「打放しコンクリートと共に」 その39

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の最終回「5.改修工法の決定」、「6.施工」そして「あとがき」 をご紹介します。

5.改修工法の決定
  施工物件の実地調査および当該物件の詳細調査結果に基づき関係者と打ち合わせた結果、文化的遺産としての外観保存とし、次のような仕様が決定された。
1)打放しコンクリート面
劣化損傷箇所および躯体強化を基本に、仕上げは既存打放しコンクリート型枠を再生すること。
2)タイル面
既存タイル健全部はそのまま残し、浮き・ひび割れは温令乾湿ムーブメントに対応可能なDD-エラスティック工法による補修とし、タイルの欠落箇所はポリマーモルタルによる成形着色・高耐久性仕上げとする。
3)吹付け面
既存ぜい弱塗膜の除去・ひび割れ補修後、OP仕上げとする。
4)その他
スチールサッシの腐食破損は、庇が大きく張り出し雨水が接することがほとんどなく、劣化した塗膜をけれん除去のうえ再塗装する。

6.施 工
1)打放しコンクリート
a)素地調整
①コンクリートの表面を約200kg/cm2の高圧水で洗浄し、汚れ・ほこりなどを完全に除去する。
②空洞のある場合は、とれやすい砂利は叩き落とす。
③表面に付着した鉄筋の錆およびシミは、ケミカルエースR(当社製)を用いて洗浄する。
④高圧水洗ができない場合、ペーパー・ワイヤブラシ・高速サンダーなどを用いることとする。
b)NY-606表面強化処理剤の塗布
 はけ・ローラーを用いて、400g/㎡のNY-606を含浸塗布する。
c)欠損部の処理
 各種劣化症状に対する補修方法を以下に述べる。
①露出鉄筋部
・鉄筋の腐食している部分の周囲を深さ方向に入念にはつり取る。この際はつり取る深さは、鉄筋をけれん・防錆処理した後にハンマで叩き込めるような程度とする(写真5)。
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・はつり取りが終了した後ワイヤブラシ・電動けれん機を使用し、錆を完全に除去する。
・けれんが終了した鉄筋にはNY-特殊防錆材を塗布する。
・はつりの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。このときコンクリートの表面(仕上面)から1~2mm程度下げて仕上げる。
・最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上面)に合わせて平滑に仕上げる(写真6)。
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②ひび割れ部(図2参照)
・ひび割れ部に沿って電動カッターを用いて幅12mm程度深さ15mm程度にU字形の溝を設ける。
・Uカット溝部に付着しているはつり片・粉塵をはけなどで除去する。
・清掃した部分に対してウレタンプライマーを均一に塗布する。
・プライマー塗布後、ウレタンコーキングを行う。充填はUカット溝底部から3mm程度とし、充填後はヘラで十分押さえ下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。
・次に、NY-エラスティックフィラーを塗り残しがないように均一に塗布する。
・NY-エラスティックモルタルを充填する。(0.2mm以下のひび割れはNY-エラスティックモルタルによる木ベラでの塗り込みとする)。
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③既存補修モルタル部(図3参照)
・浮いている部分のモルタルは完全に撤去する。また豆板を補修したモルタルは完全に取り除き、豆板などぜい弱部分は今後の劣化の進行に対して弱点となると考えられることから、このような部分は丹念にはつり取る。
・はつり取った下地部分は、はけ・ブラシなどで汚れ・ほこりなどを除去して清掃する。
・NY-7000プライマーを、下地部分に塗り残しのないよう塗布する。
・はつりの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。このときコンクリートの表面(仕上げ面)から1~2mm程度下げて仕上げる。
・最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上げ面)に合わせて平滑に仕上げる。
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④修整用NY-調合樹脂モルタルのこて塗り(表4参照)
 欠損部を処理した箇所は周囲との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルを薄くこて塗りし、水引き具合を見定めて毛足の長いはけで表面をはけ引きする。また、5mm以上のピンホールも同様に処理する。
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⑤素地全面色合わせ
・打放しコンクリート表面は部位により色違いがあるためNY-調合樹脂色合わせ(NY-7000)
〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕をはけにて塗布する。
・下地コンクリートに起因するひび割れに追従するNY-調合樹脂色合わせ(NY-8000)〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕をローラーにて塗布する。
⑥型枠模様造成
 専門職人により特殊灰汁〔カラーコート:浸透剤:添加剤〕による板目・木目を各種のはけを使用し造成する。
⑦表面防水固定処理(NY-9090トップコート)
 各工程に要する樹脂材料・特殊添加剤を含む修整材料の性能発揮と劣化防止のために、高耐候性と浸水抵抗の高い緻密な皮膜を形成する表面防水固定処理剤を塗布する。(全面に対して2回塗布)。
2)外壁タイル面(図4参照)
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 a)素地調整
  表面に付着した汚れやエフロレッセンスなどを、ケミカルエースR(当社製)にて化学洗浄またはワイヤブラシがけにより除去し、高圧水洗浄と併用した。
 b)下地の処理Ⅰ
  タイルおよび目地の乾燥確認および目地の剥離部分を含むぜい弱箇所をけれんはつり除去した。
 c)下地の処理Ⅱ
  NY-調合樹脂モルタルによる欠損箇所の補修成形
 d)タイルの色合わせ
  NY-カラーコートによる色合わせ(ローラーまたははけ)
 e)目地部NY-エラスティックプライマー
  特殊ローラーによるNY-エラスティックプライマーのコーティング処理を行った。
 f)目地部NY-エラスティックフィラーコーティング
  特殊ローラーによるNY-エラスティックフィラーによる目地部への防水コーティングを行った。
 g)タイルおよび目地表面防水固定処理
 NY-9090表面防水固定処理材を塗布した(ローラーまたははけ)〔250g/㎡〕
3)吹付け面
 高圧洗浄後、DD-エラスティック工法によるひび割れへの注入工事を施し、OP仕上げとした。
4)その他サッシまわり
 下地処理後(錆・劣化塗膜除去清掃、2種けれん)、錆止め塗料下塗りのうえOP2回塗りとした。

あとがき
 改修工事期間が夏季休暇を利用したため、キャンパス周辺に及ぼす弊害は少なく、安全管理面においても円滑に運んだ。
 ややもすると、合理性・機能性や経済性に埋没されてしまいそうな社会風潮のなかで、歴史と伝統を持ったキャンパスの保存再生というリニューアルをいかに行うべきか判断に苦しむところである。
 創学の精神をよみがえらせ過ぎし青春の記憶を呼び戻す心のふる里に、再び活力の手を加え新世代へ伝えることは誠に意義深いものといえよう。

長い文章におつき合い頂きありがとうございました。

 次回は「建築技術」増刊1991年4月号、特集:建物の劣化診断と補修改修工法 「コンクリート打放し仕上げの再生技術」をご紹介します。

 さて、この年1989年最後の重大ニュース、 リクルート事件 リクルート社の江副浩正会長らが、関連企業の「リクルートコスモス」の未公開株を、政治家や官僚、財界有力者に譲渡した。収賄側では藤波孝生元官房長官、池田克也代議士、加藤孝元労働事務次官、高石邦男元文部事務次官らが起訴されました。

それでは次回をお楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2008-10-06 07:28 | ブログ


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