こんにちはpikayoshi72です。
本日紹介します内容は2011年1月15日発行の建築仕上技術1月号で、特集:既存建物の長寿命化仕上げ技術と題して静岡県庁東館大規模耐震対策工事時を例にとり題して「若返りシステムによる打放しコンクリートの長寿命化」を2回に分けお送りします。 今回はその第1回、「1.はじめに」から「3.打放しコンクリートのフローチャート」までをご紹介します。 1.はじめに 本建築物は数少ない高層打放しコンクリート建築で、1970年5月に建設され中部建築賞を受賞した著名な建築である。 その後、高層建築のため経年劣化による打放しコンクリート表層面に生じた各種の不具合に対し、補修工事が出来ないまま19年経過、表層面には汚れの付着を始めとして、防水機能喪失、ひび割れ、露出鉄筋や補修モルタルの浮きなど外装面全域にわたって劣化損傷が発生した。経年劣化に起因した不具合は拡大顕在化し、構造体に悪影響を及ぼす恐れが出てきた為1989年7月打放しコンクリート表層面を全域にわたり補修再生することとし、意匠性の回復を意図した若返りシステム(吉田工法)を採用、翌年1990年2月に工事完了した。 本稿は改修後21年経過した現在の劣化状況を目視調査し、当時の打放しコンクリートの補修、改修に採用された若返りシステムの現況調査結果を検討し長寿命化の一例として、そのあらましを紹介する。 2.建物概要 (1)構造=鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上18階建 (2)高さ=64.55メートル (3)建築面積=3,684.4㎡ (4)延床面積=27,277.33㎡ 3.打放しコンクリート若返りシステムのフローチャート 3-1劣化調査 工事に先立ち外観劣化調査を実施した。調査項目は下記の通りである。 【調査項目】 A.ひび割れ B.露出鉄筋 C.コールドジョイント D.モルタル補修跡 E.木コン跡 F.コンクリート欠損箇所 G.中性化深さ測定 H.コンクリート圧縮強度 I.かぶりコンクリート厚さ測定 J.在来塗膜付着力試験 (調査日・昭和63年8月26日~28日) 3-2調査結果 A.ひび割れ 梁中央部の軸方向に対して垂直にひび割れが発生しているものが多く、最上階の建屋間に設けられている幕板部分・パラペット壁面に幅の広いひび割れ・微細なひび割れを確認した。 また、1階パラペットで確認したひび割れは貫通ひび割れとなっており、そこからはエフロレッセンスの流出固化物を確認した。 B.露出鉄筋 梁側面で確認した程度の露出鉄筋が多く、幕板部分に確認した露出鉄筋は錆汁が流出していた。 C.コールドジョイント 梁側面で確認したコールドジョイントは、コンクリート層間に肌別れが生じていた。 また、コールドジョイントの発生位置は梁側面に確認されたものが多く、その長さは短い。 D.モルタル補修跡 サッシ下腰壁にモルタル補修跡を確認したが、最近補修されたものであり、その性能低下は認められない。妻壁の幕板部分の補修材は浮いていて、表層面には微細なひび割れが発生していた。 E.木コン跡 外壁面に確認した限りでは多数の木コン跡充填材の剥落を確認した。 F.コンクリート欠損 東面および東面中庭に1ヶ所づつ確認した。 3-3施工の詳細 1)素地調整 あらかじめ打放しコンクリート全面にサンドペーパーをかけ、次に高圧洗浄機を用いて200kgの圧力水をかけて全面洗浄した。 2)NY-606コンクリート強化剤の含浸塗布 洗浄後のコンクリートの乾燥確認の上、NY-606コンクリート強化剤を刷毛にて含浸塗布した。2回に分けて、第1回目塗布乾燥後2回目を施した。平均塗布量は400g/㎡ 3)鉄筋露出箇所の処理 鉄筋のかぶりが少ない箇所は、鉄筋周囲の斫りを深くし、かぶり厚さを確保し調合樹脂モルタルが10mm以上付け送りが出来るものとした。 鉄筋の錆は、ワイヤーブラシにより除去しただちに防錆エポキシ樹脂を入念に塗布し、NY-調合樹脂モルタルにより2~3回充填塗り込みを下。 4)クラックの処理 幅0.2mm以上のものはすべてUカットした。クラック幅により、それぞれ深さ10~30mm程度Uカットし、内部清掃後プライマー塗布、ウレタンコーキングの表面に硅砂を散布し、NY-調合モルタルを充填塗り込みした。 5)NY-調合樹脂モルタル表面修整 躯体コンクリートの表面に合わせた調合樹脂モルタルにより、表面修整を施した。 6)打放しコンクリート面の若返り色合わせ、型枠模様の造成 NY-調合樹脂を基材とした打放しコンクリート表面色合わせ塗材を2回にわたり施し、乾燥養生後、専門職人により特殊刷毛を用いて型枠模様の復元造成をした。 7)表面防水固定処理 打放しコンクリートの超耐候性付与のためトップコートNY-9090アクリルシリコン樹脂系を2回全面塗布した。 次回は、月刊建築仕上技術2011年1月号、「若返りシステムによる打放しコンクリートの長寿命化」の最終回、「4.工程フロー図」から「6.おわりに」をご紹介します。 1972年1月24日、観光客でにぎわうグアム島の中心都市、アガナ市から南へ19kmのタロホホのジャングルで、愛知県出身の元日本兵・横井庄一さん(56)が31年ぶりに地元の漁民に発見されました。 それでは次回をお楽しみに! 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
by pikayoshi72
| 2011-01-24 09:01
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