「打放しコンクリートと共に」 その(86)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊PROOF、特集:打放しコンクリートの仕上げと保護「保護再生技術の現状」を3回に分けご紹介します。本日は最終回「4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2」、「5.調査診断と選定」、「6.打放しコンクリート若返りシステムの工程」「7.おわりに」をご紹介します。

4.経年劣化対応 打放しコンクリート仕上げシステム・STEP-2
 打放しコンクリートの表層面は、日射・酸性雨・海塩粒子・温湿度変化等の自然現象とその他大気化学物質などの科学的作用や挙動・振動に起因した物理的作用を受ける。そしてそれは、ひび割れ・中性化・鉄筋腐食や凍害など著しく汚損磨耗し、意匠性の喪失や躯体の損傷にまで及ぶ。この様な打放しコンクリートの劣化損傷にSTEP-2で対応する。

4-1調査
 調査方法は、外観目視法により調査項目は、ひび割れ…露出鉄筋やジャンカなど9項目とする。調査結果に基づいた原因の推定と劣化項目に従い集計表に詳細記録する。
 調査項目は下記の通りである。
 ひび割れ・露出鉄筋(0.5m.未満)・露出鉄筋(0.5m.以上)・コールドジョイント・ジャンカ・モルタル補修跡・モルタル浮き・木コン跡・欠損
e0030813_7182927.jpg

4-2STEP-2を構成する改修再生システム
 経年劣化した打放しコンクリートの改修再生技術としてSTEP-2を提案、調査診断結果に基づく劣化度により施工システムを選定する。
 適応再生システムは次の通りである。
1)打放しコンクリートFMシステム(劣化度・中度)
 打放しコンクリートの表層面が中度の劣化状態で、表層面を生かしつつコンクリート強化剤を含浸塗布することによりコンクリートを内面より強化し、劣化部に対しては、限定消去法で対応し更にトップコート塗膜型防水剤を塗布する。
2)打放しコンクリート若返りシステム(劣化度・重度)
 築後、15~30年余りで劣化損傷が重度と診断されたもので、打放しコンクリート仕上げの耐久性を内外面から改修再生する。露出鉄筋の防錆処理を始めとする本格的な補修・修整を施し更に高耐久性を付与し元設計の型枠模様を復元甦らせる。

5.調査診断と選定
 竣工後の所業点検(2年以内)及び定期点検(10年以内の周期で実施)によって、経年期における劣化損傷状況の調査診断をし、その結果に基づき施工システムの選定をする。

6.打放しコンクリート若返りシステムの工程
 劣化度重度に対応した打放しコンクリート若返りシステムのフローチャートに基づいて述べる。なお、FMシステムはトップコートの違いのみであるため紙面の都合で割愛する。
e0030813_719931.jpg

6-1素地調整
(1)コンクリートの表層面を高圧水で洗浄し、汚れやほこり等を除去。
(2)空隙を伴う砂利・アバタは叩き落す。
(3)表層面に付着した鉄筋の錆及び染みは、ケミカルエースR(当社製)を用い洗浄。

6-2NY-606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、1㎡当たり200gのNY-606を含浸塗布する。
 NY-606は各種特殊添加剤を加えた珪弗化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性の弗化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。
 NY-606を含浸塗布することにより、不溶性の弗化カルシウムが固着され花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性が向上する。また、酸に対する抵抗性が向上し表面症状が改善されコンクリート自体の耐久性が付与される。
               2CaCo₂+MgSiF₂=2CaF₂+SiO₂+2Co₂

6-3欠損部の処理
 各種劣化欠損部に対する処理方法を以下に示す。
e0030813_720969.jpg

6-3-1露出鉄筋部
(1)腐食している鉄筋の周囲を入念に斫り取る。
(2)錆化鉄筋は、ワイヤーブラシ・電動ケレン機等を使用し、錆を除去する。
(3)錆化鉄筋にNY-特殊防錆剤を塗布。
(4)斫りの深さにより1~3回に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。コンクリートの表層面(仕上げ面)より1~2mm程度下げる。
6-3-2ひび割れ部(コールドジョイントを含む)
(1)ひび割れに沿って幅12mm程度、深さ15mm程度にU字型の溝を設ける。
(2)Uカット溝部に付着している斫り片、粉塵を刷毛等で除去。
(3)Uカット溝底部にウレタンプライマーを塗布。
(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを充填。Uカット溝底部から5㎜厚とし、充填後はヘラで押さえ下地と密着させて表層面は平滑に仕上げる。
(5)NY―エラスティックフィラーを塗布。
(6)NY-エラスティックモルタルを充填する。(注:0.2mm以下のひび割れは、NY-エラスティックモルタルによるシゴキ充填)
6-3-3既存補修モルタル部
(1)浮きヶ所の既存モルタルは除去する。
(2)刷毛・ブラシ等で汚れ・ほこり等を除去する。
(3)NY-7000を下地部分に塗布する。
(4)斫りの深さにより1~3回に分け、NY-調合樹脂モルタルを充填、表層面から1~2mm程度下げる。

6-4修整用NY-調合樹脂モルタルのコテ塗り
 欠損部を処理した箇所の周辺部との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルをコテ塗りし、コンクリート表層面(仕上面)に準じて平滑に仕上げる。

6-5素地全面生地調整
(1)表層面の色相調整をする、NY-調合樹脂生地調整材(NY-7000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]
(2)ひび割れに追従するNY-調合樹脂生地調整材(NY-8000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透材:特殊添加剤]の塗布。

6-6型枠模様復元
 カラーコート[特殊灰汁:浸透材:添加剤]及び型枠模様造成具により復元。

6-7トップコート
浸水抵抗の高い緻密な皮膜を形成、高耐久性を付与するトップコートNY-8090(9090)を塗布。(図5)
e0030813_7203919.jpg

7.おわりに
 打放しコンクリートの誕生からリニューアルに至る過程で表層面に生じる現象に対し、STEP-1及びSTEP-2の対応技術について現状を報告した。
 素材感が生命である打放しコンクリートは補修・改修によって質感が損なう様なものであってはならない。40年余の打放しコンクリートのライフサイクルに携わった者として、ご参考にしていただければ幸いである。

【参考文献】は割愛させていただきます。

 次回は月刊建築仕上技術2003年7月号「打放しコンクリートの仕上工法最新動向」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、12月1日JR東日本は東北新幹線の盛岡-八戸間を開業。結果、東京-八戸間を最短2時間56分で運行。日本がますます小さくなりました!

 それでは次回をお楽しみに!
 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
[PR]
by pikayoshi72 | 2009-08-31 07:24 | ブログ


<< 「打放しコンクリートと共に」 ... 「打放しコンクリートと共に」 ... >>