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第二十話  “打放しコンクリートの老化について、あれこれ” 「塩害」その3 対策について

何事もなく過ごす快適な日常生活、知られざるところで忍び寄るコンクリートの老化現象。
考えてみれば人間も一面に於いては同じ様なもの、そんなことを思いながら少しでも長生きするためのお話。
老化というより劣化の方が適切かも?

 コンクリート中への塩分(塩化物)が入り込む経路は二つ、コンクリートを作る時に使う海砂や混和剤、もう一つは海岸近く立地した建物に海水飛沫や海塩粒子がコンクリート表面に付着し中へ浸透していく場合でしたね。
最初のコンクリートを作る時の塩化物の混入については生コン屋さんか建築屋さんでしか対応できませんから知識として憶えておくしかありません。
二つ目の海塩粒子などのコンクリート表面への付着、そして中への浸透、この様な作用の繰り返しで、中の鉄筋が腐食膨張してコンクリートにひび割れを起こします。
これを遮断すれば延命効果はあるといわれています。
その外、表面から侵入する酸素、炭酸ガス、水分など、コンクリートを劣化させるものにも対応できますから効果的といえますね。
 もうひとつの難題、コンクリート中に侵入してしまった塩分を完全に抜き取ることは出来ないこと。
こうして考えてみると塩害対策の主目的はコンクリートの保護と塩分による鉄筋の腐食防止対策につきると思います。
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すでにコンクリート中に入ってしまった塩分には、水と酸素の侵入を遮断して、鉄筋の腐食を少しでも遅くするといったことしか方法はないといわれています。

 それでは実際に劣化損傷したコンクリートはどんな修繕方法があるか簡単にお話します。
先ず水洗して少しでも塩分を洗い流すこと、ひび割れから浸透した水分で腐食した鉄筋のサビをしっかり取り除いてしまうこと。
次に防錆処理をしてからひび割れ箇所や傷んでいるところを合成樹脂モルタルで修理します。
この様な下仕事をしてから始めて遮断するための塗膜材を塗る、つまりコンクリート表面を被膜して外部からの影響を受けないように遮断する方法です。

 こんなことが塩害に対する主な対策かな?
こんな事後対策をする前に、予防対策は無いものか考えてみることが大事ではないかとおもいますが?

次回は“もう一つの老化(劣化)、アルカリ骨材反応について”おはなしします。
お楽しみに。
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by pikayoshi72 | 2005-11-28 07:40 | ブログ

第十九話  “打放しコンクリートの老化について、あれこれ” 「塩害」その2

海砂を使い始めたのは何時頃か調べてみましたら、今から40年程前からと分かりました。
1986年当時の資料によりますと、海砂を使用した割合が多い地域は北海道、中国、四国の瀬戸内海地方と九州地方だそうです。
特に昭和33年(1958)から40年(1960)にかけて造られた名神高速道路、40年(1960)から44年(1964)にかけて造られた東名高速道路。
この当時はまだ川砂が主体だったそうですが、40年(1960)の後半頃から全国的に高速道路の工事が行われた頃を境に川砂から海砂を使用したコンクリートが増加したとのことです。
北海道にあっては、海砂の外に寒冷地といった地域の環境に対応するために、コンクリートに塩化物を多量に含んだ混和剤が使われていたそうです。
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ついでにもう少し原点に戻って調べましたら、コンクリートのご本尊であるセメントにも塩分が含まれていたとのこと。
但し、この原因は燃料を重油から石炭に転換してから石炭に付着した塩分がセメントの焼成過程で混入したとのことです。
その外に海岸地域で地下水を利用して製造した場合、塩分がコンクリートに入り込むことがあるとされています。

 まとめてみますと、コンクリート中に含まれる塩分(塩化物)、セメント、海砂、混和剤、練りまぜ水(海水)からのものと、海からの波しぶきや潮風によるものではないかといわれています。
 この恐るべき塩害、前回でお話したように打放しコンクリートは、コンクリートそのものが、剥き出しのため直接劣化損傷は避けられません。
最も被害を受けやすい建築物であり構造物ですね。
そこで塩害対策の大切さが浮かびあがって来ます。

次回は“効果的な塩害対策について”をお話しします。
お楽しみに。
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by pikayoshi72 | 2005-11-21 07:30 | ブログ

第十八話  “打放しコンクリートの老化について、あれこれ” 「塩害」その1

 遮るもののない大海原、絵画にテレビに背景の主役として広がる海辺の景観、四季を通じていいものですね。
果てしない巨大な海、夏には多くの人々が戯れる素晴らしいところ。
そのところからもたらされる塩害、今回はこれに焦点をあててお話します。

 最初に、コンクリートは表面が多孔質(小さな孔が無数にあいている)のため塩分(塩化物)が付着しやすく、しかも雨水によって洗い流されにくいだけでなく浸透しやすいという欠点を持っています。
海からの波しぶきや潮風に吹き付けられたコンクリート表面には塩分が付着し、コンクリート成分と反応し一部は次第に浸透してコンクリート中の鉄筋を腐食させてしまいます。
前にもお話した様に、鉄筋は腐食すると2倍余りにも膨張して、ある日コンクリートはひび割れを起こしてしまうんです。

 次にコンクリートで出来ている生活基盤、例えば道路、鉄道、港湾、電気・ガスの施設、そして住宅など数え切れません。
ところが早いものは出来上がってから10年位で塩害を引き起こす事例があります。
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そこで塩害を引き起こす元は何かといいますと、大まかに言って二つあります。

コンクリートを製造する時、つまり生コンに塩分を含んだ砂(細骨材)や混和剤が使用された場合と、海岸近くで常に海水飛沫や海塩粒子がコンクリート表面に付着して、次第に内部へ浸透して行く場合です。
この二つはお互いに影響し合って、コンクリート自身の劣化とコンクリート中の鉄筋を腐食させてしまうことです。
前回でお話した中性化は雨水と炭酸ガスの浸透によってでしたね。
それが原因となって鉄筋を腐食させコンクリートにひび割れを起こしてしまう。
塩害も流れはよく似ていますが、その元は塩分によって起こされるところが異なっています。
しかも中性化との違いは、塩害はコンクリート自身を老化させてしまうことです。
そのひび割れからは雨水と炭酸ガスに塩分が加わり浸透し、益々傷口は大きくなってコンクリートの破壊に繋がっていきます。

 固いお話ばかりですいません。
次回は「塩害」その2、塩分入りコンクリート。
お楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2005-11-14 07:36 | ブログ

第十七話  “打放しコンクリートの老化について、あれこれ” その2 中性化

 老化現象の代表的症状“ひび割れ”前回はひび割れにまつわる大まかな症状をお話しました。
よく考えてみると日常生活に密着したところで起こっている。
打放しコンクリートを壊し揺るがすその元を知ることは、長持ちさせる上で大事なことだと思いましたのでもう少し詳しくお話します。
何故って?打放しコンクリートに限らず全てのコンクリートで造られた建物は大なり小なりほぼ似たことが見られますので、今回は中性化!前回でもお話しましたがもう一度我慢して下さい。
この中性化、中学校で学んだ記憶を呼び戻して下さい。リトマス試験紙を使って赤になったら酸性、青になったらアルカリ性、そんな経験ありませんか。
コンクリートは強いアルカリ性(PH13)です。
そのコンクリートが空気中の炭酸ガスと接触するとPH8.5~10程度になってしまうんです。
これを中性化したといわれています。
中性化したからといってコンクリートが弱くなってしまうことはありません。
しかし、安心は禁物、この中性化、繰り返しの雨水と炭酸ガスの侵入で次第にコンクリート内部へ少しずつ進行していくんです。
 困った事にこの中性化がコンクリートを支えている中の鉄筋にまで進んでしまうと、鉄筋がさびない様に保護している皮膜(不動体皮膜)が破壊されてしまうんです。
厳密に言うとPH11位からサビ腐食が始まるといわれています。
 そこで前回お話した様な老化現象の始まり、そうです鉄筋のサビによる膨張、そしてその圧力でコンクリートにひび割れを起こします。
更に拡大するとついにコンクリートが破壊され剥落してしまう、ということになります。
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小さなひび割れだと思って、そのままにしておくとこの様になります。
何事も小さなうちに手当してあげることですね。
 今回は日頃縁のない単語が出てきてすみません。
打放しコンクリート老化現象の原因その2、中性化のお話をしました。
お分かりになりましたでしょうか。
次回は海辺に吹き荒ぶ潮風、塩害についてお話しします。
お楽しみに。
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by pikayoshi72 | 2005-11-07 07:32 | ブログ