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「打放しコンクリートと共に」 その(65)

今回は月刊建築仕上げ技術1994年8月号,特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内第4回「再発防止技術と仕上げ」1.再発防止技術をご紹介します。

再発防止技術と仕上げ
1.再発防止技術
 結論から述べると打放しコンクリート表層面を完全防水する事により再発防止は可能である。しかし、現実には打放しコンクリート自体多様な環境作用を受けていることや、躯体そのものが日常的に挙動が生じていることなどがあり無理な相談とも言える。特にエフロレッセンスの析出要因であるひび割れは補修後に再びバイパスクラックの発生があり在来技術でひび割れの再発防止する方法は極めて限られている。そこで前述したエフロレッセンスの発生源の再発防止と仕上げ方法を述べる。

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①モルタル笠木の浮き
 最近では打放し建築の天端を、防水モルタルによる笠木の設置は稀となったが、既存の打放し建築には未だ相当数ある。その多くは浮きを伴ったひび割れがあり、躯体コンクリートに雨水の浸透を許し劣化損傷の原因ともなっている。
 この様なモルタル笠木をエポキシ樹脂やその他注入材で注入固定化する補修方法があるが、防水対策としては不十分である。モルタル笠木は全て撤去し天端全面を覆う金属笠木に取替えする方法が良好である。
②外壁の天端
 意匠性の一つに打放し建築の天端を笠木に相当するものを一切排除し、雨水対策として精々天端の両面をカットした程度のものがある。天端の平面は予想外に厳しい環境作用を受け、雨水は一旦天端に滞留したあと流下するため、雨水の受皿の働きを余儀なくされている。この様なことから対応策として屋上防水に準じたもので、意匠性を変えることなく防水性能を付与することの出来る工法が望ましい。しかも躯体と一体化したセメント系の塗膜型防水材での施工がベターである。
③屋上スラブの押し出し
 スラブの押出によるひび割れは、外周のパラペットのひび割れに止まらず防水層の破断損傷が考えられるので、当該箇所の室内への漏水の点検補修後、ひび割れ補修を施す。エフロレッセンスの析出源を中心にしてUカットし底部にシーリング材を充填、エラスティックモルタル押えとする。
④一般外壁
 日射の強い南面と西面で柱と柱に挟まれた大壁を縦、横方向や斜めに走るひび割れがある。貫通したと思われる箇所にはエフロレッセンスの析出があり、積層した結晶体となり固着している。この種のひび割れは、繰り返しの外部作用を受け日常的に伸縮運動が反復されているため、ひび割れ追従性、防水性の高いエラスティックモルタルを主体としたひび割れ再発防止工法が漏水とエフロレッセンスの析出を抑制する方法の一つである。

ひび割れ再発防止工法(特許)
(1)ひび割れに沿って電動カッターを用いて巾12mm程度、深さ15mm程度にU字型の溝を設ける。
(2)Uカット溝部に付着している斫り片、粉塵を刷毛等で除去する。
(3)清掃した部分に対してウレタンプライマーを均一に塗布する。
(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを行う。充填はUカット溝底部から3mm程度とし、充填後はヘラで充分押さえ下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。
(5)次にNY―エラスティックフィラーを塗り残しがないように均一に塗布する。
(6)NY-エラスティックモルタルを充填する。 
   注:0.2mm以下のひび割れは、NY-エラステックモルタルによる木ベラでの塗り込みとする。
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⑤開口部8の字形ひび割れ
 RC建築の開口部に付きものの毎くに発生している。打放し建築もご多分に漏れず開口部を8の字形のひび割れが多発している。特に開口部下を8の字に走るひび割れには、エフロレッセンス析出量は多く打放し建築の美観を著しく損なう。このひび割れも挙動が日常的に生じているため前期の様なひび割れ追従形の再発防止工法が効果的である。
⑥打ち継ぎ(コールドジョイント)
 雨水の接する部位にある打ち継ぎで、防水性能が喪失したものにエフロレッセンスの析出がある。打ち継ぎは貫通している場合がありひび割れ再発防止工法に準じた適切な漏水対策が必要で、しかも打放し仕上げの意匠性を阻害しない打ち継ぎ消去工法を兼ねた仕上げとする。
⑦メジ(水平・垂直)
 化粧メジの認識があるため、メジ底を走るひび割れを見落としがちである。特にシーリング材が充填されている場合、シーリング材の劣化状況がポイントとなる。シーリング材の性能低下に起因した箇所から、雨水がシーリング材の裏面に廻りメジ底のひび割れより浸透、エフロレッセンスの析出を促し、シーリング材の浮き箇所を経由して外壁面へ析出する。劣化ひび割れしたシーリング材はすべて撤去し、メジ底に生じたひび割れ補修後シーリング材をメジ底に完全密着した充填が不可欠である。
⑧巣穴(ジャンカ)
 建築時に発生した巣穴を充填したモルタルが、経年劣化で付着性能低下と乾燥収縮によるひび割れで雨水が浸透、エフロレッセンスの析出を引き起こしたものである。既存の補修モルタルは全て斫り取り、付着性能の良い調合樹脂モルタルで再度充填する。打放し躯体に合わせ防水性も付加した充填材でなければならない。
⑨モルタル補修跡
 乾燥収縮によるひび割れと浮きによる雨水の浸透であるため、既存のモルタル補修材は斫り除去し、躯体生地色に調合した樹脂モルタルにて再補修する。
⑩鉄筋錆化
 鉄筋錆化の健全部分まで斫り出し、充分なかぶり厚さを確保するところまで斫り込む。ワイヤーブラシにて錆を完全除去し直ちに防錆剤を塗布する。次に調合樹脂モルタルを充填補修する。
⑪外階段手摺埋め込みコンクリート天端
 手摺の金属アンカーの周囲コンクリートを斫り、錆化部分の錆除去と防錆剤塗布後、金属手摺の周囲にシーリング材を充填、調合樹脂モルタル押さえし、天端の浮き、ひび割れは弾性注入材を充填、ひび割れ再発防止工法による補修とする。
⑫段裏
 階段踊り場と階段に生じたひび割れ補修後、耐摩耗性の高い歩行用防水塗材を全面に塗工防水処理をする。
⑬庇の鼻先
 庇の鼻先の水切りメジが浅く狭いため機能せず、むしろ滞留を促しているケースである。水切り機能を活性化するためのメジの改修をする。
⑭庇上裏
 貫通したひび割れを経由して庇上裏に浸透、エフロレッセンスが析出する。庇の取合箇所はシーリング材で防水処理し、貫通したひび割れは、ひび割れ再発防止工法による補修後、庇表面を防水する。
⑮⑯バルコニーの軒裏と鼻先
 庇のひび割れからの漏水に起因した雨水は、上裏を伝わり鼻先に滞留してエフロレッセンスを析出固着する。固着状況を見定めた上でケレン、ペーパー掛けにより除去する。ひび割れはひび割れ再発防止工法とし、庇生地色に調合した樹脂モルタルでシゴキ塗りする。
⑰残留木片
 残留木片は斫り除去する。周辺に固着したエフロレッセンスは、ケレンとペーパー掛けで除去する。躯体生地色に合わせた調合樹脂モルタルをシゴキ塗りする。
⑱網状ひび割れ
 エフロレッセンスを析出した箇所をケレンとペーパー掛けで除去する。躯体生地色に合わせた調合樹脂モルタルをシゴキ塗りする。
⑲サッシの面台
 サッシと面台の取合箇所のシーリング材の除去再充填とひび割れ再発防止工法による補修とする。
⑳ピンホール
 大小無数に点在したピンホールは、可能な限り躯体生地色に合わせた調合樹脂モルタルをシゴキ塗りする。
○21シーリング材の劣化
 経年劣化によるシーリング材の収縮固化でひび割れ、浮きや剥離が生じ防水機能が喪失しているため、既存のシーリング材は全て除去し再充填する。
○22木根穴
 既存の充填モルタルは全て除去し、木根穴内部の清掃、セパレータの錆除去防錆剤塗布後、底部へシーリング材を充填、仕上げ面より若干下げて樹脂モルタルを充填する。
○23天井スラブ
外部に接した位置にある貫通したひび割れは漏水をもたらすため、ひび割れ再発防止工法による補修後、全面防水処理を施す。防水工事完了後、天井に走るひび割れはエラスティックモルタルによる補修とする。
○24柱 型
 打ち継ぎやひび割れに起因したもので、ひび割れ再発防止工法による補修とし、躯体に合わせた調合樹脂モルタルのシゴキ塗りとする。
 エフロレッセンスの発生源と各々の除去方法並びに再発防止方法を述べたが、これらは下地調整の範疇で、次に打放しコンクリートの仕上げ方法を紹介する。

次回は建築技術1994年8月号、特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内、最終回「再発防止技術と仕上げ」2.打放しコンクリート再生仕上げ および「おわりに」をご紹介します。

さてこの年の重大ニュースとして、京都の二条城がユネスコの世界遺産リストに登録されました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-04-06 07:26 | ブログ


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