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「打放しコンクリートと共に」 その(67)

 今回は月刊PROOF1995年3月号、特集「打放しコンクリートの保護」、「事例から考える保護工法」を2回に分けご紹介します。
 本日は前編「1.はじめに」から「5.経年劣化した打放しの再生」までをご紹介します。
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1.はじめに
 遡ること1950年代,戦後復興より高度経済成長の幕開きと平行して,RC建築は大都市を中心にして全国的に建てられていった。中でも打放しコンクリート建築は,斬新なデザインと重厚感に溢れた構えは人々に驚きと強い関心を呼んだ。半永久的と思われていたコンクリート建築も繰り返しの環境作用を受けて次第に風化し,打放し外壁には付着生成した汚染物で美観は喪失し,点在する露出鉄筋とコンクリートの剥落は建物の価値観を著しく低下させていった。風化し劣化損傷した打放しの履歴を紐解くことによって初めて正しい保護機能のあり方が明確になる。この様な観点から打放しに携わった30数年間の歩みから学んだことを紹介する。

2.打放し補修の幕明け
 モルタル塗り外壁仕上げの時代であった一地方の庁舎建築に,打放しコンクリートが採用された。今迄に知見した事のない作法と脱型した本実型枠の鮮明な木目は奇異の驚ですらあった。(写真1)
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 しかし正面玄関の支柱に生じた巣穴は,打放し仕上げの意匠性を著しく傷付けた。打設したコンクリートと同一配合のコンクリートで充填補修が試みられたが,コールドジョイント同様より傷跡をより著しくした。しかも軀体コンクリートとの接着不良と乾燥収縮によるひび割れは補修としての機能は果たされずダメージを与えるものとなった。
 この様なことを背景にして補修材の接着性の付与やひび割れ防止を目的に酢酸ビニール樹脂が登場した。今迄の補修レベルから比較するとかなりの改善にはなったが水分に対して溶解するという弱点があり,耐水性のある樹脂に転換を余儀なくされた。

3.補修材の一体化
 そこで酢酸ビニール樹脂に変わって登場したもののひとつにアクリル樹脂である。補修材に添加することによって接着性,クラック防止,強度アップや耐水性の向上に著しい結果がもたらされた。しかし欠損部の補修材にもう一つの大きなハードルがあった。軀体コンクリートにマッチした色調合とその調合材の経時変色である。接着性等の物理的な問題は一応解決されたものの,打放しの生命である意匠性を損なう補修材の変色が未解決であった。部分補修材が軀体と一体化ししかも環境作用を受けても変色しにくい技術の開発が不可欠であった。(写真2)
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4.揆水型防水剤の性能
 打放しコンクリートの防水としてシリコン樹脂に代表される揆水型防水剤が30数年前より定着し今日に至っている。初期性能は期待通りであるが長時間続く降雨や強い風雨に曝されると,雨水はコンクリートの毛細管を経由して内部に浸透し,揆水性が喪失したかの様な現象を呈し外観は濡れ色となる。一旦浸透した水分は蒸発が緩慢となり湿潤状態となるため汚染物の付着の原因となりやすい。

5.経年劣化した打放しの再生
 10年から20程経過した打放しコンクリートの表層面はセメント分が流出し砂アバタ状を呈している。吸水性が高く降雨に接する部位は,多様な汚染物を巻き込んで流下汚損している。ひび割れや鉄筋露出等表面化した劣化損傷は,小規模のものでも水分の影響を受けて加速度的にその傷口は拡大する。
 欠損部の早期補修に止まらず,外壁全面に対し根本的な改修工事が基本である。

 次回はPROOF1995年3月号、特集-打放しコンクリートの保護「事例から考える保護工法」後編をご紹介します。

 さてこの年の重大ニュース、なんといってもこれです!1月17日、午前5時46分、近畿地方を中心に、強烈な地震が襲った。震源は淡路島。マグニチュード7.2の直下型地震で、神戸、洲本は震度6(烈震)を記録。阪神大震災です! この地震で阪神間や淡路島を中心に各地で建物の倒壊や火災が相次いだほか、高速道路の崩壊、高架の落下、道路陥没に加え、JR、私鉄なども多大な被害を受けインフラ機能は完全にマヒし、死者6432人、約51万棟の住宅が全半壊、一部損壊し、都市型基盤をほぼ壊滅状態に。
もう14年も経ちました。絶対に忘れてはいけない大惨事です。


それでは次回をお楽しみに!

 打放しコンクリートについてもう少し詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!
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by pikayoshi72 | 2009-04-20 07:27 | ブログ


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