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「打放しコンクリートと共に」 その(92)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は、光アライアンス2003年10月号、特集:光触媒の応用「打放しコンクリート光触媒仕上システム」を2回に分けご紹介します。
 本日は第1回「1.開発の背景」「2.システムの概要」をご紹介します。
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1.開発の背景
 打放しコンクリートは、国内外の著名な建築家により歴史的な建造物に多く採用されてきた。その背景はコンクリートが持つ素材としての重厚感と簡素な造形の美しさが卓越していることにある。
 こうした素朴な仕上げにも拘わらず打放しコンクリート建築の施工においては、やり直しのきかない一発勝負で、建設にあたり万全の施工管理と、細心の注意を払ってしても、不具合の発生は避けられないことにある。
 とりわけ表層面は仕上げ面であるため不具合の発生は、打放しコンクリートの生命である表層面の意匠性を損ない、
 しかもそれらに起因した汚れの発生と耐久性の低下が指摘されている。このような観点から打放しコンクリート表層面は、意匠性や耐久性に関わる極めて重要な部位といえる。
 現状においては不具合に対応した補修、経年劣化に適応した再生技術など、幾つか方法はみられているが、不具合が発生した後にそれらの部分のみの補修を行うなど、確立した技術とは言い難いのが現状である。しかも最近の環境汚染による打放しコンクリート表層面の汚れの付着は著しく、竣工後数年で意匠性まで阻害する例など美観の維持保全上大きな問題として提起されている。
 このようなことを背景に、新築時脱型直後の表層面に生じた不具合と劣化外力を直接受け、劣化進行の起点となる汚染物の付着に注目し、避けて通ることの出来ない打放しコンクリート表層面の不具合と経年劣化に対応した補修・再生の技術・工法を開発した。次いで、それらの結果を踏まえて打放しコンクリート表層面の汚染防止を目的に意匠性、耐久性の観点からの汚染防止システムを検討し、打放しコンクリート建物の汚染防止に対応させた光触媒仕上げシステムを具現化した。
 新築打放しコンクリート建築に不可欠な不具合対応工法及び経年劣化により発生した不具合に対し、これらの補修・再生後に施す汚染防止工法が、今回紹介する打放しコンクリート光触媒仕上げシステムである。
 脱型直後より一貫した打放しコンクリート補修・再生工法に光触媒をドッキングしたもので、打放しコンクリートに要求される恒久的な美観の維持が目的とされる。汚染防止機能付与による美観の確保は維持保全上に於いて画期的なもので、美観保持を期するフリーメンテナンスの具現化は、打放しコンクリート建築に求められていた至要課題に対し革新的な付加技術として期待されるものである。
2.システムの概要
 打放しコンクリートは、躯体そのものが仕上げのため、他の建築施工の作法とは大きく異なる。つまり、型枠に打設されたコンクリートそのものが仕上げとなり、一般建築に施される脱型してから表層面を装飾し仕上げとする工法とは一線を画する。すなわち、手を加えない表層面にその特異性と施工上の難しさがある。
 打放しコンクリート光触媒仕上げシスムに不可欠な補修・再生工法の流れは次のようである。打放しコンクリート建物のライフサイクルを設計・施工・維持保全に大別し、それに対応すべき表層面の仕上げシステムの概要を図−1に示す。
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図中に示されるように、施工中から竣工までに施されるべき仕上げをSTEP1、築後の経年・改修期に施すべき仕上げをSTEP2と呼ぶこととして分類している。以下、それらについて述べる。

2−1.STEP1
 フローチャートを図−2に示す。
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 ここで意図した仕上げ技術は、脱型時点の不具合の補修から耐久性向上のための表層面仕上げまで一貫性を持たせ、設計施工段階で予測不可能な表層面の事象やジャンカ、コールドジョイント、色ムラなどの不具合写真1−6の発生に対しても合理的に対応処置するものである。 図中には、主な使用材料と作業内容を併記している。
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 特に不具合部の処理においては、不具合部を健全部に合わせて修復する。すなわち、打放しコンクリート表層面に点在した不具合に対して、その各々に不具合箇所周辺の生地色に適合する材料を供し、不具合箇所の痕跡を残さない材料・工法により健全化し、打放しコンクリートの表層面と違和感のない美観を確保するものである。
 最終工程での表層面仕上げでは、耐候性防水材の塗布による表層面の長期的維持と耐久性の向上を狙いとして施される。
2−2.STEP2
 フローチャートを図−3に示す。
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築後の経年劣化写真7−10の程度に応じて分別している。
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 すなわち、劣化が軽度の場合には、汚染物の除去を主とした素地調整の上で表層面仕上げを施し耐久性を付与する。これに対して、中度・重度の場合には珪フッ化物を主成分とした強化剤をコンクートに塗布含浸して表層面の強化を図り、次いで劣化部を充填材により処理する。重度の場合は、さらに中性化抑制材を塗布したのちに、型枠模様を復元し、長期的維持と耐久性の向上の観点から最終工程での表層面仕上げを施す。
 以上、打放しコンクリートの誕生からリニューアルに至る過程で表層面に生じる各種の不具合に対し、STEP1及びSTEP2による対応技術について報告した。これらの技術・工法の共通点は、不具合ヶ所を違和感のない補修とし躯体と一本化させることにある。
 素材感が生命である打放しコンクリートは補修・再生によって質感を損ない、設計意図が喪失する様なものであってはならない。STEP1・STEP2によって、打放しコンクリートに拘わる保護・再生の技術的問題点は解消し得るといえるが、深刻化する環境問題は打放しコンクリートの美観の維持に新たな課題として提起されている。
 すなわち、築後間もなく発生する汚れの付着である。表層面が意匠である打放しコンクリートは、汚れの付着によって素材の生命である意匠性が阻害され美観の喪失を招き資産価値の低下に繋がる。
 特に都市部での打放しコンクリートの外周壁の汚れは、油脂分とともにカーボンなどが付着したものが多く、その汚れは加速度的に拡大することにある。
 この様な事象に対応した新技術・工法として、「打放しコンクリート光触媒仕上げシステム」が挙げられる。打放しコンクリート表層面の汚れに対し自浄作用を付与したセルフクリーニング機能を有したフリーメンテナンスの新工法である。

 次回は、光アライアンス2003年10月号、特集:光触媒の応用「打放しコンクリート光触媒仕上システム」の最終回「3.打放しコンクリート光触媒仕上げシステムとは」、「4.おわりに」をお送りします。

 さて、この年の重大ニュース、10月25日、開発費725億円もかけ打ち上げた環境観測技術衛星「みどり2号」が、電源系統の故障から音信不通に陥り、打ち上げからわずか10ヵ月で運用断念に追い込まれてしまいました。何という無駄遣い!

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-10-12 07:07 | ブログ


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