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「打放しコンクリートと共に」 その38

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の第2回、「3.調査報告」、「4.原因の推定」 をご紹介します。

3.調査報告
1)打放しコンクリート
 ①ひび割れ
  パラペット・各段ベランダ鼻先および梁形にひび割れが認められ、また各段ベランダ上裏にもひび割れが認められる。これらひび割れの発生は、北面に比べて南面に多かった。
  また、ベランダ上裏のひび割れからは、白色状の流下物(エフロレッセンス)も認められた。
 ②露出鉄筋
  パラペットおよび各段ベランダ鼻先部に露出鉄筋が多く認められた。また、ベランダ上裏部分にコンクリートかぶり厚の少ないスラブ筋の露出が認められ、当該箇所にはエフロレッセンスも同時に認められた。
  そのほか、雨水の当たりにくいベランダ奥の柱形や梁形には、ほとんど露出鉄筋は認められなかった。
 ③コールドジョイント
  パラペットおよび各段ベランダ鼻先にコールドジョイント(新築時のコンクリート打継ぎ)が認められた。当該部分はある程度の肌別れを生じており、ひび割れと同様に内部への雨水の浸透があり漏水していた。
 ④モルタル補修跡
  各階ベランダ鼻先部分に、新築時の欠損部へのモルタル補修跡が認められた。補修跡は変色し、一部浮きや亀裂が生じていた。
 ⑤木屑
  上裏の一部に木屑が露出していた。
 ⑥補修モルタル欠損部
  ベランダ鼻先の一部に、わずかに補修モルタル欠損箇所が認められた。
 ⑦ジャンカ
  ベランダ見付けの一部に新築時のジャンカ(豆板)跡が認められるが、その数はわずかであった。
 ⑧木コン跡
  新築時の木コン穴の未処理および木コン埋め込みモルタルの欠落により、内部のセパレータが発錆している箇所が認められた。
 ⑨その他
  全面的に汚れの付着が著しく、特に北面にはコケなどの付着も認められ美観を損ねいていた(写真1,2)。
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2)外壁タイル(れんがタイルおよび磁器タイル)
 ①汚れ
  れんがタイルは施工箇所かが1階の腰壁であったため、雨水などの飛散によりかなりの汚損状況であった。また、磁器タイル表層面の汚れは軽度であった。
 ②ひび割れ
  いずれのタイルについても、目地・ひび割れからのエフロレッセンス流下を確認した
  (写真-3)。
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 ③浮き
  妻壁である磁器タイル部分を打診調査したところ、15%程度の浮きを確認した。
 ④その他欠損箇所
  れんがタイル部の随所で欠損部を確認した。

3)腰壁リシン吹付け部
 ①汚れ
  教室の外部腰壁がリシン吹き付け仕上げであるが、経年劣化による変化汚損と人為的な汚れなどを確認した。
 ②ひびわれ
  腰壁の中央部付近にひび割れを確認した。
 ③浮き
  腰壁面を打診したところ、随所で浮きを確認した。
 ④その他欠損箇所
  各面に数カ所程度の欠損を確認した。

4.原因の推定
1)打放しコンクリート
 ①ひび割れ
  パラペット・各階ベランダ鼻先・梁形およびベランダ上裏のひび割れは、そのほとんどが長手方向に対して垂直に発生している。これらのひび割れが南面に多く発生していることから、原因は温度変化による伸縮挙動によるもので、コンクリートの乾燥収縮や荷重による曲げモーメントにも起因していると考えられる。
  これらのひび割れは、その部分からの雨水の浸入により内部鉄筋を腐食させ、その膨張圧によりひび割れ幅をますます大きくさせる。
  また、ベランダ上裏のひび割れからエフロレッセンスの流下が認められることから、ベランダの防水性能の低下が考えられる。
 ②露出鉄筋
露出鉄筋の発生箇所は、パラペットやベランダ鼻先など雨水にさらされる部位にまで集中している。コンクリートのかぶり厚不足またはひび割れからの雨水の浸入により鉄筋が腐食し、錆の膨張圧によってコンクリートの剥落が生じたものと推定される(写真4)。
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 ③コールドジョイント
  新築時のコールドジョイント(打継ぎ)補修モルタルが劣化し、変色やひび割れ・浮きなどが生じている。
 ④モルタル補修跡
  新築時の豆板などのモルタル補修跡であり、その表層面にはひび割れが発生していることから、経年劣化により接着力が低下しているものと考えられる。
 ⑤木屑
  コンクリート打設前に桟木などの切り屑が型枠のなかへ落下したもので、その上からコンクリートを打設したため、型枠脱型後表面に露出したものであると考えられる。
 ⑥補修モルタル欠損箇所
  新築時の補修用モルタルが、経年劣化により剥落したものである。
 ⑦ジャンカ
  新築時のジャンカ跡は躯体内部の空隙であり、雨水や炭酸ガスなどの侵入を招き、躯体劣化の進行を加速させる。
 ⑧木コン跡
  内部セパレータの腐食膨張によりコンクリートの剥落を引き起こす危険性もあり、そのほか木コン跡についても再点検の必要があると思われる。
 ⑨調査結果の集計は表1のとおりである。
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2)外壁タイル(れんがタイルおよび磁器タイル)
 ①汚れ
  1階のれんがタイルの表面は汚損は、汚泥状の雨水飛散に伴って当箇所のれんがが汚れたものと推定される。また、磁器タイル面にはその表層面が鏡面に近い仕上りとなっており、汚れが付着しにくいため軽度の汚損であったと推定される。
 ②ひび割れ
  目地に確認したひび割れは、セメントの乾燥収縮によってひび割れが発生しエフロレッセンスの流下になったと推定される。
 ③浮き
  タイルを接着させるために使用したモルタルの乾燥収縮、および目地などのひびわれ部より、雨水などが浸透することによって浮いたものと推定される。
 ④その他欠損箇所
  外部からの人為的衝撃が加わって発生したものと推定される。
 ⑤調査結果の集計は表2のとおりである。
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3)腰壁リシン吹付け部
 ①汚れ
  リシン仕上げの表層面が汚れの付着しやすい面を形成しているために汚れたものと推定される。変色については,当材料がセメント系のリシンであるために経年劣化に伴って変色したものと推定される。また人為的なよごれについては、黒板消しの粉チョークなどの汚れである。
 ②ひび割れ
  腰壁面に塗工されているモルタルの乾燥収縮によりひび割れが発生したものと推定される。
 ③浮き
  ひびわれ部とその周辺に浮きを確認したが、当箇所から雨水などが浸透し浮きを生じたものと推定される。
 ④その他欠損箇所
  人為的な衝撃により出来たものと推定される。
 ⑤調査結果の集計表は表3のとおりである。
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 さて次回は「建築技術」1989年11月号、、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の最終回、「5.改修工法の決定」、「6.施工」そして「あとがき」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大トップニュース、一連の幼女誘拐殺人で宮崎勤を逮捕 !宮崎努は前年8月から行方不明だった入間市の幼稚園児宅に人骨等のはいった箱を置き、新聞社宛に女性名で犯行声明を送りつけた。89年8月10日、宮崎努を強制わいせつ罪容疑で逮捕。翌11日に野本綾子ちゃん殺しを自供。10月19日、東京地検は宮崎の自供で埼玉県の事件を含む4件の連続幼女殺害事件に終止符(死刑判決)を打った。何とも残虐極まりない事件でした。

それでは次回をお楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2008-09-29 07:27 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その37

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の第1回、「まえがき」「1.改修計画の提案」および「2.調査」 をご紹介します。
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まえがき
 新しい建物が次々と誕生している一方で、既存の古い建物の外装は劣化・汚染が進み建物の価値を低下させている。一般に、鉄筋コンクリート構造物の耐用年数は60年から65年といわれているが、近年RC構造物の予想をはるかにこえた早期劣化が社会問題となっている。
 成蹊高等学校ホームルーム棟は、武蔵野の緑深いケヤキの大木に覆われた豊かな自然環境のなかにある。当ホームルーム棟は打放しコンクリートの柱・梁からなり、外壁はタイル張り仕上げで構成された静かなたたずまいである。築後27年経過した外装は劣化損傷と汚染が顕在化し、安全性と維持保全の点から早急に修繕を必要とする状況であった。

1.改修計画の提案 ― 文化的遺産の保存再生 ―
 歴史と青春の思い出を刻み込んだキャンパスは、心のふる里として多くの卒業生の記憶にとどめられている。このことから、改修に際しあくまでこのキャンパスのたたずまいを損なうことがない保存的改修を骨子とし、文化的遺産としての保存再生が可能な工法を提案した。改修のフローチャートを図-1に示す。
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外壁の主要部位を占める打放しコンクリートおよび外壁タイルについて、工法の特殊性から再生後の意匠性の回復と耐久性を確認するため、日本原子力研究所・東海研究所施設の施工物件の実地調査を行った。
なお当施工物件は、6年前より毎年棟別に当該工法による施工したものである。

2.調査
 打放しコンクリートおよび外壁面を目指し打音調査を行い、劣化損傷箇所を図面上に記し種別ごとに集計した。その他漏水原因などを確認し、おのおの写真撮影をした。
1)外観の目視
 打放しコンクリートは、各面外壁各部位において各種の劣化症状が顕在化していた。経年劣化の要因は内外力の作用や施工上の不具合などで、これらが種々複雑にからみ合って劣化が生じている。汚れ・鉄筋露出・ひび割れに起因したエフロレッセンスの流出はタイルを汚損し、そこより侵入した水分は、浮きや剥離を誘発して外壁タイルを損ない、美観を著しく損ねていた。
2)調査項目
 a)打放しコンクリート
  ①ひび割れ ②露出鉄筋 ③コールドジョイント ④モルタル補修跡 ⑤木屑 ⑥補修モルタル欠損部⑦ジャンカ ⑧木コン跡 ⑨その他
 b)外壁タイルおよびリシン吹付け部
  ①汚れ ②ひび割れ ③浮き ④その他欠損箇所
3)調査方法
①目視 ②打診法

 さて次回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の第2回、「3.調査報告」、「4.原因の推定」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大ニュース、4月1日から税率3%の消費税がスタートし、家計は徐々に圧迫されていきました。。

それでは次回をお楽しみに!
 
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by pikayoshi72 | 2008-09-22 07:28 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その36

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊「リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法(パネル改装,タイル改装,外壁洗浄)のうち、タイル外壁改修工事事例「外壁タイル若返りシステム」の最終回、「補修工事の実際」をご紹介します。

補修工事の実際
全面を高圧洗浄後,錆汁などにより汚染した部分にケミカルエースRによる化学洗浄とした。
乾燥後,浮きの注入をした。同材料は特殊セメント系材料と合成高分子エマルジョンから構成され,それらを施工時に混練して使用した。混練後の粘度はBL型(粘度計)で2,000cpsで,固化後の引張強さは20kgf/cm2,付着強さは8.5kgf/cm2である。
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メジのひび割れやタイルとの剥離か所と欠損か所は,ウレタン樹脂コーキングを充填し,メジ全体をNY-エラスティックフィラーを防水塗工した。
タイル欠損部のうちタイルの破損が激しく再貼付けが不可能なものは,NY-調合樹脂モルタルにて成形し,乾燥固化後NY-カラーコートにより着色,既存レンガタイルに合わせた。
レンガタイルメジ全面をNY-エラステックフィラーを特殊刷毛にてローラー塗工した。
全面にトップコートNY-8090(超耐候性フッ素樹脂)をコーティングした。
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 さて次回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」をご紹介します。

 さて、この年1989年の重大ニュース、1月15日から病院、税関等を除く国の行政機関が、毎月第2、第4土曜日を休日とする土曜閉庁がスタートしました。

それでは次回をお楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2008-09-15 09:37 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その35

こんにちはpikayoshi72です。

今回は月刊「リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法(パネル改装,タイル改装,外壁洗浄),タイル外壁改修工事事例「外壁タイル若返りシステム」を前編、後編の2回に分け紹介します。今回は前編、「まえがき」から「補修工法の条件」までをご紹介します。
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まえがき
本工事は,海岸より約2km北に位置する築後20年余を経過した某研究所の建物で,外壁はレンガタイルと打放しコンクリートからなり,既存の外壁の劣化損傷箇所の補修と意匠性の回復を目的に改修したものである。
なお,本稿は打放しコンクリートを除く外壁レンガタイルについて紹介する。
〔建物の概要〕
■ 構造規模 9,800㎡
■ 外壁タイル面積 1,800㎡
■ 竣工   昭和43年
■ 既存外壁 東・西・妻面,南・北面モルタル下地2丁掛け,レンガタイル張り,
柱・梁打放しコンクリート仕上げ
調 査
工事に先立ち,当研究所より外壁修繕に関し建物の調査依頼があり,外壁全面の状況について目視および中性化調査を行った。外壁レンガタイル面は全体的に汚染し,各所にひび割れ・浮きが生じ,メジからエフロレッセンスが流下し長期にわたる繰り返しで結晶化している。
ひび割れの一部は躯体コンクリートに達し,同ひび割れと同じ部位の内部に漏水の痕跡があり塗装がはがれ貫通ひび割れを示している。

補修計画
目視およびハンマー打音法による調査結果を図面上に明記し調査報告書を作成した。なお外壁レンガタイルの補修・改修は,過去5年前より同研究所において数棟実施しており,関係者のご理解が既に得られているためスムーズに運んだ。しかし,劣化損傷の程度は建物毎異なるため現状の的確な把握が重要である。本工事においても施工実績にあたって,施工計画書を作成細部の作業内容を明記し,工事に疎漏のないようにした。

補修工法の条件
通常,補修用に注入使用されているエポキシ樹脂やポリマーセメント系は,外壁タイルに加わる御礼乾湿によるムーブメントによる追従性にとぼしく,特に東面,あるいは東面に近似した壁面では,冷え切った壁面が日射により急激な熱膨張を起こし,躯体と下地モルタル間に起こるムーブメントが激しく,それに起因したひび割れの再発が未解決とされている。これを解決した工法が,DD-エラスティックシステムで,本工事の補修はすべてこのシステムを採用した。

工事内容は,既存レンガタイルの健全部をそのまま残し,浮き・ひび割れなどは次の方法による補強補修とした。
3-1.浮き
高い変形能を有したグランドリフォーム・DD-エラスティックシステムによるスラリーの注入。

3-2.ピンニング
タイル下地のモルタルが浮いている箇所はピンニング工法とし,レンガタイルが剥落しないよう躯体(コンクリート)に点接着をし注入圧で剥離しない様にする。固定ピンはNY-エラスティックピンとし,長さ50~60mm全ネジ切のものとする。

3-3.タイル成形
欠損したレンガタイルは,既存のものに合わせて樹脂モルタルにて成形・着色する。
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3-4.NY-8090フッ素樹脂塗布
汚損防止・フリーメンテナンス化を目指した,超耐候性フッ素樹脂を塗布する。
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 次回は「月刊リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法の「タイル外壁改修工事事例」の後編「補修工事の実際」をご紹介します。
 さて、この年1989年海外の重大ニュースとして,アメリカ合衆国では第41代大統領にブッシュ氏が就任,ビルマが国名を「ミャンマー」に変更されたりした年でもありました。

それでは次回をお楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2008-09-08 07:25 | ブログ

「打放しコンクリートと共に」 その34

今回は(株)建築知識の月刊「建築知識」1989年7月号、特集:RC打放し監理術、「打放し・補修テクニックとメンテナンス」の最終回、打放しのメンテナンスをどう考えるか をご紹介します。

打放しのメンテナンスをどう考えるか

■メンテナンスはいつからするか
 どのような防水剤であっても経年劣化により性能低下していくことは避けることはできない。打放し仕上げで防水剤の性能低下にはまず汚れが表層に付着することから始まる。通常2~3年経過した頃よりそろそろ建物の最上階から下部に向けて付着し始める。日当たりの良い南面は比較的汚れは少ないが、北面等湿潤状態の長い面では汚れの他に苔やかびが発生している。(写真6.7)
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このような汚れの付着は、防水性能の低下をはっきり示すサインであり、同時にコンクリート内部へ水分が浸透を始めていると考えてよい。計画のたたき台として汚れの付着と損傷の有無が判断基準とされるが、少なくとも通常5~6年ごとに表層の洗浄と防水剤の塗布を勧めたい。
 現在行われているメンテナンスは、汚れの除去等初期のものは少なく、築後10~20年経過したものが多い。そのほとんどが防水性能の低下はおろか鉄筋の錆化膨張によるかぶりコンクリートの剥落が生じ危険な状態にいたって計画実施されている(写真8)。この意味では修繕工事である。
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 最近の打放し仕上げは外壁のコンクリートのかぶり厚が多く取られるようになって、一昔のような鉄筋の錆化膨張による剥落事故は少なくなったが、コンクリート表層についての劣化対策は十分とはいえず、防水性能いかんによるといえる状況にある。少ないケースではあるが、かぶりコンクリートの少ない箇所の鉄筋の錆化膨張による表層の剥離が部位によりみられることがあり、この場合はメンテナンスに修理も加えて考えなければならない。中には7~8年で修理を要するものもあるので、メンテナンスを兼ねて躯体の調査も併せて行うことが望ましい。以上のことから少なくともメンテナンスは汚れが付着し始めた時点から考えておく必要があろう。

■メンテナンスにおける洗浄
 打放し仕上げに付着した汚れは、空気中の炭酸ガスが溶け出した酸性雨、さらに塵埃、錆汁、エフロレッセンス等多種多様なものからなり、洗いを行うに先だって、まずこの汚れの実態を把握することである。油分を含んだ汚れは、油分を分解する洗剤が必要となろうし、錆汁には錆を溶解する性質をもった洗剤を使用すべきである。エフロレッセンスは一種の結晶体なので、簡単に取り除くことはできない。また除去した跡にエフロレッセンスの跡がそのまま残り見苦しいものである。
打放し仕上げの汚れを取るために強力な洗浄圧をかけたり、薬品を使用したりすることは表層面をかえって痛め、劣化を早めてしまうことすらあるので注意しなければならない。

■メンテナンスの手法
 劣化損傷した打放しコンクリートのメンテナンス手法として「打放しコンクリート若返りシステム」がある。新築時より20~30年経過し、表層の汚損に止まらず、鉄筋の利出やコンクリートの剥落に対し補修・補強する工法である。
汚れの除去はもちろんのことであるが、躯体コンクリートの強化付与をベースとした強化再生工法であり、打放し新築時の意匠性を復元させる工法としても知られている。
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補修修正方法は、基本的に躯体と意匠性にポイントがおかれ、露出鉄筋の保護強化も行われる。外部に接した部位の打放し表面の型枠模様は、汚れと劣化によりほとんど消失されており、雨水に当たらない部位のみ模様の痕跡を止めている状況である。
躯体の健全化と意匠性の再現により打放し仕上げの保全維持に十分応えることができる唯一の工法として高い評価を受けている。以下は「打放しコンクリート若返りシステム」の施工手順である。
①表面清掃・脆弱層の除去
表面をジェット洗浄または#60~100のペーパーもしくはワイヤーブラシがけで清掃(写真10)
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鉄筋の赤錆は化学洗浄剤(ケミカルエース-R)にて洗浄。

②コンクリート強化剤の含浸
コンクリートの脆弱層の補強と毛細管空隙充填による表面強度を保つため、NY-606強化剤を全面含浸塗布。
③露出鉄筋箇所の斫り・防錆処理
鉄筋腐食が原因で生じるかぶりコンクリートの剥離・浮き箇所を斫り、
鉄筋も健全な部分まで斫り取り防錆処理を行う。(写真11)
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④調合樹脂モルタルによるUカット・斫り箇所の補修
 ひび割れは、Uカット後雨水、空気流通遮断のためコーキングし(写真12)、
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NY-調合樹脂モルタルで押さえる。毛細ひび割れは、NY-調合樹脂パテで木ベラによる補修(写真13)。
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表面の仕上がりは修整用NY-調合樹脂モルタル(合成樹脂+特殊セメント+特殊硅砂+添加剤)によって表面に合わせた修整を行う。
⑤木コンの補修
 木コン穴の残滓を取り除き、NY-調合樹脂モルタルを埋め込む。
⑥打放しコンクリート表面の若返り色合わせ・型枠模様の造成
 耐候性に優れた数種の顔料・調合剤によって打放し全面の色合わせ。特殊刷毛による型枠模様の復元(写真14)。
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⑦若返りコンクリートの防水処理
 養生と表面の耐候性を保つため高性能防水剤NY-7090を全面に塗布。

さて次回は「月刊リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法の「タイル外壁改修工事事例」をご紹介します。

さて、この年1989年の重大トップニュース、国内政治に目を移すと7月23日第15回参議院議員選挙において自民党は大敗北を喫し過半数割れに追い込まれ、 社会党が大躍進しました。これはリクルート事件、消費税導入、宇野首相のスキャンダルが自民党を大敗させた三大要因だったようです。

それでは次回をお楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2008-09-01 07:23 | ブログ