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第九話  打放しコンクリートの老化について

 ある有名建築家の手になる打放しコンクリート、その容姿は建築自体が美術品として評価されるハイレベルなもの。
その名声は海外まで響くものだった。が、10数年の月日の経過は、その様相を一変させるものとなってしまった。
一説に風化は自然の摂理、逆らうことは無益と。
この様なケースは打放しコンクリート建築には当然のこととされて来たのが、ほぼ20年前位まで。
その原因と様相の変貌ぶりを辿ってみました。

 1960年代の打放しコンクリート建築は、第1、2、3話などで、お伝えした様に、不具合とされる修繕工法が未熟であったこと。
当時のコンクリート保護材料、中でも最も重要な防水材の耐用年数が短かったことと、打放しコンクリートはコンクリートのもつ自然な表情に対して修繕や防水工法はそれを阻害するものとされている一面がありました。
 つまり何等手を加えない、ヤリッ放しコンクリートが、最も大切なこととしていた時代でした。
前にもお話した様に、不具合の修繕技術が、未だ手探りの時代でしたから当然のことでしょう。
当時、自動車や工場から排出される汚染物質の増加で、空からは酸性雨が降りそそぐなど、今思えば自然環境破壊の時代でした。
こんな環境の中、打放しコンクリートは身を削りじっと耐えていた。と、いったところです。

 ご存知のようにコンクリートはアルカリ性です。
このアルカリ性の打放しコンクリートは酸性雨によって中性化して、おまけに汚染物の付着で黒ずんだなど各地で話題となっていました。
コンクリートが中性化すると内蔵されている鉄筋が錆びてしまいます。
しかも鉄筋が錆びると、その体積が7倍位まで膨張し、周りのコンクリートを押し出してしまい、押し出されたコンクリートは下に落ちていきます。
ニュースなどで建物の上からコンクリートの欠片(かけら)が落ちて来たといったことを耳にしたことがあると思いますが、それがそうです。(写真-鉄筋露出)
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それからコンクリートは堅いから水は吸わないと思っているのが普通ですよね、実はコンクリートには吸水性があります。
身近な例で夏暑い時、庭のコンクリートに散水しますね、水を撒くと灰色のコンクリートが瞬時にして黒い色に変わります。
これはコンクリートが水を吸っている証です。

打放しコンクリートの表面に何十年も繰り返し酸性雨にあったら傷んでしまうのはあたりまえですよ。
これでコンクリートの老化する原因が少し理解されたと思います。

 先にお話した様に、老化現象を抑えるには、この吸水性を防止するための防水材が不可欠、当時は「シリコン樹脂」などといって打放しコンクリートを保護する防水材が少なく外国から輸入されたものが主流で、あがめ奉ったものです。

 ところがこの防水材、額面通りの長期の防水性能が無かったことが打放しコンクリートの老化に繋がった原因の一つといえます。

 今お話したような様々な影響を受けて、新築時の灰色の打放しコンクリート、その偉容は汚染物で黒ずみ、ありし日の面影は消え失せ、欠片(かけら)の落下で鉄筋が顔をのぞかせているといった光景、これが正に打放しコンクリートの老化現象と言えましょう。
こんな姿を目の辺りにすると、あの強固で頑丈な打放しコンクリートも何となく頼りない哀れなものにしか思われませんね。

 こんないくつかの打放しコンクリートを保護する技術が当時未成であった為、十分な手当が行き届かず弱点となって多くの人々の夢を破り、その容姿は次第に少なくなっていきました。

 何か、もの悲しい話になりましたが、このようなことを教訓にして改良改善され適切なメンテナンスを施すことで、現在は飛躍的な耐久性が実現されていますのでご安心を。

 次回は、今までの昔話から一服して
目前の「ノンクリート打放しボードの誕生秘話」をご紹介します。
お楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2005-09-12 07:48 | ブログ


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