペーストの付着や白華現象と、どれも打放し生地肌にあってはならないものである。
 しかも補修を要する不具合箇所は、その発生原因によって補修方法が異なり、材料も不具合箇所ごとに調合対応しなければならない。
 このような不具合箇所を補修するにあたり、汚染物が付着したまま補修に取りかかることは禁物である。通常、外壁の仕上げは最後にクリーニングを施して工事中の汚れを除去するが、打放しは先に洗浄し汚れや付着物の除去をしなければならない。汚染物を除去した生地肌が打放し仕上げの表面層となる。
 錆汁・セメントペーストやエフロレッセンスは、長時間放置すると除去が困難になる。錆汁はコンクリート表面より毛細管を経由して深く浸透し、セメントペーストやエフロレッセンスは外部作用を受けて、付着が強固となり除去した跡がハッキリと残る。
 このようなことから、打放し生地肌確保のため汚染物は放置することなく、なるべく早期に除去することが大切である。
 その他、施主に無様な不具合箇所を見られないようにと、脱型後十分な乾燥養生をする間もなく補修に取りかかることがある。しかし、コンクリートの生地肌は乾燥するに従い濡れ色から次第に乾燥した色調に変化するため、補修材の色違いが生じ、折角補修した不具合箇所を再度斫り除去して補修し直す結果となり、二重の手間をかけることになりがちである(写⑤)。
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補修の姿勢
 打放しは脱型した生地肌が仕上げで、打放し外壁の美観と意匠性を損なう汚れや不具合箇所はあってはならないものである。それだけに前述のように不具合箇所を、人為的な補修をしたと意識させないような技術と仕上げが要求される。
 躯体コンクリートと異なった材料調合による補修であるため、経時変化による変色、ひび割れ・浮きや剥落などあってはならず、汚染物の付着を含めた多様な劣化損傷に十分耐え得る性能と信頼性が強く求められる。
 安易な補修は、打放し建築の仕上げを著しく傷つけることになりかねず、慎重な対応と環境作用を受けて経時変化する躯体コンクリートに、歩調を合わせた違和感のない補修技術が不可欠である。

 次回は建築技術1995年10月号、特集「コンクリート工事/困ったときのノウハウ集」、「不具合が発生したときの対処」の内第2回「補修のタイミング」から「不具合箇所の取組み」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、11月9日、米大リーグドジャーズの野茂英雄投手が大リーグで新人王に輝きました。 力強いフォークボールを武器に三振の山を築いたトルネード投法に全米の野球ファンは熱狂しました。

それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-05-04 07:32 | ブログ