第五話(わが茨の開発ストーリー)  

 コンクリートの直感的イメージ。
人間で例えれば堅物、一面においては頼りになる、
そんな感じがしますが、一方どうにも厄介な代物であったとは、、、、、。
知れば知るほど迷路に入り込んでしまったのか!
肌に触れるコンクリートの表面を直すだけの事なのに。
 何をつまらない事に失意を催しているのか、他人からみたら変人扱いされるかも、、、、、、。
いや、小泉総理のことではありませんヨ。

 三つの難題
 その一
 コンクリート本体とくっつかない修理用モルタル、縁結びは、はりつける仲人を探すこと。
昔から日本には「のり」という接着材がありました。
身近なものに木製の風呂桶や米びつなどには使われていたとの話、これがヒント、、、、思いつきました!
コンクリートを接着する材料を探せば良いだけのこと、業界の垣根は既に取り払った自由な発想、これで打開するしかないと腹をくくりました。

 ところで、ご当地浜松は、自動二輪の発祥の地、先回も話しましたよネ。
それに伴った資材のお店が沢山あります。
勿論接着材料を扱う専門店、その一つに合成樹脂を取り扱う店はありましたが、コンクリートに適したものは皆無。
考えてみれば、当時コンクリートに使う樹脂など需要は皆無でしたから無理もないと諦めかけていましたが、機械に使われている合成樹脂であればコンクリートも機械も固いことでは一緒、そこでやってみなければ分からない(遠州弁でいうと”やらまいか”精神)と、無謀にも多種多様な合成樹脂を塗りつけたり、混ぜ合わせたりしてやってみました。
これも専門知識を持たない人間のなせる技。
勿論失敗、僅かな光明が見出せれば何でも試したものでしたが、こんな初歩的で無謀な開発方法でも、実際にやってみることで得がたいノウハウが生まれ、その一部は現在に至るも大事な技術として生き続けているなど思ってもみなかったことの一つ。
 物事はどういうわけか、一つ上手くゆくと次も、、、、と、逆に裏目に出ると次も、と言った流れがあるようで、これを運・不運と決めつけるのは自分自身の心にあるのかなあ!と思ったりもしました。
何故かって!"失敗は成功のもと"こんなことわざを自分流に解釈、数々の失敗の積み重ねこそ幸運への近道だ!と気持ちを奮い立たせて来たことなど、今思うと無神経な楽観主義者だったのかなあー?と、感じています。

 解決すべき問題点
 その二。
 モルタルの色を本体と同じにすること、コンクリートの表面をよく見るとグレーしかもまだら模様を呈しています。
同じ建物であっても、その表面は微妙に色が変化しているんですよ。
”そんなにジー”と、見たことない、それが普通です。
 話を先に進めます。
 修理モルタルが乾いてしまうと色が変わってしまう、何故って?
コンクリート本体と同じ調合の修理モルタルを使ったからですよ。
同じ材料で修理すれば同じ様になる。
こんなことは子供でも分かる理屈が、コンクリートではこの道理が通らないところ。
解決方法は簡単、乾いたら同じ色になる様にセメントと砂を調合すればよい、と言ったことでほぼ上手くいきました。
これは道理が通った"押して駄目なら引いてみな"なんて演歌があったじゃないですか、あれですヨ。

 その三に移ります。
e0030813_863448.jpg
 穴のあいたコンクリートに合成樹脂入り修理モルタル。
 その二でお話した、本体に合った色で違和感のない様に調合したモルタルで、しかも乾燥後もピッタリ合った修理跡。
これですべて良しとはいかないところに問題が、、、、何かって?
湿気の多い日や、雨に濡れたりすると何故か修理モルタルは黒ずんだり白くなったり、人間で言えば赤くなったり青くなったりというところ。
人間は自然にもとに戻りますが修理モルタルは変わったままなんです。*写真有り
これでは修理になりません、むしろ穴のありかをここぞとばかり指差している反抗者そのもの、これには閉口しました。
この解決策は道理に従い湿気や雨から修理モルタルを保護すること。
これは道理にかなった唯一のものだった、、、、かな?
 季節は折しも真夏の最中、クーラーなどありません、粗末な実験室。
扇風機が唯一暑さを凌ぐ救いの神、忘れ難き想い出の一コマ。
こんな環境でも不思議なことに一日過ぎるのが速いことに驚きました。
何故って!早く結果を出したいと夢中で、しかも焦っていましたから。
時は金なりと言うではありませんか。
勿論、工事現場を往き来しながらのこと。

 1959年の打放しコンクリート現場での切っ掛けをスタートに修理モルタルの実用化まで6年余り、こんなにかかるとは考えてもみませんでした。
唯一、止めようと思った時、一抹の可能性が思い留まらせる、こんな繰り返しでした。
打放しコンクリート表面肌を悩ませる三つの問題は、ただ、ひたすらやってみることで、何とか目処がついたかなと自己満足しているところです。

 長々とお付き合い頂き、ありがとうございました!

 次回は題して”仕事探し”、お楽しみに!
[PR]
by pikayoshi72 | 2005-08-16 08:07 | ブログ


<< 第六話(仕事探しの巻) 第四話 >>