「打放しコンクリートと共に」 その(49)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術1992年8月号,特集「打放しコンクリートの仕上げ技術」を読み切りもので3回にわたりご紹介します。本日はその第1回「打放しコンクリートの補修実例」をご紹介します。
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はじめに
 打放しコンクリートは,一見荒々しくしかも重厚感にあふれ,四季・天候の変化に応じて,人々の感性に直接訴えるものがある。しかもシンプルで飾り気のない佇まいは,建築の原点に迫る力強さを感じさせる。打放しコンクリート建築は,デザインとしてその地位をもたらしてから80年余の歴史を持つといわれている。
その素材の持つ深さを引き出し,しかも長期にわたり,その姿を変えることのない強靱さと自然環境の影響されることなく,保護・保全することの出来る仕上げが求められている。

打放し仕上げ
 打放しコンクリートは,本来コンクリートの素材を生かすために,表層面は一切手を加えないという手法が基本だとされている。しかし,期せずして生じた欠損部や築後の環境作用によるコンクリートの汚損劣化は,抑制阻止されなくてはならない。最近劣化対策の一つとして,酸性雨問題はその代表的なもので,耐久性付与するための総合的な仕上げ方法と,保護対策を考慮する必要がある。打放しコンクリート表面仕上げシステムは,過去35年間の打放しコンクリートの補修実績と追跡調査結果をもとに,打放しを長期的にその意匠性・耐久性を確保するには,どうあるべきかを経験工学的に捕らえ改良かいはつされたものである。
本システムは,素地の調整から最終工程の超耐候性防水仕上げまで一貫して行う責任施工である。脱型後の仕上技術の一方法として,以下に工程の順序に従って紹介する(図-1)。
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①-素地の調整(付着物の除去)
 錆汁・セメントノロやエフロレッセンス等付着した汚れに対し,それぞれに適合した除去方法を検討し,単なる水洗いでなく,汚染物を除去するための洗剤の選定と施工方法を決定する。表面の汚染物除去結果で,後の補修に大きな影響を与えるため,入念な洗浄作業が必要である。
②-コンクリート表面の強化処理
 表面の素地調整後,コンクリート表層面の保護および耐久性の向上を図るために,珪フッ化物を主成分とするNY-506反応型無機質系浸透強化剤を含浸塗布して,コンクリート表層面を密実強化する。本強化剤はセメントの水和生成物である水酸化カルシウムと反応し,毛細管の空隙を充填することによって,表面強化および耐酸性を向上させるとともに中性化を抑制するものである。
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③-欠損部補修の基本
ジャンカ(巣穴)欠け,ピンホールなどの欠損部は部位のコンクリートの肌色にその都度合わせたNY-調合樹脂モルタルで充填修整する。
この材料は,前述した補修材料としての性能(付着性・強度)を有し,補修箇所の充填モルタルは変色してはならない。充填後変色したモルタルは,斫り除去して再度充填する。次に欠損種別毎に発生原因と個々の補修方法を表-1に示す。
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④-型枠模様の復元
 欠損部を補修した部分は躯体コンンクリートと相似した調合モルタルの修整であっても,型枠模様が喪失しているため不自然で,打放し表面はむしろ欠損部跡を示す結果となる。そこで健全部分に連結して表面を形成する型枠模様を復元することが,必要である。型枠模様と色合わせをその都度各種顔料で調合したNY-カラーコートで造成,一体化させる。

防 水
 打放しコンクリートに使用される防水材は,遮水性能と耐候性に優れ,紫外線や外的要因による変色などはあってはならない。
 溶剤型塗膜防水材には,種類によってコンクリートの表面の色調を変えてしまうなど,打放しが異質の仕上げとなることもある。そのために,塗膜型防水材の改良開発を進め,打放しコンクリートの表面をそのまま生かすことができる高性能の高耐候性防水材NY-7090を採用している。耐久性についてはすでに多くの実績があり経年による防水性能の低下は少なく,また紫外線による黄変もしないなど意匠的にも効果を上げている。フローチャートを図-2に示す。
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おわりに
 打放しコンクリート建築物の多くは,当初の予想を上回る早さで劣化が進行し,コンクリート神話を打ち砕くまでになっている。欠損部の補修跡に起因した劣化損傷の拡大は,補修技術の重要性を物語っている。このような事態を教訓にして,これからの打放しコンクリートの仕上げは意匠性と同じレベルで耐久性を考えるべきではないだろうか。
 新築時の打放しコンクリートに生じた欠損部を,違和感のない補修技術と長期にわたり美しさを長く保つための仕上げ方法をご紹介させていただきたい。
 単に欠損部の補修にとどまらず,建物全体の意匠性と耐久性を付与する打放しの一つの仕上げ技術として考えていただきたい。

 次回は月刊建築仕上げ技術1992年8月号特集「打放しコンクリートの仕上げ技術」の第2回「劣化したコンクリート打放し仕上げの再生」をご紹介します。

 さて、この年1992年7月1日,JR東日本で山形新幹線が開業しました。 その名は「つばさ」で在来線の福島~山形間を改軌して新幹線の乗り入れを可能にしたミニ新幹線として実現。 東京-山形間の所要時間は2時間半と日本地図はどんどん小さくなっていきました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2008-12-15 07:27 | ブログ


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