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「打放しコンクリートと共に」 その(78)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築知識1999年11月号、「打放しコンクリートの補修方法と『仕上げ』」を読み切りでご紹介します。
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打放しコンクリートの本音と建前
 汚れる・冷たい・耐久性が低い・施工に神経を使う・メンテナンスが大変・コンパネ、剥離剤に変わった今も、ジャンカとクラックとコールドジョイントの恐怖に脅かされながら、建築家の心をとらえて離さない。そして、何故か日本的な空間の表現を可能とする。この文章は日本建築学会「建築雑誌」92年2月号の扉に掲載されたものを抜粋引用したものである。
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 打放し工事現場では、施主・設計者とゼネコンなど関係者の共通認識は、完璧な打放しであり、厳しいけれども建前として通している。そのため、打放しに生じた不具合に対する予算処理がなされていない例が多く、現場担当者はやり場のない苦悩をかかえこむことが多い。冒頭の建築学会誌の巻頭言は正にこのことを現場に変わって訴えたものではないかと思う。

■補修工事と仕上げ工事の差異
 ほぼ40年余り打放し補修と仕上げは一体化したものとして、下地補修から最後のトップコート塗布まで一貫して施工する事が行われていた。しかし下地補修は、施工内容からして、左官工事に類し打放し表層面の仕上げとは、施工内容が全く異なると言ってもよい。一例として、打放し表層面に色合わせしたポリマーセメントモルタルを充填補修することが一般的に知られているが、まもなく自然環境の影響を受けて補修ヶ所が歴然として際立ってくる。ここが補修と仕上技術の異なるところで、自然環境に対応した仕上材料と復元技術が左官工事と大きく違うところである。

■下地補修方法の紹介
 打放しに生ずる不具合ヶ所は、大旨次のような症状があげられる。豆板・空洞・気泡・表面剥離・化粧目地の歪み・リブ角・角の欠け・錆汁の付着やコールドジョイントなどがある。これらを補修するためのプレミックスモルタルは、市販品で十分である。次に補修について簡単に述べる。

①豆板(ジャンカ)
 豆板(ジャンカ)は、補修範囲を広げないために穴埋めする要領でジャンカ部分のみをモルタルで充填する。充填したモルタルは、健全な躯体コンクリートと平滑になるように仕上げをする。
②気泡(ピンホール)
 直径5㎜程度以上の気泡(ピンホール)を対象に補修範囲を広げないために穴埋めをする要領でピンホールのみをモルタルで充填する。周囲のコンクリートに付着したモルタルは、硬化前に除去し躯体コンクリートと平滑になるように仕上げをする。
③化粧目地(リブ)角及びピン角(出隅)の欠け
 化粧目地角の欠けは、目地棒を設置しモルタルにて修復後、角部分がシャープになるようにまた、躯体コンクリートと平滑になるように仕上げをする。
④錆汁の付着
 錆汁の付着した躯体コンクリートは、ケミカルエースRまたはケミカルエース・1(ニチエー吉田製)等を用いた化学洗浄を行う。これらを刷毛等で塗布・含浸させブラシでこすり水洗いする。付着の程度が著しい場合は、数回繰り返し、汚れを消去する。
⑤コールドジョイント
 コールドジョイントの補修については肌分かれ(口が開いた)を伴うコールドジョイントのみをモルタルで充填する。充填したモルタルは、躯体コンクリートと平滑になるように仕上げをする。口が開いていないコールドジョイントについては、消去(表面修整)する。
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左官補修後の打放し生地仕上げ
 モルタル補修した後の不具合ヶ所の仕上方法は、選定方法による既調合修整・消去材で行う。打放し表層面に散在する不具合ヶ所の修整・消去と復元方法は次のような工程である。
 あらかじめ工場生産された5種類の既調合修整・消去材で塗工された5種類の選定プレートから構成される。打放しコンクリート表層面に点在した不具合ヶ所周辺の生地色に前述の5種類の選定プレートを比較し、類似色の修整・消去材の選定をする。
 従来、職人の熟練度と勘によって不具合ヶ所毎に生地色に合わせた修整・消去材の調合を現場に於いて行っていたが、より精度の高い仕上げの向上と合理性・経済性を求めて開発された新技術である。
①選定された修整・消去材を下地補修材の乾燥養生を確認の上、打放しコンクリート表層面に合わせてコテ塗りする。打放しコンクリート仕上面との一体化を計るため研磨剤で平滑に整える。
②修整消去ヶ所の型枠模様補正として喪失した型枠模様を特殊カラーコートで補正する。
③打放しコンクリートの毛管空隙の防水下地として、浸透性吸水防止材Aシーラー(水性・溶剤型)を含浸塗布する。(150g/㎡程度)
④乾燥養生後、塗膜型防水材NY-7090を塗布して生地の質感をキープする。
⑤高耐久性防水剤を塗布することで濡れ色・ムラや変色が生じ、不具合ヶ所を際立たせ意匠性を損なう。そのため、着色して隠蔽する方法が採用されている中、特許吉田工法は打放しの意匠性を生かすクリア仕上げによって高耐久性も同時に付与することを可能にした。

 次回は月刊建築仕上技術2000年7月号工文社創立25周年・創立300号記念企画「新・リニューアル市場の創出」、「3.外壁リニューアルのための技術開発動向」をお送りします。

 さてこの年の重大ニュースは、9月30日、茨城県東海村の民間ウラン加工施設「JCO」で国内初の臨界事故が発生しました。現場の作業員ら49人が被ばくし、県は一時、施設から半径10km以内の住民約31万人に屋内退避勧告を出しました。臨海事故の原因は作業員が工程上、マニュアルに外れた手順違反を犯したのが原因とみられ、さらに「裏マニュアル」の存在も明らかになりました。大量の放射線を浴びた男性(25歳)は被爆し、12月21日にお亡くなりになりました。

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-07-06 07:20 | ブログ


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