こんにちはpikayoshi72です。
今回は建築仕上げ技術1993年8月号、学会賞受賞者対談「打放しコンクリート面の生と命」の2回目「型わく模様は生命の移植」をご紹介します。 型わく模様は生命の移植 地濃◇コンクリートは、自然あるいは社会の脅威に雄々しく立ち向かって、その役割を演じてきていると思います。しかしその反面、自然との融合を隔絶させてしまった。そのコンクリートに私どもは関わっているのですが、専門のコンクリート打放し仕上げについて聞かせてください。 吉田◇打放しコンクリートの特徴は、なんと言ってもコンクリート表面に鮮明に残される型枠模様だと思います。 一つ一つの型枠の模様がコンクリート面に転写される。それは無機質なコンクリートへの生命の移植であると、私は捉えています。自然界で生きながら得てきた杉や檜が、型枠を介してコンクリート表面に宿り、コンクリート表面に自然が取り込まれる。このことが、人々に優しさと潤いを与えていると思うのです。 地濃◇木の命がコンクリート表面に宿ると言うことは、打放し建築も見方によれば、木の文化と 吉田◇そうだと思います。 型枠の脱型により、生命の移植を受けた打放し建物が自然の中で調和し、生きている木のように、長く生きながら得て欲しいと望みたいのです。 地濃◇コンクリート自身も生き物です。生まれた時の環境や育ち方によって千差万別。たくましく育つものもあればひ弱いものもあります。特にその違いは表層部に表れやすい。 型わく模様を鮮やかに転写したいことや、角をきちんと起こしたいために、セメントペースト量の多いコンクリートが供給される場合も多いと思うのです。これでは、ひ弱な表層部になってしまう。 また、成功か失敗かは全てが一発勝負のコンクリート打放し仕上げ。だからこそ、仕上げ面の意匠性や耐久性に関わる技術が求められることになるのですが。 吉田◇私どもは以前から、その仕上げについてお手伝いしてきました。 不幸にして生命の移植ができなかったジャンカやコールドジョイントなどの欠陥部に対して、安易な補修を施すのではなく、いかにしてそこに生命を宿すか。自然界の生命あるものに近づけるか。これが、私どもに与えられた使命だと謙虚に受けとめて、このことを根底に、いたわりと真心で、魂を入れるための独自の工法を開発し臨んできた訳です。 地濃◇仕上げ面が長く生きながらえるためには、耐久性と言う観点からの事前対策も必要になってきますね。 吉田◇事前対策を考える場合、表層面からの水分や炭酸ガスなどの浸透をいかに長期間阻止することができるかがポイントのように思います。 地濃◇防水効果をねらって、撥水材を塗布しているケースもあるようですが。 吉田◇簡易な撥水材では数年先にはその効果は低下するようなこともあって近年、フッ素樹脂系やアクリルシリコン樹脂系の耐候性塗材が取り上げられてきました。しかし、打放し面の生命である意匠性と質感を著しく阻害するヌレ・ムラが生じることがあるのです。 そこで、私どもは研究を重ね、これを解決。打放し面の意匠性を損なうことなく耐久性を付与することに成功したのです。 言えそうですね。 地濃◇打放し建築の意匠性の保護と耐久性の向上に道が開けたと言える訳ですね。 潤いある美しい肌は健康な肉体に宿る。 いずれにしても、打放しコンクリートの基本はここにあると思うのですが。 吉田◇そうだと思います。 健全な低スランプのコンクリートを打ち込む。コンクリートを十分つき固め、適切な養生を施す。打放しコンクリートの基本は密実なコンクリートにあるようですね。 次回は建築仕上げ技術1993年8月号、学会賞受賞者対談「打放しコンクリート面の生と命」の内、「再生する心は型わくへの供養」をご紹介します。 この年の重大ニュースとして 1月19日、皇室会議にて全員賛成で、皇太子浩宮徳仁(なるひと)と外務省職員だった小和田雅子さんとの婚約が成立しました。4月12日には「納采の儀」(結納にあたる儀式)が行われ、6月9日に「結婚の儀」とあいなり、皇居から東宮仮御所までパレードが行われ19万人の人出があったそうです。 それでは次回をお楽しみに! 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
by pikayoshi72
| 2009-02-09 08:30
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