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「打放しコンクリートと共に」 その(68)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は月刊PROOF1995年3月号、特集「打放しコンクリートの保護」、「事例から考える保護工法」を2回に分けご紹介します。
今回は後編「6.打放しの追跡調査と保護の現状」、「7.SEFシステムの登場」までをご紹介します。

6.打放しの追跡調査と保護の現状
 約15年程前から新旧施工物件の追跡調査を実施している。新築の打放しに係る劣化損傷は表層面の防水性の喪失を起因として,汚れの付着,鉄筋のかぶりコンクリートの厚さ不足ヶ所からの水分浸透,鉄筋の錆化と膨張圧によるひび割れやコンクリートの剥落がある。その他多種多様なひび割れとエフロレッセンスの流出固着である。
 経年劣化した打放しの再生工事後に発生する代表的なものにひび割れ補修後のバイパスクラックがある。クラックは再びエフロレッセンスの流出を促し汚損の元凶である。なお現在は動きに追従するひび割れ補修工法(グランドリフォーム)としてバイパスクラックの再発を抑制防止している。(写真3)
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 未だ打放しコンクリート建築の多くは,この様な劣化損傷に対し,長期に亘る保護機能が施されていないばかりでなく,築後1~2年で性能低下する簡易な揆水材による保護対策が現在に至るも主流である。
 仕上保護の重要性が指摘されながらも,その手法や耐久性については,30数年前の打放しコンクリート仕上と変わらず,再び劣化汚揖の繰り返しに無惨な姿へと変身しているのが現状である。
 打放しコンクリートの耐久性付与は,表面からの水分や炭酸ガス等の浸透を阻止することに尽きると言っても過言でない。

7.高耐久性保護工法打放しコンクリートSEFシステム(吉田工法)の登場
 簡単に新旧打放し現場からの劣化損傷とひび割れ補修を述べた。顕在化された各種の事例から学んだ高耐久性保護工法が打放しコンクリートSEF(セフ)システム(吉田工法)である。
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 従来からの保護塗材は一長一短で,特に長期の耐久性については,保証の限りではない。
 最近,超耐久性付与仕上塗材として,フッ素樹脂系やアクリルシリコン樹脂系等があげられるが,打放しコンクリート素材の生命である生地の意匠性と質感を著しく阻害するヌレ・ムラが生ずるため着色して改善しているが,打放しの奏でる風情を変化させることがある。
 この様な意匠性と劣化損傷を抑制阻止し長期にわたり高耐久性を付与することを可能とした仕上工法がSEF(セフ)システム(吉田工法)である。(写真4)
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 打放しコンクリートSEF(セフ)システムの特徴は,打放しコンクリートの素材の質感を生かした高耐久性弾性樹脂仕上げである。今までのヌレ・ムラを追放した画期的な高度技術で,弾性樹脂のトップコートの表層防水と浸透性・弾性塗膜防水の異種3層の強靭な防水システムで構成されている。
 弾性樹脂の塗膜とNY-7090及びAシーラは,それぞれ耐酸・遮塩性能に優れた3重構造で,弾性樹脂の塗膜と弾性NY-7090を組み合わせることによりコンクリートの乾燥収縮によるひび割れに追従し水分や炭酸ガスを遮断,中性化阻止機能を合わせもった性能を有している。
 本工法は経年劣化した打放しコンクリートにも適用可能で,2タイプからなり,ニーズにあった選択ができる。フリーメンテナンスによる高い経済性と一貫した施工システムによる責任施工の多くの実績が工法の信頼性を高いものとしている。
 なお,一連の工法は打放しコンクリート仕上げの優秀な技術と認められ1993年日本建築仕上学会学会賞技術賞,中小企業優秀新技術新製品賞及び特許(9件)で構成されたものである。

次回は建築技術1995年10月号、特集「コンクリート工事/困ったときのノウハウ集」、「不具合が発生したときの対処」、「打放し仕上げの補修」をご紹介します。

さてこの年の重大ニュース、3月20日、東京都千代田区地下鉄霞ヶ関駅付近で猛毒の神経ガス「サリン」がまかれて、死者10人と5000人近い被害者が出ました。のちにオウム真理教の犯行とわかった。これが「サリン事件」です。

それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-04-27 07:18 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(67)

 今回は月刊PROOF1995年3月号、特集「打放しコンクリートの保護」、「事例から考える保護工法」を2回に分けご紹介します。
 本日は前編「1.はじめに」から「5.経年劣化した打放しの再生」までをご紹介します。
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1.はじめに
 遡ること1950年代,戦後復興より高度経済成長の幕開きと平行して,RC建築は大都市を中心にして全国的に建てられていった。中でも打放しコンクリート建築は,斬新なデザインと重厚感に溢れた構えは人々に驚きと強い関心を呼んだ。半永久的と思われていたコンクリート建築も繰り返しの環境作用を受けて次第に風化し,打放し外壁には付着生成した汚染物で美観は喪失し,点在する露出鉄筋とコンクリートの剥落は建物の価値観を著しく低下させていった。風化し劣化損傷した打放しの履歴を紐解くことによって初めて正しい保護機能のあり方が明確になる。この様な観点から打放しに携わった30数年間の歩みから学んだことを紹介する。

2.打放し補修の幕明け
 モルタル塗り外壁仕上げの時代であった一地方の庁舎建築に,打放しコンクリートが採用された。今迄に知見した事のない作法と脱型した本実型枠の鮮明な木目は奇異の驚ですらあった。(写真1)
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 しかし正面玄関の支柱に生じた巣穴は,打放し仕上げの意匠性を著しく傷付けた。打設したコンクリートと同一配合のコンクリートで充填補修が試みられたが,コールドジョイント同様より傷跡をより著しくした。しかも軀体コンクリートとの接着不良と乾燥収縮によるひび割れは補修としての機能は果たされずダメージを与えるものとなった。
 この様なことを背景にして補修材の接着性の付与やひび割れ防止を目的に酢酸ビニール樹脂が登場した。今迄の補修レベルから比較するとかなりの改善にはなったが水分に対して溶解するという弱点があり,耐水性のある樹脂に転換を余儀なくされた。

3.補修材の一体化
 そこで酢酸ビニール樹脂に変わって登場したもののひとつにアクリル樹脂である。補修材に添加することによって接着性,クラック防止,強度アップや耐水性の向上に著しい結果がもたらされた。しかし欠損部の補修材にもう一つの大きなハードルがあった。軀体コンクリートにマッチした色調合とその調合材の経時変色である。接着性等の物理的な問題は一応解決されたものの,打放しの生命である意匠性を損なう補修材の変色が未解決であった。部分補修材が軀体と一体化ししかも環境作用を受けても変色しにくい技術の開発が不可欠であった。(写真2)
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4.揆水型防水剤の性能
 打放しコンクリートの防水としてシリコン樹脂に代表される揆水型防水剤が30数年前より定着し今日に至っている。初期性能は期待通りであるが長時間続く降雨や強い風雨に曝されると,雨水はコンクリートの毛細管を経由して内部に浸透し,揆水性が喪失したかの様な現象を呈し外観は濡れ色となる。一旦浸透した水分は蒸発が緩慢となり湿潤状態となるため汚染物の付着の原因となりやすい。

5.経年劣化した打放しの再生
 10年から20程経過した打放しコンクリートの表層面はセメント分が流出し砂アバタ状を呈している。吸水性が高く降雨に接する部位は,多様な汚染物を巻き込んで流下汚損している。ひび割れや鉄筋露出等表面化した劣化損傷は,小規模のものでも水分の影響を受けて加速度的にその傷口は拡大する。
 欠損部の早期補修に止まらず,外壁全面に対し根本的な改修工事が基本である。

 次回はPROOF1995年3月号、特集-打放しコンクリートの保護「事例から考える保護工法」後編をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、なんといってもこれです!1月17日、午前5時46分、近畿地方を中心に、強烈な地震が襲った。震源は淡路島。マグニチュード7.2の直下型地震で、神戸、洲本は震度6(烈震)を記録。阪神大震災です! この地震で阪神間や淡路島を中心に各地で建物の倒壊や火災が相次いだほか、高速道路の崩壊、高架の落下、道路陥没に加え、JR、私鉄なども多大な被害を受けインフラ機能は完全にマヒし、死者6432人、約51万棟の住宅が全半壊、一部損壊し、都市型基盤をほぼ壊滅状態に。
もう14年も経ちました。絶対に忘れてはいけない大惨事です。


それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-04-20 07:27 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(66)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上げ技術1994年8月号,特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内最終回「再発防止技術と仕上げ」2.打放しコンクリート再生仕上げ および「おわりに」をご紹介します。

再発防止技術と仕上げ
2.打放しコンクリート再生仕上げ
 各々の発生源であるエフロレッセンスの再発防止処理を施した後、中性化した打放しコンクリートの耐久性と新築時の意匠性付与を目的とした再生工法を述べる。

①表面清掃・脆弱層の除去
 コンクリート表面に付着した汚染物や苔などを高圧洗浄(200kgf/cm2)により除去する。鉄筋の錆汁は科学洗浄剤による併用洗浄とする。
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②コンクリート強化剤の含浸
 コンクリート乾燥養生後、無機質浸透強化剤を刷毛またはローラーにて400g/㎡を2回に分けて含浸塗布する。風化したコンクリート表層部分を緻密化し、また耐酸性を向上させることにより中性化の進行を防止する。
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③露出鉄筋箇所の斫り・防錆処理
 鉄筋の腐食が原因となって生じたかぶりコンクリートの剥離・浮き箇所の斫り取り。錆化腐食部分を中心にして腐食鉄筋の裏側に達するよう健全部まで丹念に斫り取る。そしてグラインダー、ワイヤーブラシなどを用いて腐食した部分を十分ケレンし防錆材を塗布する。
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④エラスティックモルタルによるひび割れ部充填補修
 重複するが躯体コンクリートに発生したひび割れでエフロレッセンスの析出していないものも含める。ひび割れでエフロレッセンスの析出していないものも含める。ひび割れの発生原因が鉄筋の腐食によらない場合、従来からエポキシ樹脂の注入が効果的といわれているが、ひび割れは常に振動・温度・湿度の変化や不同沈下等によりコンクリートの伸縮挙動が繰り返されているため、注入した近傍に新たなバイパスクラックが発生する。このようなひび割れに対しては、普通モルタルの10倍以上の引張変形性能をもつエラスティックモルタルを使用することにより、ひび割れの再発防止と防水性を付与することが出来る。
 施工はひび割れをUカットし、底部をウレタンコーキング、次にエラスティックフィラーを塗布し、エラスティックモルタルで仕上面まで充填成形する。
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⑤調合樹脂モルタルの修整
 欠損部の補修は、その都度躯体生地に合わせた調合樹脂モルタルによる修整とする。調合樹脂モルタルは、接着力・色調・強度・耐候性が高く、また打放しコンクリートの表面の色合いを的確に再現出来る優れた調合樹脂モルタルである。なお表面修整モルタルと躯体の一体化は打放しコンクリートの不可欠条件で高度技術を要する。露出鉄筋廻りのコンクリートを斫り取った部分への埋め戻し(パッチング)は、防錆処理のうえ調合樹脂モルタルを用いて強固に一体化させる。この際かぶり厚を確保するため、鉄筋を内側へ押し込むなどの処置が必要である。
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⑥木コン穴の補修
 木コンは新築時にセメントモルタルによる埋め込みが施されている。経年劣化とモルタルの収縮により、木コンは離脱、あるいは浮いていることが多い。これら木コン穴の残滓を取り除き、新たに底部にシーリングを充填し、接着性・無収縮性・耐水性の優れた調合樹脂モルタルの埋め込みを行う。

⑦打放しコンクリート表面の若返り生地調整・型枠模様造成
 耐候性に優れた数種の顔料・調合材によって、打放し全体の生地調整と型枠模様の復元を特殊刷毛によって施工する。コンクリート打放し仕上げの表面には、型枠から転写された木目模様や型枠の目違いなどが存在するため、再生する上でもこれらをリアルに表現することがポイントである。本システムにおいては、施工物件ごとに建物のコンクリートの生地色に合わせた伸長型セメント系エラスティックフィラーを調合後全面に塗布し、専用に開発された造成道具を用いてコンクリートの素肌を再現し、そこに耐候性に優れた無機質系顔料によって木目模様の造成を行う。この伸長型セメント系エラスティックフィラーは下地のコンクリートに発生したひび割れに追従し、また炭酸ガス・塩分を遮断する機能性下地材である。
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⑧若返り打放しコンクリートの超耐候性アクリルシリコン樹脂系仕上げ
 前記工程を施したコンクリート表面に、超耐候性アクリルシリコン樹脂系トップコートを全面に塗布する。これにより若返り諸工程の保護、表面の汚染防止、防水性能の向上と超耐候性が付与される。
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 次回はPROOF1995年3月号、特集-打放しコンクリートの保護「事例から考える保護工法」をご紹介します。

さて、この年最後の重大ニュースとして松本サリン事件、マスコミの誤報です。6月27日夜、長野県松本市北深志の住宅街で、有毒ガスが発生し、7人の死者と580人の重軽傷者が出ました。 捜査本部は28日夜、被害を受けた第一通報者の会社員宅を殺人容疑で家宅捜索しました。 翌日29日、朝刊各紙は会社員が容疑者であるかのように大々的に報じましたが、会社員は事件への関与を全面的に否定。
 7月3日、現場から神経ガスのサリンが発見されたと捜査本部は発表しましたが、会社員宅から押収された薬品と容器類ではサリンを作ることがほとんど不可能と専門家は否定しました。しかし、マスコミの大勢は容疑者扱いの流れを変えず、その後3月20日に地下鉄サリン事件が起こり、一連の事件はオウム真理教の関与が浮かびあがってきた訳ですが、マスコミが「おわび」をだしたのは10ヶ月以上たってからでした。何ともお粗末な話です。


それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-04-13 07:28 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(65)

今回は月刊建築仕上げ技術1994年8月号,特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内第4回「再発防止技術と仕上げ」1.再発防止技術をご紹介します。

再発防止技術と仕上げ
1.再発防止技術
 結論から述べると打放しコンクリート表層面を完全防水する事により再発防止は可能である。しかし、現実には打放しコンクリート自体多様な環境作用を受けていることや、躯体そのものが日常的に挙動が生じていることなどがあり無理な相談とも言える。特にエフロレッセンスの析出要因であるひび割れは補修後に再びバイパスクラックの発生があり在来技術でひび割れの再発防止する方法は極めて限られている。そこで前述したエフロレッセンスの発生源の再発防止と仕上げ方法を述べる。

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①モルタル笠木の浮き
 最近では打放し建築の天端を、防水モルタルによる笠木の設置は稀となったが、既存の打放し建築には未だ相当数ある。その多くは浮きを伴ったひび割れがあり、躯体コンクリートに雨水の浸透を許し劣化損傷の原因ともなっている。
 この様なモルタル笠木をエポキシ樹脂やその他注入材で注入固定化する補修方法があるが、防水対策としては不十分である。モルタル笠木は全て撤去し天端全面を覆う金属笠木に取替えする方法が良好である。
②外壁の天端
 意匠性の一つに打放し建築の天端を笠木に相当するものを一切排除し、雨水対策として精々天端の両面をカットした程度のものがある。天端の平面は予想外に厳しい環境作用を受け、雨水は一旦天端に滞留したあと流下するため、雨水の受皿の働きを余儀なくされている。この様なことから対応策として屋上防水に準じたもので、意匠性を変えることなく防水性能を付与することの出来る工法が望ましい。しかも躯体と一体化したセメント系の塗膜型防水材での施工がベターである。
③屋上スラブの押し出し
 スラブの押出によるひび割れは、外周のパラペットのひび割れに止まらず防水層の破断損傷が考えられるので、当該箇所の室内への漏水の点検補修後、ひび割れ補修を施す。エフロレッセンスの析出源を中心にしてUカットし底部にシーリング材を充填、エラスティックモルタル押えとする。
④一般外壁
 日射の強い南面と西面で柱と柱に挟まれた大壁を縦、横方向や斜めに走るひび割れがある。貫通したと思われる箇所にはエフロレッセンスの析出があり、積層した結晶体となり固着している。この種のひび割れは、繰り返しの外部作用を受け日常的に伸縮運動が反復されているため、ひび割れ追従性、防水性の高いエラスティックモルタルを主体としたひび割れ再発防止工法が漏水とエフロレッセンスの析出を抑制する方法の一つである。

ひび割れ再発防止工法(特許)
(1)ひび割れに沿って電動カッターを用いて巾12mm程度、深さ15mm程度にU字型の溝を設ける。
(2)Uカット溝部に付着している斫り片、粉塵を刷毛等で除去する。
(3)清掃した部分に対してウレタンプライマーを均一に塗布する。
(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを行う。充填はUカット溝底部から3mm程度とし、充填後はヘラで充分押さえ下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。
(5)次にNY―エラスティックフィラーを塗り残しがないように均一に塗布する。
(6)NY-エラスティックモルタルを充填する。 
   注:0.2mm以下のひび割れは、NY-エラステックモルタルによる木ベラでの塗り込みとする。
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⑤開口部8の字形ひび割れ
 RC建築の開口部に付きものの毎くに発生している。打放し建築もご多分に漏れず開口部を8の字形のひび割れが多発している。特に開口部下を8の字に走るひび割れには、エフロレッセンス析出量は多く打放し建築の美観を著しく損なう。このひび割れも挙動が日常的に生じているため前期の様なひび割れ追従形の再発防止工法が効果的である。
⑥打ち継ぎ(コールドジョイント)
 雨水の接する部位にある打ち継ぎで、防水性能が喪失したものにエフロレッセンスの析出がある。打ち継ぎは貫通している場合がありひび割れ再発防止工法に準じた適切な漏水対策が必要で、しかも打放し仕上げの意匠性を阻害しない打ち継ぎ消去工法を兼ねた仕上げとする。
⑦メジ(水平・垂直)
 化粧メジの認識があるため、メジ底を走るひび割れを見落としがちである。特にシーリング材が充填されている場合、シーリング材の劣化状況がポイントとなる。シーリング材の性能低下に起因した箇所から、雨水がシーリング材の裏面に廻りメジ底のひび割れより浸透、エフロレッセンスの析出を促し、シーリング材の浮き箇所を経由して外壁面へ析出する。劣化ひび割れしたシーリング材はすべて撤去し、メジ底に生じたひび割れ補修後シーリング材をメジ底に完全密着した充填が不可欠である。
⑧巣穴(ジャンカ)
 建築時に発生した巣穴を充填したモルタルが、経年劣化で付着性能低下と乾燥収縮によるひび割れで雨水が浸透、エフロレッセンスの析出を引き起こしたものである。既存の補修モルタルは全て斫り取り、付着性能の良い調合樹脂モルタルで再度充填する。打放し躯体に合わせ防水性も付加した充填材でなければならない。
⑨モルタル補修跡
 乾燥収縮によるひび割れと浮きによる雨水の浸透であるため、既存のモルタル補修材は斫り除去し、躯体生地色に調合した樹脂モルタルにて再補修する。
⑩鉄筋錆化
 鉄筋錆化の健全部分まで斫り出し、充分なかぶり厚さを確保するところまで斫り込む。ワイヤーブラシにて錆を完全除去し直ちに防錆剤を塗布する。次に調合樹脂モルタルを充填補修する。
⑪外階段手摺埋め込みコンクリート天端
 手摺の金属アンカーの周囲コンクリートを斫り、錆化部分の錆除去と防錆剤塗布後、金属手摺の周囲にシーリング材を充填、調合樹脂モルタル押さえし、天端の浮き、ひび割れは弾性注入材を充填、ひび割れ再発防止工法による補修とする。
⑫段裏
 階段踊り場と階段に生じたひび割れ補修後、耐摩耗性の高い歩行用防水塗材を全面に塗工防水処理をする。
⑬庇の鼻先
 庇の鼻先の水切りメジが浅く狭いため機能せず、むしろ滞留を促しているケースである。水切り機能を活性化するためのメジの改修をする。
⑭庇上裏
 貫通したひび割れを経由して庇上裏に浸透、エフロレッセンスが析出する。庇の取合箇所はシーリング材で防水処理し、貫通したひび割れは、ひび割れ再発防止工法による補修後、庇表面を防水する。
⑮⑯バルコニーの軒裏と鼻先
 庇のひび割れからの漏水に起因した雨水は、上裏を伝わり鼻先に滞留してエフロレッセンスを析出固着する。固着状況を見定めた上でケレン、ペーパー掛けにより除去する。ひび割れはひび割れ再発防止工法とし、庇生地色に調合した樹脂モルタルでシゴキ塗りする。
⑰残留木片
 残留木片は斫り除去する。周辺に固着したエフロレッセンスは、ケレンとペーパー掛けで除去する。躯体生地色に合わせた調合樹脂モルタルをシゴキ塗りする。
⑱網状ひび割れ
 エフロレッセンスを析出した箇所をケレンとペーパー掛けで除去する。躯体生地色に合わせた調合樹脂モルタルをシゴキ塗りする。
⑲サッシの面台
 サッシと面台の取合箇所のシーリング材の除去再充填とひび割れ再発防止工法による補修とする。
⑳ピンホール
 大小無数に点在したピンホールは、可能な限り躯体生地色に合わせた調合樹脂モルタルをシゴキ塗りする。
○21シーリング材の劣化
 経年劣化によるシーリング材の収縮固化でひび割れ、浮きや剥離が生じ防水機能が喪失しているため、既存のシーリング材は全て除去し再充填する。
○22木根穴
 既存の充填モルタルは全て除去し、木根穴内部の清掃、セパレータの錆除去防錆剤塗布後、底部へシーリング材を充填、仕上げ面より若干下げて樹脂モルタルを充填する。
○23天井スラブ
外部に接した位置にある貫通したひび割れは漏水をもたらすため、ひび割れ再発防止工法による補修後、全面防水処理を施す。防水工事完了後、天井に走るひび割れはエラスティックモルタルによる補修とする。
○24柱 型
 打ち継ぎやひび割れに起因したもので、ひび割れ再発防止工法による補修とし、躯体に合わせた調合樹脂モルタルのシゴキ塗りとする。
 エフロレッセンスの発生源と各々の除去方法並びに再発防止方法を述べたが、これらは下地調整の範疇で、次に打放しコンクリートの仕上げ方法を紹介する。

次回は建築技術1994年8月号、特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内、最終回「再発防止技術と仕上げ」2.打放しコンクリート再生仕上げ および「おわりに」をご紹介します。

さてこの年の重大ニュースとして、京都の二条城がユネスコの世界遺産リストに登録されました。

それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-04-06 07:26 | ブログ