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「打放しコンクリートと共に」 その(63)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上げ技術1994年8月号,特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内第2回「打放しコンクリートでよく見かけるエフロレッセンス」をご紹介します。

1.エフロレッセンスの発生源となる場所
 打放しコンクリートは建築途次であっても降雨に接することにより、打ち継ぎや巣穴部分へ浸透した水分によってコンクリートの遊離石灰が溶け出し、エフロレッセンスとして表層面を著しく汚染する。打放し建築の形状によって異なるが、身近に見ることが出来るエフロレッセンスの発生原因となる箇所を下記に示す。

2.エフロレッセンスの析出状況
 エフロレッセンスはひび割れに浸透した雨水に起因したものが多数占めるが、発生源によって析出量や汚損現象が異なる。次にエフロレッセンスの発生源と析出状況を述べる。
①モルタル笠木の浮き
 モルタル笠木の浮きは、モルタルの乾燥収縮によるひび割れが生じ躯体コンクリートとの付着が、この作用を受けて浮き剥離するケースである。モルタル笠木は本来打放しの天端と外壁の防水を目的としたものであるが、その意図は満たされず浮き箇所は雨水の浸透で笠木の下地モルタルと躯体コンクリート双方からエフロレッセンスを析出させている。
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②外壁の天端
 打放しのシンプル性を強調したデザインは、天端に笠木に相当するものは設けず、直接雨水に接触するため天端からのエフロレッセンスの析出が外壁を広範囲に白色斑点状に覆う。
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③屋上スラブ保護モルタルの押し出し
 防水層の保護モルタルは環境作用を受けて膨張伸縮し、その膨張圧で周囲の外壁を押出し水平に連続したひび割れを呈す。これらのひび割れは貫通したものが多く、エフロレッセンスの析出は多量でしかも繰り返しのため積層結晶体となっているものが多い。
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④一般外壁
 ひび割れの発生原因は多種多様であるが、降雨に接する部位のひび割れは大小に拘わらずエフロレッセンスの析出が認められる。ひび割れ巾の大きいものは析出量も多く経過年数を重ねる程、積層結晶体となっている。
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⑤開口部の八の字形ひび割れ
 比較的ひび割れ巾の大きなものがあり、中には貫通し漏水は伴っているものがある。逆八の字形ひび割れからはエフロレッセンスの析出量は多く壁面を斜めに流下付着し、打放しコンクリートの意匠性を阻害する。
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⑥打ち継ぎ(コールドジョイント)
 外壁や梁に見かける事が多い打ち継ぎ箇所は、縁切れしている場合漏水することがある。目視で密着しているようであってもエフロレッセンスの析出によって、縁切りしている事を証明している。
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⑦メジ(垂直・水平)
 外壁に垂直・水平に設けられた伸縮メジには、メジ底にひび割れが走っている場合があり、見落としがちである。メジは外壁の表層面よりメジの深さ分だけ、コンクリートの鉄筋かぶり厚さが不足しているため鉄筋の保護能力が低下する。水分の浸透で鉄筋の腐食膨張圧によるかぶりコンクリートの浮き剥離が生じ、同時にひび割れ箇所を含めエフロレッセンスが析出する。
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⑧巣穴(ジャンカ)
 通常新築時にモルタル充填補修されているが、経年劣化による充填モルタルの付着力低下と乾燥収縮のひび割れによって、その殆どの巣穴は水分の繰り返しの浸透が認められ、析出したエフロレッセンスが表層面に付着している。
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⑨モルタル補修跡
 経年劣化と乾燥収縮等で表面にはひび割れが生じ、雨水の繰り返しの浸透で浮き剥離しているものがある。エフロレッセンスは補修モルタルと躯体コンクリート双方から析出している。
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⑩鉄筋錆化
 かぶり厚さの不足した箇所の鉄筋は浸透した雨水によって錆化し、その膨張圧でかぶりコンクリートを浮き剥落させる。そこより雨水は躯体コンクリートへ浸透、エフロレッセンスの析出を促し同時に錆汁を伴い表層面を汚染している。
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⑪外階段手摺埋め込みコンクリート天端
 雨水の接するところに位置した手摺り埋め込み箇所のコンクリートは、金属アンカーの錆化膨張によるひび割れと天端の浮きにより全面にエフロレッセンスの析出が認められる。
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⑫段 裏
 階段の踊り場に滞留した雨水は、ひび割れから段裏に浸透、溜まり水は床面と手摺立コンクリートの取り合い箇所からエフロレッセンスを伴い流出し、段裏を這う様に流下浸透しエフロレッセンスを析出し、氷柱状の結晶体に生成固着している。
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⑬庇の鼻先
 庇表面を流下する雨水は、庇鼻先の水切りが不十分なため滞留を起こし、滞留した雨水がひび割れや鼻先のポーラスなコンクリート表面より浸透湿潤し、エフロレッセンスの析出を招き、鼻先に析出したエフロレッセンスは結晶体となって付着固化する。
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⑭庇上裏
 躯体外壁に位置する庇は取合い箇所からのエフロレッセンスの析出が多い。縁切れしているために生じたもので、庇表面に滞留した雨水が取合い箇所より上裏に這う様に浸透、拡散した雨水がエフロレッセンスの析出を促し付着している。
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⑮⑯バルコニー軒裏と鼻先
 バルコニーは居住空間の一部を構成し、階下は庇としての機能を果たしている。水勾配が不適切なバルコニーは、雨水の滞留を招き貫通しているひび割れからは階下へ漏水する。必然的に上裏は漏水を伴ったエフロレッセンスの析出があり、居住者への不快感を増大させている。庇の場合と同様、鼻先部分の水切り機能が働かずエフロレッセンスの積層固着や氷柱状となっているものがある。
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⑰残留木片
 建築時型枠の中に残留した木屑で表面に露出又はかぶり厚の少ないコンクリートに支えられているものがある。水分の浸透により湿潤状態となった木屑の汁や時には錆汁が加わって周囲を著しく汚染している。
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⑱網状ひび割れ
 部位の特定なく認められるひび割れであるが、雨水に当る部位では量的には多くないが網状に析出したエフロレッセンスが付着している。
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⑲サッシの面台
 雨水の一時滞留箇所で面台ひび割れ箇所からの浸透によるエフロレッセンスの析出。
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⑳ピンホール
 タコつぼ状の形状をしたピンホールは雨水をコンクリート内部へ引き込み、浸透した水分に促されエフロレッセンスを析出分布状に付着している。
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㉑シーリング材の劣化
経年劣化で弾性力を喪失したシーリング材は、収縮固化とひび割れでメジ底より剥離し降雨の度にその裏側に雨水が浸入、接着性の低下で、浮き隙間が生じ雨水が浸透、エフロレッセンスを析出。
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㉒木根穴
充填したモルタルの乾燥収縮と接着性の低下で、浮き隙間が生じ雨水が浸透、エフロレッセンスを析出。
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㉓天井スラブ
 防水層の経年劣化による機能喪失によるものや、スラブのひび割れで雨水の浸透を招き漏水を伴ったエフロレッセンスの析出が、繰り返し雨水の浸透で積層結晶体となって固着している。
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㉔柱 形
 柱を横断した打ち継ぎやひび割れから浸透した雨水が、エフロレッセンスを析出固着している。
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 次回は建築技術1994年8月号、特集「エフロレッセンス-そのメカニズムと対処療法」の内、第3回「エフロレッセンスの除去方法とポイント」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュースとして、7月8日、日本人初の女性宇宙飛行士として向井千秋さんがスペース・シャトルに搭乗、宇宙に出発しました。女性としての連続宇宙滞在時間世界記録を樹立し2週間後、無事地球に帰還しました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-03-23 07:27 | ブログ


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