「打放しコンクリートと共に」 その(73)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」を3回にわけご紹介します。
本日はその第2回「3.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-1」をご紹介します。

3.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-1
3-1 脱型保護養生
 脱型から開始される打放しコンクリート表層面の保護保全対策は、竣工に至るまでの打放しコンクリートの仕上げに大きな影響を与える要素である。脱型時に生ずる欠損ヶ所は、不用意なバラシ作業によって生じたものである。
 バールのかけ方の配慮不足から角かけ・表層面の摩擦傷・メジや水切りの角かけがあり、その他寸法出しのための墨打ちなどは、後の除去が困難で特に注意を要するところである。
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次に工事期間表層面の保護養生のため、打放しコンクリート表層面をビニールシート等で覆い、保護する方法などが行われているが、シート取付けの手間と風雨に煽られる等作業上の危険性と表層面を緻密に覆う事が難しいなど解決すべき点がある。
 上層階のコンクリート打設の際、流下したセメントノロ、型枠のアクや鉄筋の錆汁は表層面を流下付着し、竣工まで放置されることによる浸透付着は強固なものとなり洗浄によっても完全に除去出来ない。理想としてはその都度洗浄除去すべきであるが、コストと関連工事とのからみで不可能に近い。
 ここに脱型後から竣工に至る間の打放しコンクリート表層面保護管理方法の技術上の問題点が浮かび上がってくる。
 次に打放しコンクリート表層面の汚染防止工法を紹介する。
 上層階の型枠を組付けた段階で下層階の型枠を脱型し、打放しコンクリート表層面に浸透性吸水防止材を塗工する。本防止材は撥水性を有し、上層階のコンクリート打設時に生じる諸々の汚染物に対し付着防止作用があり、コンクリートの乾燥養生に不可欠な毛管空隙を塞ぐことなく気体の透過性が良いため乾燥養生に支障はない。
 また、この工法は打放しコンクリートの表層面を傷めることがなく素材感を失うことがない。従来のシートの養生方法と比較して遥かに作業上の安全性とコストに効果的である。

3-2 補修・仕上げの分類
 現状打放しコンクリート不具合ヶ所の施工分野の位置づけがなく、補修と仕上げについて適切な分類が不明確である。その原因の一つに打放しコンクリートは脱型した表層面が仕上げであって、その素材を生かすために一切手を加えないのが基本で、素材の意匠性を損なうことのない仕上材を塗布することで仕上げとしている。
 現実には完璧な打放しコンクリートは稀で様々な不具合が生じ対応に苦慮している。その一方で築後の経年劣化の進行は速く環境作用を受けて汚染物の付着と損傷の拡大は打放しコンクリート仕上げの大きな課題とされている。
 この二つの問題点から打放しコンクリートの仕上げ技術の重要性がある。
 ジャンカ、コールドジョイント等の不具合の応急処置として補修がある。補修はあくまで、修整・消去仕上げの前段階であって下地工事と位置づけ、仕上げとは本質的に異なることを明記したい。
 打放しコンクリート仕上げの必須条件は、不具合ヶ所を消去し痕跡を残さず且つ打放しコンクリート表層面と一体化させ、最終仕上げ塗材による変色・ムラ・濡れ等の意匠性を阻害する影響を排除したものである。

3-3 不具合ヶ所及び汚染調査
 保護・養生完了後順次、打放しコンクリート表層面の不具合ヶ所の調査を行う。不具合としてひび割れ・ジャンカ・コールドジョイント・色ムラ等があり、セメント、セメントノロ、エフロレッセンスや錆汁など強固な汚れの付着も図面上記入する。
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 不具合及び汚染付着ヶ所を上記リストに従い、大きさ・部位・数量を記録する。

3-4 不具合ヶ所の下地補修
 ジャンカ・コールドジョイントや角かけ等、欠損ヶ所の形状・規模等状況により下地補修材の調合比率を決める。
 下地補修モルタルは付着・引張強度(10㎏f/c㎡以上)が満たされるポリマーセメント、セメントモルタルであれば特に問題はない。補修は左官工によって打放しコンクリート仕上げ面より2~3㎜下げて充填下地形成をする。

3-5 養生
 補修用ポリマーセメントモルタルによる下地補修後十分な乾燥養生が必要である。少なくとも含水率15%以下になるまで養生する。養生不足のまま修整消去仕上げを施すと後日、ひび割れや変色等を引き起こすので注意する。

3-6 表面洗浄
 下地補修とラップして汚染物の洗浄除去を行う。洗浄によって除去出来ないものは、消去技術によるものとする。

3-7 不具合ヶ所修整消去技術
 ここからが不具合ヶ所に対応した打放しコンクリート仕上げ(PEC21)の技術である。打放しコンクリート表層面に散在する不具合ヶ所の修整・消去仕上げ方法を述べる。
 あらかじめ工場生産された6種類の既調合の修整・消去仕上げ材と、同一修整消去材で塗工された6種の選定プレートから構成される。打放しコンクリート表層面に点在した不具合ヶ所周辺の生地色に前述の6種類の選定プレートを比較し、類似色の修整消去材の選定をする。
 従来、職人の熟練度と勘によってその都度不具合ヶ所毎に生地色に合わせた修整材の調合を現場に於いて行っていたが、より精度の高い仕上げの向上と合理性・経済性を求めて開発された新技術である。
 選定された修整消去仕上げ材を下地補修材の乾燥養生を確認の上、打放しコンクリート表層面に合わせコテ塗りする。打放しコンクリート仕上げ面との一体化を計るため研磨材で平滑に整える。

3-8 打放し補修と修整消去仕上げ

(1)補修方法
 打放し補修に使用するポリマーセメントモルタルは、不具合ヶ所の下地工事として施工するため、仕上げ面より2~3㎜下げて充填補修とするが不具合ヶ所の深さが2~3㎜以下であれば、補修の対象とはしない。

(2)補修材の性能
1.軀体コンクリートと密着一体化した調合ポリマーセメントモルタル。
2.ひび割れや収縮が少ない。
3.変色は可。
4.引張強度が10㎏f/c㎡以上であること。

(3)修整消去材の性能
1.不具合ヶ所の表層面と一体化した色調合のポリマーセメントモルタルであること。
2.変色、ひび割れや乾燥収縮がない。
3.不具合ヶ所部分を限定して修整消去し健全部を残す。
4.不具合ヶ所の痕跡を修整消去することにより、健全化し意匠性を復元する。
5.仕上げ塗材による濡れ・ムラ・変色等修整消去材に変化や影響がない。
6.経年変化が?体コンクリート同等以上の性能を有すること。

(4)修整消去
 補修材の十分な乾燥養生後、修整消去材を表層面に合わせコテ塗りとする。

3-9 修整消去仕上げヶ所の型枠模様造成
 修整消去仕上げ後の表層面を復元する。喪失した型枠模様を特殊カラーコート及び特殊器具により造成する。

3-10 浸透性吸水防止材の塗布
 撥水を主目的に実施される防水材の下地工程である。打放しコンクリートの毛管空隙の防水下地として、浸透性吸水防止材Aシーラー(水性・溶剤型)を含浸塗布する(150g/㎡程度)

3-11 塗膜型防水材
 浸透型吸水防止材Aシーラーを塗布乾燥養生後、塗膜型防水材NY-7090を塗布して打放しコンクリート表層面の生地の質感をキープ、最後にトップコート(フッ素・アクリルシリコン樹脂系)を塗布する。
 従来より高耐久性仕上げ塗材の塗布により生ずるムラ・濡れや不具合跡の顕在化はやむを得ぬものとされていたが、打放しコンクリート(PEC21)・STEP-1によって完璧な打放しコンクリート仕上げを具現した。

3-12 高耐久性防水材
 フッ素・アクリルシリコン樹脂に代表される高耐久性防水材は、その性状から打放しコンクリートとの仕上げの相性が良くないため、塗布することで濡れ色・ムラや変色が生じ、打放しコンクリート表層面の不具合ヶ所を際立たせ著しく意匠性を損なう。打放しコンクリート(PEC21)・STEP-1の一貫した新技術によって意匠性と高耐久性付与を同時に可能とした。

3-13 不具合現象の皆無
 打放しコンクリート表層面の不具合の発生が皆無の場合、仕上げ種別に基づいたものとする(STEP-1フローチャート参照)。
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次回は月刊建築仕上技術1996年10月号、特集「打放しコンクリート仕上げに関する技術体系」、最終回
「4.打放しコンクリート仕上げシステム(PEC21)・STEP-2」をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、住宅金融専門会社(住専)処理案をめぐり、与野党対立のまま国会は3週間空転したが、住専処理の6850億円を盛り込んだ1996年度予算案が5月10日に成立。大手借り口の不動産会社社長らが逮捕されました。

それでは次回をお楽しみに!

打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-06-01 07:22 | ブログ


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