「打放しコンクリートと共に」 その(77)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築の技術「施工」1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」を3回にわけご紹介します。
本日は最終回「打放し若返りシステムの施工」、「おわりに」をご紹介します。

打放し若返りシステムの施工
(1)表面の高圧水洗浄
コンクリート表面に付着した汚染物や苔などを高圧水洗浄(200kgf/㎝²)により除去する。鉄筋の錆汁は下学洗浄剤による併用洗浄とする(写9)。
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(2)コンクリート強化剤の含浸塗布
コンクリート乾燥養生後、無機質浸透強化剤を刷毛またはローラーにて200g/m²を2回に分けて含浸塗布する。風化したコンクリート表層部分を緻密化し、また耐酸性を向上させることにより中性化の進行を防止する(図1、写10)。
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(3)露出鉄筋箇所の斫り・防錆処理
鉄筋の腐食が原因となって生じた被りコンクリートの剥離・浮き箇所の斫り取り、錆化腐食部分を中心にして腐食鉄筋の裏側に達するよう健全部まで丹念に斫り取る。そしてグラインダ、ワイヤーブラシなどを用いて腐食した鉄筋を十分ケレンし防錆材を塗布する(写11)。
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(4)エラスティックモルタルによるひび割れ補修
躯体コンクリートの発生したひび割れ補修方法として、ひび割れの発生原因が鉄筋の腐食よらない場合、従来からエポキシ樹脂の注入方法が効果的といわれているが、ひび割れは常に振動・荷重の増加、湿度・温度の変化などによりコンクリートの伸縮拳動が繰り返えされているため、注入した近傍に新たなバイパスクラックが発生する。このようなひび割れに対しては、普通モルタル10倍以上の引張変形性能をもつエラスティックモルタルを使用することにより、ひび割れの再発防止と防水性を付与することができる。施工方法はひび割れ箇所をUカットし、深部をウレタンコーキング、次にエラスティックフィラーを塗布し、エラスティックモルタルで仕上面まで充填整形する(図2、写12)。
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(5)調合樹脂モルタルの修整
欠損部の補修は、その都度躯体に合わせた調合樹脂モルタルによる修整とする。調合樹脂モルタルは、接着力・色調・強度・耐震性が高く、また打放しコンクリートの表面の色合いを的確に再現できる優れた調合モルタルである。なお、修整モルタルと躯体の一体化は打放しコンクリートの不可欠条件でプレート方式による調合樹脂モルタルの選定とする。露出鉄筋まわりのコンクリートを斫り取った部分への埋戻し(パッチング)は、防錆せる。このとき、かぶり厚を確保するため、鉄筋を内側へ押し込むなどの処理が必要である(写13)。
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(6)木コン穴の補修
木コンは新築時にセメントモルタルによる埋込みが施されているが、経年劣化とモルタルの収縮により木コンは離脱あるいは浮いていることが多い。木コン穴の残滓を取り除き、新たに底部にシーリング材を充填し、接着性・無収縮性・耐水性の優れた調合樹脂モルタルの埋込みを行う。
(7)色合わせ・型枠模様造成
耐候性に優れた数種の顔料・調合材によって、打放し全面の色合わせと型枠模様の復元を特殊刷毛によって施工する。コンクリート打放し仕上げの表面には、型枠から転写された木目模様や型枠の目違いなどから残存するため。再生するうえでもこれらをリアルに表現することがポイントである。本システムにおいては、施工物件ごとのコンクリート色に合わせた伸長型セメント系エラスティックフィラーを全面に塗布し、専門道具を用いてコンクリートの素肌を再現し、そこに耐候性に優れた無機質系顔料によって木目模様の造成を行う。このエラスティックフィラーは下地のコンクリートに発生するひび割れに追従し、また炭酸ガス・塩分を遮断する機能性下地材である(表3、写14)。
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(8)超耐候性アクリルシリコン樹脂系仕上げ
前記工程を施したコンプリート表面に、超耐候性アクリルシリコン樹脂系トップコートを全面に塗布する。これにより若返り諸工程の保護、表面の汚染防止、防水性能の向上と超耐候性能が付与される(表4、写15)。
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(9)打放しリニューアルに際しての提案
1)金属笠木の採用
打放し建築の最上階の天端仕上げには、当時はモルタル笠木が主流となっていた。そのほとんどに、浮き・ひび割れが生じている。これらは改修時にすべて補修され現状回復はされるがモルタル笠木の防水対策としては不十分である。
防水と汚れ防止策には、モルタル笠木の表面を金属笠木または防水シールなどでカバーリングするのが不可欠である。金属笠木の取付け位置は打放し面より20mm以上はね出し、雨水の垂れ流しを防止するための間隔をもたせて取り付ける(図3)。
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2)手摺・ベランダ腰壁の防水処理
PCaコンクリートの階段手摺や方位などで、雨水のあたる箇所は表面の劣化がいちじるしい。これら表面を調合樹脂モルタルでしごき塗りして下地成形し、強靱な防水仕上げを施す。
3)被りコンクリート厚さ不足の鉄筋処理
おもに庇上裏で規則的に位置した鉄筋の錆化で、被りコンクリートを剥落させるに至ってはいないが、いずれ錆化膨張に至り被りコンクリートの剥落が予測されるため、これらはすべて斫り出し、被り厚さを考慮に入れた深さまで溝斫りして、鉄筋を押し込み被り厚さを10mm以上確保する。
4)ひび割れ処理
日射温令の作用を受けて、ひび割れは補修後も継続的に繰り返し伸縮している。ひび割れの動きの追従する弾性材料による補修がポイントである。エポキシ樹脂やポリマーセメントモルタルなど硬い材質で補修した場合、バイパスクラックが生じ再び雨水の浸透を招くことになり、打放しリニューアルの成果が失われることになる。
5)超耐候性防水材
防水性能の低下、もしくは喪失による打放し面の雨水の浸透は中性化を促進させ、内部鉄筋の腐食を引き起こし、劣化損傷を早める。リニューアルの重点項目として、超耐候性防水材であるフッ素樹脂やアクリルシリコン樹脂を塗布することが望ましい。

 打放しリニューアルの主流は、原設計に基づいた意匠性の回復と躯体の強化である。厳しい外部の環境作用を受けて、往年の打放し建築の面影は疲弊し機能喪失を物語っている。このような打放しコンクリートに対し、再び新築時の意匠性と素材の機能回復を図るところに特徴がある。積み重ねられた実績をベースとして、よりリアルにしかも長期にわたり、美観と耐久性を付与した技術で寄与していきたい。
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 次回は建築知識1999年11月号、「打放しコンクリートの補修方法と『仕上げ』」を読み切りでご紹介します。

 さてこの年最後の重大ニュースは海外、8月31日未明、ダイアナ妃がパリで交通事故死しました。英皇太子妃ダイアナの乗った乗用車がパリ市内のセーヌ川沿いの自動車道路のトンネルで交通事故を起こし、重傷を負ったダイアナは出血多量のため亡くなりました。ダイアナ妃の新しい恋人とうわさされ事故車に同乗していたエジプト人の富豪も共に死亡しました。車は、追いかけるカメラマン(パパラッチ)たちの乗った数台のオートバイを猛スピードで振り切ろうとしてトンネルの壁に激突した模様で、9月6日ロンドンのウエストミンスター寺院で葬儀が行われエリザベス女王もご列席されました。

 それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-06-29 07:36 | ブログ


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