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「打放しコンクリートと共に」 その(50)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上げ技術1992年8月号,特集「打放しコンクリートの仕上げ技術」を3回にわたりご紹介します。本日はそのうち第2回「劣化したコンクリート打放し仕上げの再生」をご紹介します。

打放しコンクリートの劣化現象として,内在する鉄筋の腐食と,コンクリートのひび割れが代表的なものである。コンクリート中の鉄筋が腐食することにより,その膨張圧でかぶりコンクリートが押し出され剥落するなど,場合によっては人災につながる危険性がある。またコンクリートの乾燥収縮などひび割れが発生すると水分・炭酸ガスなどの劣化因子のコンクリートの侵入を容易にし,劣化の進行を加速させることになる。
打放しは表層の防水性能低下と平行して躯体そのものが仕上げであるため,タイル,仕上塗材などを施したRC建築物に比べ劣化の進行速度は著しく,汚れの付着に始まる劣化は表層の意匠性を損ない,耐久性の低下を招くことになる。以下に紹介する打放しコンクリート若返りシステムは,このような劣化損傷したコンクリート打放し仕上げを,再び躯体より強化することにより建物に耐久性を付与し,失われた意匠性の復元を図る工法である。

①表面清掃・脆弱層の除去
 コンクリート表面に付着した汚染物や苔などを高圧洗浄(200kgf/cm2)により除去する。鉄筋の錆汁は化学洗浄剤による併用洗浄とする。

②コンクリート強化剤の含新
 コンクリート乾燥養生後,珪フッ化物浸透強化剤を刷毛またはローラーにて400g/㎡を2回に分けて含浸塗布する。劣化したコンクリート表層部分を緻密化し,また耐酸性を向上させることにより中性化の進行を防止する。

③露出鉄筋箇所の斫り・防錆処理
 鉄筋の腐食が原因で生じたかぶりコンクリートの浮き・剥離箇所の斫り取り。錆化腐食部分を中心にして,腐食鉄筋の裏側に達するように健全部まで丹念に斫り取る。そしてグラインダー・ワイヤーブラシなどを用いて,腐食した鉄筋を十分ケレンし防錆剤を塗布する。

④NY-エラスティックモルタルによるひび割れ部充填補修
躯体コンクリートに発生したひび割れ補修方法として,ひび割れの発生原因が鉄筋の腐食によらない場合,従来からエポキシ樹脂の注入工法が効果的といわれている。しかし,ひび割れは常に振動・温度・湿度の変化等によるコンクリートの伸縮挙動が繰り返されているため,注入した近傍に新たなバイパスクラックが発生する。このようなひび割れに対しては,普通モルタルの10倍以上の引張変形性能をもつエラスティックモルタルを使用することにより,ひび割れの再発防止と防水性を付与する。

⑤調合樹脂モルタルの修整
 欠損部の補修は,その都度躯体に合わせた調合樹脂モルタルによる修整とする。調合樹脂モルタルは,接着力・色調・強度・耐候性が高く,また打放しコンクリートの表面の色合いを的確に再現できる優れた調合樹脂モルタルである。なお表面修整モルタルと躯体の一体化は打放しコンクリートの不可欠条件である。露出鉄筋のまわりのコンクリートを斫り取った部分への埋め戻し(パッチング)は,防錆処理の上に調合樹脂モルタルを用いて強固に一体化させる。この際,かぶり厚を確保するため鉄筋を内側へ押し込むなどの処置が必要である。

⑥木コン穴の補修
 木コンは新築時に,プレーンモルタルによる埋め込みが施されている。経年劣化とモルタルの収縮により,充填剤は離脱あるいは浮いていることことが多い。これら木コン穴の残滓を取り除き,新たに底部にシーリングを充填し,接着性・無収縮性・耐水性に優れた調合樹脂モルタルの埋め込みを行う。

⑦打放しコンクリート表面の若返り・型枠模様の造成
 耐候性に優れた数種の顔料・調合剤によって,打放し全面の色合わせと型枠模様の復元を特殊刷毛によって施工する。コンクリート打放し仕上げの表面には型枠からの転写された木目模様・型枠の目違いなどを再生復元する。
コンクリートの色に合わせた伸長型セメント系エラスティックフィラーを調合後全面に塗布し,専用に開発された造成道具を用いてコンクリートの素肌を再現し,そこに耐候性に優れた無機質系顔料によって木目模様の造成を行う。この伸長型セメント系エラスティックフィラーは,下地のコンクリートに発生したひび割れに追従し,また炭酸ガス・塩分を遮断する機能性下地材である。
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⑧若返りコンクリートの超耐候性アクリルシリコン樹脂系仕上げ
前記工程を施したコンクリート表面に,超耐候性アクリルシリコン樹脂系トップコートを全面に塗布する。これにより若返り諸工程の保護,表面の汚染防止,防水性能の向上と超耐候性が付与される。工程概要を図-2,フローチャートを図-3に示す。
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打放し仕上げは素材の質感を活かすところに,その意匠性の特徴がある。型枠模様のその素朴な味わいは,ややもすると華麗できらびやかな仕上げに傾きつつある世情に対し,無言の美しさを醸し出し心に落ち着きを与え都市空間に潤いをもたらす比類ない仕上げである。
このような打放しコンクリートも,年月を重ねることにより老いてその姿が変貌する。次世代への文化遺産として刻み込まれた歴史の一齣を,本再生工法で再び蘇らせることにより打放し仕上げを残すこととしたい。

 次回は月刊建築仕上げ技術1992年8月号特集「打放しコンクリートの仕上げ技術」の最終回「ALC外壁対応-打放しコンクリートフェイス仕上げ」をご紹介します。

 さて,この年の重大ニュースとして1月22日,脳死臨調は「脳死は人の死である」と結論を出し,「脳死容認」を答申。心臓、肝臓などの臓器移植は,提供者の生前の意思を尊重することを前提に容認。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2008-12-22 07:21 | ブログ


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