こんにちはpikayoshi72です。
今回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の第1回、「まえがき」「1.改修計画の提案」および「2.調査」 をご紹介します。 まえがき 新しい建物が次々と誕生している一方で、既存の古い建物の外装は劣化・汚染が進み建物の価値を低下させている。一般に、鉄筋コンクリート構造物の耐用年数は60年から65年といわれているが、近年RC構造物の予想をはるかにこえた早期劣化が社会問題となっている。 成蹊高等学校ホームルーム棟は、武蔵野の緑深いケヤキの大木に覆われた豊かな自然環境のなかにある。当ホームルーム棟は打放しコンクリートの柱・梁からなり、外壁はタイル張り仕上げで構成された静かなたたずまいである。築後27年経過した外装は劣化損傷と汚染が顕在化し、安全性と維持保全の点から早急に修繕を必要とする状況であった。 1.改修計画の提案 ― 文化的遺産の保存再生 ― 歴史と青春の思い出を刻み込んだキャンパスは、心のふる里として多くの卒業生の記憶にとどめられている。このことから、改修に際しあくまでこのキャンパスのたたずまいを損なうことがない保存的改修を骨子とし、文化的遺産としての保存再生が可能な工法を提案した。改修のフローチャートを図-1に示す。 外壁の主要部位を占める打放しコンクリートおよび外壁タイルについて、工法の特殊性から再生後の意匠性の回復と耐久性を確認するため、日本原子力研究所・東海研究所施設の施工物件の実地調査を行った。 なお当施工物件は、6年前より毎年棟別に当該工法による施工したものである。 2.調査 打放しコンクリートおよび外壁面を目指し打音調査を行い、劣化損傷箇所を図面上に記し種別ごとに集計した。その他漏水原因などを確認し、おのおの写真撮影をした。 1)外観の目視 打放しコンクリートは、各面外壁各部位において各種の劣化症状が顕在化していた。経年劣化の要因は内外力の作用や施工上の不具合などで、これらが種々複雑にからみ合って劣化が生じている。汚れ・鉄筋露出・ひび割れに起因したエフロレッセンスの流出はタイルを汚損し、そこより侵入した水分は、浮きや剥離を誘発して外壁タイルを損ない、美観を著しく損ねていた。 2)調査項目 a)打放しコンクリート ①ひび割れ ②露出鉄筋 ③コールドジョイント ④モルタル補修跡 ⑤木屑 ⑥補修モルタル欠損部⑦ジャンカ ⑧木コン跡 ⑨その他 b)外壁タイルおよびリシン吹付け部 ①汚れ ②ひび割れ ③浮き ④その他欠損箇所 3)調査方法 ①目視 ②打診法 さて次回は「建築技術」1989年11月号、特別企画:建物の修復と再生、「建物の補修・改修システム」の第2回、「3.調査報告」、「4.原因の推定」をご紹介します。 さて、この年1989年の重大ニュース、4月1日から税率3%の消費税がスタートし、家計は徐々に圧迫されていきました。。 それでは次回をお楽しみに!
by pikayoshi72
| 2008-09-22 07:28
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