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「打放しコンクリートと共に」 その(74)

 こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」を3回にわけご紹介します。
本日はその最終回「4.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-2」、「5.調査と打放しコンクリート若返りシステム」をご紹介します。

4.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-2
 多様化した厳しい環境条件下での打放しコンクリート仕上げは、日射・酸性雨・海塩粒子・温湿度変化等の自然現象とその他大気化学物質などの化学的作用や挙動・振動に起因した物理的作用を受けて、表層面の劣化・ひび割れ・中性化・鉄筋腐食や凍害など打放しコンクリート仕上げの表層面は著しく劣化汚損し、意匠性や美観の喪失に止まらず躯体の損傷にまで及んでいる。
 打放しコンクリートのライフサイクルに於ける維持保全のスタートは竣工直後より生じる劣化に対して、打放しコンクリート仕上げシステムSTEP-2で対応する。
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4-1 STEP-2を構成する改修システム群
 経年劣化した打放しコンクリート仕上げの改修技術としてSTEP-2を提案、調査診断結果を基に劣化症状によって施工システムを選定する。
 適用改修技術のシステム群は次の通りである。
(1)打放しコンクリート現存システム
 打放しコンクリートの表層面をそのままの姿でリフレッシュし、耐久性を付与するシステム。築後の劣化損傷が極めて軽度で、現状の表層面より汚染物の除去をメインとした素地調整の上高耐久性を付与する。

(2)打放しコンクリート年代風仕上げシステム(劣化,中度)
 打放しコンクリートの表層面が中度の劣化状態で、表層面を生かしつつコンクリート強化剤を含浸塗布する事によりコンクリートを強化し、積み重ねられた風情を留めつつ、劣化部に対して限定消去法で対応し更に高耐久性を付与する。

(3)打放しコンクリート若返りシステム
 築後15~30年余りで劣化損傷が重度と診断されたもので、打放しコンクリート仕上げの耐久性を内外面から改修する。露出鉄筋の防錆処理を始めとする本格的な補修・修整を施しさらに超耐久性を付与し元設計の型枠模様を復元甦らせる。
・調査結果
 調査方法は、外観目視法により調査項目はひび割れ・露出鉄筋・ジャンカやコールドジョイントなど9項目とする。調査結果に基づいた原因の推定と劣化項目に従い集計表に詳細記入する。

5.調査と打放しコンクリート若返りシステム
 築後の経年劣化に伴う打放しコンクリート仕上げと再生改修技術として、3システムを紹介したが、劣化度重度の劣化損傷に対応した打放しコンクリート若返りシステムについて述べる。
 なお、現存システム並びに年代風仕上げシステムは紙面の都合で割愛する。
 次にSTEP-2のフローチャートに基づいてシステム工法を述べる。

5-1 調査診断
 竣工後の所業点検(2年以内)及び定期点検(10年以内の周期で実施)によって、経年期における劣化損傷状況の把握をする。
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5-2 素地調整
(1)コンクリートの表面を約200㎏/c㎡の高圧水で洗浄し、汚れやほこり等を完全に除去する。

(2)空隙のある、とれやすい砂利等は叩き落とす。

(3)表面に付着した鉄筋の錆及び染みは、ケミカルエースR(当社製)を用いて洗浄する。

5-3 NY-606表面強化処理剤の塗布
 刷毛・ローラーを用いて、1㎡当たり200gのNY-606を含浸塗布する。
 NY-606は各種特殊添加剤を加えた珪弗化物を主成分とする浸透性の水溶液で、中性化したコンクリート中に含まれる炭酸カルシウムと反応し、不溶性の弗化カルシウムが生成される反応型無機質系コンクリート強化剤である。
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 NY-606を含浸塗布することにより、不溶性の弗化カルシウムが固着され花崗岩質のように結晶化し、コンクリート空隙を充填して強度・防水性が向上する。また、酸に対する抵抗性が向上し表面強度が改善され、コンクリート自体の耐久性が付与される。
 2CaCO3+MgSiF6=2CaF2+MgF2+SiO2+2CO2

5-4 欠損部の処理
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 各種劣化症状に対する補修方法を以下に示す。

5-4-1 露出鉄筋部
(1)鉄筋の腐食している鉄筋の周囲を深さ方向に入念に斫り取る。この際斫り取る深さは、腐食した鉄筋を十分にケレンし、防錆処理を適切に行うことが出来る程度とする。

(2)斫り取りが終了した後、ワイヤーブラシ・電動ケレン機等を使用し、錆を除去する。

(3)ケレンが終了した鉄筋にはNY-特殊防錆材を塗布する。

(4)斫りの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。この際、コンクリートの表面(仕上面)から1~2㎜程度下げて仕上げる。

(5)最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上面)にあわせて平滑に仕上げる。

5-4-2 ひび割れ部(コールドジョイント含む)
(1)ひび割れに沿って電動カッターを用いて巾12㎜程度、深さ15㎜程度にU字型の溝を設ける。

(2)Uカット溝部に付着している斫り片,粉塵を刷毛等で除去する。

(3)清掃した部分に対してウレタンプライマーを均一に塗布する。

(4)プライマー塗布後、ウレタンコーキングを行う。充填はUカット溝底部から3㎜程度とし、充填後はヘラで充分押さえ下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。

(5)次にNY-エラスティックフィラーを塗り残しがないように均一に塗布する。

(6)NY-エラスティックモルタルを充填する。
(注:0.2㎜以下のひび割れは、NY-エラスティックモルタルによる木ベラでの塗り込みとする。)

5-4-3 既存補修モルタル部
(1)浮いている部分のモルタルは完全に除去する。また、豆板を補修したモルタルは完全に取り除き、豆板等脆弱部分は今後の劣化の進行に対して弱点となると考えられることから、このような部分は丹念に斫り取る。

(2)斫り取った下地部分は、刷毛・ブラシ等で汚れ・ほこり等を除去して清掃する。

(3)必要に応じNY-7000プライマーを下地部分に塗り残しのないよう塗布する。

(4)斫りの状況により1~3層に分け、NY-調合樹脂モルタルを塗り付ける。この際、コンクリートの表面(仕上面)から1~2㎜程度下げて仕上げる。
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(5)最後に表面修整用NY-調合樹脂モルタルをコンクリート表面(仕上面)に合わせて平滑に仕上げる。

5-5 修整用NY-調合樹脂モルタルのコテ塗り
(1)欠損部を処理した箇所は周囲との色違いがあるため、修整用NY-調合樹脂モルタルを薄くコテ塗りし、コンクリート表面(仕上面)に合わせて平滑に仕上げ水引き具合を見定めて毛足の長い刷毛で表面を刷毛引きする。また、5㎜以上のピンホールも同様に処理する。
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5-6 素地全面生地調整
(1)打放しコンクリート表面は部位により色違いがあるため、NY-調合樹脂生地調整材(NY-7000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]を刷毛にて塗布する。

(2)下地のコンクリートに起因するひび割れに追従するNY-調合樹脂生地調整材(NY-8000)[特殊アクリル樹脂系:カラーコート:浸透剤:特殊添加剤]をローラーにて塗布する。

5-7 型枠模様造成
(1)カラーコート[特殊灰汁:浸透剤:添加剤]による板目・木目を専門職人により各種の刷毛を使用し造成する。

5-8 表面防水固定処理(NY-9090トップコート)
(1)各工程に要する樹脂材料・特殊添加剤を含む修整材料の性能発揮と劣化防止のために、耐久性と浸水抵抗と高い緻密な皮膜を形成する表面防水固定処理材特殊アクリルシリコン樹脂系NY-9090トップコートを塗布する。

(付記:当社の打放しコンクリート仕上げPEC21・STEP-2による改修実績に基づいて地域別・経過年数別にデータで示した。)
 このデータは(昭和61年~平成8年)の施工物件で、竣工から改修に至る経過年数を示したものである(グラフ2)。
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データ数は59物件であり、参考としてその地域頻度を示した(グラフ1)。
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 グラフ1より関東(22.0%),東京(25.4%)地域が半数を占めている。その他東海・北陸(20.3%),関西(11.9%),中国・四国(10.2%)の順となっている。
 経過年数別に示したグラフ2を見ると、竣工から改修工事に至る年数として18年~30年程度で改修工事を行う物件が多い傾向が認められる。また、このデータにおける4年~10年程度で改修工事に至る物件については、建物の経年劣化よりも新築時における不具合が原因となっているものと推定される。
 以上の結果から59件の改修工事に至る経過年数の平均は21.8年であり、20年前後で大規模な改修の検討を始めるものと思われる。

 次回は施工1997年5月号、テクニカルレポート「竣工後30年経過した打放しのリニューアル」をご紹介します。

さてこの年の重大ニュース、3月14日、エイズウイルス(HIV)に汚染された輸入血液製剤による薬害エイズ訴訟で、製薬会社の「ミドリ十字」が加害責任を認めて謝罪し血友病患者らとの間で和解が成立しました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-06-08 08:52 | ブログ


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