「打放しコンクリートと共に」 その26

 今回は「施工」1988年12月号総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」を4回に分けご紹介します。まずはじめに今回は「まえがき」、「1.現況調査」、「2.調査方法」および「3.調査結果に基づく劣化症状」をご紹介します。
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まえがき
 1965(昭和40)年前後から、外壁仕上げ材として採用されてきた打放しコンクリート仕上げが、ここ10年ほど建物によって、劣化が顕著となりはじめ修繕を要することが多くなった。打放しコンクリートの劣化に関しての修繕技術が確立されていなかったために、その劣化症状に対し部分的・臨床的補修のとどまり施工されてきた。こうした背景を経て、打放しコンクリートを単に欠損部の補修にとどまらずシステマティックにとらえ、表面に生じた劣化症状を含め、躯体コンクリートに至る現況調査を行い、原因の推定と施工が行われるようになった。

1 現況調査
調査は、一般的には目視調査によることが多い。調査目的は、あくまで打放しコンクリートの耐久性を確保するためにどのような対策を立てるべきかが重要であり、表層に生じた劣化の種類・程度を的確に把握し、修繕方法の検討資料となりうるものでなければならない。できうれば将来の劣化傾向を予測し、当面の修繕にとどまらず予防保全対策を検討する資料にまでもっていくことが望ましい。
 調査は打放しコンクリート表層面に発生した劣化症状を図面上にその状況を明らかに表示するとともに、劣化症状だけでは判断しえないコンクリートの圧縮強度などの物性、鉄筋の腐食、コンクリート含有塩分量や中性化の進行状況などが必要となる。

2 調査方法
(1)ひびわれ ひびわれ幅の測定・発生位置・長さ・形状(たとえば鉄筋に沿ったものか、細目状か)を目視観察し、合わせて写真に記録する。
(2)浮き 表面の浮きの発生箇所およびその面積を測定する。また、手の届く範囲でテストハンマーによる打診を行う。
(3)剥落状況 コンクリートなどの表層面に確認したコンクリートの剥落状況・形状・寸法・面積などを測定する。
(4)表面脆弱化状況 さび・汚れ・エフロレッセンス・ポップアウトなどの代表的な状況の形状・寸法・面積などを調査・記録し、合わせて写真撮影を行う。
(5)漏水痕跡 具体的には雨漏り。下屋部分なぢからだけの雨漏りではなく、壁面にしみ出たものなども含め目視検査する。
(6)コンクリート塩分含有量 コンクリート中塩分含有量測定は、躯体から採取したコアを試料
とする。
  絶乾状態にした試料を微粉砕し、硝酸によって全溶解した後、濾過し、濾液について電位差滴定法・吸光高度法などで塩素イオン量を定量分析する。

3 調査結果に基づく劣化症状
 共通した打放しコンクリートの劣化症状の代表的なものに、表層の汚れをはじめとしてひびわれ・剥落・鉄筋露出や中性化などがある。
 汚れは日照の少ない面しかも上層階に集中して認められ、とくに打放しコンクリート表面に雨水が流下するような構造の建物は顕著である。
 汚れのいちじるしい周辺にあるひびわれからは、雨水の浸透が繰り返しあることから、内部の鉄筋の腐食を促進させ、並行して中性化の進行が早い。
 一方、外壁からの雨漏りがある。コンクリート躯体の打継ぎ部分やじゃんか・コールドジョイントなど施工上の欠陥箇所に起因したものや、貫通したコンクリートの乾燥収縮ひびわれからも浸水する。
 その他、木根穴の充填モルタルが欠落してセパレーターを経由して、内部に漏れている例もある。
 一般的に築後15~20年経ることによる表層の汚れと、同時に鉄筋露出や剥落などが随所に表れ、それとともに打放しコンクリートの型枠模様もなくなり、意匠性の喪失とともに周辺環境との調和まで損なうことになりがちである。
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次回は、引き続き「施工」1988年12月号 総特集:最新仕上げ材と設計施工の留意点「打放しコンクリートの若返り」、「4打放しコンクリート若返りシステム」をご紹介します。
 さて、この年1988年、通信関連では東京の市外局番03地域で市内局番が4桁になり、東京、名古屋、大阪間でISDNサービスを開始。総合サービスデジタル網(ISDN)の「INSネット64」という商用サービスを、NTTが開始しました。後にIT革命の嵐が来るわけですね!

それでは次回をお楽しみに!
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by pikayoshi72 | 2008-07-07 07:26 | ブログ


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