「打放しコンクリートと共に」 その(60)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は建築仕上げ技術1993年8月号、学会賞受賞者対談「打放しコンクリート面の生と命」の
最終回、「まごころ込めてすぐ対応」、「平面文化・究極の仕上げ」をご紹介します。

まごころ込めてすぐに対応
地濃◇社訓が、「誠意を持って即実行」と言うことですが。どのような思いからですか。
吉田◇世は心の時代とも言われています。それは、心が乏しい時代であることを反映していることにもとれます。
 私どものお相手はお客様であり、打放しコンクリートです。心を大切にすること、すなわち誠意。誠意があれば、いずれにも手は抜けません。
 そして、先ほど話しましたように、コンクリートの顔色はみな異なります。現場に出向いて初めて本当のことがわかる。このような経験から何事にもまず行動を起こす。まごころ込めてすぐ対応し結果を出すことを重視しているのです。そのような思いからです。
地濃◇私も研究室の学生たちには、まず好奇心を持つこと、そして執念を持つことを論じ、「執念なくして行動なし、行動なくして成果なし、成果なくして幸せなし」と叱咤激励しています。誠意を持って即実行と言う考えとよく似ていますね。
吉田◇人間と自然を相手にする建築においては、とくにそのことが大切だと思いますね。
 私どもの営業では、言葉を多く言うよりも、まず誠意を持って即実行です。
 洋の東西を問わず「空樽はたたけば響く音がする」、「大阪城は一夜にして建つ」と言うような教訓を心しているからです。

平面文化・究極の仕上げ
地濃◇今までの日本は、もっぱら建設ストックの充実期にありましたね。これからは、この膨大な建設ストックをいかに健全に維持していくかが重要な課題になってくると思います。
 このような背景の中、既に打放しコンクリートのメンテナンスを単に材質維持ばかりでなく、美観維持からの面からも優れた技術を開発され、数々の業績をあげられてきたと思うのですが、今後の仕上げ技術についてどうお考えですか。
吉田◇やって見なければ分からないと言うようなこの種の仕事。つまり、勘や経験に頼らざるを得ないこの種の仕上げ技術を分析し、近代的なものに整理しなければならないと思います。
 例えば材料・調合の開発、平面や角を容易に仕上げることのできるコテの開発などもその一つでしょうね。
地濃◇職人稼業的な仕事を、誰でもができるようなものに変革したいと言うことですね。
吉田◇そうです。それには、現在あるものを容認しないと言う考えが必要のように思えます。
地濃◇打放し仕上げ面の理想はどのようなものでしょうか。
吉田◇手を加えたにも関わらず、その痕跡が判別できないような仕上げだと思います。
地濃◇我が国の建築様式は、どちらかと言えば、たいらな面を重視してきたように思うのです。長屋にしろ、街並みにしろ。それは真っすぐにつながり、その壁面はたいら。それゆえに仕上がり面がとても気になる訳ですね。
吉田◇西欧ではレリーフや彫刻物などの立体物がとても多い。西欧を立体的文化とするならば、日本は平面文化と言えそうですね。
地濃◇日本人は平面を尊ぶ。例えば、墨絵は濃淡でさりげなく立体性を表現している。平面美学とでも言えるものですね。打放し仕上げ面も同様に思いますが。
吉田◇打放し仕上げ面に手を加えても、あくまでも強調せずにさりげなく。この作法が大切のように思います。
地濃◇自然流の平面美学ですね。
吉田◇無風状態になれば、揺れ動いていた全ての木の葉はピタリと止まる。風のあたる葉は揺れ動いていても、隣の風のあたらぬ葉は動かない。自然は決して迎合しない。
 自然の摂理に従い、打放し建築が自然界と調和し、人々に安らぎの場を提供して欲しい。そのような思いで、打放し面に取り組んでいるのです。
地濃◇自然と人間の融合・調和。そこに打放しコンクリート面が生き、命がはぐくまれる。そのように結論されます。            (浜松 吉田氏邸にて取材)
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次回は建築知識1993年10月号、特集:スーパー内外装材大集合「ALC外壁対応打放しコンクリートフェイス仕上げ」を、ご紹介します。

この年の重大ニュースとしてパソコン用のOSソフト、MSウインドウズ3.1が新商品として売れました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-03-02 07:17 | ブログ


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