「打放しコンクリートと共に」 その(93)

こんにちはpikayoshi72です。

今回は、光アライアンス2003年10月号、特集:光触媒の応用「打放しコンクリート光触媒仕上システム」を2回に分けご紹介します。
本日は最終回「3.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムとは」、「4.おわりに」をご紹介します。

 3.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムとは
 光触媒には、打放しコンクリートに不可欠な防水機能はなく、しかも防水材として多く採用されている高耐久性フッ素樹脂やその他有機質防水材に光触媒を塗工した場合、紫外線エネルギーにより励起した酸化チタンはその強い酸化力でフッ素樹脂などの有機質防水材を分解し、防水機能を喪失させる。この様な有機質防水材を保護し、光触媒の機能を付与する技術と浸透型無機質防水材をベースとした光触媒仕上げシステムで構成される。何れも打放しコンクリート仕上げの質感を保持しつつ防水性、防汚性にセルフクリーニング機能を具備した工法である。
3-1.光触媒仕上げシステムの3タイプ
 打放しコンクリート光触媒仕上げシステムには、STEP1・STEP2と無機質防水材からなるNY-バリアコートとの組み合わせの3タイプがある。各々を組み合わせることにより、コンクリート表層面に強固な防水層を形成する。NY-バリアコートを除き、STEP1・STEP2の工程に無機バインダーをコーティングし各々にトップコートの光触媒を塗工する。この積層工程によって、防水性・防汚性・セルフクリーニング機能が付与される。
3-2.NY-バリアコートの特長と性状
 NY-バリアコートは粘度と表面張力が水より小さいためコンクリートに深く浸透し、コンクリートの遊離石灰、シリカ質と反応して、内部の空隙を疎水性無機質結晶で充填し緻密化する。緻密化した疎水層は雨水の浸透を防ぎコンクリートに強固な無機質防水層を形成する。
 NY-バリアコートの性状を表-1に示す。
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3-3.光触媒仕上げシステムの基本原理とセルフクリーニング機能
 光触媒仕上げシステムの基本原理とセルフクリーニング機能を図-4に示す。
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3-4.打放しコンクリートに於ける光触媒の機能と応用
 光触媒の塗布面に紫外線が当ると光触媒反応が起き酸化力により塗布面に接触する有機物を分解する。例えば有機物としてカビ、細菌、藻、ウイルス、油脂、車の排気ガス、タバコの煙とヤニ、VOC、悪臭(アンモニア)などである。
 光触媒反応は酸化チタンを消費しないので反応による酸化力は減退しない。したがって、反応は半永久的に継続し酸化力による浄化機能も持続することになる。
 光触媒のコーティングの膜厚はせいぜい1μm程度であり、塗膜に接触しているカーボン、油煙、細菌類真菌類などは光触媒による分解であるため、薄膜であってもその機能を十分発揮することができる。
 一般的に都市部での建築外壁面の汚れは、油脂分とともにカーボンなどが付着した汚れが多く、光触媒によりこの油脂分が分解されて汚れ成分の付着力が弱められ、雨により洗い流される。また、光触媒の二酸化チタン薄膜中には銀や銅も存在している。したがって、光触媒の働きだけでなく銀イオンや銅イオンによる殺菌・抗菌作用も利用されている。そのため、光が照射されない場合でも殺菌・抗菌作用が期待できるとされている。
 新築又は経年劣化した打放しコンクリート仕上げに於いてSTEP1及びSTEP2を施した後、無機系材料によるバリア層を設ける。すなわち、STEP1・STEP2の仕上げ防水材は有機系塗膜であるため、直接光触媒を表面に塗布すると防水塗膜が光触媒の作用を受けて分解されてしまう。したがって、無機系材料による保護塗膜(バリア層)を設け、光触媒を塗工仕上げとする。

3-5.光触媒の性状
 打放しコンクリート表層面に施した光触媒とフッ素樹脂系の親水性の比較を写真-3に示す。光触媒は表層面に馴染んでいるが、フッ素樹脂は水玉となっている。
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 光触媒表層面に太陽光が照射されることによって、表面に水酸基が発生し親水性となる。水の接触角は10~30°と極端に小さくなり、水玉にならない〔図-5〕。
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 この水が光触媒の作用で分解された汚染物の間に流れ込み、セルフクリーニング機能が生じ付着した汚染物が流れ落ちる。この光触媒反応は酸化チタンを消費しないため、反応によって酸化力は減退しない。すなわち、半永久的に酸化力による浄化機能は維持される。

3-6.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムのフローチャート
 打放しコンクリート光触媒仕上げシステムのフローチャートを図-6に示す。
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1)打放しコンクリート仕上げシステムSTEP1・2の工程完了後、無機バインダーを塗工する。NY-バリアコートは表層面不具合を修整消去して後、塗工する。NY-バリアコートは防水層を形成し、且つ無機バインダー機能を果たす。
2)無機バインダー及びNY-バリアコートの乾燥確認の上、光触媒を20~50g/㎡を吹付塗工する。
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4.おわりに
 長年の課題であった打放しコンクリートの高耐久性付与は、STEP1・STEP2によりほぼ解消したといえよう。しかし、深刻化する都市部の環境悪化に伴う汚れの付着は必然的な事象として、避けて通ることが出来ないものとされていた。特に打放しコンクリート表層面の著しい汚れは資産価値を減少させるため、美観と資産価値を維持するために定期的なクリーニングが必要でそのコスト負担は大きなものであった。
 本システムを構成する光触媒によって、汚染物の分解作用と親水性によるセルフクリーニング機能は、打放しコンクリート建築に対してその果たす役割は計り知れないものがある。今日まで打放しコンクリートの宿命とした汚染物の付着が、光触媒の実用化によって、美観の維持だけでなく打放しコンクリート建築の資産価値と周辺環境の向上に寄与する点からも画期的なことといえるではなかろうか。

次回は、防水ジャーナル2004年10月号きれいな外壁仕上げの方法と題して、(RC造・事務所の場合)
「打放しコンクリート外壁における光触媒仕上げ」お送りします。

さて、この年の重大ニュース、11月29日、情報収集衛星2機を載せたH2Aロケツト6号機が補助ロケットを分離できずに軌道をそれたため、地上からの破壊信号で爆破され、12月9日には1998年の打ち上げ後、エンジンや電源系の故障が続いた日本初の惑星探査機「のぞみ」の火星周回軌道投入が断念された。宇宙開発に一体いくら費やしたんでしょうか!

それでは次回をお楽しみに!
打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-10-19 07:00 | ブログ


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