「打放しコンクリートと共に」 その(89)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向を4回に分けご紹介します。本日は第3回「4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP−2」、「5.打放しコンクリート若返りシステムの工程」をご紹介します。

4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP−2
 打放しコンクリートの表層面は、脱型直後から日射・酸性雨・海塩粒子・温湿度変化等の自然現象とその他化学物質などの化学的作用や挙動・振動に起因した物理的作用を受け、これらに起因して、ひび割れ・中性化・鉄筋腐食や凍害などコンクリート表層面より躯体へと著しく劣化汚損し、意匠性の喪失と躯体の損傷にまで至る(写真5〜8)。
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 この様な打放しコンクリートの劣化損傷にはSTEP−2で対応する。

4−1 調査診断と選定
 竣工後の初期点検(2年以内)及び定期点検(10年以内の周期で実施)によって、経年期における劣化損傷状況の調査診断をし、その結果に基づき再生システムの選定をする。

4−2 調査診断
 調査方法は、外観目視法により調査項目は、ひび割れ・露出鉄筋やジャンカなど9項目とする。調査結果に基づいた原因の推定と劣化項目に従い集計表に詳細記録する。
調査項目は下記の通りである。
ひび割れ(0.5㎜未満及び0.5㎜以上)・露出鉄筋・コールドジョイント・ジャンカ・モルタル補修跡・モルタル浮き・木コン跡・欠損

4−3 STEP−2を構成する再生システム
 経年劣化した打放しコンクリートの再生技術としてSTEP−2を提案、調査診断結果に基づく劣化度に対応した再生システムを選定する。適用再生システムの概要は次の通りである(図3)。
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1)打放しコンクリートFMシステム(劣化度・中度)
 打放しコンクリートの表層面が中度の劣化状態で、表層面を活かしつつコンクリート強化剤を含浸塗布することによりコンクリートを内面より強化し、劣化部に対しては、限定消去法で対応し更にトップコート塗膜型に防水材を塗布する。
2)打放しコンクリート若返りシステム(劣化度・重度)
 築後15〜30年余りで劣化損傷が重度と診断されたもので、劣化した打放しコンクリートを内外面から補修・再生する。露出鉄筋の防錆処理を始めとする本格的な補修・修整を施し、元設計の型枠模様を復元甦らせ更に高耐久性防水材を塗布する。

5.打放しコンクリート若返りシステムの工程
 劣化度に準じた打放しコンクリート再生システム、STEP−2のうちFMシステム及び若返りシステムについてフローチャートに基づき工程の詳細を示す。なお、劣化度・軽度については、劣化損傷がFMシステムに比較し、軽微であることの外、工程は同一であるため割愛する。

5−1 素地調整
(1)コンクリートの表層面を高圧水で洗浄し、汚れやほこり等を除去。
(2)空隙を伴う砂利・アバタは叩き落とす。
(3)表層面に付着した鉄筋の錆及び染みは、ケミカルエースR(当社製)を用い洗浄。

5−2 NY−606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、1㎡当たり200gのNY−606を含浸塗布する。
 NY−606は各種特殊添加剤を加えた珪弗化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性の弗化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。
 NY−606を含浸塗布することにより、不溶性の弗化カルシウムが固着され花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性が向上する。また、酸に対する抵抗性が向上し表面症状が改善されコンクリート自体の耐久性が付与される(図4)。
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2CaCO3+MgSiF6=2CaF2+MgF2+SiO2+2CO2

5−3 欠損部の処理
 各種劣化欠損部に対する処理方法を以下に示す(図5)。
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5−3−1 露出鉄筋部
(1)腐食している鉄筋の周囲を入念に斫り取る。
(2)錆化鉄筋は、ワイヤーブラシ・電動ケレン機等を使用し、錆を除去する。
(3)錆化鉄筋にNY−特殊防錆材を塗布。
(4)NY−7000プライマーを下地部分に塗布する。
(5)斫りの深さにより1〜3回に分け、NY−調合樹脂モルタルを塗り付ける。コンクリートの表層面(仕上面)より1〜2㎜程度下げる。

5−3−2 ひび割れ部(コールドジョイント含む)
(1)ひび割れに沿って幅12㎜程度、深さ15㎜程度にU字型の溝を設ける。
(2)Uカット溝部に付着している斫り片、粉塵を刷毛で除去。
(3)Uカット溝底部にウレタンプライマーを塗布。
(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを充填。Uカット溝底部から5㎜厚とし、充填後はヘラで押さえ下地と密着させて表層面は平滑に仕上げる。
(5)NY−エラスティックフィラーを塗布する。
(6)NY−エラスティックモルタルを充填する。(注:0.2㎜以下のひび割れは、NY−エラスティックモルタルによるシゴキ充填)

5−3−3 既存補修モルタル部
(1)浮きヶ所の既存モルタルは除去する。
(2)刷毛・ブラシ等で汚れ・ほこり等を除去する。
(3)NY−7000プライマーを下地部分に塗布する。
(4)斫りの深さにより1〜3回に分け、NY−調合樹脂モルタルを充填(図6)。
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表層面から1〜2㎜程度下げる。

5−4 修整用NY−調合樹脂モルタルのコテ塗り
 欠損部を処理した箇所の周辺部との色違いがあるため、修整用NY−調合樹脂モルタルをコテ塗りしコンクリート表層面(仕上面)に準じて平滑に仕上げる。

5−5 素地全面生地調整
(1)表層面の色相調整をする。NY−調合樹脂生地調整材(NY−7000)〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕
(2)ひび割れに追従するNY−調合樹脂生地調整材(NY−8000)〔特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤〕の塗布。

5−6 型枠模様復元
 カラーコート〔特殊灰汁:浸透剤:添加剤〕及び型枠模様造成具により復元する。

5−7 トップコート
 浸水抵抗の高い緻密な皮膜を形成、高耐久性を付与するトップコートNY−8090(9090)を塗布する(図7)。
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 以上、打放しコンクリートの誕生からリニューアルに至る過程で表層面に生じる現象に対し、STEP−1及びSTEP−2の対応技術について報告した。
 素材感が生命である打放しコンクリートは補修・再生によって質感を損ない、設計意図が活かされない様なものであってはならない。STEP1・2によって、打放しコンクリートに拘わる保護・再生の技術的問題点は解消し得るといえるが、最近の環境問題は打放しコンクリートに新たな課題を提示している。
 その顕著なものに築後間もなく発生する汚れがある。表層面が意匠である打放しコンクリートは、汚れによって素材の生命である意匠性が阻害されて美観を低下させる。
 特に都市部での打放しコンクリートの外周壁の汚れは、油脂分とともにカーボンなどが付着したものが多く、その汚れは加速度的に拡大することである。
 この様な事象に対応した技術として、「打放しコンクリート光触媒仕上げ」が上市された。打放しコンクリート表層面の汚れに自浄作用を付与したセルフクリーニング機能を有した新工法である。

 次回は月間建築仕上技術2003年7月号特集:打放しコンクリートの仕上工法最新動向の最終回「6.打放しコンクリート光触媒仕上げシステム」、「7.おわりに」をお送りします。

 さてこの年の重大ニュースは、10月1日、東海道新幹線品川駅が開業、東京・六本木に六本木ヒルズが開業されました。そして12月1日、地上デジタルテレビジョン放送が東京、大阪、名古屋で放送開始されました。

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-09-21 07:49 | ブログ


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