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「打放しコンクリートと共に」 その(64)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は月刊建築仕上げ技術1994年8月号,特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内第3回「エフロレッセンスの除去方法とポイント」をご紹介します。

 本稿は新築時の打放しコンクリートは別に譲るとして、既存の打放しコンクリートに限定して述べる。エフロレッセンス発生部位、発生状況及び発生後の経過年数によって付着の状況が著しく異なることから下記の様に仮にABCの3ランクに分けて除去方法を示す。
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Aランク:積層氷柱状で固着した状態。
Bランク:積層していないが浸透固着している。
Cランク:単なる白化現象。

除去方法
Aランク
 積層氷柱状のエフロレッセンスは手斫りで斫り除去する。この際躯体コンクリートを傷めない様注意して行う。結晶体を斫り除去した後、ペーパー掛けをしてコンクリートの表層面を出し水洗いする。長期にわたり放置固着した結晶体はコンクリートの表層面に食い込んだ状態にあるので、特にピンホール、毛細ひび割れやあばたの部分はこの様な物理的処理では除去不可能である。除去方法は溶解作用による科学洗浄とし、ケミカルエースR(酸性水溶液)を採用する。ケミカルエースRの濃度によってはコンクリートの表層面を傷めることがあるので事前のテスト洗浄を行ってから実施するのが望ましい。

Bランク
 躯体を傷めない様注意してペーパー掛けを行う。Aランクと同様表層面に浸透固着しているので、水湿しを行いブラッシングを併用してケミカルエースRによる科学洗浄とする。

Cランク
 水湿しを行いブラッシングを併用してケミカルエースRによる科学洗浄とする。

 次回は建築技術1994年8月号、特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内、第4回「再発防止技術と仕上げ」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュースとして、大江健三郎氏がノーベル文学賞を受賞しました。過去ノミネートされた人には谷崎潤一郎氏、西脇順三郎氏、井上靖氏、三島由紀夫氏、安部公房氏、遠藤周作氏、村上春樹氏などがいらっしゃいましたが、受賞したのは川端康成氏と大江健三郎氏の2名だけです。

それでは次回をお楽しみに!
打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-03-30 07:16 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(63)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上げ技術1994年8月号,特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内第2回「打放しコンクリートでよく見かけるエフロレッセンス」をご紹介します。

1.エフロレッセンスの発生源となる場所
 打放しコンクリートは建築途次であっても降雨に接することにより、打ち継ぎや巣穴部分へ浸透した水分によってコンクリートの遊離石灰が溶け出し、エフロレッセンスとして表層面を著しく汚染する。打放し建築の形状によって異なるが、身近に見ることが出来るエフロレッセンスの発生原因となる箇所を下記に示す。

2.エフロレッセンスの析出状況
 エフロレッセンスはひび割れに浸透した雨水に起因したものが多数占めるが、発生源によって析出量や汚損現象が異なる。次にエフロレッセンスの発生源と析出状況を述べる。
①モルタル笠木の浮き
 モルタル笠木の浮きは、モルタルの乾燥収縮によるひび割れが生じ躯体コンクリートとの付着が、この作用を受けて浮き剥離するケースである。モルタル笠木は本来打放しの天端と外壁の防水を目的としたものであるが、その意図は満たされず浮き箇所は雨水の浸透で笠木の下地モルタルと躯体コンクリート双方からエフロレッセンスを析出させている。
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②外壁の天端
 打放しのシンプル性を強調したデザインは、天端に笠木に相当するものは設けず、直接雨水に接触するため天端からのエフロレッセンスの析出が外壁を広範囲に白色斑点状に覆う。
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③屋上スラブ保護モルタルの押し出し
 防水層の保護モルタルは環境作用を受けて膨張伸縮し、その膨張圧で周囲の外壁を押出し水平に連続したひび割れを呈す。これらのひび割れは貫通したものが多く、エフロレッセンスの析出は多量でしかも繰り返しのため積層結晶体となっているものが多い。
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④一般外壁
 ひび割れの発生原因は多種多様であるが、降雨に接する部位のひび割れは大小に拘わらずエフロレッセンスの析出が認められる。ひび割れ巾の大きいものは析出量も多く経過年数を重ねる程、積層結晶体となっている。
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⑤開口部の八の字形ひび割れ
 比較的ひび割れ巾の大きなものがあり、中には貫通し漏水は伴っているものがある。逆八の字形ひび割れからはエフロレッセンスの析出量は多く壁面を斜めに流下付着し、打放しコンクリートの意匠性を阻害する。
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⑥打ち継ぎ(コールドジョイント)
 外壁や梁に見かける事が多い打ち継ぎ箇所は、縁切れしている場合漏水することがある。目視で密着しているようであってもエフロレッセンスの析出によって、縁切りしている事を証明している。
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⑦メジ(垂直・水平)
 外壁に垂直・水平に設けられた伸縮メジには、メジ底にひび割れが走っている場合があり、見落としがちである。メジは外壁の表層面よりメジの深さ分だけ、コンクリートの鉄筋かぶり厚さが不足しているため鉄筋の保護能力が低下する。水分の浸透で鉄筋の腐食膨張圧によるかぶりコンクリートの浮き剥離が生じ、同時にひび割れ箇所を含めエフロレッセンスが析出する。
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⑧巣穴(ジャンカ)
 通常新築時にモルタル充填補修されているが、経年劣化による充填モルタルの付着力低下と乾燥収縮のひび割れによって、その殆どの巣穴は水分の繰り返しの浸透が認められ、析出したエフロレッセンスが表層面に付着している。
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⑨モルタル補修跡
 経年劣化と乾燥収縮等で表面にはひび割れが生じ、雨水の繰り返しの浸透で浮き剥離しているものがある。エフロレッセンスは補修モルタルと躯体コンクリート双方から析出している。
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⑩鉄筋錆化
 かぶり厚さの不足した箇所の鉄筋は浸透した雨水によって錆化し、その膨張圧でかぶりコンクリートを浮き剥落させる。そこより雨水は躯体コンクリートへ浸透、エフロレッセンスの析出を促し同時に錆汁を伴い表層面を汚染している。
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⑪外階段手摺埋め込みコンクリート天端
 雨水の接するところに位置した手摺り埋め込み箇所のコンクリートは、金属アンカーの錆化膨張によるひび割れと天端の浮きにより全面にエフロレッセンスの析出が認められる。
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⑫段 裏
 階段の踊り場に滞留した雨水は、ひび割れから段裏に浸透、溜まり水は床面と手摺立コンクリートの取り合い箇所からエフロレッセンスを伴い流出し、段裏を這う様に流下浸透しエフロレッセンスを析出し、氷柱状の結晶体に生成固着している。
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⑬庇の鼻先
 庇表面を流下する雨水は、庇鼻先の水切りが不十分なため滞留を起こし、滞留した雨水がひび割れや鼻先のポーラスなコンクリート表面より浸透湿潤し、エフロレッセンスの析出を招き、鼻先に析出したエフロレッセンスは結晶体となって付着固化する。
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⑭庇上裏
 躯体外壁に位置する庇は取合い箇所からのエフロレッセンスの析出が多い。縁切れしているために生じたもので、庇表面に滞留した雨水が取合い箇所より上裏に這う様に浸透、拡散した雨水がエフロレッセンスの析出を促し付着している。
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⑮⑯バルコニー軒裏と鼻先
 バルコニーは居住空間の一部を構成し、階下は庇としての機能を果たしている。水勾配が不適切なバルコニーは、雨水の滞留を招き貫通しているひび割れからは階下へ漏水する。必然的に上裏は漏水を伴ったエフロレッセンスの析出があり、居住者への不快感を増大させている。庇の場合と同様、鼻先部分の水切り機能が働かずエフロレッセンスの積層固着や氷柱状となっているものがある。
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⑰残留木片
 建築時型枠の中に残留した木屑で表面に露出又はかぶり厚の少ないコンクリートに支えられているものがある。水分の浸透により湿潤状態となった木屑の汁や時には錆汁が加わって周囲を著しく汚染している。
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⑱網状ひび割れ
 部位の特定なく認められるひび割れであるが、雨水に当る部位では量的には多くないが網状に析出したエフロレッセンスが付着している。
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⑲サッシの面台
 雨水の一時滞留箇所で面台ひび割れ箇所からの浸透によるエフロレッセンスの析出。
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⑳ピンホール
 タコつぼ状の形状をしたピンホールは雨水をコンクリート内部へ引き込み、浸透した水分に促されエフロレッセンスを析出分布状に付着している。
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㉑シーリング材の劣化
経年劣化で弾性力を喪失したシーリング材は、収縮固化とひび割れでメジ底より剥離し降雨の度にその裏側に雨水が浸入、接着性の低下で、浮き隙間が生じ雨水が浸透、エフロレッセンスを析出。
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㉒木根穴
充填したモルタルの乾燥収縮と接着性の低下で、浮き隙間が生じ雨水が浸透、エフロレッセンスを析出。
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㉓天井スラブ
 防水層の経年劣化による機能喪失によるものや、スラブのひび割れで雨水の浸透を招き漏水を伴ったエフロレッセンスの析出が、繰り返し雨水の浸透で積層結晶体となって固着している。
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㉔柱 形
 柱を横断した打ち継ぎやひび割れから浸透した雨水が、エフロレッセンスを析出固着している。
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 次回は建築技術1994年8月号、特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内、第3回「エフロレッセンスの除去方法とポイント」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュースとして、7月8日、日本人初の女性宇宙飛行士として向井千秋さんがスペース・シャトルに搭乗、宇宙に出発しました。女性としての連続宇宙滞在時間世界記録を樹立し2週間後、無事地球に帰還しました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-03-23 07:27 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(62)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は月刊建築仕上げ技術1994年8月号,特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内「打放しコンクリートのエフロレッセンスと再生」を5回にわたりご紹介します。本日は第1回「はじめに」、「打放しコンクリートの汚損」をご紹介します。
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はじめに
半永久的と思われていたRC建築、中でも夢を造形に託した打放しコンクリート仕上げは、その意匠性と現代にマッチした飾り気のない質感が若者の心を引きつけている。素材のもつ自然回帰への微笑は人々の忘れかけていた心に潤いを与え和ませる。この尽きることのない素材も取り巻く社会環境の悪化で、劣化が足ばやに進み黒く煤けている。時の流れに項すべくもなくやつれた姿熊は哀れな情感を呼びさます。打放しコンクリートが、かくも早期に汚損するなど新築時には想像すらしなかったところである。

打放しコンクリートの汚損
 築後数年を待たずして最上階より汚染物の付着が始まる。打放しコンクリート表層面の防水性の喪失と並行して、生物、非生物からなる汚染物がそれぞれ又は複合して生成拡大していく。同時にコンクリートに生ずる多種多様なひび割れは、劣化損傷の起因となり、繰り返しの雨水を受けてその周辺に汚染物を呼び込む一方、エフロレッセンスの析出を促し大きなひび割れは漏水を引き起こす。
 この様に打放し仕上げの汚損は、初期現象として表層の防水性能低下とひび割れが主因である。防水性能の低下はコンクリートの吸水性を大きくして、日射を受けない北面などは、湿潤状態となり苔や藻などの繁殖を促している。汚染物も黒、黒緑、赤紫や茶褐色など多様化しているが、この色調で汚染物の分別も大まかではあるが可能である。ひび割れはその長さ幅によって、その損傷程度は異なるが、内在する鉄筋がひび割れから浸透した水分により腐食膨張しその膨張圧によってかぶりコンクリートを押し出し剥落させるなど、居住空間の安全性までも脅かすことになる。
 その他ひび割れは、炭酸ガスや塩化物等の浸透侵入を招き中性化や鉄筋の錆化等劣化因子による打放しコンクリートの汚損を促進拡大させる。
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多種多様な汚損物の付着と外壁に析出したエフロレッセンス

次回は建築技術1994年8月号、特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内、第2回「打放しコンクリートでよく見かけるエフロレッセンス」をご紹介します。

さてこの年の重大ニュースとして、4月26日、台北発の中華航空エアバスが名古屋空港で着陸に失敗し墜落炎上、乗員・乗客271人のうち264人の方がお亡くなりになってしまいました。

それでは次回をお楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2009-03-16 07:22 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(61)

こんにちはpikayoshi72です。

 今週は建築知識1993年10月号、特集=見たい、知りたい、使いたい!![スーパー内外装材 ]大集合●事例に学ぶ「スーパー内外装材」●ALC外壁対応打放しコンクリートフェイス仕上げを読み切りでご紹介します。この特集は、大阪の(株)松村孝建築・都市設計事務所の代表取締役・松村孝様が執筆されたものです。
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吉田工法による外壁の施工
 吉田工法は、ALC板張りの外壁を、コンクリート打放しと同様な質感に仕上げる斬新な工法である。劣化対策として、ALC板にポリマーモルタルをシゴキ塗りすることにより、ALC板の吸水性・脆弱性を改善するとともに、仕上げ層に超耐候性アクリルシリコン樹脂を塗布することで、メンテナンスフリーの外壁を実現している。
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 施工にあたっては、吉田工法による打放し面をよりリアルに表現するため、ALC板(厚100mm)のジョイント部分を消すことにした。外壁は常に振動や日射などの外部作用を受けるため、可とう性のあるモルタルを充填処理することで、ひび割れの発生を抑制・防止。これにより合板型枠の定尺寸法である900×1800mmの板割りに対応し、ALC板のジョイント部分を消すことができ、形状の多様化も容易にした。
 セパレータの割付けに関しては、直径30mmの木コンシールを作成し、事前に墨出ししたセパレータの割付け箇所に張付けた後、ALC板にポリマーモルタル材をシゴキ塗りし、乾燥後、木コンシールを除去した。剥離除去した木コンシール跡は、打放しのPコン穴のように見せる、意匠上のキーポイントとなっている。
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 さらに吉田工法では、専門技術者が顔料入り特殊樹脂と特殊な手工具を用いて、型枠に樹脂塗装合板を使用したときに生ずる表層面特有の模様を造成。この作業によりコンクリートのもつ力強さ、重厚感を表現する型枠模様が外壁に描き出される。そして最後に、高耐候性のアクリルシリコン樹脂(艶消しタイプ)を塗布し、各工程に使用した材料の劣化防止と防水性を付与することで、メンテナンスフリーの外壁が完成する。
 この吉田工法を採用する場合には、コンクリート打放しと同様に、セパレータの割り付け図面を事前に作成すること、ALC板は面取り加工がされているため、コーナー部をピン角にする場合は下地の処理に注意すること、などが肝要となる。なお、吉田工法は外壁に留まらず、間仕切りや内壁などにも適応可能である。

コストについて
 コストは㎡当たり9000円。単純な比較に過ぎないが、吹付け材と比べた場合は若干高めとなるものの、ALC板の下地強化処理を考慮すれば格差は少なくなる。タイル張りと比較した場合、コストはほぼ同等であるが、タイルの剥離などのリスクは皆無となる。
 また、RC造コンクリート打放しと比較してみると、工期の短縮化、軽量化、コスト的な面で有利となる。さらに、地盤状況などにより選択肢が狭められることも少なくなるため、耐久性に対する信頼度が定着すれば、吉田工法は加速度的に普及すると思われる。
 吉田工法を採用してみた結果、当初の設計の目的は十分にたっせい出来たと思う。S造であるにもかかわらず、RC造固有の打放しの表現が可能となったことは、これからの私の建築を大きく変えるかも知れない。

 次回は月刊・建築仕上技術1994年8月号、特集:エフロレッセンス・・・そのメカニズムと対処療法「打放しコンクリートのエフロレッセンスと再生」を、ご紹介します。

 この年の重大ニュースとして1月19日、皇室会議上全員賛成で、皇太子浩宮徳仁(なるひと様)と元外務省職員だった小和田雅子様との婚約が成立し、4月12日に「納采の儀」(結納にあたる儀式)が行われ、6月9日には「結婚の儀」(結婚式)が行われ、皇居から東宮仮御所までパレードで延べ19万人の人達に祝福されました。

それでは次回をお楽しみに!

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by pikayoshi72 | 2009-03-09 07:25 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その(60)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は建築仕上げ技術1993年8月号、学会賞受賞者対談「打放しコンクリート面の生と命」の
最終回、「まごころ込めてすぐ対応」、「平面文化・究極の仕上げ」をご紹介します。

まごころ込めてすぐに対応
地濃◇社訓が、「誠意を持って即実行」と言うことですが。どのような思いからですか。
吉田◇世は心の時代とも言われています。それは、心が乏しい時代であることを反映していることにもとれます。
 私どものお相手はお客様であり、打放しコンクリートです。心を大切にすること、すなわち誠意。誠意があれば、いずれにも手は抜けません。
 そして、先ほど話しましたように、コンクリートの顔色はみな異なります。現場に出向いて初めて本当のことがわかる。このような経験から何事にもまず行動を起こす。まごころ込めてすぐ対応し結果を出すことを重視しているのです。そのような思いからです。
地濃◇私も研究室の学生たちには、まず好奇心を持つこと、そして執念を持つことを論じ、「執念なくして行動なし、行動なくして成果なし、成果なくして幸せなし」と叱咤激励しています。誠意を持って即実行と言う考えとよく似ていますね。
吉田◇人間と自然を相手にする建築においては、とくにそのことが大切だと思いますね。
 私どもの営業では、言葉を多く言うよりも、まず誠意を持って即実行です。
 洋の東西を問わず「空樽はたたけば響く音がする」、「大阪城は一夜にして建つ」と言うような教訓を心しているからです。

平面文化・究極の仕上げ
地濃◇今までの日本は、もっぱら建設ストックの充実期にありましたね。これからは、この膨大な建設ストックをいかに健全に維持していくかが重要な課題になってくると思います。
 このような背景の中、既に打放しコンクリートのメンテナンスを単に材質維持ばかりでなく、美観維持からの面からも優れた技術を開発され、数々の業績をあげられてきたと思うのですが、今後の仕上げ技術についてどうお考えですか。
吉田◇やって見なければ分からないと言うようなこの種の仕事。つまり、勘や経験に頼らざるを得ないこの種の仕上げ技術を分析し、近代的なものに整理しなければならないと思います。
 例えば材料・調合の開発、平面や角を容易に仕上げることのできるコテの開発などもその一つでしょうね。
地濃◇職人稼業的な仕事を、誰でもができるようなものに変革したいと言うことですね。
吉田◇そうです。それには、現在あるものを容認しないと言う考えが必要のように思えます。
地濃◇打放し仕上げ面の理想はどのようなものでしょうか。
吉田◇手を加えたにも関わらず、その痕跡が判別できないような仕上げだと思います。
地濃◇我が国の建築様式は、どちらかと言えば、たいらな面を重視してきたように思うのです。長屋にしろ、街並みにしろ。それは真っすぐにつながり、その壁面はたいら。それゆえに仕上がり面がとても気になる訳ですね。
吉田◇西欧ではレリーフや彫刻物などの立体物がとても多い。西欧を立体的文化とするならば、日本は平面文化と言えそうですね。
地濃◇日本人は平面を尊ぶ。例えば、墨絵は濃淡でさりげなく立体性を表現している。平面美学とでも言えるものですね。打放し仕上げ面も同様に思いますが。
吉田◇打放し仕上げ面に手を加えても、あくまでも強調せずにさりげなく。この作法が大切のように思います。
地濃◇自然流の平面美学ですね。
吉田◇無風状態になれば、揺れ動いていた全ての木の葉はピタリと止まる。風のあたる葉は揺れ動いていても、隣の風のあたらぬ葉は動かない。自然は決して迎合しない。
 自然の摂理に従い、打放し建築が自然界と調和し、人々に安らぎの場を提供して欲しい。そのような思いで、打放し面に取り組んでいるのです。
地濃◇自然と人間の融合・調和。そこに打放しコンクリート面が生き、命がはぐくまれる。そのように結論されます。            (浜松 吉田氏邸にて取材)
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次回は建築知識1993年10月号、特集:スーパー内外装材大集合「ALC外壁対応打放しコンクリートフェイス仕上げ」を、ご紹介します。

この年の重大ニュースとしてパソコン用のOSソフト、MSウインドウズ3.1が新商品として売れました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-03-02 07:17 | ブログ