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「打放しコンクリートと共に」 その(69)

こんにちはpikayoshi72です。

 今回は建築技術1995年10月号、特集「コンクリート工事/困ったときのノウハウ集」、「不具合が発生したときの対処、打放し仕上げの補修」を3回に分けご紹介します。
 今回はその第1回、「現状」から「補修の姿勢」までをご紹介します。
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現 状
 十分な準備と用意周到な計画のもとに打設した打放しコンクリート、過去の経験と教訓を生かしての完全無欠な打放しコンクリートであったはずが、現実は必ずしも期待どおりとは限らない。
 携わって35年、繰り返されている不具合の発生に伴う不測の事態に対応する取組み姿勢は変わらず、出たとこ勝負の前時代的な対応は大きく時代の変遷する今日、打放し建築にいまだ取り残されているものの一つである。
 稀にしか完全無欠な打放しが望めない以上、計画段階で対応策を組み入れておく必要がある。しかし、設計者の立場からはゼネコンの施工技術の問題と不具合は認めず、打放し技術の低下を容認するような補修計画などできない相談と言ったところが一般的な動向である。
 このようなことを背景にして、打放し建築には不具合に対する補修費の計上はなく、仕上工事として清掃費と撥水剤の塗布程度のもので、不具合のための補修予算などなく発生状況如何では思いがけない多額の出費を余儀なくさせるものとなっている(写①,②)。
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調査と材料
 まず打放し全面に散在する不具合箇所を緻密に調査、図面化し明記する。作業量の推定と、施工方法・所要工期・施工技術者の選定など施工計画書を作成する。同時に、使用材料性能試験報告書等第3者機関の証明する信頼に足る補修材であることが前提条件となる。
 少なくとも補修用モルタルの基本物性の中でも、中性化と付着強度および立地環境によっては塩害に対する塩化物の侵入性試験データなどは、生活環境の悪化に伴う対応性能の信頼性のうえで不可欠なものである。

不具合箇所以外のもの
 脱型したままでまったく汚染付着物のない打放しは稀である。型枠より染み出したアク・セメントノロの流下、エフロレッセンスの析出や錆汁の流下など、見方によって不具合箇所と同レベルの汚損である。
 これらの不具合箇所は補修に先立って、各々適合した方法で除去しコンクリートの生地肌を確保しなければならない。除去方法によっては、汚染物の痕跡を残すばかりでなく、損傷を与え新たな不具合箇所を加えることにもなる。このため汚れはクリーニング業者任せでなく、少なくとも打放し仕上げを熟知したものが立会のうえ作業するのが最適である(写③)。
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補修も仕上げ
 汚染物の除去、不具合箇所の補修の後に、最終仕上げとして防水材の塗工がある。この3工程は一連の仕上げ作業として捉えるべきである。
 打放しは表面の生地肌が仕上げであり、意匠性保護の立場からも、各々分割した施工は期待したものとはなりにくい。
 仕上げ全体像を把握したうえで、この3工程の施工をすべきである。打放しの汚染物除去も補修の範疇であり、補修も仕上げの下地づくりである。防水材塗布はこれらをまとめ、打放し生地肌を具現保護する仕上げと言えないだろうか。
 しかし防水材の材質、性状によっては打放し生地肌を濡れ色にし、補修箇所を目立たせてしまうなど取り返しのつかないものとなる。
 打放し生地肌を傷めることなく、それぞれの汚染物を除去し整合性のとれた補修とし、しかも手を加えた跡を見せない打放し生地肌仕上げが本筋である。この意味から、打放し不具合に課せられた補修と言う表現は、仕上げの1工程であってむしろ前後の2工程を含め打放し生地仕上げと位置づけて衣替えする必要がある(写④)。
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補修前に
 脱型して初めて目にする不具合箇所、しかも追い討ちをかけるような打放し生地肌を覆う多種多様な汚れは、打放しの概念とは大きく異なる生地肌を呈している。
 型枠のアク、錆汁の流下、セメントペーストの付着や白華現象と、どれも打放し生地肌にあってはならないものである。
 しかも補修を要する不具合箇所は、その発生原因によって補修方法が異なり、材料も不具合箇所ごとに調合対応しなければならない。
 このような不具合箇所を補修するにあたり、汚染物が付着したまま補修に取りかかることは禁物である。通常、外壁の仕上げは最後にクリーニングを施して工事中の汚れを除去するが、打放しは先に洗浄し汚れや付着物の除去をしなければならない。汚染物を除去した生地肌が打放し仕上げの表面層となる。
 錆汁・セメントペーストやエフロレッセンスは、長時間放置すると除去が困難になる。錆汁はコンクリート表面より毛細管を経由して深く浸透し、セメントペーストやエフロレッセンスは外部作用を受けて、付着が強固となり除去した跡がハッキリと残る。
 このようなことから、打放し生地肌確保のため汚染物は放置することなく、なるべく早期に除去することが大切である。
 その他、施主に無様な不具合箇所を見られないようにと、脱型後十分な乾燥養生をする間もなく補修に取りかかることがある。しかし、コンクリートの生地肌は乾燥するに従い濡れ色から次第に乾燥した色調に変化するため、補修材の色違いが生じ、折角補修した不具合箇所を再度斫り除去して補修し直す結果となり、二重の手間をかけることになりがちである(写⑤)。
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補修の姿勢
 打放しは脱型した生地肌が仕上げで、打放し外壁の美観と意匠性を損なう汚れや不具合箇所はあってはならないものである。それだけに前述のように不具合箇所を、人為的な補修をしたと意識させないような技術と仕上げが要求される。
 躯体コンクリートと異なった材料調合による補修であるため、経時変化による変色、ひび割れ・浮きや剥落などあってはならず、汚染物の付着を含めた多様な劣化損傷に十分耐え得る性能と信頼性が強く求められる。
 安易な補修は、打放し建築の仕上げを著しく傷つけることになりかねず、慎重な対応と環境作用を受けて経時変化する躯体コンクリートに、歩調を合わせた違和感のない補修技術が不可欠である。

 次回は建築技術1995年10月号、特集「コンクリート工事/困ったときのノウハウ集」、「不具合が発生したときの対処」の内第2回「補修のタイミング」から「不具合箇所の取組み」をご紹介します。

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それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-05-04 07:32 | ブログ


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