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「打放しコンクリートと共に」 その35

こんにちはpikayoshi72です。

今回は月刊「リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法(パネル改装,タイル改装,外壁洗浄),タイル外壁改修工事事例「外壁タイル若返りシステム」を前編、後編の2回に分け紹介します。今回は前編、「まえがき」から「補修工法の条件」までをご紹介します。
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まえがき
本工事は,海岸より約2km北に位置する築後20年余を経過した某研究所の建物で,外壁はレンガタイルと打放しコンクリートからなり,既存の外壁の劣化損傷箇所の補修と意匠性の回復を目的に改修したものである。
なお,本稿は打放しコンクリートを除く外壁レンガタイルについて紹介する。
〔建物の概要〕
■ 構造規模 9,800㎡
■ 外壁タイル面積 1,800㎡
■ 竣工   昭和43年
■ 既存外壁 東・西・妻面,南・北面モルタル下地2丁掛け,レンガタイル張り,
柱・梁打放しコンクリート仕上げ
調 査
工事に先立ち,当研究所より外壁修繕に関し建物の調査依頼があり,外壁全面の状況について目視および中性化調査を行った。外壁レンガタイル面は全体的に汚染し,各所にひび割れ・浮きが生じ,メジからエフロレッセンスが流下し長期にわたる繰り返しで結晶化している。
ひび割れの一部は躯体コンクリートに達し,同ひび割れと同じ部位の内部に漏水の痕跡があり塗装がはがれ貫通ひび割れを示している。

補修計画
目視およびハンマー打音法による調査結果を図面上に明記し調査報告書を作成した。なお外壁レンガタイルの補修・改修は,過去5年前より同研究所において数棟実施しており,関係者のご理解が既に得られているためスムーズに運んだ。しかし,劣化損傷の程度は建物毎異なるため現状の的確な把握が重要である。本工事においても施工実績にあたって,施工計画書を作成細部の作業内容を明記し,工事に疎漏のないようにした。

補修工法の条件
通常,補修用に注入使用されているエポキシ樹脂やポリマーセメント系は,外壁タイルに加わる御礼乾湿によるムーブメントによる追従性にとぼしく,特に東面,あるいは東面に近似した壁面では,冷え切った壁面が日射により急激な熱膨張を起こし,躯体と下地モルタル間に起こるムーブメントが激しく,それに起因したひび割れの再発が未解決とされている。これを解決した工法が,DD-エラスティックシステムで,本工事の補修はすべてこのシステムを採用した。

工事内容は,既存レンガタイルの健全部をそのまま残し,浮き・ひび割れなどは次の方法による補強補修とした。
3-1.浮き
高い変形能を有したグランドリフォーム・DD-エラスティックシステムによるスラリーの注入。

3-2.ピンニング
タイル下地のモルタルが浮いている箇所はピンニング工法とし,レンガタイルが剥落しないよう躯体(コンクリート)に点接着をし注入圧で剥離しない様にする。固定ピンはNY-エラスティックピンとし,長さ50~60mm全ネジ切のものとする。

3-3.タイル成形
欠損したレンガタイルは,既存のものに合わせて樹脂モルタルにて成形・着色する。
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3-4.NY-8090フッ素樹脂塗布
汚損防止・フリーメンテナンス化を目指した,超耐候性フッ素樹脂を塗布する。
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 次回は「月刊リフォーム」1989年8月号、特集:外壁仕上改修工法の材料と工法の「タイル外壁改修工事事例」の後編「補修工事の実際」をご紹介します。
 さて、この年1989年海外の重大ニュースとして,アメリカ合衆国では第41代大統領にブッシュ氏が就任,ビルマが国名を「ミャンマー」に変更されたりした年でもありました。

それでは次回をお楽しみに!
by pikayoshi72 | 2008-09-08 07:25 | ブログ


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